履歴書に空白期間(ブランク)はどう書けばいい?例文で解説
はじめに
- 履歴書の職歴は隠さずすべて記載するのが望ましい
- 空白期間は長くなるほど採用選考の懸念材料になる
- 空白期間の理由は1~2行にまとめて簡潔に書く
- 空白期間中に学んだことや仕事への意欲は自己PR欄でアピール
- 選考にマイナスと思っても履歴書や職務経歴書にうそはNG
- 空白期間を前向きにとらえ自信をもつ
転職活動の長期化や病気療養などの理由で職務経歴に空白期間(ブランク)が出来てしまい、書くべきかどうか迷うこともあるでしょう。そういった場合、就職活動に必要な履歴書の職歴欄にはどう書けばよいのでしょうか。この記事では具体的な記載例を交えつつ、履歴書に空白期間を記入するポイントについて解説します。
ブランクによる空白期間をどう埋める?
留学などの勉強や家族の介護にあたっていた、ひきこもりやニートだった……などの理由で職歴にブランクが発生することがあります。いざ履歴書を書こうとしても職歴欄の空白期間を書けば、面接官に良くない印象を与えかねないのではないかと躊躇してしまい 、不安を抱いてしまう方も少なくないでしょう。
ニートをやめて就職したい! でもどうしたらいいのかわからないという方はぜひ、こちらニートから就職するためには?年代別に就職前にするべきことと仕事探しのコツについての記事を参考してみてください。
履歴書に書くか否かは自由!?
実は自身の職歴をすべて書くかどうかは本人の自由です。うそを書いてしまうならともかく、あえて「書かない」こと自体には特になんの問題もありません。とはいえ、職歴に長い空白期間があると面接の際に理由を問われる可能性が高いので、基本的にはすべて記載するのが望ましいです。
例えば、育児や介護を経て40代から再就職、などという場合は育児・介護に従事していた期間をそのまま書きましょう。水商売の経験が志望企業にどう思われるか不安といった場合は「飲食業」や「接客業」「サービス業」などと記載するのもひとつの方法です。
採用担当者はこう考える!
空白期間の有無は、選考自体にはそこまで大きな影響はありません。しかし、空白が長ければ長いほど企業側は少なからず気になってしまいます。面接の際に「なぜブランクがあるのか」「何をしていたのか」といった質問をされる可能性があることを頭にいれておきましょう。
大切なのは、自分自身が空白期間に対して、ネガティブにとらえないことです。空白期間にまったく何もしなかったという人はそういないはずです。
期間中の経験や得られたものを思い出して整理し、前向きに記載しましょう。企業側にも空白期間が有意義なものであったと考えてもらえるはずです。
空白期間の長さによる対処法
空白期間中に次の就職に向けて事前準備をしていたのであれば、何をしてきたかをきちんと面接官にアピールするべきでしょう。1ヶ月・3ヶ月・半年以上1年のブランクの長さによって、対処方法も違ってきますので、以下を参考にしてみてください。
1ヶ月以内の場合
退職して1ヶ月の空白期間であれば、就職期間に時間をかけているはずですからそこまで不安になる必要はないでしょう。在職中の就職活動もまた然りです。退職してからは、転職に関わるサイトやエージェント登録、ハローワークなどで時間がかかるので、「就職活動である」ことをきちんと伝えましょう。
3ヶ月以内の場合
資格取得や自己研鑽、家業などで3ヶ月程度の空白期間の場合は次の転職に向けて意欲があるという表れでもあるため、面接担当者に良い印象を持たれます。アピールする材料があれば、1ヶ月以内の空白期間とそれほど大差はないでしょう。また異業界・業種に挑戦する場合、「必要な能力を身につけるために時間を費やした」と伝えれば、転職活動状況をより理解してもらえるはずです。
半年から1年の場合
半年から1年の空白期間となれば、面接担当者に「何もせず、時間を無駄にしているのでは」というマイナスな印象を植え付けかねません。マイナスな印象をプラスに変えるためには、「国家資格の取得にむけて勉強していた」「仕事でどのように活かして行きたいか」など自身の思いを細かく、きちんと伝えることが重要ポイントでしょう。
職務経歴書の空白期間における注意点
空白期間を実際に履歴書に書く際、注意すべき点について解説します。担当者はこう考える!で説明した通り、空白期間があるからといって、必要以上にネガティブにならないことが大切です。自信をもって、前向きな姿勢をアピールしてください。では、注意するポイントについてそれぞれ以下の4点にわけて見ていきましょう。
空白期間の理由は簡潔に書く
空白期間の理由が何であれ、まずは簡潔かつ率直に記載しましょう。空白の理由が書かれていないと、企業側は懸念を抱いてしまいます。だからといって不要な情報まで詳細に説明されていても、逆に空白期間だけ目立ってしまいかねないので注意して書くことが重要です。
繰り返しますが、記載のポイントは分かりやすく簡潔に書くことです。職歴欄の余白に1~2行ほどで書き入れましょう。
空白期間中に培ったことをアピールする
まず、空白期間中に培ってきたことの棚卸しをします。「資格を取るための勉強を行い、効率的なスケジュール管理が身についた」または「ボランティア活動に参加したことで視野が広がった」などを年月別に整理しましょう。その中から、応募先企業にマッチしそう・応募業種や職種に活かせそうなものを選んで記載するとより注目されます。
空白期間中のことを記載する時は、「何を学び、何を得られたか」が大切です。
スキルや意欲をしっかりアピールする
前職でのパソコン経験など、自分が持っているスキルを自己PR欄に書くのもおすすめです。空白期間中に取得した資格や習得した語学などがあればそれらも記載しましょう。
もし、空白期間の理由が、学び直しなどキャリアアップやスキルアップを見据えてのことであればアピールのチャンスです。習得したスキルが応募企業で活かせるようなものであれば「入社意欲が高い」と見なされ、より良い評価を受けられます。
絶対にうそはNG
企業側から良く見られたいと考えるあまり、虚偽の職歴を記載してしまう事があるかもしれません。しかし、仮に採用されたとしても入社後に年金の手続きなどで虚偽していることが発覚してしまうこともあります。タイミングによっては「内定取り消し」や「解雇」、最悪の場合「経歴詐称」の罪に問われることもありえます。履歴書や職務経歴書にうそを書くのは絶対に避けましょう。
空白期間の書き方【理由別】
ここからは、ケース別にどう記載していけばよいかについて、具体例を3つにわけて解説します。
- 家業による理由
- 家庭都合による理由
- その他による理由
もし長いブランクがあっても、空白期間の理由に合わせて書き方を工夫して熱意を伝えるようにしましょう。
学業による理由
学び直しによる通学・留学や、学び直しの間に家計を立てるためのアルバイト・家事手伝いを理由とするケースです。いずれも「何を学んできたか」が重要になるので、きちんと記載しておきましょう。
1.通学・留学・資格取得
さらなる能力を身につけるための通学・留学・資格取得に集中して学び直しの期間としていた場合は、「いつからいつまで」「どこで」「何を学んできたか」を正確に記載しましょう。
【職歴欄の記載例】
平成〇年 〇月 株式会社××× 入社
平成〇年 〇月 一身上の都合により退職
平成〇年 〇月 英語学習のためカナダに1年間留学
【自己PR欄の記載例】
前職の接客業において、外国人スタッフや海外からのお客様とのコミュニケーション力向上の必要性を痛感し、1年間カナダに留学して英語を学びました。この経験で培った語学力を活かして、貴社の海外向け店舗の運営に貢献していきたいと考えております。
2. アルバイト・家事手伝い
予備校への通学や資格取得のための勉強など学び直しの間にアルバイトなどで生計を立てたり、家事手伝いをしていたりしたといったケースです。これから応募する業種や職種に関係のある活動を行っていた場合には、職歴欄にその内容を簡単に記載したあと「学んだこと」と「どう仕事に活かせるか」を自己PR欄に書くのが有効です。
【職歴欄の記載例】
平成〇年 〇月 株式会社××× 入社
平成〇年 〇月 一身上の都合により退職
平成〇年 〇月 資格取得の勉強をしながら、〇〇にてアルバイト
【自己PR欄の記載例】
前職のIT業において、専門的な知識のなさから学び直しのため退職しました。アルバイト先でスキルを取得しながら、資格取得のための勉強をしておりました。取得した資格を活かして、貴社に貢献していきたいと考えております。
家庭都合による理由
家庭都合にはさまざまな背景があります。病気療養や家族の介護などの場合は、働ける状況を確保できていることがポイントです。病気療養や介護をしている間に何かしら身につけるための活動を行っていた場合、それもきちんと記載しておきましょう。
1.病気療養(うつ病など)・介護
うつ病などの病気やケガの療養の場合は「現在は回復し問題なく働ける」こと、介護の場合は「介護の必要がなくなり仕事に影響はない」ことがわかるように記載しましょう。
そのうえで仕事復帰のために空白期間中に行っていた活動があれば、それも職歴欄や自己PR欄に書いておくとアピールにつながります。
【職歴欄の記載例】
平成〇年 〇月 株式会社××× 入社
平成〇年 〇月 父の介護に専念するため退職
※現在は父の療養先が見つかったため、業務に影響はありません。
【自己PR欄の記載例】
このたびの父の介護経験を通し、自分が周囲の方々に支えられていたことを強く自覚しました。父や自分のように大変な思いをしている人の力になりたいと考え、幅広い年代に福祉サービスを提供している貴社への入社を志望いたしました。
2.家業手伝い
実家が農業または自営業などで家業手伝いをした場合は、自己PR欄に「どのような業務をしていたか」「経験やスキル」などを明確に書く必要があります。なぜ転職を希望したかについて聞かれる可能性もあるため、あらかじめ転職理由も用意しておくと安心でしょう。
【職歴欄の記載例】
平成〇年 〇月 株式会社××× 入社
平成〇年 〇月 一身上の都合により退職
平成〇年 〇月 家業である〇〇に従事
令和〇年 〇月 一身上の都合により退職
【自己PR欄の記載例】
家族が経営している会社家業である〇〇にて家業手伝いのため、営業として課に従事し、顧客への対応など営業に関するスキルを身につけてまいりました。これまで培った経験をもとに貴社でも能力を発揮し、貢献していきたいと考えております。
その他による理由
転職活動期間が長期化、無職・ひきこもりなどの明確な理由がない場合、どのように記載すれば良いのか迷いますよね。空白期間が長引ければ長引くほど、理由を記載するのは難しくなってしまうでしょう。以下でその場合の説明をしていきます。
1.転職活動の長期化
転職活動が長引いた場合など、空白期間が1ヶ月から3ヶ月ほどであれば無理に理由を書く必要はありません。職歴欄に「一身上の都合により退職」と記載しましょう。
特に理由がなくブランクが半年を越える場合は、その期間で学んだことを自己PR欄でアピールすることをおすすめします。たとえば、何らかの勉強を行ったり、フリーターとしてアルバイトをしたりする中で得た経験などを書くと良いでしょう。
【職歴欄の記載例】
平成〇年 〇月 株式会社××× 入社
平成〇年 〇月 一身上の都合により退職
【自己PR欄の記載例】
前職では事務を経験し、その中で培った書類作成をはじめとした周囲へのサポート力が強みです。退職後は会計の仕事をするという目標に向け、通信講座で勉強を行ってきました。これまでに培った観察力と習得したスキルをもって、貴社の業務に携わりたいと考えております。
2.無職・ひきこもりなど
特別な理由がない空白期間に「無職」「ひきこもり」などの原因とするケースがあります。その場合、職歴欄にそのまま書いてしまうと面接担当者からなぜ活動しなかったか、さらには働く意欲があるのかについて深堀りされてしまう可能性もあるでしょう。職歴欄には「一身上の都合により退職」のみ記載し、とくに何も活動していないのであれば自己PRには記載しないでおくのが無難です。
【職歴欄の記載例】
平成〇年 〇月 株式会社××× 入社
平成〇年 〇月 一身上の都合により退職 以上
フリーターを続けた場合の将来性について、こちらのフリーターについて(定義や一人暮らしはできるかずっとフリーターでいた場合の末路と正社員に就職するには)でくわしく解説していますので、ぜひ就職するためのノウハウに役立ててください。
まとめ
空白期間ができた理由にはさまざまな事情があるとは思いますが、その間にも「学んだこと・頑張ったこと・手に入れたもの」が必ず何かあるはずです。空白期間の長さに問わず、どのようなささいなことでもネガティブな部分をポジティブに変えて、自信をもって履歴書に書いてみると良いでしょう。前向きにアピールすれば、志望企業にもきっと熱意が伝わるはずです。