新入社員必読!入社後の保険証の切り替えトラブルと対策ガイド
はじめに
- 入社から保険証の受け取りまでは1~2週間程度かかる
- 社会保険手続きのために基礎年金番号やマイナンバーを準備しておく
- 新しい保険証が届く前の通院には健康保険被保険者資格証明書が必要になる
- 古い保険証が社保の扶養だった場合は扶養を外れておく
- 古い保険証が国民健康保険の被保険者証であれば脱退手続きが必要になる
- 社会保険には多くの補償制度や手当が備わっている
新入社員は勤務先の社会保険に加入します。社会保険には健康・介護・雇用・労災・厚生年金の5つが含まれており、このなかの健康保険から発行される重要な証明書が健康保険被保険者証(保険証)です。本稿では社会保険の加入や保険証の受け取りについて、具体的な手順や注意すべき点を解説します。
健康保険の手続きと注意点
社会保険のうち、健康保険からは医療機関で必要となる保険証が発行されます。発行までに1~2週間程度かかるため、受け取るまでの日数や古い保険証の返却忘れなどに注意が必要です。また3~4月の入退社が多い繁忙期には、通常期よりも発行に期間を要するケースもあります。
新入社員として順調にスタートできるよう、健康保険に関する手続きを把握しておきましょう。
書類や個人情報の準備について
社会保険の手続きは、新卒から新社会人となった多くの人にとって初めての手続きです。企業によって異なりますが、基礎年金番号通知書や年金手帳、マイナンバーなどの個人情報が求められますので、入社前に準備しておくとスムーズです。扱う情報も多く、新卒・転職ともにトラブルの多い分野ですので、求められる情報をよく確認して書類を作成し、提出前には間違いがないか再度確認しましょう。
新しい保険証を受け取るまで
ここでは新しい保険証の発行日数、受け取り場所や受け取り方法、保険切り替えの注意点について解説します。
保険証を受け取る場所と発行日数
ほとんどの場合、保険証は勤務先で受け取りますが、郵送されることもあります。個人情報や書類の提出後は企業と年金事務所の間で手続きが進むため、本人が何かをすることは特にありません。前述したように、発行までの日数はおよそ1~2週間程度ですが、繁忙期には3週間ほどかかる場合もあります。
必要な手続きについて
勤務先の社会保険に加入する際には、それまでの保険証を返却しなければなりません。扶養で健康保険に加入していた場合は扶養を外れる手続きが必要ですので、被保険者の方に連絡してください。またアルバイトやパートタイムなどで国民健康保険の被保険者だった場合も脱退手続きが必要です。国民健康保険の脱退手続きは被保険者本人で行う必要があるため、以下に挙げたものをそろえて加入手続きを行った役所で脱退手続きをしてください。この手続きを忘れると保険料の二重払いが発生します。また国保が負担した医療費も返さなければならないため、新しい保険証が届き次第、早めに手続きを行いましょう。
- 国保の脱退手続きの際に必要なもの
新しい保険証か社会保険の資格取得証明書
今まで使用していた国民健康保険の保険証
本人確認書(運転免許書、マイナンバーカードなど)
印鑑
- ※これらを準備して居住地の役所の担当窓口で手続きしてください。
新しい保険証が届く前に病気や怪我をしたら
新しい保険証が届くまでは手元に保険証を持っていない期間が発生します。この間は体調管理に気をつけないとなりませんが、それでも通院が必要となった場合は、どう対処したらよいのでしょうか。以下の項目で解説します。
保険証が届く前に医療機関を受診するには
新しい勤務先に入社して保険資格を取得した後であれば、保険証を受け取る前でも「健康保険被保険者資格証明書」の発行を受けられます。この証明書は「保険証の到着前に医療機関を受診する必要がある場合にのみ」発行を求められる書類です。医療費は一時的に10割の自己負担になりますが、後日申請により自己負担分を除いた還付を受けることができます。
こちらの記事、ストレスを上手に受け流すスルースキルの身につけ方6選では、若者や新社会人の健康と安心を促進する情報を紹介しています。合わせて参考にしてください。
社会保険の制度を活用する
社会保険は健康・介護・雇用・労災・厚生年金、5種類の保険の総称です。フルタイムで働く方(正社員かどうかは問わない)や一定の条件(※1)を満たしたパートタイムやアルバイトの方も加入できるため、ぜひこの制度を活用しましょう。以下の項目では、社会保険が持つ補償制度や手当について紹介します。
※1:週所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上、勤務期間1年以上見込み、学生ではない、従業員数501人以上の企業で働いている
社会保険が持つ補償制度や手当について
社会保険は健康保険をはじめ、さまざまな社会保障が一体になった保険制度です。各種保険のサービスだけでなく、申請することで受けられる児童手当や埋葬費のほか、出産や傷病で働けなくなった際に収入の一部を補償してくれる手当もあります。これら社会保険が持つ制度や手当について代表的なものを以下の表にまとめました。
社会保険に含まれる保険制度と代表的な手当 | |
---|---|
健康保険 | 年齢により医療費の自己負担率が1割~3割になるほか、出産手当金や傷病手当金(標準報酬日額の2/3)、被保険者本人や家族の埋葬費(5万円)などの手当がある。 |
介護保険 | 被保険者が特定疾病(40~64歳のみ)あるいはあらゆる怪我や疾病(65歳以上)により要支援・要介護となった場合に介護サービスを利用できる。 |
雇用保険 | 被保険者が失業や休業で働くことができなくなった際、生活の安定や求職活動の支援のために、失業手当や傷病手当といった給付金が支払われる。 |
労災保険 | 業務上や通勤途中に起きた怪我・病気・障害・死亡などが起きた場合に、被災労働者やその遺族に一定の給付金が支払われる。 |
厚生年金 | 全ての国民(20歳~60歳未満)が加入する「国民年金」と並ぶ公的年金制度。会社員や公務員が加入し、65歳以上になった際に保険料を納めた期間と働いた期間の賃金に応じて計算された年金が国民年金に上乗せして支払われる。 |
こちらの記事、【新卒の初任給】給料の平均や基本給と手取りの違いは?では、新入社員の初任給について解説しています。また、新卒の有給はいつから取れる?新入社員が覚えておきたい有給取得のマナーでは、新入社員の有給休暇について解説しています。合わせて参考にしてください。
まとめ
新入社員と保険証について、その注意点も含めて解説しました。現在は保険証の利便性をより高めるべく医療機関でのマイナ保険証対応も義務化され、2024年秋の一本化を目指した政府主導の取り組みも進んでいます。また保険証は健康保険だけでなく、社会保険が持つ多くの制度につながる重要な証明書です。しかし、そこに紐づく個人情報も多いため、切り替え時にはトラブルにつながらないよう、十分な注意を払って適切な管理を心がけてください。