圧迫面接とは? 企業の目的は? 圧迫面接の例と対処法を解説
はじめに
圧迫面接という言葉を聞いたことがあるでしょうか。昔からあると言われている面接手法のひとつです。就活、転職活動で避けて通れないのが面接です。人生をかけた場面で高圧的な態度をされては、面白い返しも出来たものではありません。この記事では圧迫面接とはどういったものか、実際に遭遇したときのための心構えを解説していきます。
面接の基本については「就職転職活動の面接マナー/服装/持ち物/から受付~退室まで全網羅(WEB電話面接にも対応)」の記事を参考にしてください。
面接にまつわるノウハウや対策方法を完全網羅! 面接について困ったときはぜひ以下のリンク先記事を参考にしてみてください。
圧迫面接とは
圧迫面接とは、企業側がわざと答えにくい内容の質問をしたり、威圧的な態度を取ったりといった面接のやり方のことです。人を採用したいはずの企業がこのようなことをする意味は何だろう、と思うかもしれません。しかし、圧迫面接を経験したことがあるという人は63.7%にもおよぶという調査結果もあります。圧迫面接の現実をみていきます。
参考:リクナビ就活準備ガイド│企業はなぜ圧迫面接をする?採用のプロが意図と対処法を解説!
圧迫面接は減っている?
圧迫面接を実施する企業は減ってきていると言われます。近年、パワハラ防止法が施行されたことからもわかるように、企業としてコンプライアンス違反は許されないことです。また、現代社会において圧迫面接はハイリスクであまりメリットがない手法となりました。録音された音声データがSNSでアップされ炎上したり、苦情を拡散されたりする可能性があるからです。
しかし、圧迫面接が完全になくなったという訳ではないようです。
圧迫面接をされやすい人はいる?
転職希望者より就活生のほうが圧迫面接をされやすい傾向があるようです。社会に出た経験のある人は、ひどい対応をされたときの受け止め方を本人がわかっている場合が多いでしょう。しかし就活生の場合、まだ学生であり社会のことをあまり知りません。圧迫面接ともとれるような厳しい態度の企業は、就活生に「社会とはこういうものだ」と教えたい気持ちがある可能性があります。
このような情報を頭に入れておくことで、万が一圧迫面接に遭遇したときも慌てずにすむ可能性が上がります。
圧迫面接をする理由・目的
そもそも企業が圧迫面接をするのはなぜでしょうか。理由のひとつとしては、中途より新卒の方が採用の難易度が高いということが挙げられます。就活生にはこれまでのキャリアが無いので、面接でいろいろな角度から実力を測りたいという事情があるのです。
就活生にストレス耐性があるか見たい
社会には多種多様な人間がいます。優しい人ばかりではありません。社会に出て働き始めると、意見が合わない人と出会うことも増えます。学生時代には経験したことがないような理不尽な思いをすることもあります。仕事でさまざまなストレスに囲まれることになるので、それに耐えられるかどうかを面接で試すために圧迫面接を実施すると考えられます。
圧迫面接を受けた場合、ストレス耐性をみたいのかもしれないと冷静に考え、落ち着いて乗り切りましょう。
就活生のコミュニケーション能力を試したい
企業という組織の中で仕事を遂行するにあたって、人とのやり取りは必要不可欠です。特に営業や販売職、マスコミ業界などでは高度なコミュニケーション能力が必要になります。営業ノルマが厳しく上司に叱責を受けたり、取引先から理不尽なクレームがきたりしても対応しなければなりません。
このような職種・業界で圧迫面接を受けたときは、実際の仕事で強いストレスがかかってもなおコミュニケーション能力を発揮できるかどうかをみている可能性があります。
就活生の本音を引き出したい
就活にあたって、面接の準備を入念にしている方も多いでしょう。質問対策がWebサイトに掲載されていたり、面接対策の書籍もたくさん売られていたりします。しかし企業としては、用意された答えではなく、その人の本当の考えを聞きたいところです。事前対策ができないような質問をすることで、就活生の素の本音を引き出したいというねらいがあるのです。
圧迫面接という予想外の事態にあっても、落ち着いてリカバリをしたいものです。
面接官が圧迫面接をするよう指示されている場合もある
圧迫面接をする目的はこれまで述べた通りです。しかし実際は面接官の考えで実施しているのではなく、上司や会社から圧迫面接をするように指示されておこなっている場合もあります。仕事で高圧的な態度をとってくる人にはこちらも割り切って対応しましょう。普段の面接と変わらずに受け答えできたら上出来ですが、難しい場合は対策を後述しているので参考にしてみてください。
圧迫面接の例
圧迫面接にはどういったものがあるのでしょうか。いくつか特徴的な内容のパターンがあるのでご紹介します。代表的な例を挙げるのでみていきましょう。
面接官の反応がない
何を答えても面接官から反応がない、逆質問をしても無視される。こちらが話していても、無言でずっとスマホをいじっているケースもあるといいます。このような態度を取られては、自らに非があるのかと考えてしまうところです。しかしこれは面接の方針でそのような態度であるか、あるいは単に面接官の態度が悪いだけのこともあります。質問にきちんと答えていれば、選考通過の可能性も十分にあるでしょう。
失礼な人のことは気にしないようにするのもひとつの手です。
なぜ? どうして? を繰り返す
何を答えても面接官が「なぜ?」「どうして?」を何度もしつこく聞いてくるケースです。このパターン、実は高圧的な態度をしているという自覚が面接官にない場合が多いのです。単純に応募者の経歴に興味があり、深堀りしたくてなぜ? どうして? を連発しているということです。しかし何度も「なぜ?」と問われると、面接を受けに来た応募者にとっては高圧的に感じてしまうということはあり得ます。
事前にこのことを頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。
態度が高圧的
面接官が椅子にふんぞり返っている、机に肘をついたり腕組みをしたりする。にらむ、ため息をつく、鼻で笑う。面接官の態度が悪く、高圧的なパターンです。このような態度を取られては、いくら面接の場といえども良い気持ちはしません。しかしそれこそが圧迫面接のねらいです。予想外のネガティブなコミュニケーションに遭遇したとき、どのような態度をとるかをみているのです。冷静に対応しましょう。
また、許容できないほどの態度である場合は、このページで後述する対策をとるのも有効です。
就活生の言葉を否定される
就活生が遭遇する圧迫面接で多いパターンが、話した内容を否定されるパターンです。「うちに向いていないんじゃないの?」「そんなことで勤まるの?」「すぐ辞めるんじゃないの?」など、面接官が否定的なことを言ってきたり、こちらが答えたことを頭ごなしに否定してきたりします。これも態度が高圧的なパターンと同じで、応募者の動揺を誘っていると考えられます。ひるまず、冷静に回答していけると良いでしょう。
不適切な質問をされる
面接の場にふさわしくない質問をされるパターンです。たとえば「彼氏はいないの?」という質問はセクハラにあたります。このような質問は論外であり、無理に答える必要はありません。そのほか、面接で下記の内容にあたる質問があった場合は就職差別につながるおそれがあり不適切です。回答を拒否しましょう。
- 政治信条、宗教思想に関する質問
- 家族構成や家族の職業、収入、地位などに関する質問
- 生活環境、家庭環境に関する質問
- 本籍や住居環境に関する質問
- 男女雇用機会均等法に抵触する質問
参考:厚生労働省│公正な採用選考の基本
圧迫面接じゃないケースもある?
面接官に笑顔がなかっただけで、圧迫面接だと受け取ってしまうケースもあるようです。実際は面接官が単に不愛想な人なだけかもしれません。たとえば年配の方が面接官の場合、応募者にとっては目上の人が黙っているだけで怖く見えることもあります。過度に緊張していると、ちょっとしたことから怖く感じてしまうこともあるかもしれません。恐怖に飲まれて圧迫面接かも、ブラック企業かもと思い込む前に、いったん心を落ち着けるのも手です。
面接で緊張しやすい人は「緊張せずに面接に臨むための対策法について徹底解説!」の記事も参考にしてください。
圧迫面接への対策・対処法
では実際に圧迫面接に遭遇したら、どのように対応したらいいのでしょうか。対策の方法を紹介します。圧迫面接に受かる人もいますが、必ずしも採用を受ける必要はありません。下記でご説明します。
表情は明るく態度は前向きに
想定外の質問が突然飛んできても、明るい表情と態度を崩さないようにしましょう。面接官は動揺を狙っているので、落ち着いて冷静に対応することが肝心です。愛想笑いで固まってしまうのではなく、あくまで明るい表情を見せながら意地悪な質問にもポジティブな姿勢で答えていきましょう。
圧迫面接をする側も意図があっておこなっている場合がほとんどです。怖い雰囲気に流されず、自分の考えをしっかりと伝えましょう。
なぜ?と繰り返されても焦らないようにしよう
先にも述べた通り、「なぜ?」「どうして?」と面接官が繰り返すのは、単純に応募者のことをよく知りたいと思っているだけの可能性が大きいです。焦らず、落ち着いて質問に答えましょう。よく質問を聞けば、今までやってきたことを詳細に答えるだけで良い場合が多いはずです。雰囲気に飲まれず、自信をもって質問に答えましょう。
困った場合は、言葉を変えてもう一度説明してみるのもひとつの方法です。相手の理解を促す助けになるかもしれません。
発言を否定されたら一旦受け止める
もし発言を否定されたら、落ち着いていったん受け止めてから自分の意見を述べましょう。面接官は応募者の動揺から本音を引き出したいと考えているはずです。しかしそれは意地悪でなく、応募者のことをもっと知りたいと思っての行動である場合が多いです。
このことを念頭に置いて、焦らずに面接官の言葉を受け止め、一つひとつ言葉を返していきましょう。面接官の態度が和らいでくる可能性があります。
もしかして圧迫面接をやらされている?と考える
訳が分からず困惑しているとき、心の中は不安が渦巻くものです。「もしかすると、面接官も会社に指示されて圧迫面接をやらされているのかも?」と仮定して質問に答えるようにすると、肩の力も多少は抜けるでしょう。不安に翻弄されて混乱するよりも、「面接官もやらされてこんな質問をしているのかも……」という仮定の下で道筋を立てて回答していくことで、心が追い付いてきて落ち着いてくることもあるでしょう。
嫌な思いをしたら誰かに相談しよう
精神的におかしくなるほど人格否定をされた、面接に無関係であるはずの個人的な事柄を聞かれた、怒鳴られたなどのハラスメントがあった場合は一人で抱え込む必要はありません。信頼できる人、学校や行政機関などに相談しましょう。
採用選考における苦情を受け付けてくれる機関はハローワーク、労働基準監督署などがあります。それぞれの所在地・連絡先は下記から確認できます。
参考:厚生労働省│ハローワーク
参考:厚生労働省│全国労働基準監督署の所在案内
選考・合格を辞退したい場合
圧迫面接をされて落ちたと思っていたら受かっていたというパターンもあります。しかし、どうしても嫌な気持ちをぬぐえない場合は、選考・合格を辞退しても問題ありません。圧迫面接をされても選考に受かる人であることは素晴らしいことです。一方で不快な思いをしたことは、このまま就職しても気持ちよく働けるかどうかという疑問につながることがあります。自分がしたいことができる企業はここだけなのか、よく振り返ってみましょう。仕事をする企業は自分で選んでいいのです。
面接中に辞退する
不快な思いをしてまで必ず圧迫面接に耐えなければいけないということはありません。この企業に受からなくても良いからこの場を今すぐ離れたいと感じた場合は、面接中に辞退しても構いません。その場で「辞退させていただきます」とだけ述べて、途中退室しましょう。無理に引き止められることもないはずです。
面接は応募者の適正を見る場であると同時に、応募者が働きたいと思える企業かどうかを見る場でもあるのです。
面接後に辞退する
面接中に辞退することに気が引ける場合は、面接後に辞退を申し出ましょう。圧迫面接を受けた後では企業に対して恐怖心が残ることでしょう。面接後の辞退連絡はメールで問題ありません。理由は「一身上の都合」で良いでしょう。
ただし、連絡を取るにあたり、面接からあまりに日が開きすぎるのはよくありません。できれば2~3日中、遅くとも1週間以内には辞退する旨を伝えましょう。
まとめ
圧迫面接という、面接を受ける側にとっては遭遇したくない面接手法について、実施する理由や面接のパターン、対応策をみてきました。現代では減少傾向にあるものの、完全になくなったわけではないようです。一次、二次面接は問題なく終わったのに、最終が圧迫面接だったという場合もあります。そのような大事な場面で失敗しないためにも、実際の事例や対策を読み返しておきましょう。
最後のチェックポイント
- 圧迫面接とは、わざと答えにくい内容の質問をしたり、威圧的な態度を取ったりといった面接のこと
- 実施されることは減ってきたものの、就活生は圧迫面接されやすい
- 圧迫面接の目的は応募者の能力や本音を引き出したいから
- あまりにも嫌な思いをした場合は途中退室や面接後の辞退も視野に入れる
- 問題のある質問を受けた場合は周りに相談しよう
- 圧迫面接で落ちたと思ったら合格している場合もある