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職務経歴書の常識を読み解く! 退職理由とそのウラ側とは?

date2024年01月26日
職務経歴書の常識を読み解く! 退職理由とそのウラ側とは?
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はじめに

職務経歴書にはいろいろな項目がありますが、中でも退職理由は書き方に悩まされる項目のひとつです。ストレートに書いていい退職理由は? ありのままに書かないほうがいい退職理由はあるのか? 書き方はどうしたらいい? この記事ではそのような疑問に答えるべく、さまざまなケースを取り上げてみました。退職理由を書くときの参考にしてください。

職務経歴書の書き方について悩んでいる方はこちらの記事をご覧ください。書き方のコツや職種別の書き方例、チェックポイント、送り方まで解説しています。

退職理由を書くべきワケとは

退職理由を書くべきワケとは

短い定型文でも構わないので退職理由は必ず書きましょう。退職理由を書かないと応募先企業に納得してもらえず、転職活動が不利になる可能性があります。応募者がどういう理由で前職を辞めたのかがわからないと、新しい企業に入社してもまたすぐ辞めてしまうのではないかと採用担当者は不安になるからです。「応募先企業側に不安やマイナスイメージを与えないように」という目的で職務経歴書には退職理由を書く必要があります。

書く必要のない退職理由とは

一方で書く必要のないケースや、書かないほうがいい退職理由もあります。

  • 職歴欄に過去退職した企業がない(まだ一社も退職していない)場合
  • 退職した企業への批判や不満が理由の場合
  • 人間関係トラブルが理由の場合上記にあげたネガティブな退職理由は書いてはいけません。

退職理由の分類とその背景

退職理由の分類とその背景

退職理由にはどのような背景があるのか見つめ直し、整理してみます。職務経歴書に記入する下準備です。自己都合退職、会社都合退職、その他の3つのパターンに分けて見ていきましょう。

自己都合(一身上の都合)による退職

自己都合による退職にはどのような理由が当てはまるのかについて説明していきます。この場合、職務経歴書には「一身上の都合により退職」と記入します。

病気などの体調不良に伴う退職

病気療養のために自分から退職を申し出た場合は自己都合による退職に当てはまります。職務経歴書に病気療養のために退職したことを記入する場合は「現在は完治していて業務に支障はありません」と、もう治っていて現在は就労に問題がないことを強調しましょう。

結婚や出産に伴う退職

結婚や出産といったライフイベントを理由に退職するのも自己都合による退職です。キャリアに空白期間があっても結婚や出産という理由があれば正当なものだと解釈されやすい傾向にあります。結婚が理由の場合、結婚に伴う転居が直接の理由で退職するケースも多いようです。

看病や介護に伴う退職

家族の看病や介護のために仕事が続けられなくなって退職するというパターンです。これは家庭の事情によるものなので自己都合による退職に当てはまります。結婚・出産同様、比較的理解を得られやすい理由です。今は一段落していて問題なく働けることを同時にアピールしましょう。

学業に専念するなどスキルアップに伴う退職

資格や知識、学位を取得するために退職したケースも自己都合による退職です。たとえ資格試験に合格できていなかったとしても、勉強したことを転職先でどう活かせるかをアピールすれば、前向きな退職理由として評価されるでしょう。

会社都合による退職

会社都合による退職は自己都合に比べ「本人に責任のない、仕方のない退職」と解釈されるので採用担当者の印象よいだけでなく、労働者側にとってもメリットがあります。会社都合による退職にはどのようなものがあるでしょう。

早期退職・希望退職募集に伴う退職

企業は人員整理などの理由で、定年よりも早期の退職や希望退職者を募集することがあります。早期退職募集や希望退職募集に応募して退職した場合も会社都合による退職です。

解雇に伴う退職

労働者に非がなく、会社側の一方的な都合によって解雇された場合に会社都合による退職に当てはまります。ただし、労働者側に重い責任のあるケースの解雇(重責解雇)の場合は自己都合です。

倒産・リストラに伴う退職

企業が倒産したり、経営が立ち行かなくなりリストラ(整理解雇)が行われたりした場合の退職は会社都合です。本人に責任はないので、応募先企業にそのまま伝えてもマイナスの影響はありません。

いじめやパワハラに伴う退職

人間関係のトラブルの中でも、いじめやパワハラをされて退職した場合は「労働者責任によらない退職」という扱いになるため、会社都合となります。会社都合の退職にするためには退職願を書かない、会社都合の退職なら受け入れると表明するなど断固とした態度が必要です。失業保険を早く受け取るためにも会社都合のほうが有利なので、いじめやパワハラで辞めるときには自己都合に追い込まれないようにしましょう。

その他の理由による退職

自己都合と会社都合、どちらにも該当しない退職があります。どのようなケースがあるか下記より見ていきましょう。

契約期間満了(雇止め)に伴う退職

契約期間満了とは企業と有期雇用労働者間であらかじめ結んであった契約が終了したものです。契約社員、派遣社員、臨時社員などがこれに該当します。この場合、履歴書や職務経歴書には「契約期間満了により退職」と記入しましょう。ただし、契約期間満了より前に自己都合で退職した場合は「一身上の都合により退職」に該当しますので注意しましょう。

定年に伴う退職

定年による退職の場合は自己都合にも会社都合にも該当しません。定年退職とは企業が定めた一定の年齢まで勤め上げた時点で雇用契約が終了することを意味します。退職理由としては「定年退職」と記入しましょう。

事情別!具体的に書くべき退職理由

事情別!具体的に書くべき退職理由

基本的に退職理由は「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」「契約期間満了につき退職」だけ書けばOKとされていますが、場合によっては具体的に退職理由を書いた方がよいケースがあります。どのような時に書くのか、どのように書けばいいのかについて以下を見ていきましょう。

転職回数が多い場合

採用担当者は長く働いてほしいと思うため、採用する際の判断材料として、転職回数が多い理由を知る必要があります。20代で4~5回以上だと転職回数が多いと判断される傾向にあります。採用担当者が納得できるよう、そして不安を払拭できるよう意識して記載しましょう。記載する際は、会社都合なら問題ありませんが、自己都合の場合は同じ理由を複数回使うのは避けましょう。

離職期間(ブランク)が長い場合

一般的に、前職を辞めてから半年以上経っていると「ブランクが長い」とみなされます。離職期間が長い場合、採用担当者から理由の説明を求められることがあります。「なんとなく」ではマイナス評価になりかねないので、「さまざまなところに目を向け、業界の動向などの情報を収集していた」あるいは「スキルアップのための資格取得」など、転職への意欲が感じ取れる内容を書く必要があるでしょう。また、離職中にフリーランスとして仕事をしていた場合はその旨を記入しましょう。

その他の事情がある場合

スキルアップを理由としても問題はないですが、何のためのスキルアップなのかを明確に説明しなくてはなりません。企画力や技術力、プレゼンテーション力などを身につけ、そして資格を取得して応募先企業での仕事に役立てたいなど、即戦力として役立てるということを上手に書く必要があります。

退職理由をポジティブに書く例文

退職理由をポジティブに書く例文

職務経歴書には基本的に辞めた理由を書かなくてもよいとされていますが、退職理由を具体的に書くように応募先企業から指定されている場合もあります。その場合、採用担当者が疑問に思うようなことがないような書き方をする必要があります。前職に不満があって……というようなネガティブな理由をそのまま書くのは避けましょう。ネガティブな理由はマイナス評価につながります。理由の書き方を工夫して、ポジティブなものに転換するとよいでしょう。以下に例文を挙げていきます。

試用期間中に退職した場合

お試し期間とはいえ、雇用契約を締結している状態なので、期間が短期だとしても職務経歴書に書く必要があります。もし書かなかった場合、保険加入履歴から判明するので、経歴詐称に問われることもあります。
また退職理由を説明する場合は「職場の雰囲気になじめなかった」「給料が安かった」など、ネガティブな理由をそのまま伝えてはいけません。

例文:「営業職を希望して入社したにもかかわらず、違う部署に配属となり、上司に再三交渉しましたが変更がかなわず退職しました。御社では営業職としてのキャリアを活かし、精一杯貢献したいと考えております」

また、どうしても理由を説明しにくい時は退職理由を書く欄のない用紙やテンプレートを使うのもひとつの手です。

家庭の都合で退職した場合

家庭の都合とは家族の転勤による引っ越しや家族の病気やけが、介護、出産などがこれにあたります。現在の状況もしっかりと知ってもらうために正直に書く必要があります。その上で今は問題なく働けること、「〇〇時~〇〇時まで勤務可能」など、要望があればしっかりと伝えるようにしましょう。

例文:「父親の介護が必要になり退職しましたが、現在は介護施設に入所しましたので勤務に支障はありません」

定年退職した場合

シニア世代での就職活動において、履歴書や職務経歴書に定年で退職したことを書く際はシンプルに「定年退職」と記載します。また、早期退職の場合は「会社業績不振により希望退職」と書きましょう。
定年退職後に再就職を考えたとき、1年以上のブランクが空いてしまっていることもあると思います。その際は即戦力として働けることをアピールするといいでしょう。

例文:「定年退職前は海外出張もあり日常会話程度の英語力はありましたが、退職後は英語力をさらに伸ばそうとTOEICの勉強をしていました。御社での業務に活かせると考えております」

採用担当者の視点を知ろう

採用担当者の視点を知ろう

職務経歴書の内容に記入漏れがあったり整合性がとれていなかったりすると、面接時にわざわざ採用担当者に質問させるという手間をかけさせることもあります。採用担当者の視点から、退職理由の書き方についてどのようなことに注意していくべきなのかを説明します。

退職予定日が決まっているときは明記する

退職する日が決まっている場合は、職歴欄の最後に「現在に至る(〇〇月〇〇日退職予定)」と書きます。退職予定日をきちんと書くことで、採用担当者もスケジュールを決めやすくなります。

「退社」「退職」の書き間違いに注意

「退社」にも仕事を辞めるという意味合いはありますが、基本的にはその日の勤務時間を終了し、帰宅することを指しますので、履歴書や職務経歴書に記入するときは「退職」と書きましょう。応募書類に誤字があると、仕事でもケアレスミスを起こしてしまうのではないかと思われかねないので注意しましょう。

職歴に一貫性がない場合は理由を書こう

保育士からITエンジニア職に転職するなど、キャリアに一貫性がない場合は「この人は何を目指しているのだろう?」と疑問に思われます。退職理由を通してその疑問点を明らかにしましょう。「〇〇をしている中でもっと〇〇な仕事をしてみたいと思うようになり、この業界を目指しました」などと書くといいでしょう。

ネガティブな退職理由は書かない

人間関係のトラブルや前職での不満など、ネガティブな退職理由は採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうので、そのまま書かないように注意しましょう。「前職の経験を活かし〇〇職で働きたいと思うようになり」、「子どものころから憧れていた〇〇という仕事をしてみたいという思いが強くなり」など、ポジティブなものに転換し、志望動機につながるように書きましょう。

面接で退職理由を聞かれたら?

採用担当者は、応募者の働くことへの意欲や責任/仕事に対しての価値観/社風や企業が定める条件になじめるか、などに問題がないかを見極めて判断するので、職務経歴書に退職理由を書いてあったとしても面接の場でも詳細を聞かれることがあります。その際は次の3点に注意してきちんと理由を述べる必要があります。

  1. 課題に対してどう行動したかポジティブに述べる
  2. 前職での不満や愚痴を理由に反映しない
  3. 理由を志望動機につなげ、今後の意欲を伝える

まとめ

職務経歴書などの応募書類のやり取りも、面接も、すべてはコミュニケーションの一環だと言えます。退職理由を書くのも自分という人間を正しく知ってもらい、応募先企業でどう役立ちたいと思っているのかを伝えるのが目的です。こう書いたら相手はどう思うだろう? という視点を忘れずに書き方の基本を身につけ、上手に自己アピールしましょう。

最後のチェックポイント

  • 退職理由には自己都合、会社都合、その他の3つがある
  • 基本的には具体的な理由は書かなくていい
  • 具体的に書くときはネガティブな理由は書かない
  • ネガティブな理由はポジティブな内容に転換して書く
  • 退職理由は志望動機につながるように書く
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