電話応対の基本マナー!例文と対処法を解説
はじめに
新人のころ、はじめに戸惑うのは電話応対ではないでしょうか。言葉遣いに自信がなく相手の声が聞き取りづらいと感じて、苦手と思う方も多いでしょう。この記事では、フローチャートを使ってマナーをマニュアル化しわかりやすく解説します。電話応対に自信をもっていただけると幸いです。
電話応対で心がけること
基本は、明るく丁寧な言葉遣いで相手の話を聞き、正しい情報を把握することです。以下で電話応対に必要な3つの心がけることをご説明します。
会社の顔であることを意識する
最初の電話応対がその企業の印象を決めます。そのため電話に出ることが苦手と思う方もあると思います。仕事をするうえで電話応対は必須です。取引先や、どのような相手からの電話でも、自分の応対が会社の印象につながるため、自分が会社の顔であると意識するように心がけましょう。
「もしもし」の代わりの言葉と正しい言葉遣い
ビジネスにおいては「もしもし」という言葉は使いません。よい印象を与えない可能性があるからです。電話を受けた時は「お電話ありがとうございます」電話をかけた時は「お世話になっております」に言い換えましょう。
正しい言葉遣いができれば失礼にあたることはありません。
聞き取れなかったら再確認をする
電話では、相手の言葉が聞き取りづらいことがあります。大切な情報を聞き逃してしまっては大変です。失礼とは思わずに再確認をしましょう。
「もう一度お願いします」ではなく、「もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」と相手を尊重した言葉選びを心がけましょう。
電話応対がしっかりしていない企業はこのようなイメージを持たれてしまう例です。ブラック企業の特徴|入社しないために見分ける方法【失敗しない会社選び】業務上必須のアイテムである電話の応対を身につけることは重要といえるでしょう。
電話を受けるときのマナーと流れ
電話を受けるときの流れをフローチャートにまとめました。それぞれの場面で気をつけるマナーと例文を紹介します。
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受話器をとってあいさつと名乗りをする
受話器をとるタイミングとあいさつの言葉、名乗る際に気をつけることを覚えましょう。
3コール以内に受話器をとる
企業の受付業務では、3コール以内に受話器をとることが推奨されています。相手を待たせないという配慮からです。3コールを越えてしまったら、「お待たせしました」「長らくお待たせいたしました」の言葉を添えましょう。
あいさつの言葉を添える
はじめに「お電話ありがとうございます」と一言を添えると丁寧です。企業によって定型の表現もありますので、確認しておきましょう。
社名・氏名を伝える
社名と氏名は、早口にならないように、わかりやすく伝えることが大切です。
たとえば、「お電話ありがとうございます(一拍)株式会社○○(一拍)担当(一拍)○○がお伺いいたします」のように、短い一拍を入れることで聞き取りやすくなります。
相手の会社名・氏名を確認する
相手が名乗ったあとに「○○会社の○○様ですね。いつもお世話になっております」と復唱するとよいでしょう。
メモをとり復唱する
電話応対では、正しい情報の把握が重要です。受話器をとる前から手元にメモ用紙を準備し、メモをとる癖をつけましょう。漢字・数字・日時・金額など重要な内容は、「復唱させていただきます」と伝え、一つひとつ確認しましょう。
電話の取り次ぎと問い合わせ
用件を聞き、取り次ぎか問い合わせかを判断します。
電話を取り次ぐ
「○○部の○○ですね。少々お待ちください」と返事をして、電話を保留にしましょう。取次相手が近くに居ても、社内の話し声が聞こえるのは失礼にあたります。
問い合わせに答える
問い合わせ内容に回答できる場合は速やかに答えます。社内で確認事項や相談事があった場合は保留にしましょう。
長くお待たせする時は「お待たせして申し訳ございません」とおわびをします。時間がかかる理由を伝えたうえで、「もう少しお待ちいただけますか」もしくは「折り返しご連絡させていただけいてもよろしいですか」と、相手の都合を確認しましょう。
担当が不在の時
担当者が不在の時は、不在理由を伝えたうえで相手の意向を確認しましょう。「申し訳ございません。○○は席を外しております。○時頃戻る予定ですので、折り返しお電話をさせていただいてもよろしいでしょうか」など、こちらから働きかけることを前提に対応すると角が立ちません。
緊急の場合も連絡先を伝えることはせずに、「担当に連絡し折り返しさせますので、ご了承ください」と、連絡先を伝えられないことの意思表示も必要です。
伝言メモを残す
担当者が不在で伝言メモを残す場合は、以下を例に簡潔にまとめましょう。
- 入電日時:
- 相手の企業名(部署名):
- 相手の氏名:
- 連絡先:
- 伝言内容:
- 折り返しの連絡:相手より・こちらから
- その他
電話番号や日時・数字などはトラブルの原因になりやすいので、復唱して正確に伝えましょう。
返答に迷う電話を受けたとき
自分では回答できない内容の電話を受けた時は、「恐れ入ります。わかりかねますので確認のうえ、のちほどお電話をさせていただいてもよろしいでしょうか」と伝え、即答は避けましょう。「いつまでにお返事をさしあげたらよろしいでしょうか」「お電話さしあげる際、ご都合の悪い時間帯などございますか」など、相手の予定を確認して、折り返し電話をしましょう。
電話をかけるときのマナーと流れ
電話をかける時にもマナーがあります。フローチャートにそって例文とともに解説します。
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用件をまとめ手短に伝える準備をする
報連相(報告・連絡・相談)でも言われるように、用件は結論から伝えます。短時間の電話のやりとりで正しく・簡潔に用件を伝えるために、前もって伝えるべきことを整理しておくとよいでしょう。伝え漏れなどの予防につながります。
営業時間内の電話が基本
電話をかける時間は基本的に営業時間内と心得ましょう。忙しいことが予想される始業間際や就業直前、離席の可能性の高い昼食時間帯などは避けたほうがよいでしょう。やむを得ず早朝に電話をかける時は「朝早くに恐れ入ります」終業後は「夜分に失礼いたします」など、最初に一言添えると丁寧です。
社名・氏名はハッキリ名乗る
電話を受けた時の名乗りと同様に、相手が聞き取りやすいように、早口にならずハッキリと名乗りましょう。相手がメモをとっていると想定して、社名や氏名の前に一拍おくと伝わりやすくなります。
用件は結論から簡潔に伝える
電話を受けた人がすべての質問に回答できるわけではありません。取り次ぎをお願いしたいのか、問い合わせをしたいのか、電話をした目的や用件をしっかりと伝えましょう。
取り次ぎをお願いする
名乗りのあとに、「○○部の○○様はいらっしゃいますでしょうか」と担当者の部署や氏名を伝えましょう。
問い合わせをする
問い合わせについては、電話を受けてくれた方が回答できる場合と、専門部署へ取り次ぐ場合があります。何についての問い合わせかを伝える必要があります。
「御社の○○についてお伺いしたいです。担当の方をお願いできますでしょうか」「御社の○○を利用しています。○○の状態です。解消方法を教えていただけますか」など、用件を簡潔に伝えましょう。
相手が不在の場合は
相手が不在の時は、「お戻りは何時ごろでしょうか」と相手の予定を確認して「それでは、こちらから、あらためてお電話をさしあげます」などと意思を伝えましょう。
簡単な用件であれば「○○より電話があったことをお伝えいただけますか」と伝言を依頼しましょう。
電話を受けてくれた方の氏名を「恐れ入ります。もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」と確認して控えておくと安心です。
電話はかけた人から切る
電話はかけた人から切るのがルールです。「失礼します」とことわり、静かに受話器をおきましょう。乱暴に受話器を置くと、相手にガチャンと大きな不快音が伝わります。丁寧な言葉づかいができても、印象を悪くしてしまうでしょう。
業務で電話応対の多い職種を紹介しています。一般事務とは?仕事内容/給料/必要スキル/向いている人 営業事務のここが知りたい!仕事内容や志望動機/キャリアプランとは?どちらも事務職です。事務職以外でも、社会人として正しい電話応対は覚えておきましょう。
電話応対のコツまとめ
上手に電話応対ができるためのコツをご紹介します。
敬語を使えるようになろう
電話応対の時だけ敬語を使おうとしても、なかなかうまくいくものではありません。
以下の表では、電話応対時によく使われる言葉遣いをまとめました。普段から敬語を使えるように覚えましょう。
言葉遣い一覧 | |
---|---|
自分 | わたくし |
相手 | ○○様 |
相手の会社 | 御社 |
自分の会社 | 弊社 |
お客さん | お客さま |
言う | おっしゃる 申しあげる |
聞く | お聞きになる |
見る | ごらんになる 拝見する |
行く | うかがう・参ります |
来る | いらっしゃる お越しになる |
さっき | さきほど |
あとで | のちほど |
理解した | かしこまりました 承知いたしました |
わからない | わかりかねます |
すいません | 申し訳ございません |
知っている | 存じあげております 知っていらっしゃる・ご存知 |
どうしますか | いかがなさいますか |
クッション言葉を活用しよう
クッション言葉とは、ことわりや依頼など直接伝えるとキツくなってしまう場合に、先に使うことで印象を和らげてくれる言葉になります。相手に不快な思いをさせないためや自分自身の心の負担も軽減できる緩和剤といえるでしょう。
「差し支えなければ」「失礼ですが」などは、聞きづらいことを尋ねる時に有効です。「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」「お忙しいところ申し訳ありません」などは、何かを依頼する時に便利です。
英語対応もこの2語で大丈夫
電話を受けた時、相手が英語で話しはじめたら、英語が得意でない人にとっては戸惑うことでしょう。このような時も慌てずに2つの英文を覚えておくと便利です。
「Hold on please」(そのままでお待ちください)
「I’ll get someone who speaks English」(英語を話せる者に代わります)
社内で英語の得意な人を把握しておくことも大切です。
普段の練習も重要
電話応対はコンクールや電話応対技能検定などもあり、書籍やアプリなども多くあります。コンクールや検定目的でなくても、本を読んだり問題集を解いたりしてみるのも自信につながるでしょう。
言葉遣いなどは慣れも必要です。普段から練習することをおススメします。
まとめ
電話応対は言葉遣いや聞き取りづらさなどハードルが高いと感じる方も、相手を尊重した心づかいができれば、失礼にあたることはかなり少なくなります。流れを把握して言葉遣いを練習すると解決できることもあります。
苦手だからと電話に出ないことはせず、前もって準備・練習をしましょう。会話中につっかえたら「失礼しました」と素直に伝えれば大丈夫です。怖がらずに電話応対ができるようになりましょう。
最後のチェックポイント
- 電話応対の基本は、明るく丁寧な言葉で相手の話を聞くこと
- ビジネスにおいては会社の顔であると意識する
- 聞き取れなかったら再確認を行う
- 受ける時・かける時の流れとマナーを覚える
- 言葉遣いは普段からの練習が大切