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長期金利とは?金利変動がビジネスや就活に与える影響 

date2023年12月20日
長期金利とは?金利変動がビジネスや就活に与える影響 
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はじめに

  • 長期金利とは金銭の貸し借りが1年以上になる場合に適用される金利
  • 2023年10月、日本銀行はYCCの修正を決定した
  • YCCの影響で今後は銀行預金の金利や住宅ローンの金利などが上がる見通し
  • 金利が上がると経営面で大きな打撃を受ける企業もある
  • 企業の経営が傾くと従業員の給料や雇用にも影響があるかもしれない

金利と景気は密接な関係にあります。長期金利は景気がよくなれば高くなり、悪くなれば低くなる傾向にあるため、「経済の体温計」ともいわれています。不景気になれば就活に影響すると考える方も多いでしょう。今回は、金利の基礎知識や金利変動で起こり得る影響を解説します。

金利とは?

一般的に金利とは、借りたり貸したり(預けたり)したお金に対して発生する利息の割合のことです。たとえば、100万円を借りて金利が10%の場合、返済時には100万円+10%(10万円)を払うことになります。また、銀行に100万円を預けて2000円の利息がついた場合の金利は0.002%となります。
金利が上昇するのは資金需要の高まる景気のよいときです。一方で、不景気になると商品・サービスなどを売れない企業が経済活動を抑制するため、金利は低下します。下記の表のようにお金を貸す側と借りる側の需給関係によって変動するのが金利です。

借りる側(個人・企業)貸す側(金融機関)金利
需供増お金を借りたい個人(企業)が増える貸したいがお金が足りなくなる上がる
需供減お金を借りたい個人(企業)が減る貸したいがお金を借りてもらえない下がる

長期金利と短期金利の違い

金利は長期金利と短期金利に大別されますので、具体的にご紹介します。

長期金利とは?

長期金利とはお金の貸し借りをする期間が1年以上になる場合に適用される金利のことです。経済ニュースで長期金利という言葉が出てきた場合は、10年物国債(債務の返済期限が10年の国債)の金利を指します。
国債とは政府が金銭を借りるために発行する借用書です。政府が公共事業や公共サービスを行う上で資金不足のときに、「機関投資家」と呼ばれる銀行や保険会社・証券会社などから国債を発行して借り入れます。
また、10年物国債は10年物国債利回りと同義語です。国債は債券市場で売買されており、価格変動と共に利回りも変動します。
利回りとは国債の満期時に得られる利息だけでなく、売却したときに得られる利益も含まれており、投資金額に対する収益の割合を指します。

短期金利とは?

短期金利とは、1年未満の金銭の貸し借りにおいて適用される金利です。短期金利は市場でのお金の流通量や需給バランスで上がったり下がったりします。
たとえば、多くの人がお金を借りた場合、資金を融通し合うためにも短期金利は上昇します。
一方で、上昇しすぎた場合は日本銀行がお金を市場に供給して金利を抑えるという仕組みです。

これまでの日銀の金融政策

これまで、景気を回復させるために日銀が取ってきた金融政策をご紹介します。

金融緩和政策

2016年に日本銀行は、金融緩和政策の一環でイールドカーブ・コントロール(長短金利操作・YCC)を導入しました。
YCC導入の目的は、短期で政策金利、長期で国債の金利を操作して景気を回復させることです。具体的にはイールドカーブ全体の操作や国債の利回りに関する調整をします。
日本銀行が民間銀行から国債をたくさん買うことで、国債の価格が上昇します。
すると、民間銀行側は当初よりも儲けが出るでしょう。民間銀行にお金が増えると今度は安い金利で企業に資金を供給できると考えました。さらに、日本銀行は、民間銀行が積極的に企業にお金を貸し出すように「マイナス金利政策」を打ち出しました。

金融緩和政策の結果

マイナス金利政策とは、「民間銀行が日本銀行にお金を預けたままにしておくと利息をマイナスにする」というものです。しかし、金利収入で儲けていた銀行や保険会社などの業績悪化が目立つようになりました。
そこで、「長期金利に関してはゼロ%程度にとどめる」という別の政策も始めましたが、いくら日本銀行がお金を増やしても返せるあてがなければ企業は借りません。結局、景気は回復せず、日本銀行の目論見は外れてしまいました。

2023年10月に修正された金融政策

2023年10月に日本銀行は長期金利の引き上げを発表しました。背景には何があったのでしょうか。以下から詳しくご説明します。

イールドカーブ・コントロールの修正

2023年10月31日、金融政策決定会合において日本銀行はイールドカーブ・コントロールの修正を決定しました。「年1.0%が上限」としていた長期金利を今後は「年1.0%を目途にする」とあらためて、「1.0%」を超すことも一定程度容認するとしました。
長期金利引き上げの一因には円安があります。近年、日本は円安が続いており円の価値が下がっています。今まで通り、日本銀行が国債を買っていると市場に多くのお金が出回り、円の価値が下がってさらに円安を加速させる恐れがあるためです。

長期金利上昇で個人と企業に起こる変化

以下から、長期金利の上昇で個人と企業に起こる変化をご説明します。

金利が上がることで個人が受ける影響

金利が上昇すると、私たちの生活も変わります。身近な例を出すと銀行預金の金利や住宅ローンの金利などが上がるでしょう。お金は預けやすくなる一方で、借りにくくなるとも言えます。また、外国との金利差が縮まれば円安から円高にシフトして食料品・日用品などが安くなるとも考えられます。

金利が上がることで企業が受ける影響

金融機関からお金を借り入れる際の利率も上がるため、企業の支払利息の増加や利益減少につながる恐れがあります。支払利息が増加すると設備のコストを見なおす企業も増えるかもしれません。
たとえば、高額の機械や製品などを長期的に導入している企業は長期金利がかかりますので、機械や製品を卸している企業の受注が減ることにつながりかねないでしょう。
また、数年にわたって債務の利払いすらままならない、破綻寸前の企業もあります。これまでは、政府や銀行などの支援で存続できていましたが、金利が上がると大きな打撃を受ける可能性もあります。
そうなると、従業員の給料が減らされたり解雇されたりする可能性もあるかもしれません。

まとめ

銀行が金利を下げても返せるあてがなければ企業はお金を借りません。
一方で、金利が上がると借りにくくなったり、存続が危ぶまれたりする企業もあります。
みなさんも、長期金利が上がると自分の志望する業界や自分自身にどのような影響を与えるのか今一度考えてみてください。

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