「させていただく」は正しい敬語?言い換えや注意点を解説
はじめに
- 「させていただく」は「させてもらう」という言葉の謙譲語
- 適切な言い換えの言葉は「する」や「いたします」になる
- 許可を得る必要がないものには使用しない
- 漢字では表記せず、すべてひらがなで表記するのがルールである
- 二重敬語にならないように注意する
- 繰り返しての使用は、まわりくどい印象を受けるので避ける
たびたび、ビジネスの場面で使われるこの言葉の正しい使い方をご存じでしょうか。どのような場面で使うのが好ましいのか、OK例とNG例や言い換え方もあわせて解説しています。この機会に社会人としてのビジネスマナーである言葉遣いを見直してみましょう。
「させていただく」の正しい使い方
そもそもこの言葉は、「させてもらう」という言葉の謙譲語にあたります。正しい使用方法として、許可を得る必要がないものには使用しません。
以下の見出しでは、OK例とNG例にわけて正しい使い方を解説しています。自分が普段からNG例のような使い方をしていないかチェックしてみましょう。そしてNG例の使い方をしていると気づいた方はOK例の特徴を掴み、適切な言葉遣いを再度押さえておきましょう。
「させていただく」NG例
以下では、つい間違った使い方をしがちなNG例を3つ解説しています。
NG例1
本日○○店は休業とさせていただきます。
NG例2
司会進行役を務めさせていただきます。
NG例3
ご説明させていただきます。
こちらのNG3例はよく見るフレーズですが、どれも相手に許可を得る必要がないものばかりです。理由としては、お店側の都合で休業するのでお客様に許可を得る必要がないですし、司会進行役を務めるのもするのか、しないのか自分で決められるので相手の許可は必要ありません。そして、お客様に説明を行う行動も、相手に許可を得てする必要はありません。このように、相手に折り入って許可を得る必要がない場面では、この言葉は使用しません。以上が使用時のNG例です。普段から間違った使い方をしていないか今一度確認してみましょう。
「させていただく」OK例
以下では、主にビジネスの場面でよく使われるOK例を3つ解説しています。
OK例1
○月○日○時に○○(名前)が訪問させていただきます。
OK例2
スケジュールを変更させていただきます。
OK例3
こちらの書類のコピーを取らせていただけますか?
このOK例の3つとも、相手の許可が必要な場面ばかりです。まず、例1と2では相手の都合がよい日を擦りあわせて、日程調節をしなければなりません。そのため、お互い都合がよい日を確認し相手からの許可が得て、日程を決定できたという恩恵があるため適切な表現といえます。例3も同じように、書類のコピーを取らせていただけますか?と許可を得たのちに、コピーを取れたという恩恵があるため、適切な表現といえます。この3つのOK例のように相手に許可を得たのち、自分が恩恵を受ける場面に使用するのがこの言葉の適切な使い方です。社会人としてのビジネスマナーでは必ず押さえておきたい言葉ですので、普段から使い分けができるようにしっかり区別できるようにしておきましょう。
「させていただく」言い換えの言葉とは
「させていただく」の意味にあたる言い換えの言葉はあるのでしょうか。一つの文章のなかで多用してしまうとまわりくどさや、文章が読みづらい恐れがあります。言い換えの言葉では、「する」や「いたします」が適切な表現でしょう。以下では、言い換えの例文をもとに解説していきます。日々の業務でもすぐに活用できますので、このふたつの言い換えの言葉をこの機会にマスターしておきましょう。
言い換え前
それでは、会議で使う資料を配布させていただきます。
言い換え後
それでは、会議で使う資料を配布いたします。
言い換えの言葉に変更し、余計な文章を省いてみることで自分が相手に何を伝えたいのか明白になりました。この言い換えの言葉を適度に活用して、相手に伝わりやすい文章になるように心がけておきましょう。
「させていただく」使用時の注意点
使用時の注意点は以下の通りです。
- 繰り返しての使用は避ける
- 漢字では書かない
- 二重敬語に気を付ける
- 許可を得る必要がないものには使用しない
上記の注意点を守って使用しなければ、間違った表現になってしまい社会人としてのビジネスマナーができていないと思われてしまう恐れがあります。それを避けるために、以下の4つの注意点はしっかりと押さえておきましょう。
繰り返しての使用は避ける
この言葉を多用してしまうと、過剰に丁寧な表現になるため反対に相手に不快感を与えてしまうこともあるでしょう。また、多用することでまわりくどい印象も受けてしまうので、相手に伝えたい内容が正しく伝わらない恐れがでてしまいます。それらを防ぐために、上記で解説した言い換えの言葉を適度に使用するように心がけましょう。
漢字では書かない
取引先との書面の内容や日々の業務で扱う資料で、この言葉を使うこともあるでしょう。しかし、「させて頂く」と漢字で表記はしてはいけません。理由としては、補助動詞はひらがなで表記をするというルールがありますので、書面の記載が終わった後は最後に漢字で表記してしまっていないか、社内の人や取引先に提出する前にはチェックするのを忘れないようにしておきましょう。
二重敬語に気を付ける
この言葉を使用するときは、二重敬語にならないように注意しましょう。よくある例として「拝見させていただく」は、二重敬語になってしまいます。拝見するという言葉は、見るという言葉の謙譲語です。そのため、拝見するという言葉にさせていただくという言葉を付け加えるのは、間違った敬語の使用方法となります。したがってこの言葉を使用するときは、二重敬語になっていないのかよく確認することが大変重要です。
許可を得る必要がないものには使用しない
本記事の冒頭部分でも解説したように、この言葉は相手の許可を得る必要があり、その許可を得て自分が恩恵を受ける場面に対して使用します。つい普段使ってしまいがちなNG例の特徴に注意して、OK例を参考に日頃から意識して話してみましょう。
まとめ
今回は、「させていただく」という言葉の正しい使い方について解説してきました。
NG例では普段からさまざまな場面でよく見かけるフレーズもあり、つい間違った使い方をしていたという方もいらっしゃることでしょう。ですが社会人マナーとしての言葉の正しい使い方を知っておかなければ、目上の方や取引先の方に失礼にあたります。言葉遣いは誰しも途端に上手になるわけではありません。敬語は、日頃からの積み重ねが大変重要です。そのため、本記事のOK例と言い換えの言葉をうまく活用して、この言葉の使い方をマスターしておくと業務でも円滑なコミュニケーションが取れることでしょう。