EQとは?意味や高EQ者の特徴、高める方法について解説
はじめに
- EQとは感情を理解しプラスの力を生み出す能力である
- 日本語では心の知能指数と翻訳される
- EQは日頃の意識や訓練によって後天的に能力を伸ばせる
- EQが高いと自身や周囲の感情への理解が深く、円滑なコミュニケーションを取れる
- 日記や周囲とのコミュニケーションなど、日々の生活で意識してEQを高めることができる
EQとは何か?
EQとは、自身や相手の感情に向き合ってコントロールをして、プラスの力を生み出し利用する能力を指します。1990年に、米国の心理学者ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏が提唱した理論です。Emotional Intelligence Quotientの略で、日本語では「心の知能指数」と翻訳されています。
プラスの感情はやる気やモチベーション維持へとつながり、結果に結びつきます。自分や相手の感情を正しく認識できれば、良好なコミュニケーションを築くことが可能になるでしょう。
IQとの違い
IQは、Intelligence Quotientの略で、知能指数を指す言葉です。知識や記憶力、問題解決能力などテストを通じて数値化したもので、数値が高いほど能力を有しているとされます。
EQとIQは必ずしも相関関係ではなく、IQが低くてもEQの高い人物がビジネスシーンで活躍する可能性も大いにあります。IQが優れていても、精神状態が安定せず十分な能力を発揮できなかったというケースも多いです。
先天的な要素の大きいIQと異なり、EQは日々の意識や訓練で後天的に能力を高めることが可能です。
SQとの違い
SQとはSocial Intelligence Quotientの略で、社会的知能指数とも訳されます。
2007年に米心理学者であるダニエル・ゴールマン氏がEQに続き提唱した新たな概念です。人間関係や社会性に着目し、自分の行動が他者へどのような影響を与えるかを考え、その場に適した行動を取れるかを測ります。
EQは感情を軸にした概念ですが、SQは周囲への影響や社会性が軸となっています。
EQを構成する要素4点
EQは大きく分けて以下の4つの要素で構成されています。
- 識別(Identify)
- 利用(Use)
- 理解(Understand)
- 調整(Manage)
これらの要素が複雑に絡み合い、補完し合う形で成り立っています。詳しく見ていきましょう。
識別(Identify)
自分や相手の感情を正しく読み取って理解を深める、EQの主軸となる要素です。喜怒哀楽をはじめとしたどのような感情を持っているかを正しく読み取ります。
人間の心理はささいな表情の変化や指先の動作など、さまざまな部分に現れます。EQが高い人物は相手の表面的な言葉や態度だけでなく、その裏に隠された気持ちをくみ取って、相手がどう感じているかを推察して読み取ることが可能です。
利用(Use)
課題を解決するために必要となる感情を生み出し、利用する能力です。
ライバルに負けて悔しい思いをして、その気持ちをバネに奮起した経験はないでしょうか。悲しみや怒りといった感情をそのまま発露するのではなく、行動の原動力に転換できれば、平時よりも高いパフォーマンスを発揮できることもあります。
感情をうまくコントロールして、プラスの力へと転換し利用するのもEQの要素です。
理解(Understand)
感情が沸き起こった原因を理解し、どのような変化をしていくのかを予測します。
大きなプレゼンを控えていて不安なとき、人前に出て話すことの緊張感から来ているのか、発表内容に自信が無いからなのか、原因が異なれば不安の種類や対策も違ってくるでしょう。
この能力は経験によって培われる要素が大きいです。後述するEQを高める方法を参考にして、伸ばしていきましょう。
調整(Manage)
上記3つの要素を踏まえて、どのような行動を取ればいいかを決断する能力です。自分や相手の感情を正しく認識し、理解を深めてどのような行動を取るのが最適かを決定します。
たとえば話し合いの場で自分と対立する意見が出たときに、反発する感情を押さえて、冷静で落ち着いた感情を引き出します。沸き起こった気持ちに識別・理解をして、その場に合わせた感情を生み出してコントロールし、利用するのが一連の流れです。
EQが高い人の特徴
高いEQを有している人は、感情について深く理解していてコントロールができるので、トラブルが起きても冷静に対処できます。相手の気持ちに寄り添ってコミュニケーションを円滑に取れるので、組織をまとめるリーダーとしての素質も持っています。
ビジネスシーンでもキーパーソンとなるEQが高い人の特徴について、詳しく見ていきましょう。
柔軟性がある
感情の理解に長けている高EQの人物は、自分とは異なる価値観も受け入れ、向き合う姿勢を取れる柔軟性を持っています。自分のウィークポイントを理解した上で他者に頼ることもできるので、独善的にならずチームワークを発揮して臨機応変に対処できるのが特徴です。
その場の感情に飲まれず、落ち着いて状況を整理できるため、問題解決能力も高い傾向にあります。
共感性が高い
他人の心の機微にも敏感で、相手を思いやり共感する力に秀でているのも、高EQ者の特徴です。表面的な言葉のみならず、表情や仕草からも気持ちをくみ取って、相手に寄り添う振る舞いができます。
人間の心は言葉だけでなく、とっさの行動や立ち居振る舞いにも現れます。そうしたサインを見逃さず敏感に察知し、ネガティブな気持ちを緩和して前向きな感情へと転換を促すことが可能です。
ストレス耐性がある
EQが高い人は自分の感情を見極め、ストレスの原因や感情の移り変わりを認識できるため、冷静な行動を取れます。一時の感情に流されず、ストレスに対してどのように向き合えばいいかを考えられるので、ストレス耐性が高いといえるでしょう。
仕事で失敗してしまったときも、ショックを受けていることを冷静に認識し、内省して次に生かすことができます。
EQを高める方法
先天的な能力が大きいIQと違って、EQは日々意識して訓練することで後天的に能力を伸ばしていけます。
ここからはEQを高める方法として効果的な行動について解説します。普段無自覚に使っている感情の動きや力に、意識を向けるだけでも違ってくるでしょう。
EQの意味や理論について知識を深める
EQとはどのようなものか詳しく知ることが、EQを高める第一歩となるでしょう。理論を世に広めるきっかけとなったダニエル・ゴールマン氏の著書を読んで、EQの意味や重要性について学んだり、EQに関する研修に参加したりするのもよいでしょう。EQテストを受けてみて、現時点で自分の心の知能指数がいくつを知ることも重要です。EQテストはさまざまな種類がありますが、ダニエル・ゴールマン氏によって作成されたものは200点満点で、平均値は100点となっています。
日記をつけて気持ちの揺れ動きを書き出す
日記をつけるのは、自分の感情に向き合う訓練になります。近日あった出来事や誰かに言われた言葉でどのような感情になったのか、気持ちの揺れ動きを可視化してみましょう。
起こった出来事やそのとき感じたことを書き出すことで、自分を見つめ直し、どのような行動をすべきだったのかを振り返ることができます。
人の話を遮らず耳を傾ける
相手への理解を深めるためには、人の話に耳を傾けて共感し、歩み寄ることが大切です。
もし自分の意見と異なる主張があっても途中で話を遮らずに、最後まで話を聞きましょう。普段はあまり交流しないタイプの人とも積極的に関わり、さまざまな意見を聞くことで、物事の多様性を知り、これまで自分には無かった視点や気付きを得られます。
良質な文学作品を鑑賞する
人と交流する以外では、読書をするのもおすすめです。良質な文学作品には、登場人物の心の揺れ動きや困難に立ち向かっていく様子が描かれています。読書を通じてさまざまな感情について知り、EQを高めることができるでしょう。
何を読むか迷ったら、ベストセラーや著名な賞の受賞作品など、多くの人に感動を与えた作品から挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
感情を正しく理解して前向きな力へと転換できれば、周囲とのコミュニケーションを円滑にしたり、潜在能力を引き出したりといった効果が期待できるでしょう。
EQは後天的に伸ばせる能力なので、日頃から感情について意識をして訓練すれば、今よりも高めることが可能です。EQを高めればビジネスシーンでも優位に立つことができ、就職・転職時にも心強い武器となります。