【就活対策】グループディスカッションの対策とNG行為
はじめに
- グループディスカッションとは、テーマについて議論し結論を出す選考方法のこと
- 面接と違う点は、複数人での議論や発表の様子を通じてPRするところ
- ディスカッションの形式によって必要な対策が変わるため、事前確認が大切
- 「グループが良い結論を出すために貢献できたかどうか」で評価される
- クラッシャー行為は行わない・放置しないことが重要
就活において、避けて通れない選考方法として、グループディスカッションがあります。面接に進むためには、グループディスカッションを通過する必要があることも多い傾向にあります。どういった流れで進めるのか、どういった対策や注意点があるのか、不安に感じる就活生も多いでしょう。
この記事では、グループディスカッションの流れや形式の種類、意識するべきポイントなどをご紹介します。対策を練る際の参考になれば幸いです。
グループディスカッション(GD)とは?
グループディスカッションとは、就活生をいくつかのグループに分け、与えられたテーマについて議論して制限時間内に結論を導く選考方法のことです。
グループの人数や制限時間は選考人数や企業方針によって異なりますが、人数は2~10人程度、時間は30分~1時間程度とされています。与えられるテーマは、誰でも話せるような身近なものから、ビジネスに関するものや時事問題などさまざまです。普段から業界や時事に関連するニュースを見ておくことが重要と言えます。
この選考方法が個別・集団面接と違う点は、面接官の質問に答えてアピールするのではなく、議論や発表の様子を通じてアピールするところです。企業によっては、結論をグループごとに発表させる場合がありますので、その時の話し方や言葉遣い、聴く姿勢などがアピールにつなげられるでしょう。
グループディスカッション(GD)の流れ
定められた時間内で、何をどのように進めていくのか、よくわからないと感じる方も多いでしょう。テーマも、すべてのグループが同じテーマを与えられる場合と、グループごとに異なるテーマを与えられる場合があります。ディスカッション開始前に説明されるので、ルールなどの説明を聞き漏らさないようにしましょう。
ここからは、グループディスカッションの流れについてご紹介します。
1.人事担当からディスカッションについて説明を受ける
開始時間になったら、人事や採用担当者から「チーム分け・テーマ・制限時間」などの説明があります。ディスカッション形式の指定があれば、この時に「自由討論で」「資料から課題解決を」といった形式の指定と、付随する説明がされます。しっかり話を聞いてメモをとっておくと、戸惑わずに進められるでしょう。
また、この時の『話を聞く姿勢』は評価につながります。選考が始まっている意識をもって、ディスカッションに臨むことが大切です。
2.自己紹介を行う(アイスブレイク)
指定されたチーム分け通りにわかれたら、グループのメンバー間で自己紹介を行います。アイスブレイクや名前を把握するために行うので、学校名と名前だけで問題ありません。名札があるとは限らないため、円滑にディスカッションを進めるためにも、メンバーの名前を覚えるよう意識しましょう。自己紹介を簡単にメモするのも一つの手段です。
3.それぞれの役割を決める
互いの名前を把握できたら、円滑なディスカッションのために必要となる、以下の役割を決めていきます。
役割の決め方は立候補制が一般的です。これもPRの一つですので、積極的に立候補することが大切です。「譲り合いすぎて誰も立候補しない」といった状況にならないよう、どの役が向いているか、どの役ならできるかを事前に確認しておきましょう。もし役割につかなくても、メンバーの一人として意見を出したり、傾聴姿勢をとったり、どのような形であってもグループに貢献することへの意識が重要です。
企業によっては「役割は決めずに進行してください」と指示される場合もあるため、事前説明を聞いて企業の指示に従いましょう。
4.タイムスケジュール(時間配分)を決める
役割が決まったら、司会進行役が中心となって、与えられたテーマについて議論する前に必要な話し合いを進めていきます。グループディスカッションには全体の制限時間が定められているため、何をいつまでに終わらせるか、といったことを先に決めて進行することが重要です。ここで決めた時間配分を管理することが、タイムキーパーの役割です。
以下に、タイムスケジュールの例をご紹介します。
- タイムスケジュール例(60分想定)
前提条件決め:10分
個人で考える時間:10分
意見を出し合う:25分
結論をまとめる:15分
- タイムスケジュール例(30分想定)
前提条件決め:5分
個人で考える時間:5分
意見を出し合う:10分
結論をまとめる:10分
5.提示されたテーマの前提条件をすり合わせる
抽象的なものや時事的なものなど、種類はさまざまですが、与えられるテーマは一つです。しかし、同じテーマであっても異なる捉え方や意見が出てくるものです。たとえば「学生」と一言でいっても、その認識は「義務教育である高校生まで」「大学生まで」「大学生のみ」など、人によって変わります。そういった捉え方の違いは、前提条件の認識違いにつながります。議論を始める前に提示されたテーマの「前提とは何か?」をすり合わせることが重要です。
6.個々に考えてから意見を出し合う
前提条件のすり合わせができたら、テーマについて個々で考える時間をとってから、司会進行役が中心となって、それぞれの意見を出し合います。相手に伝わりやすい発言を心掛けることがポイントです。発言方法は意見がまとまった人から挙手制でも、司会進行役が指定する方法でも構いません。ただし、評価が気になるようであれば、自発的な発言が重要と言えます。
タイムスケジュールに沿って、ディスカッションが円滑に進められるよう、グループ全員で協力し合うことを意識しましょう。
7.グループとしての結論を出す
発表前に、出し合った意見からグループとしての結論をまとめます。賛成・反対意見も取りまとめて、全員が納得できるような結論を導き出すことがポイントです。出し合った意見の中でもっとも良いと思うものを一人ひとりに聞いてみたり、似た意見同士を組み合わせたりして、結論とする方法があります。司会進行役や発表役が、議論した結果を取りまとめるといいでしょう。
もし事前に発表方法が知らされているのであれば、それに沿った発表ができるよう結論の文章をまとめておくと、次の段階がスムーズに進められます。まとめ方に不安がある場合は「PREP法」を用いると便利です。
8.担当者や他グループに向けて発表する
制限時間になったら、グループの結論を発表します。発表方法や時間については企業側から指示がありますので、そちらに従いましょう。発表のスタイルは企業によって異なりますが、複数のグループがある場合はその場で起立するか、前に出るかのどちらかで順番に発表を行う傾向にあります。この時の『聴く姿勢』も見られていますので、発表者の方を向いてしっかりと傾聴姿勢をとることが大切です。
発表者となった場合は、決められた時間内で結論をしっかり伝えられるよう、はきはきとした話し方を心掛けましょう。発表中はメモを読み上げることに集中しすぎず、顔を上げて言葉を届けるよう意識することがポイントです。
【形式別】グループディスカッションの種類
グループディスカッションの形式には、いくつかの種類があります。形式によって対策も変わります。同じテーマでも、形式が変わると意見が出しにくくなる場合もありますので、それぞれの形式の特徴を把握しておきましょう。
ここからは、ディスカッション形式の種類と特徴、テーマ例などをご紹介します。
1.自由討論型(抽象的テーマ型)
自由討論型(抽象的テーマ型)は、明確な答えや選択肢が定められていないテーマについて、自由に議論を進めていく形式です。抽象的なテーマを提示される傾向があるため、抽象的テーマ型とも呼ばれます。そのため自分の意見をもちやすく、自由な議論を行うと「話が途中で脱線しやすい」「それぞれの意見が交錯・衝突してまとまらない」などの問題が頻発しやすい、という特徴があります。テーマを見失わずに議論を進めていく力、前提条件や意見を取りまとめる力が問われる形式と言えるでしょう。
- テーマ例
「幸せ」の定義とは
10年後はどうなっているか
2.課題解決型
課題解決型は、与えられたテーマに対して適切な解決策を提示するために議論を進めていく形式です。簡単な資料が配られる場合もありますので、渡された資料はしっかりと目を通しましょう。テーマの前提となる課題が何か、グループ内ですり合わせてから目標を定めます。すり合わせや目標の例を以下に紹介します。
- すり合わせ例
テーマ:バス利用者を増やすには
課題:運転手の数が限られているため、本数を増やすことが難しい
目標:バスの本数は現状のまま、バスの利用者数を増やす方法を考える
すり合わせを行った後、与えられた資料を参考にしたり、現状分析を行ったりして、解決に向けて議論を進めます。取り上げられるテーマは「売上」「認知度」などの企業問題や、時事問題などが多い傾向にあります。
この形式は制限時間内に結論をまとめて発表しなければならない傾向が強いため、制限時間はこまめにチェックするようにしましょう。
- テーマ例
売上を二倍にするには
キャッシュレス決済を普及させるには
3.選択型
選択型は、提示されたテーマと選択肢の中から、答えや優先順位を決めるために議論を行う形式です。選択肢がある点は、次に紹介するディベート型と似通っていますが、選択型ではディベート型のように意見を対立させるわけではありません。それぞれの主張を聞いては議論を重ね、メンバー全員が納得できる結論を導き出すことが重要です。
提示される選択肢は三つ以上のことが多く、グループ内で意見がわかれやすいという特徴があります。そういった場合でも多数決ではなく、話し合いで決めることを意識しましょう。
- テーマ例
親、恋人、友人、お金で優先順位をつけるとしたら
無人島に一つだけもっていけるとしたら
4.ディベート型
ディベート型は、討論のように対立する二つの意見を主張し合い、議論を行う形式です。意見をぶつけ合うため議論が白熱しやすく、結論をまとめるのに時間がかかりやすい、といった特徴があります。意見を述べることは大切ですが、主張を押し付け合ったり、対立意見から相手の否定批判を行ったりしないよう、注意が必要です。議論を成り立たせるためにも、攻撃的にならないようゆっくり話すことや、丁寧な口調を意識しましょう。
発言する際は、まず結論を述べてから根拠と具体例を述べ、結論を繰り返すといった順番で行うことがポイントです。ディベート対策のように事前に相手の主張を考えて、反論を封じるカウンターを考えておくと、議論しやすくなるでしょう。
- テーマ例
24時間営業は必要か
就活でエントリーシートは必要か
5.資料分析型
資料分析型は名称の通り、与えられた資料や前提条件などをもとに、資料を読み解く力や情報を分析する力が試されています。前提条件が決められており、それに沿った資料が配布されます。資料は議論開始前に個々で読み込み、情報整理を行ったり意見を箇条書きで書き出したりと、個人ワークの時間を設けるケースが多いです。また、前提条件が決まっているため、議論の自由度が低いという特徴があります。どう情報を整理して議論を展開するか、といった点を意識し、自分なりに考えることがポイントです。
情報に曖昧な点があった場合は、グループ内ですり合わせを行うことが重要です。しかし、情報の整理や意見を出し合う時間が少なくなると、しっかりとした結論を導き出すことが困難になります。時間配分に注意して、情報の分析・整理を行いましょう。
- テーマ例
ある企業の子会社化傾向の賛否
新規出店する場合どの候補地がいいか
担当者は何を見ている?評価基準は?
グループディスカッションでは、初対面の人と協力・議論を行う必要があります。仕事においても、会議や打ち合わせにミーティングなどといったディスカッションがあり、初対面である場合も多いでしょう。そういった場合の対応力は、面接をするだけではわかりません。個人の能力を総合的に判断するために、グループディスカッション中の対応や姿勢を見ています。
良い評価をもらうためには、グループが良い結論を出すために貢献できたかどうか、という点が重要です。入社後に「人の意見を聞き、批判的ではない意見交換ができるか」「生産的なディスカッションができるか」などを試す意図もあります。他人の意見を否定ばかりする行為は、グループ内の雰囲気を悪くして議論を妨げてしまうため、注意しましょう。
意識するべき5つのポイント
担当者が見ているのは、具体的にどのような対応や姿勢なのか、疑問に感じる人も多いでしょう。ディスカッションで評価されるために、意識するべきポイントを5つご紹介します。
意識するべき5つのポイント | |
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協調性・傾聴力 | 自分の主張や意見を言うだけでなく、他人の意見もしっかりと聴けることが重要。俯瞰した視点で、グループ全体に合わせた対応を心掛けよう。 |
コミュニケーション能力 | グループ全体の雰囲気を読み、初めての人や意見の違う人とも臆することなく会話のキャッチボールができることなど、周りとの関わり方が重要。 |
思考力・問題解決能力 | テーマについて論理的に考え、自分なりの分析を行ったり、問題への解決策を提案してみたり、柔軟な思考力や対応力を見せることが重要。 |
積極性・リーダーシップ | 議論を進めるため、積極的に発言や問いかけを行い、メンバーから意見を引き出し結論に導こうとする姿勢。相手を急かしすぎないよう注意が必要。 |
チームメンバーへの気配り | 反対意見や折衷案を述べたり、結論をまとめたりする際に、相手を否定・批判しないよう、態度や言葉遣いに配慮すること。社会人としても重要。 |
グループディスカッション(GD)の注意点
グループディスカッションを行ううえで、意識しておくべき点があります。漫然と参加するだけではNG行為につながってしまう可能性が高いため、以下の4点に注意しましょう。
発言量は多すぎても少なすぎてもいけない
発言がないと評価が難しくなるため、自分の意見をしっかりと述べる必要があります。もし誰かに意見を否定されたり、周りと視点が違ったりしても、萎縮せずに発言することが大切です。しかし、自分ばかり発言して他の発言を遮ったり、自分の意見が正しいと主張しすぎたりする行為はNGです。場合によってはクラッシャー行為と見なされ、マイナス評価になる可能性があります。
ディスカッションの時間はあらかじめ決まっており、結論をまとめるためにグループ全員が発言できる時間は限られています。自己中心的な発言や態度にならないよう、他者の意見を聞くことや時間配分、バランスの取れた発言・傾聴姿勢などを意識しましょう。
議論中の姿勢・振る舞いも見られている
議論を進めていくと、自身の意見が否定されたり、認識や解釈違いなどの指摘を受けたりする場合があります。その際に怒ったり萎縮したり、感情的な対応をしないよう注意が必要です。何が否定や指摘につながったのか、確認することは問題ありません。しかし、感情的に反応して論争を引き起こしてしまうと、NG行為と見なされる場合があります。議論中の姿勢や振る舞いは担当者に見られていますので、マイナス評価とならないよう、対応や発言内容に注意しましょう。
クラッシャー行為は行わない・放置しない
与えられたテーマによっては、まったく興味がないものや、知らないものが提示されることもあります。同様に、自身の意見と真逆の意見が出される場合もあります。そういった場合、多少の不満の気持ちが生まれるのは自然なことです。しかし、その感情のままにメンバーを批判するような発言や、横柄な態度をとってしまうと、クラッシャー行為と見なされる可能性があります。
クラッシャー行為と見なされるのは、以下のような行為です。
- 参加中の態度が悪い
- 議論の進行を妨げる
- 他者や他の意見を批判する
- グループの雰囲気を悪くさせる
- 自身の意見を押し通そうとする
こういった行為は他のメンバーに迷惑をかけるだけでなく、担当者に「会社の中でもこうした振る舞いをするのでは」と不信感を与えることにもつながります。人の意見に耳を傾け、自分の意見とは違うと感じた場合でも、他者を否定・批判しないよう注意しながら意見を述べましょう。
また、クラッシャー行為を行うメンバーがいた場合、放置せずに議論の方向を修正することが大切です。放置したままでは結論を出す際の妨げになるため、クラッシャー行為は行わない・放置しないことを意識しましょう。
テーマが難しい・知識がない場合も冷静に
与えられたテーマが抽象的過ぎたり、膨大な資料があって読み解くのが難しかったり、そもそもの知識がなかったりして、意見出しに悩む場合があります。どうすればいいかわからず、混乱するかもしれません。そういった時に大切なことは、冷静になることです。難しい時や知識がない場合は「自分には難しくてわからないのですが、関連する知識がある人はいますか?」とメンバーに問いかけてみる方法があります。
グループディスカッションの担当者は、実際の業務を想定して「知らないことを素直に言えるかどうか」「知らないことでも積極的に話を聞きに行けるかどうか」を試している場合があります。そのため、知ったかぶりはせずに、知識や意見を求めるといいでしょう。
まとめ
グループディスカッションで対面する相手は面接と違い、同じ企業の選考を受けている就活生です。同じ就活生同士で、与えられたテーマについて議論し合うところは、面接と大きく違う点と言えます。グループとしての結論を導き出して発表するまで協力し合う必要があるため、協調性やコミュニケーション能力が求められるでしょう。
議論を行うため、意見のすれ違いや相反することもあり得ます。しかし、ディスカッションでは相手を口で打ち負かすのではなく、意見と意見の折り合いをつけることが重要です。自分と違う意見であっても、否定せずに一度受け入れることを普段から意識すると、ディスカッションの対策になるかもしれません。