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【2024年6月開始】定額減税とは?対象者・減税方法を解説

date2024年06月12日
【2024年6月開始】定額減税とは?対象者・減税方法を解説
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はじめに

  • 定額減税とは「本来納める税金を一定額(合計4万円)減らす」措置のこと
  • ねらいは税負担を軽減して消費を促すこと
  • 定額減税の対象者は年収2,000万円以下の納税者と扶養親族
  • 減税しきれないときは給付金の支給が行われる場合もある
  • 来年以降の定額減税は予定されていない

2024年6月から定額減税が開始されました。生活がどのように変化するのかよくわからない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、定額減税の制度・背景・対象者などについてわかりやすくお伝えします。

定額減税とは何か?

定額減税には「本来納めるはずの税金を一定額減らす(減税する)」という意味があり、収入額に関係なく、一律同じ金額が減税される制度のことです。

減税対象となるのは2024年度の所得税(本年分の所得に対してかかる税金)と、2023年度の住民税(前年分の所得額から算出される税金)であり、今回の制度ではあわせて4万円が減税されます。

「所得税」とは

所得税とは働いて得た収入にかかる税金で、月収88,000円以上になると収入から引かれます。
所得税は必要経費(給与所得者の場合は給与所得控除)を差し引いた残りの金額である「所得」を基に支払う税金が決まります。そのため、所得が同じでも必ずしも全員が同じ額を納税するわけではありません。

「住民税とは

住民税は居住地の自治体へ支払うことが義務付けられている税金であり、主に居住地区の行政サービスや福祉などの資金源となります。
住民税には以下のような特徴があります。

  • 居住地区ごとに納税額が異なる
  • 前年の年収を基に課税税額が決まる
  • 毎年所得に応じて納税額が変動する
  • 前年の収入が100万円以下の場合は翌年の住民税が非課税である

住民税は「前年の収入に応じて課税額が決まる税金」です。また、上記の通り、前年の収入が100万円以下の場合は翌年課税されません。そのため、前年度(2023年)にフリーターや学生だった方が、今年度(2024年)企業に新卒・中途入社された場合、住民税が課税されないケースもあります。そのような場合は、そもそも住民税自体を払わなくていいため、定額減税の対象外になります。

2023年にフリーターや学生だった方の中には、親や他の親族などの扶養に入っていた方もいるかもしれません。その場合、2024年6月から住民税の定額減税が適用されるのは、扶養親族(ここではフリーターや学生だった方など)ではなく扶養者(親や他の親族など)です。
なお、所得税は、「本年分の所得に対してかかる税金」ですので、今年(2024年)所得税を納めている方に定額減税が適用されます。

なぜ定額減税が実施されたのか?

そもそもなぜ、定額減税が実施されたのかを以下からご説明します。

定額減税が実施された背景

政府が定額減税を実施する背景には「デフレ脱却のため」といわれています。デフレとはデフレーションの略語で、モノよりも貨幣の価値が上がることです。デフレでは相対的にモノが売れにくいため、物価も下がり、経済は不況に陥りがちです。

不況が続く一方で、2021年の後半からは物価が上昇しています。背景には、新型コロナウイルスの拡大やロシア・ウクライナ戦争などが関係しており、世界中で原材料価格の上昇や円安による輸入コストの増加などが起きています。不況の中で物価が上がると消費はますます減りますので、企業の業績や従業員の給料も安定しません。そのため、以前と比べて多くの国民の生活が苦しくなっています。

政府はこの悪循環を断ち切るために、税金の一部を還元する定額減税制度の実施を決定しました。多くの国民に消費の拡大や手取りの増加を実感してもらうことがねらいです。

定額減税の対象者や減税方法

以下からは、定額減税の対象者や対象者ごとの減税方法、具体的な減税例などをご紹介します。

定額減税の対象者

定額減税の対象者は年収2,000万円(所得が1,805万円)以下の納税者本人と、納税者の配偶者および年収103万円以下の扶養親族です。また、「子ども、特別障害者等を有する者等所得金額調整控除」の適用を受ける方は、2,015万円以下と設定されています。

具体的には扶養者の収入から1人あたり年間4万円(所得税3万円分+住民税1万円分)が減税されます。年収2,000万円以上の方や海外在住の扶養家族は定額減税の対象外です。

どのように減税される?:給与所得者

毎月の給与・賞与などから所得税が源泉徴収されている給与所得者(会社員や会社役員)の場合、所得税は6月分の給与や賞与から減税されます。その際、納税額よりも減税額が多かった場合は翌月の7月以降に減税分が適用されます。

住民税は給与所得者の場合、6月分は徴収されません(納税額は0円)。前年度の所得から算出された住民税を翌月7月から来年の5月までの11か月間で割り、1か月ごとに徴収されます。

どのように減税される?:個人事業主

個人事業主の場合、所得税は来年の確定申告の際に減税されるのが一般的です。

「予定納税制度」を活用する場合は、7月分の所得税を納税した際に本人分の3万円分のみ減税されます。また、1回で減税しきれない場合は、11月にある2回目の予定納税分に減税が繰り越されます。「予定納税制度」とは、「前年分の所得金額や税額」を元に計算した「予定納税基準額」がその年の5月15日現在において15万円以上あると確定している場合に活用できる制度です。

一方、扶養親族分の減税を受ける場合は税務署への申告手続きが必要です。また、住民税に関しては、扶養親族分を含めて6月から減税されます。

どのように減税される?:年金受給者

一定の金額以上の年金受給者(公的年金受給者)の場合も所得税がかかるため、定額減税の対象になります。所得税に関しては6月分の支給額から減税が開始されて、1回で減税しきれないときは、8月以降の支給時に繰り越されます(公的年金は2か月に1回、偶数月に支払われるため)。

公的年金以外に所得がある方も定額減税の対象者です。ただし、確定申告での精算が必要なケースもありますので注意しましょう。住民税は10月分の年金から定額減税が開始され、10月分で控除しきれない場合は12月以降に納める税額から控除されます。

定額減税の一例

定額減税は納税者本人だけでなく、扶養親族(年収103万円以下の親族や未成年の子どもなど)も減税の対象になります。たとえば、夫婦2人(共働きか片働きか問わず)と子ども2人(未成年・年収103万円以下など)の4人家族の場合、年間で16万円が世帯収入から減税されます。
詳しくは以下の式をご参照ください。

  • (所得税3万円分+住民税1万円分)×4人分=16万円減税(年間)

減税しきれないときはどうする?

定額減税の趣旨は「減税」ですので、国民の負担を軽減して手取りの増加を実感してもらうことがねらいです。しかし、年間の納税額から減税しきれない方もいるため、定額減税制度の恩恵を受けにくい方もいます。
そのような方々に対する国の措置について、以下から具体的にご説明します。

対象者には給付金の支給が行われる

定額減税では所得税と住民税をあわせて1人あたり年間4万円分減税されますが、扶養親族が多い方ほど、年間の納税額からすべて差し引けないケースも想定できます。また、扶養親族がいない方であっても年収が低ければ、年間納税額が4万円に満たないケースも考えられます。

そのため、2024年の税制改正の際に、減税とあわせて定額減税の恩恵が受けにくい層へ給付金の支給が決定されました。
対象者への対応措置は以下の通りです。

  1. 住民税非課税世帯への対応:合計10万円の給付措置

    ※2023年に給付している3万円(電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金)に加えて、年内中(2024年)に7万円を給付予定

  2. 所得税が非課税で住民税の均等割りのみ支払う世帯への対応:合計10万円の給付措置

    ※住民税は所得割と均等割りの2種類がある
    ・所得割:前年の所得に応じて課税される住民税
    ・均等割:定額で課税される住民税

  3. 上記1・2に当てはまる世帯のうち18歳以下の子どもがいる世帯:子ども1人につき5万円が追加で給付される

    具体的な給付内容は以下の通りです。給付の時期は自治体ごとに異なります。

参考:内閣府地方創生推進室|低所得者支援及び定額減税補足給付金 自治体向け概要資料

定額減税のメリット

定額減税のメリットについて以下からご説明します。

税負担が軽減されて消費が拡大される

定額減税の趣旨通り、納税者側は税負担が軽くなります。
とくに、6月以降は春闘による賃上げが給与に反映されやすく(最低賃金は毎年7~8月頃に引き上げ額が決定・10月頃に反映されるため)、時期的にも手取りが増加したことを実感しやすいかもしれません。

また、先述したとおり、近年は不況の波を受けて、物価が上昇しています。食料品や光熱費の値段も上昇していることから、国民の生活は最低限度に留まりがちです。定額減税や給付金制度により収入が増加すれば、消費者マインドの上昇や経済の活性化にもつながるでしょう。消費が拡大されれば企業の業績もよくなり、従業員の給料も上がることが期待できます。

住宅ローン控除へは影響しない

住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)とは、要件を満たすと年末時点での住宅ローン残高から0.7%分所得税が控除される制度です。

定額減税は所得税から住宅ローン控除額を差し引いたあとの金額に適用されるため、住宅ローン控除の控除額が減ることはありません。

ふるさと納税には影響しない

定額減税で納める税金が減ってもふるさと納税への影響はありません。ふるさと納税とは、自身の生まれた自治体や応援したい自治体などに寄付をすると返礼品がもらえる制度のことで、以下のような特徴があります。

  • 収入や家族構成などに応じて寄付の上限額が決まる(選べる返礼品に差がある)
  • 2,000円のみ自己負担で残りの寄付額は所得税や住民税から差し引かれる

定額減税により納税する所得税や住民税が減ることから、ふるさと納税へ寄付できる範囲も狭まるのではないかと思われがちです。しかし、ふるさと納税の上限額は定額減税を行う前の条件を基に決まりますので、影響はありません。

定額減税のデメリット

定額減税のデメリットについて以下からご説明します。

企業の給与計算担当者の負担増加

定額減税適用後は、担当者の負担増加が懸念されています。給与所得者の場合は源泉徴収によって税金が天引きされており、源泉徴収額の計算は企業の給与計算担当者が行うケースも多いためです。

とくに、所得税は納税者の扶養親族数により減税額も異なりますので、数か月に渡り減税が続く従業員に対しては、扶養親族の数も従業員ごとに把握したうえで毎回個別に計算しないといけません。
また、一人ひとり終了時期が異なるため、手続き間違いを起こさないようプレッシャーを感じる担当者が多いようです。

中所得者層以外は恩恵を感じにくい

中所得者層以外は恩恵を感じにくいといわれている点も、定額減税のデメリットです。定額減税は年収が2,000万円以下の方が対象ですので、多くの税金を納めている高所得者層にはメリットがありません。

また、低所得者層ほど減税が複数回に分散しがちなため、一度の減税では効果を感じにくいという意見もあります。

制度がわかりにくい

定額減税は国民の生活に直接影響を与えるため、人々の関心も高いといわれています。しかし、そもそもの制度自体が新しく馴染みもないため、多くの国民にとってわかりにくいのがデメリットです。

とくに、役所や税務署など市民から問い合わせを受ける立場の方々は、制度を習熟したうえでわかりやすく伝える必要がありますので、言葉選びに苦心する方もいるようです。

定額減税は来年以降も実施予定があるか?

定額減税は来年以降も実施予定があるのでしょうか。以下から解説します。

来年以降は予定されていない

政府は、「定額減税や他の施策を実施して今年中に物価上昇を上回る所得を実現させる」ことを目標に掲げています。そのため、「来年以降も継続して定額減税を実施するかどうか」という点においては、継続の意思を示していません。

一方で、国民健康保険料の値上げや防衛費の財源確保に向けた増税なども予定されており、今回の減税分の活用方法を慎重に検討するよう促す専門家もいます。

まとめ

定額減税は国民が豊かな生活を維持するための制度です。定額減税が実施された背景には、不況の中でパンデミックや円安などが重なり、物価が高騰していることとも深く関係しています。

以前よりも生活が苦しくなったと感じる方や、先行きの見えない状態に困惑している方にとっては、減税分や給付金を受け取ることで安心できるかもしれません。その際は、家族や周囲と話し合い、手元に入った減税分の使用用途や活用法なども考えてみてはいかがでしょうか。

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