面接で退職理由はどう伝える?理由8選と例文を解説付きで紹介
はじめに
転職活動の面接で「退職理由を正直に話すと、採用担当者によくない印象を持たれるのではないか?」と心配に思う方もいるのではないでしょうか。今回は、退職理由について上手に伝えるポイントや例文を紹介します。面接で質問されたときにどう答えたらよいか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
企業は退職理由から何を判断するのか
正社員でもパートでも、退職理由をうまく伝えるのは難しいものです。そもそも、なぜ前職の退職理由を聞かれるのでしょうか。質問される理由は大きく2つあります。
短期離職の懸念解消
人材育成には時間もコストもかかりますし、入れ替わりが激しいと業務に支障が出やすくなります。そのため、一般的に企業は長く勤めてくれる人を採用したいと考える傾向にあります。「入社してもすぐに辞めてしまうのではないか?」という短期離職の懸念を見極める材料のひとつとして退職理由についての質問をする企業も多いです。
自社に相応しい人材かの見極め
退職理由を通じて、志望者の意欲や重視していることを探り、自社にふさわしい人材かどうかを見極めようとしてもいます。転職を考えたのには本人なりの理由があったはずです。仕事に求めるモノがそこから理解できる、と会社側は考えるのです。
面接で「退職の理由」を上手に答える方法
ここでは、面接で転職の理由をうまく伝えるにはどうすればいいかをまとめています。同じ退職理由であっても伝え方の工夫次第で印象は大きく変わります。押さえておくべきポイントをチェックしましょう。
「退職理由」表現方法 3つの要点
退職理由について聞かれたときは
- 前向きな内容へ変換する
- 志望動機や入社意欲へつなげて一貫性を持たせる
- 面接では自信をもって話す
これら3点を意識して答えましょう。以下で詳しく解説していきます。
1 前向きに変換
前の職場に対する愚痴や不満をそのまま伝えることは避け、前向きな内容に言い換えしょう。ネガティブな退職理由をそのまま伝えると「仕事に対する意欲が足りないのではないか?」「入社後に嫌なことがあったらすぐに辞めてしまうのではないか?」と採用担当者にマイナスイメージを与えてしまうかもしれません。
例文
変換前「単純作業ばかりで退屈だったので辞めました」
変換後「幅広い分野に関われる仕事に携わり、自己成長をはかりたいと思ったので退職しました」「専門的なスキルを必要とする職種に転向し、自分の市場価値を高めたいと思い退職しました」
2 志望動機や入社意欲へつなげる
退職理由だけにとどまらず、志望動機や転職先で実現したいことを交えて話すとポジティブな印象になります。前職に不満があったから辞めたというよりも、理想とするキャリアプランを実現するために退職する必要があったと説明した方が、採用担当者の心証も良いでしょう。以下のように、企業に応募した理由と前職の退職理由をセットにして話すと伝わりやすくなります。
例文
「前職は資格取得に向けての勉強時間を確保する事が難しく望むキャリアを描けなかったので退職しました。御社には、未経験でも働きながら専門性の高いスキルを身に付けられる点にひかれて応募いたしました。」
3 面接では自信をもって話す
退職理由について聞かれたときは、自信をもってハキハキと答えましょう。小さな声で話したり伏し目がちだったりして、自信のない様子だと「何か他に話せない理由があるのでは?」と疑問を持たれてしまうかもしれません。質問をされたらどう答えるかの面接練習をしておきましょう。また、話すときの視線や姿勢も気を付けたいポイントです。相手の目を見て、明るく聞き取りやすい声で発言しましょう。
ポジティブな理由が思いつかない場合
ポジティブな退職理由がどうしても思いつかなければ、本音をそのまま伝えましょう。薄っぺらい内容になったり整合性を欠いてしまうより、納得感のある主張となります。ネガティブな内容でも、退職理由と志望動機の間に一貫性を持たせれば問題ありません。採用担当者は退職理由の質問を通じて、仕事に取り組む姿勢を探ろうとしています。転職を考えたきっかけやその背景を退職理由として話し、志望動機に一貫性を持たせて説得力を上げるよう意識しましょう。
嘘をつくのはやめましょう
少しでも良い印象を与えたいからといって、嘘をつくのはやめましょう。深く掘り下げて質問されたときにうまく答えられなかったり整合性に欠けていたりすれば、面接担当者にすぐ見抜かれてしまいます。また、嘘の退職理由を話して就職できたとしても前職場での不満が解消されていなければ、再び転職を考える羽目になってしまうかもしれません。
「理由別」の伝え方例8つ
退職理由としてよくあげられる理由8つについて、例文も交えて解説していきます。
人間関係が悪かった
人間関係がうまくいかずストレスを感じて辞めたという退職理由は、新しい職場では良い信頼関係を築いていきたいと言い換えることができます。
同じ会社で働く社員同士が協力し合って課題を解決することに焦点をあて、社内で円滑なコミュニケーションをとっていきたいと前向きに話しましょう。
例文
「前の職場は個人主義の傾向が強く、仲間意識が希薄な面がありました。お互いの強みを生かして達成感を分かち合えるようなチームでの仕事に取り組みたいと感じるようになり、転職しました。」
仕事が向いていなかった
仕事に向いていないという退職理由は「前職を通じてやりたい仕事が見つかった」「新しい環境に身を置いて自分の可能性を広げたい」と言い換える事が出来ます。
前職での経験と、そこで身につけたスキルを「次の職場でこんな風に活かしていきたい」と志望動機や自己アピールにつなげるとよいでしょう。
例文
「営業事務として社内のサポートが中心でしたが、働くうちに企画へもっと関わりたいと思うようになりました。部署の異動を希望したのですが5年以上実現せず、新しい環境にチャレンジしたいと思い、退職しました。」
パワハラを受けた
パワハラが原因でメンタルを崩して退職した場合、こんな被害を受けて辛かったと長々語ることは避けましょう。特に会社都合で退職している場合は「業務態度に問題があり、叱責を受けたことをパワハラと主張しているのでは?」といった誤解を与えないよう、客観的な事実を簡潔に伝えるのがポイントです。
例文
「毎月高い営業目標を達成するために、終電近くまでの残業や休日出勤を余儀なくされる環境でした。業務の効率化について上司に相談しましたが聞き入れてもらえず、改善は難しいと感じ退職いたしました。」
体調不良・病気になった
体調不良や病気が理由のときは、現在は回復していて問題なく勤務ができることを伝えましょう。特に離職期間が長い場合は、下手にごまかしたり言葉をにごしたりするよりも、正直に理由を話した方が信頼を得られます。また、業務上確認の必要がある場合を除き、病名や既往歴について触れられたくないのであれば無理に話す必要はありません。
例文
「前職では長期間労働や休日出勤が多く、体調を崩したため退職しました。現在は体調も回復し、医師からも就労の許可がおりています。」
親の介護が必要になった
介護が必要で退職した場合、今は状況が改善して働けるようになったことや、業務に支障が出ない根拠を示すことが重要です。病名や介護レベル、家族や介護サービスとの連携をとって無理のない介護体制ができていることなど、詳しく説明できるようにしましょう。入社後に介護のため休みを取る必要が出てきたときにも、配慮してもらいやすくなります。
例文
「母が高齢で介護が必要になったため、退職しました。現在、デイサービスの利用やホームヘルパーと連携を取って介護の負担が軽減できたため、また仕事が出来るようになりました。」
給料が少なかった
生活していくためにお金は必要不可欠ですが、金銭面の不満を前面に主張するのは好ましくありません。給与だけで決めたと思われないよう、これまでの具体的な実績やキャリアアップの意思を伝えましょう。また、結婚や出産などのライフステージの変化があったなど、収入増を求める理由について述べる方法もあります。
例文
「前職は伝統を重んじる社風で、若手社員の意見や成果が評価に反映されにくい部分がありました。現場に裁量権があり、若手にも活躍のチャンスを与えてくれる会社で働きたいと思い、転職を決意しました。」
残業が多かった
時間外労働は原則月45時間、年360時間までと法律で上限が定められています。残業時間の多さが理由の場合は、毎月どのくらい残業していたかを整理して、客観的に納得できる数字を提示しましょう。また、これまで残業にあてていた時間を有意義に使いたい、効率的に仕事をして生産性をあげたいなどの前向きなアピールで働く意欲を伝えましょう。
例文
「前職では毎月40時間以上の残業があり、自己成長のための時間を取ることが難しい状況でした。御社は資格取得支援制度が手厚く、働きながらスキルアップが望めると感じました。これまでの経験に加えて技術をさらに磨き、活躍したいと考えています。」
結婚した
近頃は結婚してもそのまま働き続けるケースも珍しくありません。なぜ仕事を辞めたのか詳しく質問される可能性があります。新生活で環境が変わったので退職する必要があった、結婚を機に働き方を変えたいと思ったなど、退職を考えた理由を補足しましょう。
例文
「結婚に伴い転居の必要があり、退職しました。引っ越しも済んで家庭も落ち着きましたので、これまで培ってきた経理の経験を活かした仕事がしたいと思い、応募いたしました。子育て支援制度に力を入れている御社で、仕事とプライベートのメリハリをつけて働きたいと考えています。」
「短期間での退職」の伝え方
短期間で退職している場合、応募した企業の採用担当から「もし入社してもすぐに辞めてしまうのでは?」と疑問を持たれるのは避けたいところです。「腰を据えて」など長く安定して勤める意欲があることを示唆したうえで、以下の2点に気を付けましょう。
- 志望動機とつなげる
- 前職の志望動機と一貫性を持たせる
うまく関連付けて担当者を納得させることができれば、短期離職していてもそれほどマイナスな印象にならないはずです。
志望動機とつなげる
ここでも退職理由と志望動機の間につながりがあると、担当者に「なるほど!」と納得してもらいやすくなります。前の職場では実現できなかったことや、それを踏まえて新しい職場ではどんな風に仕事に取り組んでいきたいかを、順序立てて説明しましょう。面接で志望動機をうまく伝えるコツについて知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
面接で志望動機を伝えるときのコツ(内容・長さ)とは【回答例あり】
一貫性を持たせる
同じ職種に転職する際は、前職の志望動機と今回の面接の志望動機が同じことを伝え、考えが一貫していることをアピールしましょう。
希望と違う部署に配属された、リストラにあったなど、短期離職のやむを得ない事情があった場合は正直に話しても構いませんが、言い訳ととらえられないよう表現に気を付けましょう。「似たような条件や同じ職種ならどこでもいいのでは?」と判断されないよう、応募企業を選んだ理由をしっかり伝えることが重要です。
まとめ
退職理由についての質問をされたときは、辞めた理由や前職での不満にとどまらず、仕事を通じて養われたスキルや入社後に実現したいことにつなげて自分をアピールすることが大切です。ポジティブな言い換えをして、将来を見据えた前向きな転職であると自信をもって面接に臨みましょう。
最後のチェックポイント
- 退職理由は前向きな理由に変換して伝える
- 短期離職しないか?自社に合う人材か?の大きな判断材料になる
- 志望動機や入社意欲につなげて一貫性を持たせる
- ポジティブな伝え方がどうしても思いつかない時はありのままで
- 原因の解決していない嘘の退職理由は避ける