Webテストとは?種類や出題傾向と対策を解説
はじめに
- Webテストとは企業が採用にあたり、就活生の基礎学力や適性を測るために行うテストをいう
- 基礎学力を測る適性検査(適性テスト)と性格や対応力を測る性格検査(性格テスト)がある
- さまざまな種類のテストがあり、応募企業がどのテストを行うかの見分け方も重要になる
- 出題傾向やテスト環境(パソコンの環境)に対応するための準備と対策が必要になる
昨今の就活において必須項目となったWebテストとは、どのようなテストなのでしょうか。どのように受けるのか、どのような内容なのか詳しく解説しますので、対策の一助としてください。
Webテストとは
企業が採用にあたって、応募者の基礎学力や性格面の対応力を測るテストのうち、インターネット環境を利用して行われるものをWebテストといいます。さまざまな種類があるため、就活では概要の理解と対策が重要です。志望企業がどのテストを実施するのか見極めも必要になります。
Webテストを実施する理由
企業がWebテストを行う理由は大きく2つあります。
- 採用活動を効率化する
応募者多数の場合は、その企業が定めた基準を超える人材の絞り込みが必要です。このWebテストは、パソコン上で実施できるので、企業側は会場の準備や時間がとられるなどの必要がなく採用活動を効率化できます。
- 採用後の適正確認や部署確定の参考にする
Webテストは面接で把握しにくい特性や性格面での対応力などが測れます。実際の面接と総合して採用の合否や社風との相性、採用後の部署確定の参考としています。
Webテストが実施されるタイミング
一般的に書類提出後や面接の前に実施されることが多いです。面接までに応募者の情報を収集し、採用過程の参考にするためです。就活生にとって、ここで落ちてしまうことを避けるためにも対策は重要といえます。
しかし、企業によっては能力重視ではなく人格重視の企業もあります。採用試験では性格診断を目的としたものもあり、それぞれに対策が必要です。
企業がどのような基準で応募者の採用を決めるのかの一例がわかる記事です。低GPAでも内定獲得!企業の重視度と評価基準を解説 こちらも参考にしてください。
Webテストの内容
Webテストには、適性検査と性格検査があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
適性検査
適性検査は、主に基礎学力や潜在能力を測るものです。たとえば、言語系と呼ばれる国語では単語の意味や文章の読み取りなどが出題されます。非言語系の数学(算数)では、簡単な足し算から時速や道のりの算出・図表の読み取りや表の空欄推測など中高生レベルのものから、暗算や四則演算などもあります。英語が必須のものもあり、テストによって範囲はさまざまです。
性格検査
性格検査は、コミュニケーション力やストレス耐性・応用力・思考傾向などを測るものです。職種や企業の社風への適応力などが判断されます。テストの内容は、質問に対して自分の感じる解答を、「極めてそう思う・やや思う・思う・あまり思わない・思わない」のような選択肢から選ぶものもあります。解答に一貫性をもたせる方が評価はよくなるでしょう。また性格検査にはいくつか種類があり、整列して並ぶ数字の隣同士を足し算し続けるといったテストもあります。
Webテストの受け方
Webテストを受けるには、自宅や学校などで受検するWebテスティングと、テストセンターで受検する方式があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
Webテスティング
Webテスティングは自宅で自分のパソコンを利用して好きなタイミングで受検する方式です。慣れた環境のため、緊張せずに実力を発揮しやすい方式でしょう。ただし、受検可能期間が定められている場合も多いので、期日までに余裕をもって受検しましょう。
テストセンター
テストセンターと呼ばれる、全国7都市に設置される会場で備え付けのパソコンを使って受検します。テストセンターでの受検には事前申し込みが必要になり、さらに受検日までに性格検査(Web上で受検可能)を受けておきましょう。また、筆記テストもテストセンターで行われる場合があります。
結果は個人への通知はありませんが、テストセンターで受けた内容は他の応募企業への使いまわしも可能です。自信がある場合は有効に活用しましょう。
また監視型のWebテストもありますので、代行や替え玉といった安易な不正行為は通用しません。
自宅で誰も見ていないと安易に行動したときのてん末を知りましょう。WEBテスト代行はバレる!危険なリスクと自力で合格する方法 この記事では、自力で合格することのメリットもわかります。
Webテストの種類
Webテストには多くの種類があります。代表的なテストの出題科目や見分け方のポイントを紹介します。
SPI
年間15,500社以上(2023年実績)の企業が採用しているWebテストの一種です。難易度はさほど高くありませんが、よい結果を出すためには言語・非言語、それぞれの出題傾向に慣れておく必要があります。さらに、英語や構造的把握力のテストが追加される場合もあります。
SPI:Webテスト | |
---|---|
出題形式 | 一般常識や読解力が問われる言語系と中学卒業レベルの数学に対応する非言語系がある 正解するたびに難易度が高くなるため、初期問題を落とすと成績は上がりにくい特徴がある |
出題科目 | 能力検査:言語系・非言語系あわせて35分 性格検査:30分 |
見分け方ポイント | URLに「arorura.net」が入っている 筆記の場合は、問題冊子の左下に 「SP3U」と記載がある |
ENG
SPIの英語版です。英語力を把握したい企業では、SPIとあわせての受検が求められます。テストセンターでのWebテストと一緒に筆記テストで行われます。
ENG:筆記テスト(他のWebテストと同時受検あり) | |
---|---|
出題形式 | 英語の語彙力・文法・長文読解などが問われる筆記テスト(Webテストティングはない) テストセンターでオプション追加される場合がある |
出題科目 | テストセンター:20分(出題数は受検者によってかわる) ペーパーテスト:30分/40問 |
見分け方ポイント | SPIと同様(英語を重視する企業での実施が多い) |
玉手箱
玉手箱はSPIと同様に広いシェアを誇る適性検査の一種です。以下で解説するGABやIMAGESとの組み合わせで複数の問題形式があります。制限時間に比べ問題数は多く、全問正解の難易度は非常に高いです。効率的に問題を取捨選択することも重要になります。
玉手箱:Webテスト・筆記テスト | |
---|---|
出題形式 | 能力検査(言語・計数・英語)と性格検査がある 1問にかけられる時間が短いのでスピード感が必要になる 効率よくわかる問題を優先する |
出題科目 | 言語理解
|
見分け方ポイント | URLに「e-exam」「nsvs」「tsvs」が入っている。 |
C-GAB
テストセンターで受検する玉手箱をC-GABといいます。出題科目は玉手箱と同様です。自宅で受検するWebテスティングに比べ、テストセンターでは電卓が利用できず難易度も上がるため、筆算の工夫が必要になります。
GAB
玉手箱は企業によって出題科目の組み合わせができますが、GABは共通問題です。長文の理解度や図表を読み取り計算する問題など、論理的思考力が試されるテストです。問題数の多さや出題形式の複雑さから、難しいと感じる方が多いかもしれません。ただしC-GABと異なり、電卓を利用できるため、忘れずに持参しましょう。
GAB:Webテスト・筆記テスト | |
---|---|
出題形式 | 会場で受検するGAB(マークシート形式)と自宅で受検するWeb-GABがある |
出題科目 | 計数:35分/40問 言語:25分/52問 性格検査:20分/68問 |
見分け方ポイント | 玉手箱同様 |
IMAGES
簡易版の適性検査で基礎学力や能力を短時間で計ります。早く結果が出るので採用活動を効率化したい企業の利用が多く、面接の前に一斉受検といったパターンがあります。GAB同様に問題数が多いので、正確で速い情報処理能力が求められるでしょう。
IMAGES:筆記テスト | |
---|---|
出題形式 | GABの時短版に英語が追加された内容 基本は筆記テスト |
出題科目 | 計数(四則逆算など):10分/50問 言語(長文読解など):10分/32問 英語(長文理解など):10分/24問 性格検査:30分 |
見分け方ポイント | 玉手箱同様 |
CAB
IT関連の専門職向けのテストです。IT系の基礎能力と論理的思考力やストレス耐性を測る問題が出題されます。エンジニアやプログラマーを志望する方は対策をしましょう。1問あたり10秒から30秒目安で解答する必要があり、スピードと正確性が求められます。
CAB:Webテスト・筆記テスト | |
---|---|
出題形式 | SEやプログラマーの思考特性が問われるテスト Web-CABと筆記テスト(マークシート形式)がある |
出題科目 | CAB(法則性・命令表・暗号・暗算):95分/247問 Web-CAB(四則演算・法則性・命令表・暗号):72分/214問 |
見分け方ポイント | 玉手箱同様 |
TG-WEB
TG-WEBは受検形式による問題内容の違いはありません。しかし従来型と新型があり、問題数が異なるため、どちらの場合であっても対策が必要です。高いスキルの人材募集時に採用される場合があります。
TG-WEB:Webテスト・筆記テスト | |
---|---|
出題形式 | 難易度が高く、解答のコツを理解する必要がある Webテスティング・テストセンター・i9(筆記テスト) |
出題科目 | 【従来型】 非言語系:18分/9問 言語系:12分/12問 英語:15分/10問 性格検査 【新型】 非言語系:8分/36問 言語系:7分/34問 英語:15分/10問 性格検査 |
見分け方ポイント | URLに「c-personal」「e-gitest」が入っている。 |
TAL
TALは対策の難しいテストといわれます。クリエイティブな独創性を測りたい企業は、求める人物像によって判断基準が異なるためです。一貫性のある解答を心がけましょう。ただし、作りすぎた解答は相互性に差異が生じるため直感での解答が有効な場合もあります。
TAL:Webテスト | |
---|---|
出題形式 | TALは潜在能力や性格を測る適性検査である コミュニケーション力やストレス耐性などを計る Webテストのみ |
出題科目 | テスト1(36問選択式):15分 テスト2(図形配置):5分 |
見分け方ポイント | 見分けて対策するよりも直感で解答する |
CUBIC
CUBICの基礎能力検査は中高生レベルの難易度ですが、範囲がたいへん広く、まんべんなく対策する必要があります。諦めずに苦手分野の解消と基礎学力を上げる努力が重要です。また、採用適性検査は123問すべてに解答する必要があり、制限時間の延長もできますがテンポよく全問解答しましょう。
CUBIC:Webテスト | |
---|---|
出題形式 | 基礎能力検査は「言語」「数理」「図形」「倫理」「英語」の5科目各20問 採用適性検査は「意欲」「性格」「価値観」「社会性」で評価され、問題数は123問と多い |
出題科目 | 言語 基本編:10分 応用編:10分 総合編:5分 数理 基本編:20分 応用編:22分 総合編:15分 図形 基本編:10分 応用編:10分 総合編:5分 論理 基本編:25分 応用編:25分 総合編:15分 英語 基本編:10分 適性検査:30分 |
見分け方ポイント | URLに 「web-cubic」「cservice」が入っている |
内田クレペリン検査
これまでのWebテストとは異なり、内田クレペリン検査は筆記テストのみです。内田クレペリン検査は90年近く日本で行われてきた「作業検査法」というジャンルの心理検査です。休憩をはさみながら簡単な足し算を繰り返し、作業量・作業曲線・誤答から能力面や性格・行動面の特徴を測ります。
内田クレペリン:筆記テスト | |
---|---|
出題形式 | 作業能力と行動面での特徴を評価する 並べられた数字の足し算を繰り返し、となり合う数字を足した下一桁の数字を記入する単純なテスト |
出題科目 | 筆記テストによる足し算 前半・後半:各15分(5分の休憩をはさむ) |
見分け方ポイント | マークシートに多数の数字が列記されている |
Webテスト対策
ここまで代表的なWebテストを紹介してきましたが、どのテストも初見で合格ラインを超えるには高いハードルがあります。難易度は中高生レベルでも、出題傾向や解答方法が記入式か選択式かなどをしっかりと理解して、テストに集中するための対策が必要です。以下で詳しく見ていきましょう。
早めからの準備
就活は企業研究からインターンシップや企業訪問、自己分析から履歴書の準備など、多忙を極める時期です。このタイミングでWebテスト対策をしたくても時間がない場合もあります。就活をはじめる前に代表的なWebテストだけでも試しておきましょう。繰り返し練習することで解消できる問題もありますので、早い段階で準備をはじめるようにしましょう。
就活は短期決戦です。遅れたかもと思ったらこの記事を参考にしてください。大学3年生で就活を何もしてない人向け|今すぐやることは?
パソコンの環境を確認
多くの場合Webテストにはパソコンが必須です。スマートフォンやタブレットは適応外の場合があるため、使用するパソコンがWebテストのできる環境にあることを確認しましょう。基本的にはプラウザがエクスプローラーであり、JAVやAscriptをダウンロードでき使用可能であれば問題ありません。
攻略本やサイトの活用
攻略本をおススメする理由は、出題傾向を知り、過去問や頻出問題を繰り返し練習できるためです。問題に慣れておくことで、試験日にはテストに集中できます。模擬テストを公開しているサイトもあるので参考にしましょう。
また、パソコン画面のレイアウトを確認してスムーズに操作できるようになると、なおよいです。テストの制限時間内に、効率的に取り組むためにも重要な準備です。
それぞれのテスト専用の攻略本から総合的な教本まであるので、自分に合ったものを有効に活用しましょう。
まとめ
就活でのWebテストは必須です。どの企業も少しでも優秀で、自社と相性のよい人材を確保するために、Webテストで就活生を計ります。これに落ちてしまうことは、書類選考にも面接にも進めないということです。最初の関門であるWebテストの突破を勝ち取るためにも、早めの準備と対策をしましょう。