面接での正しい自己紹介とは?ポイントや例文を解説
はじめに
- 自己紹介は「自分が何者か」を説明し、面接官に理解してもらうもの
- 重要な要素は、プロフィール、ガクチカなどの経験、面接への意気込みの3つ
- 緊張している場合は、素直に緊張していることを伝えてみるのも一つの方法
- 好印象を残すためには、内容に関わらず大きな声で話すことも大切
- 自己PRとは違うため、アピールに重点を置かないように注意!
面接は選考過程の中でも大きな割合を占めるもので、そこで必ず求められるのが自己紹介です。面接の場で「簡単に自己紹介をしてください」と言われた場合は、自身の基本的な情報と人間性を簡潔に伝えることが大切、と理解しておきましょう。
今回はさまざまな状況の自己紹介について、例文を用いて解説していきます。好印象を与える自己紹介になるよう、ご参考になれば幸いです。
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自己紹介が求められる理由
自己紹介とは、初対面の相手に名前や学歴、趣味などの経験を伝えて「自分が何者であるか」を説明し、理解してもらうものです。
多くの面接では、始まりに自己紹介を求められます。その主な目的として、事前情報と対面した本人を見比べて、判断材料にすることが挙げられるでしょう。副次的な理由として、相手の緊張をほぐすことや、人柄や能力を探るための会話の糸口としても求められています。
緊張をほぐすため(アイスブレイク)
面接に臨む時、程度の差こそあれ、誰もが緊張するものです。特に、新卒など面接に不慣れな求職者は、緊張して硬くなりがちな傾向にあります。そのため、面接官は自己紹介を挟むことで、求職者の緊張をほぐそうと考えています。
求職者と会話することで緊張をほぐし、普段の状態に近い求職者の姿を知ることで、事前情報と見比べる材料にできるからです。
応募者の人柄や能力を把握するため
求職者の基本的な情報は応募書類に記載されていますが、面接では雰囲気などの第一印象も重要です。面接官は、書類上ではわからない人柄や能力といった、求職者の性質を把握しようと考えています。
自己紹介の内容を踏まえて質問を移行していくため、自己紹介は印象を決める重要な要素と言えるでしょう。
面接の自己紹介で必ず伝えるべきこと
面接の自己紹介は、さまざまなことを簡潔に伝える必要があります。ケースによっては、氏名と大学名などの基本情報を10秒程度で伝えればいい場合もあります。しかし、すべての面接が短くてよい訳ではありません。「30秒程度」もしくは「1分程度」の自己紹介を求められると想定して、自己紹介の準備をしておくことが大切です。
自己紹介で欠かせない重要な要素は、プロフィール、ガクチカなどの経験、面接への意気込みの3点です。これらの要素を盛り込んで自己紹介を準備しておくことで、緊張を覚えたとしても慌てずに面接に臨めるでしょう。
氏名などの簡単なプロフィール
自己紹介で最初に伝えるべきは「自分が誰なのか」ということです。新卒や第二新卒であれば、大学と学部・学科名の紹介から始め、ゼミやサークルなどの経験を伝えることが重要になります。転職者やフリーターの場合は、前職もしくは現職で培った経験を交えて、どのような貢献ができるかを伝えるといいでしょう。
これまでやってきたこと(学業や前職など)
転職者であれば、前職や現職で何を行ってきたか、実績から話せることは多くあるでしょう。同様に、ゼミやサークル活動に参加していた新卒や第二新卒は、活動経験から「何を経験し何を得たか」といった自身のスキルや能力に関してアピールが可能です。そういった活動に参加しておらず、アピールが思いつかない場合は、学生時代に打ち込んだ趣味から企業貢献につながるものはないか、確認してみましょう。
意気込み
意気込みといっても、難しく考える必要はありません。面接に対する意気込みとは、面接をどのように取り組みたいか、どのような思いがあるかを伝えるものです。前述したように、自己紹介はアイスブレイクの意味合いを含んでいます。そのため「緊張していますが」など、素直な気持ちを話すのもいいでしょう。口に出すことで緊張がほぐれる場合や、面接官が配慮してくれる場合もあります。
「緊張でいつも通りではないかも」「練習通りに話せそうにない」と感じたら、思い切って素直な気持ちを打ち明けてみるのも一つの方法です。
面接は誰しも緊張するものです。緊張対策に興味がある方は、緊張せずに面接に臨むための対策法について徹底解説!の記事もご覧ください。面接でいつも通りの力を発揮するための一助となれば幸いです。
好印象を残す自己紹介のポイント
自己紹介は「自分が何者であるか」を理解してもらうために、書類だけでは伝わらない、あなたの人柄について紹介する機会です。早口で話すと聞き取りづらくなり、マイナス印象を与えやすくなります。短く簡潔に、を意識することも大切ですが、相手に伝えることを意識して話しましょう。また、小さな声で話したり目を伏せて答えたりすると、自信がないなどの誤解を与える場合もあります。好印象を残すためには、話すスピードや声の大きさ、面接官の方を向いて話すことを意識しましょう。
自己紹介は簡潔に自分のことを知ってもらうことが目的であり、自己PRは自分の強みを知ってもらうことが目的です。混同して、アピールに重きを置きすぎないように注意しましょう。
第一印象に気を配ろう
穏やかな表情で、目をしっかり見て面接を受けると面接官に好印象を与えられます。逆に、緊張をして下を向いてしまうと声が聞き取りづらくなり、相手に「自信がないように見える」と思わせてしまい、マイナス印象や誤解を与えてしまいます。表情や視線を意識して、面接を受けるように心掛けましょう。
相手に情報をしっかり伝えることが大切ですので、略語を使わず、丁寧で正確な言葉づかいで話すように心がけるとよいでしょう。声の大きさや話すスピードを意識して、熱意を伝えられればベストです。
面接官が知りたいことを意識しよう
面接の第一印象は、自己紹介で決まります。
面接の始まりともいえる自己紹介は、面接官にとって応募書類だけではわからない、あなたの人柄や雰囲気を知ることが目的です。加えて、コミュニケーション力や短時間で要点を簡潔に伝える能力があるのか、といった点も見られています。面接における自己紹介では、できるだけ短い時間で必要な情報を伝えられるよう、今までの経験やキャリアで得たスキルなども含めた回答を行うとよいでしょう。
要点を押さえて1分程度にまとめよう
面接自体にかかる時間は、短くて20分、長くても1時間程度が一般的です。第一印象を決める自己紹介は面接の冒頭部分に当たりますので、長く話すよりも要点を絞って短く話すことが重要です。話す内容は1分程度、文字数でいえば300字程度でまとめられるよう、前もって準備しておきましょう。
面接によっては時間が指定され、30秒で、2分以内で、などと柔軟な対応を求められる場合もあります。そのため事前にキーワードを選び、選んだワードを軸として、柔軟に話せるように練習しておくことが重要といえます。また、時間内で多くのことを伝えようと、早口にならないよう意識しましょう。
簡潔にまとめることが難しいと感じる方は、PREP法とは?相手に伝わる文章の作り方【例文あり】の記事をご覧ください。わかりやすい要点のまとめ方をご紹介しています。
自己紹介で話す内容と回答例文6選
先にも触れたように、自己紹介で必ず伝えるべき点は「簡単なプロフィール」「ガクチカや前職などの経験」「面接に対する意気込み」です。これらに加え、自己PRや志望動機の概要に触れておくと、面接官の印象に残りやすくなります。また、自身の意思で行動したことなどのストーリーを入れ、自分なりの考えを打ち出しておくと、より印象強くなります。ありきたりなエピソードではない分、他の候補者との差別化を図れるでしょう。
自己紹介は、面接官に好印象を持ってもらえるように内容を述べることも重要ですが、内容に関わらず大きな声でハキハキと話すことも大切です。堂々とした話し方は好印象につながります。
上記を踏まえて、具体的な例文をご紹介します。
新卒/第二新卒の場合
新卒/第二新卒の場合は、出身大学の紹介を忘れずに行いましょう。学業やサークル、ボランティア活動など力を入れてきた活動があれば、冗長にならない程度に触れてみるのも一つの手です。ゼミやサークルでの活動などを簡潔にまとめれば、人柄や性格を面接官にさりげなく伝えることが可能です。
回答例
◯◯大学◯◯学部4年の××と申します。
私は大学で地域経済のゼミに所属しており、経済システムと地域コミュニティの関係について研究しております。
学業以外では、テニスを中学の頃から続けているため、大学でもテニスサークルに所属しており、毎日2時間以上の練習を欠かさず行ってまいりました。先輩後輩問わず上手な人からのアドバイスを聞いて実践し、他のメンバーの練習相談にも乗ることで、結果的にサークルでは副キャプテンを任されました。
スポーツに関連のある職に就きたいと考えていたため、御社を志望しました。どのような人にも助言を受け、反映していく柔軟性を活かして、御社でもチームをまとめるために活躍できればと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
高卒/中退の場合
高卒もしくは中退の場合は、高校で力を入れていた活動などを自己紹介に取り入れましょう。地域貢献のような活動も、部活動や委員会と同様に「ガクチカ」にあたります。
回答例
××と申します。
私は◯◯高校で野球部に所属し、3年間練習に打ち込みながら、チーム全体のまとまりを常に意識しておりました。
部員間で意見が分かれることも多々ありましたが、主将に選任されてからは遠慮なく意見が言い合える場を作り、妥協点を探りながら意見をまとめられるよう取り組んできました。その結果、チームの団結力が高まり、県大会ベスト8に入ることができました。
今回の応募は、御社に就職した先輩からの話を聞き、事業内容に共感し自分も御社を志望したいと考えたからです。
仕事でもチームの意見をまとめ、全員が同じ目的に向かえるよう、私なりにリーダーシップを発揮して御社に貢献できればと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
転職の場合
中途採用の面接で伝えるべきポイントは「これまでの職務経験」です。前職でどのような業務をしていたのかを具体的に述べて、保有しているスキルなどのポテンシャルを伝えましょう。
回答例
××と申します。
私は株式会社△△にて、20◯◯年から5年間、主に小売・物流業界における業務効率化を行うため、IT支援ツールの提案営業に従事してまいりました。すべての年度で目標達成率120%、3年目以降は全国の法人営業部で常に上位5%以内の成績を維持し、2年前からはマネージャーとなり、部下の教育にも注力しておりました。
先日、御社が◯△という革新的な製品を開発された、というニュースを受け、商品の革新性や開発背景の理念に大変魅力を感じました。これからの業界内で大躍進すると推察し、その道程を営業として共有したいと考えております。
これまでの経験を活かし、売り上げへの貢献だけでなく、新人教育などのチーム力の底上げにも貢献できればと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
転職が多い時は
転職が多い理由には、さまざまな要因があるでしょう。そのことを伝えるにあたり、なるべくネガティブに聞こえないような話し方を心掛ける必要があります。転職を経験したことで気づけたことや、転職を繰り返す中でも自分の中に一貫している軸があったことを伝えるようにしましょう。
回答例
××と申します。
私は大学卒業後、正社員として店舗販売・法人向けの営業のほか、派遣社員としてコールセンター業務を経験してきました。3社とも職種は異なりますが「価値を伝える仕事に携わっている」という共通点があります。中でも営業職の時は、サービスのメリットを丁寧に伝えることを常に意識し、徐々に顧客の信頼を積み重ねることで、取引先の売上140%を達成しました。
私は、商品の価値をさまざまなアプローチで伝えていけるような仕事がしたいと考えています。そのため、関係性の構築や伝え方の工夫次第で売上につなげることができる御社のEC運営に興味を持ち、応募いたしました。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
趣味の話を入れたい場合
自己紹介で話す内容に悩み、緊張以前に何を話せばいいかわからなくなることもあるでしょう。その場合は、長く続けている趣味、注力していることをエピソードに挙げるのも一つの方法です。
趣味に関するエピソードを盛り込むことで、自分が「何者であるか」をよりわかりやすく伝えられる場合があります。盛り込む場合は表面的な話にとどまらず、自分ならではのエピソードを紹介できるよう、内容と伝え方に注意しましょう。
回答例
◯◯大学◯◯学部4年の××と申します。
私は海外旅行を趣味としており、大学3年の夏休みにはカンボジアに1ヶ月滞在しました。海外旅行ではトラブルがつきものですので下調べをしっかりとした上で、目的地までの道や危険地域などを現地の方に聞きながら移動しました。公共交通機関を使った陸路の移動もしましたが、そうしたなかで無事に旅行計画を遂行できたのも、宿泊予約していた御社系列ホテルのコンシェルジュサービスのおかげです。その節は大変お世話になりました。
帰国後、私もこのようなサービスを旅行者に提供できる組織の一員になりたいと思い、今回の応募につながっています。
御社では管理業務や資料作成など、さまざまな仕事に携わることがあるかと思いますが、常に確認を怠らず効率的に業務を遂行したいと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
フリーターの場合
フリーターから正社員を目指す場合の自己紹介は、中途採用向けの情報を伝える必要があります。基本的な情報(氏名、最終学歴、職歴など)はもちろん重要です。それに加えて「あなたがどのような経験をしてきたのか」「経験から何を学び得たのか」を簡潔にまとめて伝えましょう。
ただし、自己PRとは違うので、アピールに重きを置かないよう注意してください。
回答例
本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。
私の名前は××と申します。 20▽◯年3月に○○大学△△学部□〇学科を卒業しました。現在の年齢は28歳です。
大学卒業後はホームセンター◇×〇でアルバイトとして、商品管理や接客案内などを担当しました。取り扱う商品が多かったため、お客様の質問や要望にできるだけ沿えるよう、事前に商品知識を学び覚えることで、迅速に対応できるよう心掛けていました。現在は、正社員として▽月からの就職を目指しまして、求職活動中です。
アルバイト時の経験やスキルなどを活用できると考え、御社に応募させていただきました。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
バイト面接の場合
今までの自己紹介は正社員求職用でしたが、ここではアルバイト求職用の自己紹介について紹介します。
バイト面接の場合も、必要なことは簡単なプロフィールや学歴・職歴などですが、もう一つ重要なことは「なぜこのアルバイトを選んだのか」という理由です。アルバイトとはいえ、雇用されて働くという点では正社員と変わりありません。そのため、理由をしっかり話せない人は「本当に雇って大丈夫かな?」と不安を持たれやすくなります。アルバイトの求人情報をきちんと確認し、選んだ理由と併せて答えられるように準備しましょう。
回答例
××です。現在、○○大学経営学部の2年生です。大学では軽音楽サークルに所属しており、「〇〇◇□」というバンド名で年に3回ほどライブを行っています。
飲食店ははじめてなのですが、以前にコンビニで働いていた経験が1年半ほどありますので、お客様に接することやレジの仕事はある程度なじみがありますし、立ち仕事も問題ありません。
授業のないもしくは早く終わる、平日の午後に週2回程度アルバイトをさせていただければと思っています。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
自己紹介で起こりがちな失敗例
自己紹介では避けたいパターンがいくつかあります。
意識していないと、知らず知らずのうちにNGパターンに陥りやすいため、以下の点に注意して自己紹介を考えましょう。
- 盛り込みすぎて長々と話してしまい、簡潔にできない
- 転職理由や志望動機、自己PRを詳細に話してしまう
- 前職について、人間関係の悪化などのネガティブなことを話してしまう
- 応募した企業の業務内容と関係ない内容になっている
下記では自己紹介でありがちなNG例を2つ、ご紹介します。
NG回答1
回答例
◯◯大学◯◯学部の、××と申します。
勉学に必死に取り組み、テストではいつも10位以内の成績を残してきました。家に帰ってから予習と復習を欠かさない取り組みが実を結んだと思います。やはり短期の記憶から長期の記憶に変換するという意識を忘れずに学業に取り組むという姿勢。これがよかったのではないでしょうか。高校から大学時代にかけてサッカー部に所属し、走り込みやパス回しの練習などに力を入れました。もちろんフォーメーションの研究も欠かすことなく、いろいろと試合本番で試してみました。誰とでも気軽に話せる明るい性格で、友人も多いです。また、好奇心旺盛な性格で、常に新しいことにチャレンジしています。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
いろいろとアピールしたい気持ちはわかりますが、何をアピールしたいのかわかりにくくなっています。アピールポイントは1~2つに絞り、もう少し簡潔にまとめて話しましょう。
NG回答2
回答例
××と申します。
前職では人間関係がかなり悪く、私は精一杯頑張りましたが、耐えられなくなり辞めてしまいました。御社では積極的に周りの方々とコミュニケーションをとり、貢献できるような人間になりたいと思います。
よろしくお願いします。
本当のことであっても、前職についてネガティブに表現するのはNGです。面接官に「この人は入社しても長続きしなさそうだな」と思われ、マイナス印象を与えてしまうことにもなりかねません。ネガティブな退職理由であっても、ポジティブな理由に変換して話すとよいでしょう。
まとめ
面接の始まりであり、第一印象を決める場ともいえる自己紹介は、緊張する人も多いことでしょう。緊張しすぎて面接を台無しにしてしまわないよう、前もって話す内容を決めておくことが大切です。どうしても緊張がとけない場合は、素直に伝えてみるのも手法の一つです。緊張しないようにすることは難しいですが、好印象を残すことだけを考えず、素直な自己紹介を行いましょう。
また、自己紹介はポジティブな内容を心掛けることが重要です。一度にいくつものアピールを行ったり、退職理由などをネガティブに表現したりすると、マイナスの印象を与えてしまいます。与える印象を考えて、言葉を選ぶよう心掛けましょう。