大学中退の履歴書の書き方と面接対策(中退理由別の例文10選)
はじめに
大学を中退している人の就職活動の面接では、必ずと言っていいほど中退した理由を聞かれることでしょう。企業に提出する履歴書にも、大学中退であることをどのように記入すればいいかわからないという声も耳にします。ではどのように中退した理由を説明すればいいのでしょう。印象を悪くせず、適切な説明や書き方をするための対策についてご紹介します。
その他にも、大学中退後の就職活動の進め方|内定を勝ち取るためのノウハウを伝授している記事もございます。どのように進めていけば効率が良いのか詳しく解説していますので、是非参考にしてみてください。
履歴書には大学中退と書くべきなのか?
大学を中退していることは、隠さずに履歴書には書くべきであると言われています。悪い印象を少しでも与えたくないため、できれば書きたくないと考えるかもしれませんが、なぜ書かなくてはいけないかの理由を知っておいてください。
まず履歴書を作成する前に、履歴書の書き方(準備~お渡しまで全網羅)の記事も併せてチェックしておきましょう。
中退と書かないとどうなる?
履歴書の学歴欄に大学中退であることを書くと、ネガティブな印象を与えてしまうと考え、中退であるにもかかわらず「卒業」と書いてしまうと「学歴詐称」の罪に問われます。学歴詐称は軽犯罪法に触れるため、決して虚偽の記入をしないようにしましょう。下手をすると入社後に嘘が判明し、懲戒処分を受けたり、最悪のケースでは解雇になったりするケースも起こりえます。
中退と書かず空白で提出した場合は、罪には問われませんが面接時に確認されるでしょう。そのときの受け答えによっては逆にマイナスイメージを面接官に与えてしまいかねません。中退と書かないで済むように学歴に大学入学の項目を省いてしまうと、不自然な空白期間が生まれるため、こちらも面接官から厳しいチェックの入る確率がアップするでしょう。
採用上のデメリットにならない?
中退という言葉の響きは、マイナスイメージを連想させる気がするかもしれません。しかし大学中退と履歴書に書いたからといって、100%採用上のデメリットにつながるとは限らないでしょう。むしろ虚偽の記載や空白にしてしまうことのほうが大きなダメージを受ける可能性があります。ならば堂々と「中退」と書いてデメリットの可能性を回避しましょう。
中退と書くことが採用上のデメリットになるかならないかは、中退した理由次第になります。家庭の事情や身体的な問題などをはじめとする、やむを得ない理由や、別の目標を見つけたり留学をしたりなどの前向きな理由であれば、デメリットどころかメリットにつながる可能性も出てきます。
理由別!「大学中退理由」の例文
大学中退をしている人が履歴書に中退していることを書くときは、学歴欄に「学校名」+「中途退学」と書いた後、中退理由を続けて書き入れます。中退した理由は人それぞれ異なりますので、いくつかの例文を紹介しますので参考にしてください。
例1)
○年4月 ○□大学 経済学部 入学
○年○月 ○□大学 経済学部 中途退学(家庭の事情により中途退学)
例2)
○年4月 ○□大学 経済学部 入学
○年○月 ○□大学 経済学部 中途退学
○○(国名)に語学を習得するため留学し、中途退学
やむを得ない中退理由例文
やむを得ない理由で中退した場合は、きちんと理由を書くことで、本当は大学で学ぶ意志があったことを企業側にアピールできます。やむを得ない事情があったため学業を断念したのだと、ポジティブワードを使いながら明確に伝えてるようにしてください。
例文1)経済的な問題
・家庭の経済的事情により退学
・家庭の収入事情により退学
例文2)家族の介護など
・大学在学中に親が要介護となり退学
・在学中に親の介護が必要となったため退学
例文3)本人の健康上の問題
・健康上の理由により退学(現在は完治しており勤務に支障はなし)
・○○(病名)の治療のため退学
正確に詳しく書く必要はありませんが、現状がどうなっているかを追記することも大切です。健康上の問題の場合は、最後に「現在は完治しており、勤務に支障はありません」のような一文を入れておけば、企業側にも問題なく働ける状態であることがわかりやすく伝えられるでしょう。
家族の介護などの場合も同じで、現状をきちんと伝えることが大切です。まだ介護は継続しているのか、仕事に支障はきたさないのかなど、ひとことでも書き足してあるだけで印象はまったく異なってきます。就業に差し支えがない状態であることは、積極的にアピールしていくことをオススメします。
目的のある中退理由例文
前向きな理由がある場合は、絶好のアピールポイントとして利用できます。
他にやりたいことができた場合や、やりたい仕事が明確に見つかり早く社会人として働きたいと考えたなど、確固とした目的を持って大学中退を決意した人は、以下のような例文を参考にしてください。
例文1)語学留学をした場合
・○○(国名)に語学を習得するため留学し、退学
・海外留学で英語を勉強するため退学
例文2)進路変更をした場合
・進路志望を変更するため退学
・研究したい分野が定まり、他大学へ転学したため退学
例文3)社会人としての就業を優先した場合
・社会に出て早く自立したいと考え、就職のため退学
・社会人として就業したいと考え退学
留学の場合は、退学理由に続けてカッコのなかに、どこの国でどのような勉強をしたのか、取得した資格などもあれば追記しておきましょう。
例)
イギリスに〇年間留学し、上級ビジネス英語を習得
アメリカ合衆国〇〇大学で建築学(Architecture)専攻のため
進路変更の場合は、明確に伝えたいアピールポイントがあれば記入しておくことをオススメします。進路変更にあわせて資格取得をした場合や、資格取得のために勉強していることなどもアピールしておきましょう。
例)
ケアマネージャーの資格取得に向け勉強中
〇〇エンジニアになるために専門学校へ〇年在籍
社会人として働くことを学業より優先した場合は、他の2つと比べると追記することはあまりないかもしれません。ここではあえて何も追記せずに、面接時に受け答えができるように準備をしておけばいいでしょう。
ネガティブな中退理由例文
前向きさをアピールできない理由の中退の場合、できれば正確な理由は書きたくないことでしょう。ネガティブにつながる理由の場合は、ありのままを正直に書くのではなく、前向きな言い方に変換してみることをオススメします。
ですが学業に専念しなかったため単位が取れなかったり、理由もなくなんとなく辞めたくなったりした場合などは、ポジティブに変換することはどうしても難しいでしょう。その場合はムリに何か書こうとせず、「一身上の都合により退学」と、形式的な文言で書いておきましょう。ですがその前に、本当に他に理由につながることはなかったかを今一度考えてみることもやってみてください。
理由を詳しく書きたい場合
大学を中退した理由がネガティブな場合、学歴欄でのポジティブなアピールが難しくなります。そこで別の方法でも印象をよくできるアピールを考えてみましょう。志望動機欄を使って志望動機と交えながら前向きなアピールをしてみてください。
例文1)
○○大学へ進学しましたが、授業やサークルなどに面白みを見出せず退学することとなりました。しかし大学時代からおこなっていたイベント関係のアルバイトにやりがいを感じ、イベントの企画や運営に関する仕事に関心をもつようになり御社を志望しました。
例文2)
大学を入学する前に、カリキュラムに関する情報が満足に収集できていなかったため、学びたいと考えていたことが実現せず退学しました。事前リサーチが足りなかったことを反省し、就職は絶対失敗しないようにと徹底したリサーチをおこない、御社の○○に大変魅力を感じ応募しました。
例文3)
在学中のアルバイトでエンジニアとして働くことに熱中してしまい、大学を中退することとなりました。アルバイト先でさまざまな学びを得ることで将来○○エンジニアとして働きたいと考えるようになり、少しでも早く仕事に就きたいと独学で勉強をしています。学んだ知識を御社で活かせるよう取り組みたいと考えております。
例文4)
高校時代の勉強不足で英語の成績が振るわず、徐々に研究や勉強についていけなくなり中退しました。少しでも早くから勉強をはじめていればよかったと今でも後悔しています。仕事では同じことを繰り返し、悔しい思いをしないためにも、自分ができることと適正をしっかりと理解し、事前に準備を進めつつ、さまざまなことに挑戦して御社に貢献できる人材になりたいと考えています。
面接での中退理由の説明の仕方
履歴書では簡潔に書いた大学中退の理由ですが、いざ面接となるともう少し深堀りした説明を求められる可能性があります。本番で焦って答えられなかったり、話のつじつまが合わなくなってしまったりすることがないように、事前の対策が必要です。ここでは面接のときに使える中退した理由の説明のやり方についてお話しします。
また、面接のときの対応そのものに不安がある方向けに、就職転職活動の面接マナー/服装/持ち物/から受付~退室まで全網羅(WEB電話面接にも対応)している記事もございます。面接前までに全体の流れを把握しておきましょう。
「前向きな理由」を説明する
大学中退という響きがもつネガティブイメージを、どのように払拭するかが重要です。もし大学中退の理由を面接で聞かれた場合は、できる限り前向きな理由に変換するように意識してください。中退という言葉をネガティブにせず、中退したからこそ自分はスキルアップができたと胸を張って言えるポジティブさが必要です。
中退した理由がどのようなものであれ、反省点や失敗から学んだこと、活かしたいことを織り交ぜながら、最終的には明るくポジティブな未来の話につなげるよう意識してみてください。
大学を中退したあとに努力したことや手に入れたものが伝えられれば、相手にポジティブな印象を与えられます。大学中退しているから仕事もすぐ辞めてしまうのではと思われないためにも、中退したからこそ得たものがある、それらを今後の仕事で生かしていきたいと明確に言葉にして伝えていきましょう。そうすることでポジティブな未来の話につながっていきます。
質問に答えられるよう対策しておく
履歴書に中退の文字を書き入れた時点で、中退の理由については恐らく面接で聞かれることでしょう。簡単に説明をするだけで終わればいいですが、状況によってはさらに踏み込んだ質問をされる可能性もあります。どのような質問が来るか、予測を立てていくつかの回答例を事前に考えておきましょう。
常に意識をしておきたいのは、ここまでに繰り返しお話ししている、ネガティブワードは使わず、すべてポジティブワードに変換しましょう。経済的な理由で中退したなどの場合は、「早く社会に出られてよかった」とか、親の介護で中退した場合は、「介護を通じて福祉の仕事に興味をもつようになった」など、前向きに発展する意欲をアピールすることが大切です。
病気の治療などで中退した場合は、本当に働けるのかが企業側も気になるポイントになるでしょう。その点に関しては、正直に答えるのが一番です。「主治医から許可が降りている」など、具体的な話ができれば企業側も安心して話を進められるはずです。
まとめ
大学を中退していると就職活動は厳しいものになるかもしれません。そのなかであまり言いたくない中退の理由を履歴書に書かなくてはならなかったり、面接で聞かれたら答えなくてはいけなかったりします。ですが中退したことは必ずしも採用に不利になることはありません。コンプレックスに感じることなく、胸を張って就職活動に挑みましょう。
面接官が求めているのはこれから会社を支えてくれる人材です。中退した過去にばかりとらわれないで、正直な等身大の自分の言葉で聞かれたことに答えていけばいいだけです。中退した理由も、たとえネガティブな理由であってもポジティブな言葉に変換し、中退したからこそ今の自分がいるとアピールしてください。
働く意欲があること、過去の失敗は反省して乗り越える強さを持っていること。これらをアピールできるのは中退している人だからこそではないでしょうか。
最後のチェックポイント
- 履歴書で中退であることを隠し「卒業」と書くと学歴詐称になる
- 中退と書かないままにすると、学歴の不自然な空白が発生する
- 大学中退であること自体は採用上のデメリットにはならない
- 中退理由の伝え方が採用されるかどうかの鍵となる
- ネガティブな理由でも、ポジティブに変換を
- 常に前向きさをアピールし、最終的にはポジティブな未来の話に