ストレスを上手に受け流すスルースキルの身につけ方6選
はじめに
ストレスをしなやかに跳ね返せる心の強い人を「レジリエンスが高い人材」と呼び、重宝する企業が増えています。レジリエンスを強化するには「スルースキル」を身につけることが有効です。
この記事ではスルースキルの意味や身につけ方、スルースキルが身につかないときの対処法などを具体的にご紹介しています。
鈍感力を高めるスルースキルとは
スルースキルとは和製英語で嫌なことを言われたりされたりしても受け流せる能力のことです。ストレスに対して鈍感な人とも言い換えられるため「鈍感力」とも言われています。スルースキル(鈍感力)が高まると他人の価値観や考え方を受け入れられやすくなり、人付き合いにおいて無理をすることが減ります。
とくに、社会人になったばかりの新入社員は環境の変化に適応できず体調を崩す方も多いため、早めにストレスへの対処法を身につけることが大切です。
スルースキルを身につける方法
スルースキルを身につけることは生きやすさにつながりますが、どのようにしていいかわからない方も多いでしょう。職場でよくあるケースを6つに分けて、以下からスルースキルの身につけ方をご紹介します。
1.言葉の裏を読みすぎない
誰かに冗談なのか嫌みなのかわからない言葉をかけられるとモヤモヤした気持になりがちですが、発言の真意は考えないことをオススメします。相手に深い意味はなく言った本人さえも忘れていることが多いからです。感情をコントロールするのは難しいので、趣味や自分が好きなことに行動を切り替えて早めに忘れるようにしましょう。
2.苦手な人とは物理的な距離を空ける
「物理的な距離と心理的距離は比例する」とも言われるため、不愉快な言動をしてくる人とは極力同じ空間にいないことが大切です。その際、あからさまに嫌そうな態度で逃げるのは好ましくないので、適当な言い訳や用事を作ってその場を離れるようにしましょう。
3.間接的な嫌みには無視を決め込む
人によっては聞こえるようにわざと不愉快な言動をする人もいますが、直接言ってこなければ相手の方を向かずに気づかないふりでやり過ごすのをオススメします。「スルー」という言葉の通り「無視を決め込む」ことで、相手に思い通りの反応を与えないことが大切です。
4.プライベートなことに干渉されたら話をそらす
直接不愉快な言動をされた場合は、適当に相槌を打った上で話をそらすのが有効です。とくに、職場ではプライベートな話を聞かれても正直に答える必要はありません。また、自慢話や興味のない話題には相手の言葉を適度におうむ返しして聞いているふりをしておきましょう。
職場での人間関係を円滑にするには公私を線引きすることが大切です。以下の記事では付き合いを必要最低限にすることのメリットをご紹介していますのであわせてご覧ください。「人間関係で仕事辞めたい! 対処法や円滑にする秘訣を紹介」
5.指摘と嫌みのセットは指摘だけを受け取る
業務の指摘を嫌みとセットでいわれた場合は指摘のみを受け取り今後の仕事に生かしましょう。指摘は自分の成長につながりますが嫌みは相手の私情です。業務においては一個人の私情(嫌み)に悩まされている時間の方が無駄ですので受け流すことが賢明です。
6.他の人の悪口は言わない
同僚や上司に対して同じように不満を持っていても他の人と一緒に悪口を言わないようにしましょう。
悪口を言っている人たちから離れることが難しい場合は、何も言わずに無表情でその場をやり過ごすのも一つの方法です。万が一意見を求められた場合は、「よくわからないです」「私も人のことを言える立場ではないので」など当たり障りのない回答を心がけるようしましょう。
とはいえ、人間関係の不満はため込まないことも大切です。以下の記事「職場での人間関係がうまくいかない時の考え方 」では社内カウンセラーや病院のカウンセリング、職場と関係ない人に相談することの大切さをご紹介しています。誰かにモヤモヤしている方はぜひ、ご参考ください。
スルースキルが身につかない場合はどうする?
スルースキルを実行しようと努力しても上手くいかずにストレスがたまる方もいるでしょう。以下から考え方のヒントや心の相談窓口などをご紹介しますのでご参考ください。
1.自分軸を大切にする
自分軸を持っている人はスルースキルが高い傾向にあります。他者の異なる価値観を尊重しつつ自身の生き方や考えも大切にできるので、他人の言動に振り回されずに不必要な干渉を断りやすくなるためです。自分軸を身につけるためには日頃から自分の本音を大切にして、何事に対しても自分で判断・決定する癖をつけましょう。
自分軸をもつとワークライフバランスの取れた働き方もできます。こちらの記事、「ワークライフバランスを実現するには?メリット・問題点、実現できる企業の特徴を紹介」では「自分でできる取り組み」や「ワークライフバランスを実現できる企業の特徴」をご紹介していますのでぜひご覧ください。
2.認知行動療法で対処する
認知行動療法とは、物事の捉え方や行動を変えてバランスのいい思考を目指す治療法です。今回は、そのなかの1つである5コラム法のやり方をご紹介します。
1.実際に起きた出来事(事実のみ)を紙に書き出す
例:職場で上司に「まだ仕事が終わらないの? 」と尋ねられた
2.そのときの感情を紙に書き出し0~100の間で点数を付ける
例:辛い:70点、不安:60点、悲しい:80点
3.2の感情に至った思考(自動思考)を書き出す
例:「私の仕事が遅いからだ」「能力のない人間だと思われているのかも」「私なんていない方がいいのかな」
4.出来事に対してバランスのいい考え方(適応思考)を行う(「もしかしたら」を使うと取り組みやすい)
例:「私の仕事が遅いからだ→もしかしたら、仕事の進捗を確認したかっただけかもしれない」
「能力のない人間だと思われているのかな→もしかしたら、最近残業が多いから気にかけてくれただけかもしれない」
「私なんていない方がいいのかな→もしかしたら、何か他に頼みたいことがあっただけかもしれない」
5.4を書いた後に再度感情に点数を付けて、2に比べてどの程度気持ちが変化したか記入する
例:辛い:20点、不安:40点、悲しい:30点
自動思考を見直すことで事実に沿った別の考え方に気づきやすくなり、悲観的な思考やストレスが軽減されやすくなります。
不安や緊張のメカニズムは下記の記事でも紹介しています。「認知」と「行動」と「感情」の関係は「就活生必見!面接で緊張しない方法を伝授」の「ヒトはなぜ緊張するのか?」の項目で詳しくご紹介していますのでご参考ください。
3.スルー出来なくても自分を否定しない
スルースキルが身につかないからといって自分を責めないようにしましょう。とくに、自己否定感の強い人ほど完璧主義になりやすく自分自身に対して過剰に期待しやすいため「できない自分」を劣っていると感じてしまいがちです。
しかし、「スルースキルがない自分をスルーできない」という状態に陥ってしまうと本末転倒ですので、ときには、「あるがままの自分」を受け入れることが大切です。
4.専門家にSOSを出す
自分一人で悩みやストレスを解決しようとするとかえって時間や労力を消費することになり、さらなる心身の不調を招く恐れがあります。ときには、医師や産業医・カウンセラーなどの専門家に相談することや、信頼できる公的機関の相談窓口を利用することも視野に入れましょう。
以下、厚生労働省のホームページ「悩み別 相談窓口情報等を紹介するサイト」の見出しをご参考ください。
参考:厚生労働省|その他の相談先
まとめ
「相手をスルーする行為が失礼に感じる」という方もいるでしょう。しかし、スルースキルを身につけることで価値観の異なる人とも共存しやすくなります。あなたが穏やかに毎日を過ごすためにもストレスへの対処法の1つとして知っていただければ幸いです。
最後のチェックポイント
- スルースキル(鈍感力)とは嫌なことを受け流せる能力のこと
- 誰かに言われた言葉の裏を読みすぎないことが大切
- プライベートな話を聞かれても真剣に答える必要はない
- スルー出来なくても自分を否定しない
- スルーできずにたまったストレスは専門家へ相談