タイムマネジメントとは?行動や意識を変えて成果を出す方法
はじめに
- タイムマネジメントとは、うまく時間を活用するための考え方
- タイムマネジメントを活用すると生産性が上がる
- 優先順位の高い順にタスクを処理する
- 1日の最後にPDCAサイクルを意識する
- タイムマネジメントには、フレームワークやツールを活用すると効果的
年々タイムマネジメントの重要性は増しています。多忙な現代社会においては、若手社員・管理職・経営者などの役職や経歴に問わず、すべてのビジネスパーソンに必要な能力です。
この記事では、タイムマネジメントに苦手意識をもつ方やこれから挑戦したい方へ、コツやオススメのツールなどをご紹介しています。
タイムマネジメントとは
タイムマネジメント(Time Management)とはうまく時間を活用するための考え方です。直訳すると「時間管理」とも言い換えられますが、時間はコントロールできませんので、厳密にはニュアンスが異なります。
限られた時間内で生産性を上げるには、「仕事のしくみ」を理解する必要があります。具体的には、手順や方法などを変えたり業務スピードを速めたりすることが大切です。
メリット
タイムマネジメントを行う目的は生産性の向上です。タイムマネジメントを意識することで、優先すべきタスクが明確になり、無駄な作業に割く時間が削減されます。
また、業務処理能力が向上して効率よく作業を進められるようになれば、時間外労働が減る点もメリットです。時間外労働が減れば、プライベートの時間を充足させることが可能ですので、精神的にも余裕をもちやすくなるでしょう。
スケジュール管理との違い
タイムマネジメントと似た言葉に「スケジュール管理」があります。スケジュール管理はタイムマネジメントの一要素ですが、同義語ではありません。
スケジュール管理とは、「タスクの洗い出し」「予定を組む」「計画通りに実行する」という一連の流れを指します。一方、タイムマネジメントとは、「タスクの洗い出し」「優先順位を立てる」「予定を組む」「計画通りに実行する」という流れです。
どちらも、目標設定を行い実行に移す点は同じですが、タイムマネジメントには「優先順位を立てる(時間の使い方の検討)」というプロセスが含まれます。ただ単に予定を組むだけのスケジュール管理と比べて、タスクマネジメントでは優先すべきタスクが把握しやすく、スケジュール管理よりも生産性の向上につながりやすいといえます。
タイムマネジメントのコツ・ポイント6選
タイムマネジメントが上手い人は、できない人よりも効率的なやり方を知っています。
以下からタイムマネジメントの具体的な方法を6つご紹介しますので、苦手な方はご参考にしてください。
1.目標設定する際は優先順位を付ける
タイムマネジメントを行うときは、具体的な目標を立てましょう。
たとえば、「タスクAは◯月×日の15時までに完了させよう」というように、具体的な日付や時間を設定すると効果的です。その際は、事前に「タスクの洗い出し」「各タスクの時間配分」「優先順位付け」を行っておき、完了日時から逆算して概算時間を割り出します。
また、イレギュラーな業務や案件を抱えやすい方は、所要時間を実際の1.5倍ほど多く見込んでおくと安心です。
2.作業と休憩の時間は一定間隔に区切る
生産性を向上させるには、時間内に仕事を片付ける必要があります。また、時間内に仕事を片付けるには、業務スピードが重要です。
業務スピードを上げるには、集中力が大切です。たとえば、作業時間と休憩時間を一定間隔に区切ることで、気持ちにメリハリが付き集中力をコントロールしやすくなります。
集中力が発揮できるようになると、業務スピードも安定しやすいため、生産性の向上につながりやすくなります。
3.1つのタスクに集中して作業を行う
先述した通り、生産性の向上には集中力が不可欠ですので、作業はなるべくシングルタスク(1つのタスクを集中して行う作業)で行いましょう。
どうしてもマルチタスク(複数タスクの同時並行作業)が必要なときは、「A作業を30分行ったらB作業へ移行しよう」という風に時間を区切っておくと、心身への負担が減少するためオススメです。
4.PDCAサイクルを意識する
タイムマネジメントにおいてもPDCAサイクルを意識しましょう。
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(測定・評価)」「Action(対策・改善)」の頭文字を取った言葉です。
たとえば、優先順位を付けてシングルタスクを意識するのは、「Plan」や「Do」に当たります。一方で、今後の作業時間の短縮や作業品質を向上させるためには、「Check」や「Action」を行うことが欠かせません。
「Check」や「Action」を行うタイミングは退勤前がオススメです。また、その際には翌日のタスクの「Plan」まで立てておくと、当日慌てずに作業をスタートできます。
5.優先順位が低いタスクは「まとめて処理する時間」を設ける
基本的に、タイムマネジメントでは優先順位の高いタスクから順に行いますが、優先順位の低いタスクをずっと放置しておくわけにもいきません。
解決策の一例としては、「優先順位が低く短時間で行える作業」を洗い出した後に、「まとめて処理する時間」を設けることをオススメします。また、「まとめて処理する時間」の目安は週1回程度といわれていますが、他業務とバランスを見つつ設定することが重要です。
6.タスクを抱え込みすぎないように気を付ける
タイムマネジメントを繰り返すうちに、優先順位の高いタスクとそうでないタスクを判別しやすくなります。
タスクの優先度に関わらず、複数タスクを抱え込みすぎると自分自身のキャパシティがオーバーしてしまうかもしれません。
誰かに頼ったり仕事の依頼を断ったりすることに対して、難しく感じる方が多いかもしれませんが、ときには他のメンバーへ相談することを視野に入れましょう。
タイムマネジメントで使える手順やフレームワーク6選
コツやポイントだけでなく、方法や考え方(手順やフレームワーク)なども学んでおくと便利です。
以下から6つご紹介します。
1.ロジックツリー
ロジックツリーとは、ロジカルシンキングのひとつです。
ロジックツリーは、木の幹から枝が複数に分かれていくように、1つの問題(幹)から要素を掘り下げていき(枝を複数に分けて)、原因を「見える化」するという手法です。
ロジックツリーに書き出すことで、問題の全体像が把握しやすくなります。具体的な解決策を導き出せたり行動を取れたりするだけでなく、他者にも共有できるため非常に便利です。
2.アイゼンハワー・マトリクス
アイゼンハワー・マトリクスとは、アメリカの第 34代大統領(ドワイト・D・アイゼンハワー氏)が行っていたフレームワークです。
アイゼンハワー・マトリクスは、「重要度」と「緊急度」に基づいて構成されているため、タスクの優先順位を把握しやすいのがメリットです。必要な作業と無駄な作業が可視化されるため、業務効率化や時間短縮にもなります。
3.SMART(スマート)の法則
目標設定をする際には、「SMART(スマート)の法則」を活用しましょう。
「SMARTの法則」とは、以下の表に記載している5つの単語の頭文字を取ったものです。
頭文字 | 単語 | 意味 |
---|---|---|
S | Specific: (具体的な) | 具体的な言葉を用いて目標設定を行う 例:◯月×日の午前中までにAタスクを完了する |
M | Measurable: (測定可能な) | 測定ができる言葉を用いて目標設定を行う 例:◯月×日の午前11時までにAタスクを70%以上完了する |
A | Achievable: (達成可能な) | 達成可能(現実的)な目標設定を行う |
R | Relevant: (関連性) | モチベーションを維持するために、タスクとの関連性を考えて目標を設定する |
T | Time-bound: (期限) | 期限を決めてタスクに取り組む |
SMARTの法則を活用すると、自分の目標が明確になり、行動に移しやすくなります。また、具体的な数値を入れて目標を立てるため、進捗状況がわかりやすくモチベーションを維持しやすいのが特徴です。
4.HIROEN(ヒロウエン)
「HIROEN(ヒロウエン)」とは、効率よく業務を進めるためのフレームワークであり、以下の表に記載している6つの単語の頭文字を取ったものです。
頭文字 | 単語 | 意味 |
---|---|---|
H | Hear: (聞く) | 事前に誰かへ聞いておく(確認する)ことで、作業のミスや無駄を減らす |
I | Inform: (伝える) | 事前に誰かへ伝えておく(共有する)ことで、混乱やミスを減らす |
R | Request: (依頼する) | 事前に誰かへ依頼しておくことで、時間のロスを減らす |
O | Operate: (作業する) | 自分や他者が作業を行う |
E | Examine: (調べる) | 調査や検討する時間を設けることで、業務品質の改善につなげる |
N | Negotiate: (交渉する) | 事前に交渉を行うことで、行き違いやトラブルを防ぐ |
HIROENは、自分や他者のタスクの段取りを考えたり他のメンバーと連携したりする上では不可欠な考え方ですので、覚えておきましょう。
5.マンダラチャート
仏教用語の「曼荼羅」に由来している「マンダラチャート(マンダラート)」とは、ひとつのトピック(問題)を9×9マスに区切った紙に書き出すフレームワークのことです。メジャーリーガーの大谷翔平選手もマンダラチャートを活用していたことから、一時期話題となりました。
マンダラチャートは思考の整理に適しており、新たな気づきや発見につながりやすいのが特徴です。また、新たな視点から問題を見ることで、今までは考え付かなかった解決策が思い浮かびやすくなります。
6.ポモドーロ・テクニック
ポモドーロ・テクニックとは、起業家で作家のフランチェスコ・シリロ氏が提唱した手法です。
集中する時間と休憩時間を交互に繰り返すことで、仕事の生産性を上げるというのがポモドーロ・テクニックの考え方です。
具体的には、「作業を25分行った後に3~5分休憩を取る」という行動を繰り返します。また、集中力を持続させるために、4~5回に1回は休憩時間を15~30分に設定します。
タイムマネジメントのオススメツール
以下からは、タイムマネジメントを行う際に便利なオススメツールについてご紹介します。
Focus-to-do(フォーカス・トゥ・ドゥ)
Focus-to-do(フォーカス・トゥ・ドゥ)とは、タスク管理とポモドーロ・テクニックを組み合わせた無料アプリのことです。パソコンやスマホ(Android・iPhone)だけでなく、Apple Watchにも対応しています。
タスクの登録・設定だけでなく、ポモドーロ・テクニックに適したタイマーが付属しています。
また、タイマー中にホワイトノイズが再生できるため、好みに合わせて活用しましょう。
参考:App Store|「Focus To-Do: ポモドーロ技術 & タスク管理」
参考:Google Play |Focus To-Do: ポモドーロとタスク -のアプリ
Excel(エクセル)
Excel(エクセル)でもタスクマネジメントが可能です。
たとえば、罫線・関数・並び替え機能などを用いて、簡単に予定表やタスク管理表などが作成できます。
また、ToDo リストを作成する際は、マクロ機能を使用してチェックボックスを配置するという方法があります。未完了タスクと完了済みタスクが識別しやすく、進捗状況が把握しやすいためオススメです。
このように、Excelは自分に適した方法でオリジナルのテンプレートを作成できる点が魅力です。
Redmine(レッドマイン)
「Redmine(レッドマイン)」とは、オープンソースソフトウェアのプロジェクト管理ツールです。
オープンソースとは、プログラムのソースコードを無償で公開しているソフトウェアのことであり、誰でもそのソフトウェアを改良できるのが特徴です。
また、Redmineでは資料の添付や進捗管理なども行えますので、チーム内でタスクの共有が簡単に行えます。
本の購入・無料の研修(セミナー)への参加を検討する
タスクマネジメント関連の書籍を購入したり無料の研修(セミナー)などへ参加を検討したりするのも、生産性の向上には効果的です。
無料セミナーへの参加が難しい方には、著名な方が執筆したタイムマネジメント関連の書籍の購入をオススメします。
無料セミナーのメリットは、疑問点をその場で質問できることです。加えて、学んだことを業務に活かしやすい点が特徴です。
無料セミナーは大手企業が開催していることもありますので、定期的に公式サイトやSNSなどで情報をチェックしておくといいでしょう。
タイムマネジメントスキルを発揮できないときの対処法
タイムマネジメントスキルを身に付けても、状況や体調次第では、万全の態勢で臨めないときがあるでしょう。
以下からは、テレワーク時の注意点や体調が優れないときの対処法をご紹介します。
テレワーク時の注意点と対処法
テレワーク時にもタイムマネジメントは、活用できます。
テレワークでは周囲に人がいないので、気が緩んだり職場と環境が異なるため落ち着かなかったりする方が多いかもしれません。
相手のタイミングが掴めずに業務の確認や連絡を後回しにしてしまいがちですが、誰に対しても「報・連・相」をきちんと行うことが大切です。
その際は、先述したHIROENの活用が有効ですので、ぜひ参考にしてください。
思うように仕事が進まないときの対処法
タイムマネジメントを行う上では体調管理にも気を配りましょう。
体調が芳しくないと、計画通りに業務を進められず、生産性が低下しがちです。
思うように業務が進まないときは、優先度・重要度順ではなく、すぐに完了できそうなタスクや難易度が低いタスクからとりかかるのも1つの方法です。
また、適度に休憩を挟んだり軽い運動を意識したりすることで気分転換にもなります。
体調管理は生活習慣から見直すことが大切ですので、睡眠や栄養を疎かにしないように気を付けましょう。
まとめ
タイムマネジメントを通して業務スピードや仕事の品質が上がれば、企業に価値のある人材と認められるかもしれません。
厚生労働省が発表しているデータによると、「企業が従業員1人を雇用するための費用は1か月あたり平均して40万円ほど」だそうです。
従業員1人に対して企業は多くの費用をかけていますので、一人ひとりが新たなスキルの取得や生産性の向上に努めるなど、付加価値を生み出そうとする意識が大切です。
ぜひ、今回ご紹介したタイムマネジメント術を業務に取り入れてみてください。