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社内ベンチャーとは?制度や子会社との違いを解説

date2024年09月12日
社内ベンチャーとは?制度や子会社との違いを解説
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はじめに

  • 社内ベンチャーとは、企業に在籍しながら新規事業を立ち上げること
  • 企業のメリットは複数の収益チャネルをもてること
  • 従業員のメリットは社内リソースが活用できること
  • 社内ベンチャー設立の前には市場のニーズを把握することが大切
  • 社内ベンチャー設立後はビジョンやルールを設定して、メンバー間で共有する

社内ベンチャー(社内起業)とは

「社内ベンチャー(社内起業)」とは、企業に在籍している従業員が、社内で新規事業を立ち上げることです。一般的な起業(独立起業)とは異なり、在籍企業の社内リソースが活用できます。

既存事業と関連性が低い新規事業で成功する社内ベンチャーが増えたことから、社内ベンチャー制度を取り入れる企業が増加しています。

社内起業家(イントレプレナー)とは?

イントレプレナーとは社内起業家のことです。新事業を進めるためのリーダーとも言い換えられます。
一方、企業に属さず起業する方のことをアントレプレナーといいます。

イントレプレナーとアントレプレナーの違いは、「企業から独立しているかどうか」です。アントレプレナーと異なり、イントレプレナーは所属企業のバックアップを受けながら事業を進めていくため、すべての責任を自身で負う必要がありません。

子会社との違い

社内ベンチャーで設立した企業は、所属企業から派生した企業を指します。
一方で、子会社とは親会社によって株式の50%超を保有されている企業のことです。子会社は親会社の支配下にありますが、親会社とは別の企業です。

社内ベンチャーも子会社も、事業運営・経営判断などに関わる最終的な意思決定権は親会社にあります。ただし、子会社は親会社と別の企業ですので、社内ベンチャーよりも柔軟に対応できる傾向にあります。
軌道に乗ったあとに社内ベンチャーを子会社化するケースがありますので、社内ベンチャーと子会社は近い関係といえるでしょう。

社内ベンチャーの作り方

一般的に、社内ベンチャーを設立する際には、経営陣主導(トップダウン型)と従業員主導(ボトムアップ型)の2通りの型が用いられます。
以下からそれぞれについて解説します。

経営陣主導(トップダウン型)

経営陣主導(トップダウン)型とは、経営陣が社内ベンチャーの指揮を執る方式のことです。
経営陣と従業員が対話しながら新規事業のアイデアを出していきますが、従業員の意見よりも経営陣側の意見が優先されがちです。

従業員主導(ボトムアップ型)

従業員主導(ボトムアップ)型とは、企業が社員へ新規事業のアイデアを募り、審査を経て事業へと発展させていく方式のことです。
トップダウン型に比べて、従業員の意見が事業に反映されやすく、イントレプレナーやメンバーたちのモチベーションアップにつながりやすいのが特徴です。

社内ベンチャー制度を導入する企業の目的

以下からは、社内ベンチャー制度を導入する企業の目的について解説します。

事業拡大へつなげるため

社内ベンチャーを設立する目的の1つは、企業の事業拡大です。

背景には、IT技術の進歩や新型コロナウイルスなどの影響により、以前よりも市場の予測が困難になったことが挙げられます。
既存事業だけでは競争社会に取り残されることを懸念して、社内ベンチャー制度を取り入れる企業が増えてきました。

人材育成の一環

人材育成の一環として、社内ベンチャー制度を取り入れている企業があります。

たとえば、新事業のイントレプレナーに選ばれた従業員は、今までよりも大きな責任を負う反面、実行力・判断力といった経営者寄りのスキルが身に付きやすいです。
また、イントレプレナーやメンバーが積極的に新事業に取り組むことで、従業員全体の期待や業務に対するモチベーションアップにもつながります。

社内ベンチャーのメリット・デメリット

社内ベンチャーを設立するメリットとデメリットを、企業・従業員別にご紹介します。

企業にとってのメリット

企業が社内ベンチャー制度を取り入れるメリットは、複数の収益チャネルをもてることです。

チャネルとは日本語で経路を意味します。
収益を得られる道筋が複数用意されていれば、既存事業が立ち行かなくなっても別の事業の利益でカバーできます。

従業員にとってのメリット

従業員が社内ベンチャー制度を活用するメリットは、低リスクで起業がはじめられることです。
社内ベンチャー制度で設立した企業は、基本的に母体企業の社内リソースが活用できるため、自身でゼロから資金・人員・ノウハウなどを用意する必要がありません。そのため、万が一失敗しても社員自体が職を失ったり負債を負ったりするリスクが低いといえます。

また、起業へのハードルが低いため、成長意欲を高めるきっかけとなります。
成長意欲とは、自身の能力を高めようとする意識のことです。企業からの職務・役割などを積極的にこなす中で、自己肯定感・自己効力感が高まり、失敗やストレスに強くなります。このように、従業員自身の成長につながることもメリットの1つです。

企業にとってのデメリット

社内ベンチャーを立ち上げる際に、企業側はリスクや人手不足などの問題を抱えがちです。
たとえば、新規事業を既存事業と同じ規模に成長させるには、時間とコストがかかります。

また、新規事業を起こしても成功するとは限らないため、コストを回収できなかったり負債を背負ったりするケースを考慮しないといけません。
ほかには、既存事業に携わっていた人員が新規事業へ流れることで、一部の部署やチームが人手不足に陥る可能性があります。

従業員にとってのデメリット

独立起業と比べて社内ベンチャーは自由が利きません。
社内ベンチャー設立後は社内リソースを活用できる分、企業の意向に従う必要があります。また、起業の意思があっても企業側に実力を認めてもらえなければ、社内ベンチャーは設立できません。

あまり干渉されたくない方や自由にやりたい方にとっては、社内ベンチャーよりも独立起業の方が向いているでしょう。

社内ベンチャーを成功させるためのポイント

社内ベンチャー設立後は新規事業を軌道に乗せる必要があります。
以下から成功させるためのポイントをご紹介します。

市場のニーズを把握する

新規事業をはじめる際は、市場のニーズを把握することが大切です。普段から、ニュースやSNSなどを通して情報収集し、世の中の課題やニーズについて関心をもつようにしましょう。

また、多様な価値観の人々と話をしたり、さまざまな場所を訪れたりすることで、新規事業のヒントにつながることがあります。

業務のルールを適切に設定する

社内ベンチャーを成功させるには、「期間」「予算」「活動内容」などのルールを適切に設定する必要があります。たとえば、期間や予算などを削ることで、充分な調査ができなかったり、納得のいく製品が完成しなかったりする可能性が考えられます。

あらかじめ、業務のルールをメンバー同士で取り決めて共有するように徹底しましょう。

メンバー同士助け合う

失敗を許さない風潮が企業にはびこっていると、メンバーは本来の能力が発揮できません。
ただでさえ、新規事業はリスクが付き物ですのでイントレプレナーやメンバーは余計にプレッシャーを感じてしまいます。

失敗したときは感情的にならず、冷静に指導・指摘することが大切です。同僚とは普段から良好な関係を築いておき、ミスをした際はお互いにフォローし合えるようにしておきましょう。

ビジョンを明確にもち共有する

社内ベンチャーは、企業という後ろ盾があって成立しています。
裏を返せば、世間の信頼や資金をゼロから積み上げる必要がありませんので、油断や慢心が芽生えやすいともいえます。

また、新規事業が撤退することになっても、イントレプレナーやメンバーの生活にはあまり影響がありません。事業にかける覚悟や決意が揺らぎやすいため、常にビジョンを明確にもち、メンバー間で共有するように心がけましょう。

社内ベンチャーの実例

社内ベンチャーの実例を以下からご紹介します。

大手不動産企業のケース

「北半球と南半球では夏と冬が逆になる」という性質を利用して、大手不動産企業の社内ベンチャーでは、日本とニュージーランドの両国でブドウを年2回栽培・収穫しています。

また、近年日本の農業は後継者不足や高齢化が問題となっており、深刻な状況です。
同社では、閑散期で仕事がない農業従事者や就農希望者の雇用も積極的に行っており、日本の技術を守ることに尽力しています。

大手電化製品企業のケース

大手電化製品企業の社内ベンチャーでは、パワーアシストスーツの開発を行っています。パワーアシストスーツとは、ヒトの動きを補助する機械のスーツのことです。

主に物流・建設・土木などの重作業現場で活躍しています。
同社では、「パワーバリアレス社会」の実現を理念に掲げており、年齢・性別などによる体力差を無くすための製品を開発しています。

まとめ

変化が著しく、未来の予測が難しい現代では、複数の収益チャネルをもつことが大切です。社内ベンチャー制度はその手段の1つともいえます。

今後は、あらゆる企業において、環境の変化に強い人材が必要とされるようになるでしょう。
環境の変化に強くなるには、さまざまな経験を積んだり情報収集したりするのがオススメです。普段から、社会や社内の課題を「自分ごと」と捉えるように意識しましょう。

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