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「控除」とは何か?新社会人が知るべき基本知識と活用法

date2024年12月25日
「控除」とは何か?新社会人が知るべき基本知識と活用法
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はじめに

  • 控除とは金額を差し引くこと
  • 所得控除とは、「収入-必要経費=所得」からさらに差し引ける金額のこと
  • 税額控除の役割は、納める税額を小さくすること
  • 所得控除は15種類、税額控除は5種類ある
  • 税金の控除を受けるには年末調整、もしくは確定申告が必要

控除とは

控除とは、「金額を差し引く(必要に応じてある金額を取り出す)こと」を指します。一般的に「控除」が使われる場面は、税金を納める際や支払った医療費の負担を軽減するときです。

また、控除には「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。

所得控除とは

控除とはH3v3

収入から必要経費(給与所得者の場合は給与所得控除)を引いた金額のことを所得といいます。
所得控除とは、所得からさらに差し引ける金額のことです。

また、所得から所得控除を差し引いたものは課税所得と呼ばれます。所得控除の役割は、税金がかかる所得の範囲を小さくすることです。

税額控除とは

税額控除の役割は納める税額を小さくすることです。

課税所得に税額をかけると所得税額が算出されます。税額控除がある場合は、所得税額から差し引くことで、納める所得税額が小さくなります。

所得控除・税額控除にはどのようなものがある?

所得控除・税額控除の種類を以下から紹介します。

所得控除の種類

所得控除は15種類あります。

申告方法所得控除の種類概要
年末調整基礎控除合計所得金額が2,500万円以下の納税者が受けられる控除
社会保険料控除社会保険料を支払った際に受けられる控除
配偶者控除控除対象の配偶者がいる場合に、一定の条件を満たした納税者が受けられる控除
配偶者特別控除
扶養控除16歳以上の親族を扶養に入れている場合に受けられる控除
勤労学生控除学生であり、一定以下の所得がある場合に受けられる控除
ひとり親控除ひとり親の場合に受けられる控除
寡婦・寡夫控除寡婦・寡夫の場合に受けられる控除
障害者控除納税者本人・配偶者・扶養親族などが障害者や特別障害者に該当する場合に受けられる控除
生命保険料控除生命保険料を支払った際に受けられる控除
地震保険料控除地震保険料を支払った際に受けられる控除
生小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済や個人型年金の掛金などがある場合に受けられる控除
確定申告医療費控除納税者本人・配偶者・扶養親族などの医療費が一定額を超えた場合に受けられる控除
寄附金控除国や地方公共団体への寄附やふるさと納税などを行った際に受けられる控除
雑損控除災害・盗難・横領などによって損害を受けた際に受けられる控除

税額控除の種類

税額控除は5種類あります。

申告方法所得控除の種類控除を受けられる対象
1年目は確定申告が必要・2年目以降は年末調整でも対応可能
特定増改築等住宅借入金等特別控除住宅の新築・取得・増改築などを行った際に受けられる控除
住宅特定改修特別税額控除住宅の省エネ改修工事をした場合に受けられる控除
住宅耐震改修特別控除住宅の耐震改修工事をした際に受けられる控除
確定申告
配当控除株の配当金や投資信託の分配金を受け取ったときに受けられる控除
外国税額控除海外で課税された所得税を日本の所得税額から控除できる制度(二重課税を調整するための制度)

控除を活用するためには

税金の控除を受けるには年末調整、もしくは確定申告が必要です。
以下から、それぞれの方法についてご説明します。

年末調整で手続きをする

年末調整とは、給与所得者(会社員・アルバイト・パートなど)の代わりに、企業が所得税の過不足を調整する手続きのことです。年末調整の実施は、企業の義務でもあります。

給与所得者は、所属企業の年末調整で控除の申告ができます。
また、提出時には各控除証明書の添付が必要です。

確定申告で手続きをする

確定申告とは、納税者本人が1月1日から12月31日までの間に発生した所得・経費などを申告して、納税する手続きのことです。

「個人事業主」「年収が2,000万円を超える給与所得者」「年末調整で控除の申告ができない方」などは、確定申告が必要です。

確定申告で各種控除を申請する場合は、収入を得た翌年の2月16日から3月15日までの期間中に行いましょう。書面またはe-Tax(国税電子申告・納税システム)のどちらからでも申請できます。

年末調整と確定申告を両方した方がよいケース

控除を受けたい方の中で、以下に該当する方は年末調整と確定申告の両方を行いましょう。

  • 年末調整で手続きできない控除(医療費控除・寄附金控除・雑損控除・初回の住宅ローン控除など)を受けたい方
  • 1年間で6か所以上にふるさと納税を行った方(ワンストップ特例制度は、1年間の寄附先が5自治体以内と決められているため)
  • 年末調整までに控除証明書を用意できなかった方
  • 前職の退職金受け取り時に「退職所得の受給に関する申告書」を職場に提出しなかった方
  • 控除を受けたいが、職場に知られたくない方

法改正の見直しで控除はどのように変わる?

現在、国は「年収の壁」や「特定扶養控除」などを見直しています。
今後、生活はどのように変化していくのでしょうか。以下から解説します。

基礎控除・給与所得控除

2024年12月20日現在、国は「年収の壁」を見なおすために議論を行っています。
先述した通り、給与所得者の場合は税負担を軽減する措置として給与から給与所得控除が引かれています。給与所得控除額は年収ごとに異なり、最低控除額は55万円からです。
また、年間所得金額が2,400万円以下の納税者が対象となる「基礎控除」は一律48万円が適用されます。

最低控除額55万円と基礎控除額48万円を足すと103万円になることから、年収103万円までの方は所得税がかかりません。逆をいうと、103万円を超えると課税されるため、「103万円の壁」といわれています。

所得税がかからない年収を103万円から引き上げることは、基礎控除や給与所得控除額の引き上げを意味します。2024年12月20日現在、詳細は決まっていませんが、今後改正により働き方や税負担などが大きく変わる見込みです。

特定扶養控除

2024年12月、国は「特定扶養控除」における所得要件の見直しについて発表しました。
「特定扶養控除」とは、19歳から22歳の扶養親族をもつ扶養者に適用される控除のことです。19歳から22歳の扶養親族がいる世帯では、扶養者の所得税や住民税が控除されます。

ただし、扶養親族の年収が103万円を超えてしまうと適用されません。そのため、学生の多くはアルバイトのシフトを103万円以下になるように組まざるを得ない状態です。

生活費や学費を自分で工面しながら働いている学生にとっては、働き方や金銭面の悩みにつながりやすく、「もう1つの103万円の壁」と呼ばれて問題視されていました。
こちらの見直しについても、世間の関心が集まっています。

16歳から18歳の扶養控除

2024年12月20日現在、16歳から18歳を税法上の扶養に入れる場合は38万円の所得控除が受けられます。
一方で、2024年10月から、16歳から18歳の扶養親族1人につき毎月1万円(第3子以降は毎月3万円)の児童手当支給が開始されました。それに伴い、扶養控除を縮小する案が出ています。

具体的には、所得税が38万円から25万円に、住民税が33万円から12万円になる見込みです。
法改正後は、16歳から18歳を扶養している世帯の所得税と住民税の負担は増加しますが、児童手当拡充により、所得に関係なくすべての世帯で手取額が増加します。

iDeCo掛金の所得税・住民税の控除

2024年12月1日より、一部の方はiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金の上限額(拠出限度額)が引き上げられました。iDeCoとは、私的年金制度の一種です。
公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる制度であり、掛金は所得から控除できる措置が取られています。そのため、対象者は所得税や住民税の控除額が大きくなりました。

対象となるのは第2号被保険者(会社員・公務員)の方で、「勤務先で他の企業年金制度」に加入されている方です。
今回の改正では上記の方の掛金上限額の規定が、月額12,000円から月額20,000円に変更されました。

まとめ

「控除」という言葉に対して、とっつきにくいイメージをもたれている方が多いかもしれません。しかし、制度について正しく理解することで節税対策につながります。

また、先述した通り、国が「年収の壁」や「特定扶養控除」などの制度を見直していますので、今後はパートやアルバイトの働き方が大きく変わる見通しです。
将来の貯蓄や働き方のためにも、控除の対象者・種類・ニュースなどを知っておくと安心です。

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