【面接対策】よくある質問と回答例 最終面接・役員面接編
はじめに
とうとうたどり着いた最終面接。応募者の応募企業全体への理解度や社風や文化にマッチするか、自社に貢献できる人材かどうかがチェックされます。最後まで気を抜くことなく、準備と対策を万全にして臨みましょう。
5年後はどんな仕事がしたいですか。
この質問は、応募企業で働く具体的なビジョンがあるか問うことで、応募者の志望度の高さや企業への理解度を測る意図があります。応募企業でのキャリアプランなど、明確な目標を提示できることが重要になります。
5年後に応募企業でどう働いているかをイメージするためには、自己分析で自身のやりたいことや将来の目標を明確にすること、企業研究を進め、応募企業への理解を深めることが大切です。OB・OG訪問などで、実際に働いている人の話を聞いてみるのもよいでしょう。自分の目標と企業でやれることに共通点を見つけたら、その根拠を具体的なエピソードを交えて伝えましょう。
-
回答例
「5年後には、製品開発部において、御社の農業支援IoT製品の改良や新製品の開発に取り組んでみたいです。
学生時代のボランティア活動で農家の方を手伝ったことがあり、農業における生産プロセスの効率化や、労働力確保の必要性を強く感じました。御社の「先端技術で農業にイノベーションをもたらす」という理念に共感し、農業支援IoT導入の広がりに貢献していきたいと考えております。」
-
失敗例
「5年後には、まず配属部署での業務をしっかりと覚えて、いただいた仕事をミスなく遂行していきたいです。キャリアパスについては御社の規定に合わせて考えていきたいと思います。 今後の部署や役職など、特に希望はありません。どのような仕事でも積極的に取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。」
NGポイント
将来のキャリアプランがあいまいで具体性がないと、回答に説得力がなく、面接官も応募者の働く姿をイメージしづらくなってしまいます。また、「御社の規定に合わせます」などの回答は、主体性がないという印象を与えかねません。
そのほか、結婚や出産といったライフプランのことなど、プライベートな目標は質問の意図にそぐわないのでNGです。仕事に関することであっても、「将来は社長になります」といった、実現の可能性が低いように感じられる目標も、好印象を与えられるとは考えにくいです。
同業他社ではなく、なぜ当社を選ぶのですか。
「なぜ他社ではなく当社を選んだのか」という質問には、応募者の志望度や、業界の理解度を測る意図があります。この質問に答えるには、応募企業も含め、業界研究・企業研究をどれだけ行えているかが重要です。
まずは業界・企業研究で応募企業と同業他社を比較し、社風やサービス、事業内容などから他社にはない魅力や強みは何かを探ります。そのうえで、魅力に感じた部分と自分の志望理由を結び付け、「〇〇という魅力がある御社なら、自身の目標やキャリアプランが実現できる」と伝えられるよう、回答をまとめましょう。
-
回答例
「私が御社を志望するのは、役職や部署にとらわれず、多くの社員のアイデアを事業につなげる柔軟性と懐の深さを魅力に感じたからです。
御社が前年より立ち上げている新規事業においては、新人の方の提案を聞いて「斬新なアイデアで、実現の可能性も高い」と検討した結果、採用に至ったと聞いて非常に感銘を受けました。
私が雑貨店でアルバイトをしていたとき、店舗の集客改善のアイデアとして、バックヤードの在庫配置変更や事務業務の効率化を提案したことがあります。その結果、フロア担当スタッフがお客さまにより時間をかけて対応できるようになり、商品の売り上げ向上にもつながりました。その際、とても達成感を得られたことを覚えています。
入社したあかつきにはさまざまな視点からアイデアを提案し、御社に貢献できる人材になりたいと思っています。」
-
失敗例
「私が御社を志望するのは、IT業界で働くことを希望しており、その中でも御社の社風に強く共感したからです。A社やB社など、他社では残業や休日出勤が多く、働く場として魅力を感じませんでした。御社は従業員一人ひとりの働き方に寄り添い、休暇や子育て支援をはじめとしたさまざまな制度・給料面で手厚くサポートしていただけると知り、私もそのような環境で働きたいと感じました。
御社に入社したあかつきには、ITエンジニアとしてさまざまな業務に貢献できるよう、努めていきたいと存じます。」
NGポイント
「〇〇業界の企業だから」など、どこの企業でも言えそうな理由は適切ではありません。給与や福利厚生に関する理由も、仕事とは関わりがないので避けましょう。また、応募企業が優れている・魅力的な点を話題にする際には、他社への批判にならないように気をつけて伝えるようにしましょう。
当社事業の将来をどう成長させていきたいですか。
応募企業の将来像に関わる質問に答えるには、あらかじめ企業研究と自己分析をどれだけ行っているかが重要になります。自分の応募職種や目下の業務についてだけではなく、企業が行っている事業や企業全体への理解を深め、自分がやりたいこと・できることと結び付けながら回答を導き出しましょう。
答え方のポイントは、応募企業の課題やその改善案、将来像について客観的かつ具体的に自分の考えを述べることです。さらに、自身の志望理由やキャリアプランを踏まえて、応募企業の将来にどう関わっていきたいかを伝えましょう。
-
回答例
「私は、御社における美容家電事業のブランディングに携わることで、御社製品の競合優位性向上や市場拡大を目指したいです。いくつかの競合他社を含めた実店舗を訪れて感じたのですが、他社と比べて店の外観や内装、展示方法がターゲットの年齢層に合わない部分があると感じました。また、お客さまに製品を紹介する際には、実際に触ったり使用してもらったりするサービスなどがあれば、より満足のいく評価がいただけるようになると考えております。
私は前職で飲食店などのブランディング業務を経験し、客層に合わせた店舗のデザインやプロモーションの提案を行ってきました。その経験を活かし、御社事業の更なる成長に貢献していきたいです。」
-
失敗例
「御社の美容家電事業は、今後の成長が期待できる分野であると考えますので、私のこれまでの経験を活かしつつ、更なる市場拡大に貢献していきたいと考えております。」
「私なりに考えてはみたのですが、これまでに御社が培ってきた文化や経緯によっても、目指すべき将来像は異なるかと思います。入社した際には社員の皆さまの意見を聞き、成長の余地がある分野を見つけ、その発展に貢献できるよう努力してまいります。」
NGポイント
漠然とした回答や、「わかりません」などの答えでは、応募企業についての認識や理解が足りていない、志望度が低いと思われてしまいます。
企業の課題やその改善案、将来像については、企業研究を綿密に行ったうえで説明できるようにしましょう。応募企業の情報だけでなく、競合他社の情報と比較検討を行ったり、テレビやインターネットの関連ニュースを常にチェックしたりするなど、幅広く情報を仕入れることが大切です。
どんな仕事にやりがいを感じますか。
企業側は仕事のやりがいを質問することで、応募者の仕事に対する価値観や自社との相性をチェックしています。仕事にやりがいを持って取り組んでいるということは、その人物が報酬や待遇だけではないモチベーションを持って仕事をしていることの証になります。やりがいが自社の事業内容とマッチしていれば、自社での業務にも真摯に取り組んでくれる可能性が高い人材である、と捉えることができるのです。
回答の際は先に結論を言い、実際にやりがいを感じた経験を具体的なエピソードで話します。最後に、入社後にどのように活躍してやりがいを得ていくつもりなのかを伝えましょう。
-
回答例
「私は、目標達成できたときに、最もやりがいを感じます。
前職ではスーパーマーケットの副店長を勤めていたのですが、就任してすぐに、競合店の近隣出店などで店舗の売り上げが落ちてしまいました。私は月間の営業利益を店長就任前の水準に戻すことを目標にして、近隣エリアのニーズや競合店の強みを調査しました。そして、品ぞろえや価格の見直しをはじめ、さまざまなイベントやキャンペーンを打ち出して集客改善に取り組み、当初の目標を8%上回る営業利益を計上できました。
数値目標という明確なゴールがあることで、努力や成果が目に見えてわかり、私にとって達成感とやりがいにつながっていると思います。
御社に入社後も、そうした目標の設定と達成をもって、貢献できるよう尽力してまいります。」
-
失敗例
「私は、仕事がうまくいったときに、最もやりがいを感じます。
前職ではスーパーマーケットの副店長を務めていたのですが、店舗の売り上げが落ちてしまったときに、さまざまな方法で店舗の改善や業務の改革に取り組みました。スタッフの皆さんと協力しながら集客を行い、1年後には当初の目標以上の営業利益を計上することができました。そうした経験をもとに、御社に入社後も幅広い分野で貢献できるよう尽力してまいります。」
NGポイント
「仕事がうまくいったからやりがいを感じた」、「仕事が楽しかったからやりがいにつながった」など、抽象的な表現では自分の価値観やモチベーションがうまく伝わりません。「お客さまに感謝されたとき」や「他者に貢献できたとき」など、なるべく具体的に、エピソードを交えながら答えましょう。
最後に何か伝えておきたいことはありますか。
いわゆる「最後に一言」には、企業側がここまでの面接中に把握しきれなかった応募者の人柄を知ると同時に、応募者の不安や疑問を解消して、自社とのミスマッチを防ぐねらいがあります。言いそびれたアピールポイントや尋ねておきたい疑問点があれば、ここで忘れず伝えられるようにしましょう。
自己PRを行う際は、これまで答えてきた志望理由などの補足として、自分の熱意や強みを簡潔に伝えましょう。逆質問であれば、入社を見据えた質問をすることで、志望度の高さや入社意欲がアピールできます。また、面接のお礼を一言添えると、丁寧な印象になります。
-
回答例
「本日は面接の機会をいただき、心より感謝を申し上げます。
この面接では業界でも屈指の性能を持っている御社製品について、開発者の方から直接お話を伺い、理解をより深めることができました。また企業全体での、シェア拡大に尽力する熱い思いを知ることもでき、よりいっそう御社で働きたいという気持ちが強まりました。」
「本日は面接の機会をいただき、誠にありがとうございました。
入社した際には、前職でのエンジニアとしての経験を活かし、御社の事業に幅広く貢献できればと考えております。
最後に1点質問があるのですが、御社の技術職で活躍する方に共通する点があればご教示いただきたいです。」
-
失敗例
「ここまでの質問で、お伝えしたいことはすべてお話ししましたので、ここで言いたいことは特にありません。」
NGポイント
伝えることが特にない場合でも、「特にありません」は避けましょう。「最後に一言」は最終アピールの場と捉えることもできますので、ここで何もないと答えてしまうのはもったいないです。もし、どうしても伝えることが思い浮かばない場合は、お礼だけでも述べるのが望ましいです。
また、ここまでの質問で伝えた志望動機や、キャリアプランと矛盾があってはいけません。とはいえ、まったく同じ回答を繰り返すこともNGです。これまでの回答を踏まえつつ、もう一押しの熱意を伝えられるように工夫しましょう。
まとめ
最終面接の前には、これまで企業研究で調べた情報や、自己分析で見出した自身の価値観などを今一度整理しましょう。キャリアプランや志望理由に一貫性があるかを確認し、万全の準備を整えて臨むことが大切です。
最終面接は面接官を社長や役員が担当するなど、これまでと雰囲気が異なることも考えられます。どうしても緊張してしまいがちですが、ここまで来たことに自信を持ち、ぶれのない熱意を伝えましょう。