GPAの平均はどれくらい?就活への影響についても解説
はじめに
- GPAは学生の成績を各科目0~4の5段階に換算して平均値を求めたもの
- GPAの全体平均は2.4~2.8であり2.9以上のGPAを持つ学生は上位30%弱
- 国内企業は参考要素と言われるが外資系や大企業では重視の傾向
- GPAが低い場合はガクチカや成績以外のアピールポイントでカバーする
- GPAが高い場合の自己アピールでは専門分野をわかりやすくかみ砕いて説明する
GPAとは世界的に活用が進んでいる学生の評価制度で、大学の成績をポイントに変換して合計し、その平均を求めたものです。本稿ではGPAの基礎から全体平均、就活への影響と対策までを詳しく解説するとともに、注目されるポイントや自己PRへの活かし方を紹介します。
GPAとは
GPA(Grade Point Average)は、科目ごとの成績をポイント(GP=Grade Point)に変換して合計し、その平均値を割り出した値です。この評価制度は発祥地のアメリカを中心に広く採用されています。日本の大学でも成績評価の一環として利用が進んでおり、文科省による令和元年度の調査では、対象の9割以上の大学が導入しています。
参考|文部科学省 令和元年度の大学における教育内容等の改革状況について(概要)PDF
GPAの計算方法
GPAは評価=GP(Grade Point)の平均値=A(Average)です。これは「評価の合計÷取得単位の合計数」で算出します。
評価の合計は、成績ごとに「秀/S/4・優/A/3・良/B/2・可/C/1・不可/D/0」の5段階に換算して単位をかけ、それらを合算して求めます。その結果を単位の合計数で割り、平均したものがGPAです。
以下の項目では、この仕組みをより詳しく解説します。
成績からGPへの変換方法
GPAでは、大学生の科目ごとの成績をGPに換算して、その平均を求めます。以下は科目ごとの成績から算出するGPの換算表です。
・GPの換算表
科目ごとの成績 | GP |
---|---|
秀/S/90以上 | 4 |
優/A/89~80 | 3 |
良/B/79~70 | 2 |
可/C/69~60 | 1 |
不可/D/59以下 | 0 |
大学生の平均は2.4~2.8
GPAの分布は大学や学部、科目の難易度によっても異なりますが、それでも理系より文系の方が高い傾向にあると言われます。平均は一般的に2.4~2.8の範囲に収まることが多く、2.9以上の優秀と考えられる学生は上位30%弱です。企業側にとってこの数値は、学業における努力や成果を示す指標として、学生自身の学習状況を把握する要素となります。
成績表の例からGPAを計算する
以下の成績表から実際にGPAを求めてみましょう。
・静楽太郎さんの成績表(例)
科目 | 成績 | GP | 単位数 |
---|---|---|---|
経済学概論 | 秀/S | 4 | 4 |
マクロ経済学 | 優/A | 3 | 2 |
近代経済学 | 優/A | 3 | 2 |
金融論 | 可/C | 1 | 2 |
英語Ⅰ | 良/B | 2 | 2 |
ドイツ語Ⅰ | 良/B | 2 | 2 |
GPAは「(GP×単位の合計)÷単位数の合計」で求めます(小数点第3位は四捨五入)。
GP×単位の合計:38 ÷ 単位数の合計:14=2.714
小数点第3位を四捨五入した結果、静楽太郎さんのGPAは2.71となります。
単位によってはGPAから除外できる
大学によっては「不可」となった単位や、履修後に苦手とわかった科目の単位などを、GPAの計算から除外する仕組みを持っています。ただし、この「GPAの計算から除外する単位」についての仕組みや考え方は、大学によって異なります。自分にとって不利にならないよう、GPAについて考える際には確認しておきましょう。
参考|文部科学省 平成29年度『国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究』報告書(PDF)
就活におけるGPAの影響
GPAは就職活動においても影響することがあります。日本の企業におけるGPAは、今のところ他の要素と合わせて総合的に判断する一要素です。以下の項目では注意すべき2点、外資系や大企業の場合と、推薦を受ける場合について解説します。
外資系や大企業は重視の傾向
外資系の企業や大企業はGPAを通じて、学生の学業への取り組み姿勢や能力を評価・判断する傾向があります。理由としては個々人の能力把握のコストを下げたい意図や、GPAを用いることが一般的な国であるなどさまざまです。志望の際はGPA重視の可能性も含めて企業研究を行い、面接で効果的なアピールができるように対策してください。
推薦を受ける場合には重要となる
大学から企業への推薦を受ける場合は、学内での成績が判断基準となるため、GPAは極めて重要な指標となります。同様にゼミの選択や大学院に進学する場合も、指標となるGPAは大変重要な要素です。これらの場合は、できるだけ早くからの確認と対策が効果的です。可能であれば履修科目を考える段階から対策に取り組むとよいでしょう。
GPAが低い場合の対策
GPAが平均より低い場合でも、他の要素でカバーすることが可能です。例えば、リーダーシップの経験やインターンシップでの実績、特定のスキルや資格をアピールすることで、GPAが低い点をカバーできます。また面接では、学業以外に力を入れたことや、今後の改善策について具体的に説明することが重要です。
ガクチカを取り入れる
ガクチカは「学生時代に力を入れて取り組んだこと」の略称で、面接時の定番質問の1つです。GPAの数値と引き換えにしてでも取り組んだ「大切なこと」として、学業以外に力を入れたガクチカの要素は、これを補う説得力と魅力を持つエピソードです。
合理的な理由を述べる
面接時の展開によっては、GPAが低くなった理由を合理的に述べることも重要です。例えば部活動との両立が難しかった、ボランティア活動に力を入れたことで評価に影響してしまったなどのエピソードです。またその際は「GPAの低さ=不真面目さ」と捉えられないよう、学業への課題認識や解決への努力があることも、合わせて述べるとよいでしょう。
GPAを活用した自己PRの方法
GPAが高い場合は、それを自己PRの材料としても活用できます。具体的には、学業における努力や成果を強調し、問題解決能力や継続的な努力をアピールすることが効果的です。また、高いGPAを得るまでの過程や積み重ねた数字などを示すことで、より具体的な実績を伝えられます。
努力の姿勢をアピールする
誘惑が多い学生生活の中でも、高いGPAを維持できたことは、真面目かつ継続的に勉学に取り組んだ証です。これは自己PRの面でも強力な武器になります。努力が評価されたエピソードや、困難を乗り越えて成果を得た経験、また勉学以外の面でも心がけたエピソードなどを、ぜひ盛り込んでください。
得意分野をわかりやすくかみ砕く
GPAの高さは専門分野に精通していることの証とも言えます。そして専門分野に秀でた人材であることは、自己PRの強力な武器です。しかし面接者の全員がそれらの専門分野に詳しいとは限りません。専門分野をアピールする際には、専攻科目や力を入れて取り組んだ研究内容を、専門外の人にもわかりやすく伝えられるようにしましょう。
まとめ
今回はGPAとその平均について紹介し、それらが就職活動でどのように影響するかを解説しました。GPAは学生時代の成績を示す重要な指標ですが、判断のウエイトは企業によってさまざまなため、それだけで採否の評価が決まるわけではありません。
GPAの数値だけに一喜一憂せず、他の強みや経験を活かして自分自身を多面的にアピールすることも大切です。新規就活も転職の際も、GPAを含めた総合的な自己分析で、効果的な自己PRができるように準備してください。