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コモディティ化の意味|実例や対策戦略までわかりやすく解説

date2024年09月05日
コモディティ化の意味|実例や対策戦略までわかりやすく解説
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はじめに

  • コモディティ化とは製品やサービスが差別化を失って同質化する現象
  • コモディティ化は独自性のある商品が普及する市場で生まれやすい
  • コモディティ化した製品やサービスには価格競争が生まれる
  • 市場の成熟とともに避けられない現象のため努力や工夫による対策が必須
  • コモディティ化の克服は新たなビジネスを生み出すチャンスにつながる

コモディティ化という概念に疑問を持つみなさんへ。本記事では、コモディティ化がビジネス環境にどのような影響を及ぼすのか、また、それにどう対応すべきかを詳しく解説します。

コモディティ化とは

コモディティ化とは、製品やサービスが差別化を失って同質的になる現象です。一般化や汎用化とも言い換えられます。コモディティ化した製品やサービスは、価格競争が主な市場の競争要因となります。これは企業にとって大きなリスクです。

なぜコモディティ化が発生するのか

コモディティ化はどのようにして生まれるのでしょうか。ここでは製品やサービスが標準化され、差別化が困難になるメカニズムを、その理由や原因と、市場への影響に焦点を当てて解説します。

同等品の普及

大きな市場では常に、そこに参入する企業はトップシェアを目指して競い合っています。その競争により、差別化された独自性のある商品にも近しい商品が登場し、やがては同等品の普及が始まります。その結果としてコモディティ化が発生し、価格競争が生まれてしまうのです。

開発技術の向上

技術革新によって生まれた優秀な商品でも、競合他社の技術が向上すれば同等品が生まれ、やがては市場を形成する業界全体の技術も上がっていきます。この生産技術の向上は優秀な商品から独自性を奪い、コモディティ化につながります。

生産能力の向上

生産能力は、市場のニーズを背景とした大量生産が進む過程で、目覚ましく向上します。その過程では複雑な製品を部品単位で生産する「モジュール化」や、共通部品を増やしてコストを下げる「共通化」、また形・大きさ・品質などを定める「標準化」が実現します。そしてこれらは大量生産による商品の普及を生み、それがコモディティ化につながるのです。

コモディティ化が起こる業界とその特徴

コモディティ化は顧客からの強いニーズが伴う市場で、独自性のある商品が普及する中で生まれる特徴があります。ここでは、この条件のもとでコモディティ化が生まれた業界の例と、その特徴について掘り下げます。

IT業界の例

かつては高価だったパソコンや液晶モニター、またスマートフォンも強いニーズを背景に、普及するにつれて価格が安くなりました。ここには開発技術の向上やモジュール化などの影響も大きく、大量生産かつ急速に普及する中でコモディティ化が進みました。現在の市場では、インターネットで性能だけでなく、価格においても容易に比較できるようになっています。

食品業界の例

食品業界のコモディティ化には、まさに生活必需品の例が当てはまります。顧客にとって必須のニーズに応えるべく、海外から低価格で輸入される食品などがそれです。それらは大手企業のプライベートブランドや冷凍食品としての加工を経て、低価格帯の商品としてコンビニやスーパーマーケットのような小売店に並びます。

人材分野の例

人材分野においてマニュアルと研修で対応可能な難度の高くない仕事をこなす人、つまり他者と差別化要素のない人材を標準化された商品になぞらえて、「コモディティ人材」と呼びます。

多くの職場で新人は、このコモディティ人材からのスタートです。この評価を脱するには資格取得や業務経験を積み、または個性を発揮して認められる努力やスキルアップなどで、ブランドのある人材になることが必要です。

コモディティ化の進行をどう読み解くか

企業が技術革新により新商品を開発してから、どのようにコモディティ化が進行するかを読み解いた代表的な研究に、A-Uモデル(アバーナシー・アターバック・モデル)と呼ばれる研究成果があります。本来のA-Uモデルは時代ごとに技術革新と生産技術の変遷を曲線化したものですが、ここではそれを簡略して解説します。

・アバーナシーとアッタ―バック(1978年)におけるA-Uモデル

アバーナシーとアッタ―バック(1978年)におけるA-Uモデル

引用|科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)赤門マネジメント・レビュー11巻10号 PDF P.667

A-Uモデルの解説

A-Uモデルでは、コモディティ化に至る段階を3つの非連結のパターンに分け、流動パターン(fluid pattern)・移行パターン(transition pattern)・特化パターン(specific pattern)として捉えています。流動パターンでは技術革新や新技術の開発といった「製造イノベーション」が最も高く、それゆえ量産や低コスト化を示す「生産イノベーション」は低い状態です。

その後に訪れる移行パターンでは生産イノベーションが高まり、量産による普及が進むことで市場が活性します。そして生産イノベーションにおけるデザインや規格が定まる特定パターンに至ると、同等品の充実からこれらが落ち着き、価格競争に発展するコモディティ化が最も発生しやすくなります。

非連結のパターン流動パターン移行パターン特化パターン
製造イノベーション
(技術革新や新技術の開発)
生産イノベーション
(量産や低コスト化)
コモディティ化が
最も発生しやすい

コモディティ化に打ち勝つ戦略

コモディティ化という市場の波にもまれながらも、差別化を図り、ビジネスを成功に導く戦略はどのように考えたらよいでしょうか。ここではコモディティ化に打ち勝つためのアプローチを紹介します。

付加価値による差別化

さらなる新技術の開発(技術革新)こそが、ベストな戦略と言えますが、簡単なことではありません。そのような場面でのコモディティ対策としては、ノベルティグッズやポイントカード、クラウドやAIとの連携など、新たな利便性を付加価値として提供する取り組みが有効です。

対象顧客の絞り込み

コモディティ化している商品とは、広く出回り一般化している商品です。そのため充実した市場で誰もが手に取れる商品と言えますが、年齢や性別、あるいは季節を限定したキャンペーンなどが打ち出せれば、対象顧客を絞った市場戦略が展開できます。

ストーリーやイメージ戦略

企業、あるいは商品やサービスに対して、顧客の愛着や信頼を獲得する「顧客ロイヤルティ」への取り組みも、コモディティ化に有効な対策です。つまり商品そのものだけではなく、商品開発のストーリーや自社のパーパスなどを訴えた、イメージ戦略によってブランド力を強化するのです。

開発のストーリーでは商品が大切にする思いや、イメージに沿ったタレントを起用することで、顧客第一の姿勢を伝えられます。またパーパスを通じては、つながる人や地域に対する思いを、企業理念とともに伝えられるでしょう。

まとめ

技術が長足の進化を遂げている昨今、コモディティ化は市場の成熟とともに避けられない現実と言えます。しかしこのピンチも、努力と工夫による対策で克服できれば、新たなビジネスチャンスにつながります。

コモディティ化への対策は、決して容易ではありませんが、本稿がみなさんの努力と工夫の糧となり、ピンチを覆す対策や新たなビジネス戦略につながる一助となることを願っています。

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