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◢◤アイメッセージとは?◢◤意味や使い方、ユーメッセージとの違いを解説

date2024年01月25日
◢◤アイメッセージとは?◢◤意味や使い方、ユーメッセージとの違いを解説
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はじめに

  • アイメッセージとは、「I=私は(が)」を主語にして、自分の意思や要望を伝える会話テクニックである
  • 相手に配慮しつつ自分の考えを伝えることができる
  • 遠回しな表現になるため、要望が相手にうまく伝わらないときもある
  • 相手と対等な立場で円滑なコミュニケーションをとりたいときはアイメッセージを使おう
  • 上司と部下といった上下関係での要望伝達にはユーメッセージを使おう

アイメッセージとは?

相手に配慮しつつ自分の気持ちや考えを伝えるコミュニケーションの手法を、心理学ではアサーティブコミュニケーションといいます。アイメッセージ(I message)はアサーティブコミュニケーションの1種で、「I=私は(が)」を主語にして相手に自分の意思や要望を伝えるテクニックです。
元々は、アメリカの臨床心理学者のトマス・ゴードン博士が、子どもへの適切な接し方を親へ指導する際に提唱したものですが、現在ではすべての人間関係に応用できるといわれています。
アイメッセージはなぜ重要なのでしょうか。以下から、意味や必要性、ユーメッセージとの違いをご紹介します。

アイメッセージの意味

アイメッセージはなぜ重要なのでしょうか。以下から、意味や必要性、ユーメッセージとの違いをご紹介します。

アイメッセージとは

先ほど述べた通り、「I=私は(が)」を主語にして、自分の気持ちや考えを伝える方法が「アイメッセージ」です。
「私は~と思う、だからあなたに〇〇してほしい」のような話し方は、「私」を軸にした意思表示となります。このため、強制感を減らしつつも相手に要望を伝えることが可能です。
はっきり気持ちを伝えることに苦手意識がある人や、きつい言葉遣いをしてしまいがちな人にオススメのコミュニケーション方法といえるでしょう。

ユーメッセージの意味

「アイメッセージ」とは反対の「ユーメッセージ」という伝え方もあります。
「You=あなたは(が)」を主語にして自分の考えや要望を伝えるコミュニケーションの手法が、ユーメッセージ(You message)です。
「あなたは○○をしてください」という表現は、やるべきことが簡潔に伝わります。しかし、受け手側が「~をしなさい」「~をするべきだ」といった非難や一方的な命令として捉えるケースがあり、人間関係が悪くなるおそれもあります。

それぞれの使い分け

アイメッセージは、相手と対等な立場で円滑なコミュニケーションをとりたいときに向いています。一方、上司から部下への命令には、はっきりとした指示であるユーメッセージを使うのが向いています。

アイメッセージを活用すべき場面とは?

相手のミスを指摘したり自分の要望を伝えたりする必要が多いビジネスシーンにも、アイメッセージは有効です。
次項では、アイメッセージを使う際のメリットやデメリット、言葉以外でアイメッセージを伝える方法などをご紹介します。

アイメッセージのメリット

  • 他者を尊重しながら自分の意志や考えを主張できる
  • やわらかい表現で伝えることができる
  • 人間関係が良好になりやすい

アイメッセージで伝える言葉は「私は~と思う」という意見、つまり私見です。
相手を批判したり相手の行動を制限したりするニュアンスは含まれません。
「私は~をしてほしいです」、「私は~だと思います」といった形式ですので、他者を尊重しながら自分の意思や考えを主張できます。
アイメッセージで話す人には周囲も安心感を覚えやすいので、人間関係も良好になりやすいです。

アイメッセージのデメリット

  • 意図が相手にうまく伝わらない場合がある(あいまいな伝え方になりがち)
  • 業務指示など、はっきりと指示を伝えるには不向き

「私の意思」や「私の考え」を伝えただけでは、相手も対応に困るケースがあります。
自分の意図が相手に通じなかったり、相手がどのように対応していいかわからなかったりする可能性も懸念されるでしょう。
とくに、業務上の指示や依頼などを明確に伝えるべき場面では、アイメッセージの使用は不向きです。状況に合わせて使い分けることが大切です。

このように、アイメッセージとユーメッセージが適切な場面は真逆といえます。
以下の図はアイメッセージとユーメッセージの違いをわかりやすく説明したものです。

メリットデメリット
アイメッセージ
  • 他者を尊重しながら自分の意志や考えを主張できる
  • やわらかい表現で伝えることができる
  • 人間関係が良好になりやすい
  • 意図が相手にうまく伝わらない場合がある
  • あいまいな伝え方になりがち
  • 業務指示など、はっきりと指示を伝えるには不向き
ユーメッセージ
  • 相手に指示をはっきりと伝えられる
  • 要望を直接伝えることができる
  • 指示のみが伝わるため、命令的になる
  • どういった思いでいっているのかが伝わりにくい
  • 人間関係が悪化するおそれあり

言葉以外でアイメッセージを伝える方法も

言葉と同時に表情でアイメッセージを伝えることも可能です。
たとえば、上司が忙しい中で仕事の相談に乗ってくれた場合は、「ありがとうございます(私は感謝しています)」というアイメッセージを笑顔で伝えられるでしょう。
また、両眉をあげて目を大きく見開くと、「(私は)あなたの話に興味があり、真剣に聞いています」という心理的効果を与えるともいわれていますので、アイメッセージとして活用するのもオススメです。

アイメッセージ/ユーメッセージの例

アイメッセージの例

  1. 「(私は)あなたの仕事の進捗状況がわからなくて困っています」
  2. 「(私は)あなたの言葉に傷つきました、悲しいです」
  3. 「(私は)あなたがもう少し早く書類を仕上げくれると助かると思っています」

ユーメッセージの例

  1. 「(あなたは)私にきちんと仕事の進捗状況を報告してください」
  2. 「(あなたは)私に酷いことをいうべきではありません」
  3. 「(あなたは)もっと早くに書類を仕上げることはできないのですか」

内容は同じでも、ユーメッセージの方が相手に辛辣な印象を与えます。一方、アイメッセージだけでは表現があいまいになりがちであるため、相手に真意が伝わらない可能性もあるでしょう。

これを解決するには「アイメッセージとユーメッセージを段階的に使う」方法が有効です。次項で実際の使い方をみてみましょう。

アイメッセージを効果的に伝える方法

アイメッセージをさらに効果的に伝えるテクニックがあります。
以下の順に段階を踏んで、アイメッセージ、ユーメッセージを使います。

  1. 事実を伝える

    相手の起こした行動(事実)を角が立たないように伝える。
    「あなたは(事実)をしています」

  2. アイメッセージを使う

    具体的に相手の行動がどのように自分へ影響を与えており、どのように感じているかをアイメッセージで伝える。
    「(私は)負担に感じており、あなたに〇〇してほしいと思っています」

  3. ユーメッセージを使う

    アイメッセージだけでは伝わらない場合、次の手段として、ユーメッセージで相手への要望を具体的に伝える。
    「以前にもいいましたが、(あなたは)○○すべきです」

1と2はセットで伝えましょう。要望を受け入れてもらえた場合はここで会話を終了しますが、意図が伝わりきらない場合、3に移行します。

1の事実と2のやんわりとした言い回しでの要望をセットで伝え、それでも伝わらないときは3の直接的な表現を使うことで、ワンクッションを置きながらも要望を強く伝えることが可能になります。

実際の会話での使い方

実際の会話で活用した例です。

  1. 事実を伝える

    「会議のとき、(あなたが)きつい物言いをしているという意見がありました」

  2. アイメッセージを使う

    「だから、(私はあなたに)もう少し穏やかな言い回しを心がけてほしいと思っています」

  3. (2で伝わらない場合)ユーメッセージを使う

    「(あなたは)言い回しをもっとソフトにすべきです。私も大変傷つきますし、他の社員からもクレームが複数きています」

アイメッセージで要望を一度やんわり伝えているので、ユーメッセージを使ってもきつい印象を与えすぎずに、相手に要望をはっきり伝えることができます。

また、1と2を伝える際には、前項で述べたような「表情でアイメッセージを伝える技法」を取り入れるのもよいでしょう。

まとめ

アイメッセージとは、「I=私は(が)」を主語にして、自分の意思や要望を相手にうまく伝える会話の技法です。相手に配慮しつつ自分の考えを伝えられます。
しかし、遠回しな表現になるため、要望が相手に伝わらない可能性があるというデメリットもあります。
そのときは、「You=あなたは(が)」を主語にしたユーメッセージを使って、直接的な表現で相手に要望を伝えましょう。
円滑な人間関係の構築にはアイメッセージ、上司から部下のような上下関係における要望伝達にはユーメッセージが向いています。
これらの会話テクニックは仕事のさまざまな場面で役立つでしょう。

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