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就活生必見!高校無償化政策があなたの未来に与える影響

date2023年12月25日
就活生必見!高校無償化政策があなたの未来に与える影響
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はじめに

  • 東京都は高校授業料の無償化を発表
  • これまであった所得制限を撤廃
  • 私立高校も対象
  • 教育産業だけでなく経済全体の活性化が期待される
  • ライフプランに直結するなど就職活動にも影響あり

東京都で高校授業料無償化へ

2023年12月5日、東京都は都内にある私立を含むすべての高校授業料の実質無償化を発表しました。実施は2024年度からです。教育費の増大や物価高騰を受け、子育て世代の負担を軽減する政策であるとして歓迎の声が多く聞かれます。
実はこのニュースは、今は子育てをしていない就職活動生にも大きく関係してくるものです。この記事では高校無償化がもたらす影響と対策をわかりやすく説明します。

ポイントは「所得制限撤廃」

都の現在の支援制度では対象が世帯年収910万円未満という所得制限がありました。今回発表された方針ではこの所得制限を撤廃するという点が大きなポイントとなっています。
年収910万円というと高収入のように聞こえるかもしれませんが、手取り額にすると660万円前後であり、子育て世代の収入としてはそれほど多いとは言えないでしょう。
これまで支援の対象となっていなかった層を包括し、すべての子どもにひとしく学びの機会を提供するものとして、今回の政策は期待を集めています。

私立も対象

これまでも私立に対しての支援制度はありましたが、やはり所得制限があったため、それを超える世帯にとっての負担は公立に比べ大きいものとなっていました。
いっぽうで東京都内の高校における私立の割合は6割を超えており、その比率は全国1位です。私立に行きたいと考える生徒、私立に行かせたいと考える保護者が多くなるのも自然な流れでしょう。
所得制限のない授業料無償化が実現すれば、経済的な理由で私立進学を諦めるケースの減少が予想されます。

高校無償化のメリット

高校無償化にはどのようなメリットがあるでしょうか。高校無償化がもたらすプラスの側面を以下に見ていきましょう。

家計への負担軽減

上のグラフで明らかなように、ここ数十年、子どもの数と子ども1人当たりの年間教育費は反比例しています。子どもの数はなかなか増やせないけれど、教育費は惜しまないという傾向が読み取れます。
経済や雇用の不安定化が進む中で、親は子どもにかける教育費を減らすわけにいかないのではないでしょうか。
高校授業料無償化は子育て世代の苦しい懐に、ダイレクトに助け舟を出すものとして歓迎されるのは間違いないでしょう。

教育機会の拡大・教育格差の是正

高校無償化により、進学に意欲のある生徒の選択肢が増えると予想されます。家の収入を気にすることなく進学先を決められるようになるからです。
現状では、たとえば東大に入学する学生の家庭は、平均的な家庭に比べ裕福であると指摘されています。生まれた家の所得格差がそのまま教育格差に直結している現状を変えていく必要があり、高校無償化はその一助となることが期待されます。

少子化対策として期待大

上でも述べましたが、今は子どもに教育費をかけざるを得ないご時世です。収入は伸び悩んでいるにもかかわらず物価は高くなるいっぽうで、子育てにかかるお金が家計を圧迫しているという世帯は少なくないでしょう。
子育てにお金がかかりすぎるから子どもを作れない、増やせないという層に対し、高校無償化は経済的アシストとなるかもしれません。

高校無償化のデメリット

高校無償化にデメリットはないのでしょうか。次に高校無償化がもたらすマイナスの側面を見ていきましょう。

授業料以外の負担はそのまま

今回の無償化案はあくまで授業料のみの無償化です。高校に通うには他にもさまざまな費用が必要です。内訳としては入学金、施設整備費、修学旅行費、学校納付金、PTA会費、図書費、学用品、通学費、制服代などがあります。
また、これらの費用は公立より私立のほうが高い傾向にあり、私立は公立に比べお金がかかるという構図は変わりません。

東京一極集中が進む可能性

東京都のように大きな自治体なら高校無償化のような政策を展開することが可能でも、財政的に余裕のない周辺自治体で同じことを行うのは困難です。
高校無償化が実施されると、周辺自治体から教育費の負担が少ない都市部へと人口の流入が予想されます。東京一極集中が加速し、地方活性化が進みにくくなる可能性があります。

恩恵を受けられない層の不公平感

不景気が続く中、収入が思うように増えず、物価高に苦しんでいるのは子育て世代だけではありません。生活苦を感じている人たちが高校無償化のニュースに不公平感を抱くこともあるでしょう。
自分が納めた税金を使って子育て世代が恩恵を受けることに不快感を示す人も中にはいるようです。どの世代もひとしく生活が楽になるような施策が求められます。

都の財政負担増

地方自治体の場合、財源は税金なので都の財政負担が増えることを不安視する声もあります。中には無償化とした分が増税で賄われることを危惧する人もいます。
いっぽう、東京都は全国都道府県の中でも唯一地方交付金を国からもらわずに自主財源で運営しながら、令和5年度の基金残高は1兆6,935億円です。
余裕の感じられる数字ですが、いつ何が起きても、健全な財政運営をできることが望まれます。
参考|東京都の財政

高校無償化とビジネスチャンス

高校無償化は直接の恩恵を受ける子育て世代だけでなく、広い範囲に経済効果を及ぼすことが予想されます。どのような内容なのか見ていきましょう。

学習塾や予備校業界の期待

これまで見てきたように、保護者は子どもの教育により多くのお金をかけたいと考えています。
高校授業料が無償化となれば、浮いたお金で学習塾や予備校に通わせたいと考える保護者が出てくるのは自然な流れです。教育産業が高校無償化に熱い視線を向けているのは間違いありません。

経済活動全体の活性化

所得制限撤廃により、保護者は上限を気にすることなく働けるようになります。共働き世帯も今以上に増えるかもしれません。収入が増えると消費も増え、経済効果は多方面に波及することが予想されます。
また、より高度な教育を受けた人材が増えることで社会全体の生産性が向上し、イノベーションが進むことも期待できます。

教育無償化の今後

高校授業料にとどまらず、教育無償化は世界的なトレンドであると同時に、少子化対策としても重要な役割を果たすと考えられます。今求められている政策とは何でしょうか。

自治体主導から国主導へ

東京都は都として高校授業料無償化を打ち出すとともに、国に対して全国で同様の取り組みを行うよう要望しました。地方自治体では財源に限りがあり、さらに自治体によって財政状況に格差があるためです。高校だけでなく大学も無償化とし、さらに小中学校の給食費無償化も国の責任で行うよう要望が伝えられました。住んでいる自治体によって、受けられる支援に違いがある現状の改善が望まれています。

望まれる大学教育の無償化

高等(大学)教育に対する日本の財政支出はOECD加盟国の中で最低水準となっています。このため、先進国では主流となっている返済不要の奨学金を利用できる学生は少なく、多くの若者が多額の奨学金を抱え、返済に苦しんでいるという現状があるのです。
これは若者が結婚や出産をためらう理由のひとつになっており、少子化が進む原因とも考えられます。高校だけでなく大学教育への国の支援が必要です。
参考|文部科学省高等教育財政関係データ

就活生への影響と対策は?

これまで見てきたように、高校無償化政策は子育て世代以外にも影響を及ぼします。就職活動をしている方々へはどう影響するのでしょうか?対策とともに見ていきましょう。

ライフプランに直結

就活生の中には、予想される収入次第で将来子どもをもつことに不安がある人もいるでしょう。しかし、高校授業料が無償化となり、さらに教育無償化が進むのであれば、子どもをもったり何人も生み育てたりすることも可能になるかもしれません。
その場合、産休育休制度が整っているなど、子育てのしやすい企業を就職先として選ぶことが重要になるでしょう。企業説明会などで子育てしながらの働き方について質問しておくのもオススメです。

面接で話題になりやすい

高校無償化は世間の関心も高く、身近な話題ですので、面接だけでなくグループディスカッションのテーマとして取り上げられることが予想されます。聞かれたときにスムーズに答えられるよう、概要や課題を押さえておきましょう。
また、賛否が分かれやすい話題であることを踏まえ、自分の意見をまとめておきましょう。

教育産業周辺で変化が予想される

学習塾などは高校無償化を商機と捉えてビジネスの規模を拡大する可能性が高いでしょう。また、教育無償化政策が進めば周辺の業界地図も変化することが予想されます。
子育て世代が旅行やマイホーム購入にお金を回すようになるなど、さまざまな可能性があります。教育分野に限らず視野を広げ、就職活動を行いましょう。

まとめ

東京都が発表した高校授業料の無償化は、所得制限を撤廃することでより多くの人が対象となり、話題を呼んでいます。
高校無償化のメリットデメリットなど全体像を知ることで、この政策が東京都民や子育て世代に限らず、社会全体に影響を及ぼすものであることが見えてきました。
就活生もまた例外ではありません。このニュースをきっかけに就職活動をより有利に進められるよう、知見を広げていきましょう。

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