クオーターライフ・クライシスとは?意味と対策を知ろう
はじめに
クオーターライフ・クライシスという言葉をご存じでしょうか。社会に出て数年、社会人として慣れてきたと同時にできること、できないことが見えてくるのが20代半ばという年齢です。この時期は不安に苛まれやすいのです。この記事ではクオーターライフ・クライシスについて詳しく解説します。新しく社会人になってからこの年代に突入するのはあっという間です。今のうちから陥りやすい困難の正体とその対策法を知っておきましょう。
クオーターライフ・クライシスとは?
クオーターライフ・クライシス(Quarter Life Crisis、QLC)とは「20代後半から30代半ば頃の年齢に陥りがちな人生の危機」のことです。社会に出てから数年が経って現実が見えはじめ、自分の人生や今後の生き方に悩んだり、他人の人生の方が良く見えてしまい落ち込んだりする状態に陥ることをいいます。アメリカやイギリスなどではよく知られる言葉です。
クオーターライフ・クライシスの原因
20代後半という年齢は、働きはじめる前に思い描いた理想と社会人生活における現実のギャップが見えはじめる頃です。ギャップが大きい人ほど葛藤に苦しむ可能性も大きいでしょう。また、平均寿命の大幅な飛躍のため、長い年月を労働に費やす人が近年増加しました。さらにSNSの発達で情報共有が容易になり、「いつまで働くのだろう、今の働き方を続けて本当にいいのだろうか」といった将来への不安を抱く機会が増えているのです。
クオーターライフ・クライシスの時期には、仕事に対して理由のないモヤモヤを抱えることもあるでしょう。そのようなときは仕事を辞めたいけど理由がない!理由なしのリスクと理由を導き出すには?の記事を読むのもいいでしょう。こちらを読んで、自分の考えを整理してみてください。
ミッドライフ・クライシスとの違い
クオーターライフ・クライシスは20代後半から30代半ばの若者がなりやすいものです。対してミッドライフ・クライシスは40代から50代の中年が陥りやすい危機です。「自分の人生は本当にこれでいいのか?」といった内面の葛藤が強いとされ、第二の思春期ともいわれます。
クオーターライフ・クライシスになりやすい人
クオーターライフ・クライシスに陥りやすいタイプはいくつかの種類があります。理想が高い人は現実とのギャップを感じやすい傾向にあります。また、もともとネガティブな考え方の人も強い不安に悩まされる可能性が高く、クオーターライフ・クライシスになりやすいといえるでしょう。
クオーターライフ・クライシスの5つのフェーズ
クオーターライフ・クライシスに関する著書があるオリバー・ロビンソン氏の論文によると、クオーターライフ・クライシスには5つのフェーズがあるといいます。
クオーターライフ・クライシスにおける5つのフェーズ | |
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フェーズ1 | 仕事、恋愛、あるいはその両者において、自分がした選択のせいで閉じ込められてしまっているように感じる状態です。 |
フェーズ2 | 「今の状態から抜け出さなければ」「思い切って行動すれば何かが変わるのでは」と思い悩む段階です。 |
フェーズ3 | 仕事を辞めたり、恋人と別れたりして、自分を今までの状態に押しとどめていたものと決別する段階です。あらゆるものから距離を置き、自分を見つめなおす状態に入ります。 |
フェーズ4 | ゆっくりと、だが着実に、人生を再建しはじめます。フェーズ3の結論を行動に移す段階です。 |
フェーズ5 | 自分の関心や目標に合致したことに、熱意をもって取り組める状態です。 |
フェーズ1~5を一度なぞれば終わりではなく、フェーズ2~4の状態を何度か繰り返してフェーズ5に至る場合もあります。不安や困りごとに悩み、どう対処するか考えて行動を起こし、現実に起こった結果に納得するという一連の経験がクオーターライフ・クライシスで必要なことです。
参照:東洋経済オンライン│悩めるアラサーが「世界中で激増」する明快な理由 QLC研究の第一人者が語る人生100年時代の困難│分岐点に立つアラサーたちの叫び│
クオーターライフ・クライシスの対処法
クオーターライフ・クライシスはただ避ければよいものではありません。思春期のように、経験することによって自らの成長を促せる側面もあるのです。しかし、クオーターライフ・クライシスから抜け出せないような事態になるのはよくありません。防ぐためにできることはいくつかあります。自分と向き合いながらも落ち込みすぎないよう対策をとっていきましょう。次項でその方法を解説します。
ならないための予防法
仕事のステップアップに挑戦したり転職したりして年収・スキル・実績を上げるといった行動は有効です。現実を理想のギャップが狭まるからです。また、他人と自分を比べないという心構えをもつことも予防法といえます。他人と自分を比べて落ち込むことはフェーズ1の入口になり得るからです。
キャリアアップとは?意味と類義語との違い・準備や選択肢から業種/職種別の方法までの記事では、キャリアップの基本からやり方まで詳しく解説していますので、あわせて参考になさってください。
なってしまったときの対策
前項でも述べたことですが、他人と自分を比べないことは、クオーターライフ・クライシスに陥って抜け出せなくなったときにも有効な考え方です。クオーターライフ・クライシスは自分探しの期間ともいえるからです。そのほか、理想と現実の何が違って何が問題なのかを書き出してみて、自分の課題を整理するのもいいでしょう。また、趣味に打ち込むといった仕事以外に打ち込めるものを見つけたり、メンターに相談したりするのもオススメです。
メンターとは?役割や求められるスキル、メンタリングの手順を解説の記事では、メンターの意味や役割、メンタリングの重要性などを解説しています。あわせて参考にしてください。
クオーターライフ・クライシス脱却のヒント
これまでの自分でこれからも大丈夫なのか、と思い悩んでしまいがちですが、「過去」と「他人」は変えられません。この事実から何を学びどのような行動するか、どのような人間にこれからなるか、という未来への考えかたの方が重要です。他人と比較して落ち込むだけでは何も変わりません。「他人は他人、自分は自分」という言葉の本質を理解して、自分の力で前を向けるようになることが、クオーターライフ・クライシスから脱却するためのヒントになるでしょう。
まとめ
クオーターライフ・クライシス(Quarter Life Crisis、QLC)とは20代後半から30代半ば頃の年齢に陥りがちな人生の危機のことです。現実と理想の差や平均寿命が伸びたことによる将来への不安から陥りやすいとされています。QLCにはいくつかのフェーズがあり、落ち込みや葛藤を経て、最終的に人生に対する納得感と自信を獲得します。落ち込みすぎないようにするためには、他人と自分を比べない、自分軸をもつといった心構えのほか、打ち込める趣味を見つけたりメンターに相談したりするといった行動も有効です。QLCは誰でもなる可能性があるものです。必要以上に落ち込まず、この記事で対処法を学び、対策しておきましょう。
最後のチェックポイント
- クオーターライフ・クライシスは20代後半から30代半ば頃に陥りやすい
- 現実と理想のギャップに思い悩んだり、他人と自分を比べたりすることで起こる
- クオーターライフ・クライシスには5つのフェーズがある
- いくつかのフェーズを乗り越えて、力強く前に進めるフェーズ5に到達する
- 乗り越えるためにはいくつかのヒントがある
- 他人と自分を比べない、自分の課題を乗り越えるといった対処法がある
- 打ち込める趣味をみつける、信頼できるメンターに相談するのもよい