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ユニコーン企業とは?ランキングとともに定義や意味を解説

date2023年05月10日
ユニコーン企業とは?ランキングとともに定義や意味を解説
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はじめに

昨今、テレビドラマの題材ともなった「ユニコーン企業」。のちの大企業へと成長する可能性が高いとされ、投資家をはじめとして世界中から注目を集めている存在です。この記事では、ユニコーン企業にまつわる基本情報から、世界と日本の動向、そしてユニコーン企業が社会にもたらす影響について探っていきます。

ユニコーン企業とは? 意味と定義を解説

ユニコーン企業とは? 意味と定義を解説

ユニコーン企業とは、アメリカのベンチャーキャピタリストであるアイリーン・リー氏によって2013年に発案された概念です。具体的には、企業価値評価額が10億ドル以上、かつ創業してから10年以内で、未上場のベンチャー企業やスタートアップ企業のことを指します。

また絶対的な条件というわけではありませんが、多くのユニコーン企業がITを活用したビジネスを行うテクノロジー関連企業であることから、これもユニコーン企業の定義のひとつとされることがあります。

ユニコーンとは何? 「ユニコーン企業」の由来

ユニコーン企業という言葉が生まれた2013年当時、先述した条件に当てはまる企業はわずか39社ほどでした。希少価値が高く、資金提供を行えばのちに多大な利益をもたらす可能性のある企業を、投資家たちはユニコーンに例えたのです。

「ユニコーン」は一角獣とも呼ばれる伝説上の生物で、一本の角が生えた馬の姿で表現されます。メジャーリーグの実況などでロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が、ユニコーンに例えられるのを耳にした人もいるのではないでしょうか。ユニコーンとは、現実離れした、めったに現れないような存在のことを示す言葉でもあるのです。

ユニコーン企業と似ている言葉

ユニコーン企業と似ている言葉には、「デカコーン企業」と「ヘクトコーン企業」、そして「ゼブラ企業」があります。具体的にそれぞれどのような違いがあるのか、以下で簡単に解説します。

デカコーン企業

デカコーン企業とは、創業10年以内で未上場、そして企業価値評価額が100億ドル以上の企業のことで、2023年2月時点では世界で50社ほどが該当します。「デカコーン」は10倍を意味する単位「Deca」とユニコーンを合わせた造語で、ユニコーン企業の10倍の評価額が付けられた企業という意味で使われます。

ヘクトコーン企業

ヘクトコーン企業とは、創業10年以内で未上場に加えて、企業価値評価額が1000億ドルを超えた企業のことを指します。「ヘクトコーン」の「hecto」は100倍を意味する接頭辞で、こちらもユニコーンと合わせた造語です。2023年2月の段階で、この条件を満たす企業は世界中に3社しか存在していません。

ゼブラ企業

ゼブラ企業とは、2017年に4人の女性起業家によって提唱された概念で、社会貢献やサステナビリティなどの「共存性」を重視するスタートアップ企業のことです。「企業の利益」と「社会への貢献」という、相反する理念を両立する考え方から、白黒模様のシマウマ(ゼブラ)に例えられたのが名前の由来になります。

ユニコーン企業が他社との競争を経て成長し、事業分野でのオンリーワンとなっていくのに対し、ゼブラ企業はライバルである他社とも共存し、協力しながら社会貢献を行っていくのが主な特徴です。こうしたあり方は近年、SDGsの広がりとともに注目されています。

世界のユニコーン企業

世界のユニコーン企業

以下の表は、世界のユニコーン企業における、2023年2月時点での企業価値評価額ランキングです。珍しい存在だからこそその名が付けられたユニコーン企業ですが、現在は世界中に数多く存在しています。ここからは世界の地域別に、代表的なユニコーン企業の例を見ていきましょう。

順位企業名評価額(10億ドル)業種
1
ByteDance
$140中国AI、SNS
2
SpaceX
$127アメリカ宇宙関連
3
SHEIN
$100中国Eコマース
4
Stripe
$95アメリカフィンテック
5
Canva
$40オーストラリアソフトウェア
6
Checkout.com
$40イギリスフィンテック
7
Instacart
$39アメリカデリバリー
8
Databricks
$38アメリカデータ管理
9
Revolut
$33イギリスフィンテック
10
Epic Games
$31.5アメリカゲーム開発

参考:CB Insights|The Complete List Of Unicorn Companies

アメリカ

アメリカのユニコーン企業で代表的なのは、2002年にイーロン・マスク氏によって設立された「Space Exploration Technologies Corporation」、通称スペースXです。宇宙での輸送サービスを事業内容とし、民間企業としては初の有人宇宙飛行を成功させました。

こうした宇宙関連企業のほか、フィンテック(金融とITを組み合わせたサービス)やAIなど、アメリカには多彩な分野のユニコーン企業が数多く存在します。世界全体のユニコーン企業のうち、アメリカの企業は約半数と最多であり、その理由としては、新興企業への「ベンチャーキャピタル」による投資が盛んであることが挙げられます。

ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業やスタートアップ企業など、未上場の新しい企業に投資を行う投資会社のことです。企業に出資して株式を取得し、将来企業が成長した際に利益を得ることをねらいとしています。アメリカはベンチャーキャピタル発祥の地であり、その投資額は日本のベンチャーキャピタルと比較して34倍(2018年)となったこともあります。

アジア・オセアニア

アジアで有名なユニコーン企業には、動画アプリ「TikTok」を運営する中国の「ByteDance」があり、2023年2月現在、企業価値評価額世界1位を記録しています。中国ではほかにも、オンラインでファッション販売を行う「SHEIN」や中国最大規模のSNSを運営する「Xiaohongshu」など、消費やサービス関連企業が多く見られるのが特徴です。

グラフィックデザインツールを提供する「Canva」(オーストラリア)やオンライン学習サービスを運営する「Byju’s」(インド)も、この地域の代表的なユニコーン企業です。しかし昨今ではインドネシアや韓国・ベトナム・タイなど、多くの国からユニコーン企業が誕生しています。

ヨーロッパ

ユニコーン企業はヨーロッパでも増加しています。イギリスではいずれもフィンテック系企業の「Checkout.com」や「Revolut」、ドイツでは業務改善ツールを提供する「Celonis」、スウェーデンでは蓄電池の開発を事業とする「Northvolt」などが代表的です。

フランスでは、2013年に国家主導でスタートアップ企業を支援する取り組みが行われ、「2025年までにユニコーン企業を25社にする」という目標を2022年のはじめに達成しました。フランスのユニコーン企業には、携帯端末など電子機器のリファービッシュ品(中古品として回収し、修理・整備・点検を行ったもの)販売を行う「Back Market」などがあります。

なぜユニコーン企業が増えているのか

なぜユニコーン企業が増えているのか

ここまででお伝えしたように、ユニコーン企業はさまざまな国で生まれ続け、世界規模で増加傾向にあります。なぜ今ユニコーン企業が増えているのか、その理由を解説していきます。

資金調達方法の多様化

ユニコーン企業が増加している理由のひとつに、資金調達方法が多様化したことがあります。企業が成長し活動していくためには、資金は必要不可欠です。かつてはIPO(企業が新規に証券取引所に上場し、誰でも株式の売買ができるようにすること)を行うことで資金を調達することが一般的でした。

しかし、最近ではベンチャーキャピタルや大手企業に投資してもらうなど、上場を目指さなくても資金を得やすい環境になってきています。特にベンチャーキャピタルは、業界の規模・投資額が大きくなっていることもあり、未上場企業でも多額の資金を得て評価を上げ、ユニコーン企業となるケースが増えているのです。

IT技術の進歩

インターネットやスマートフォンの普及・発展も、ユニコーン企業が増えている理由に数えられます。インターネットやクラウドを活用したサービスは、新規事業を起こす際に必要な初期投資が比較的少ないとされています。その一方で、インターネットは世界中にサービスを提供することができ、自国のみならず全世界を相手にビジネスを行うことが可能です。

そうしたIT分野を事業の中心に据えることで、創業間もない企業でも短期間で業績を上げることが望めるようになりました。変化の激しいIT業界では、それだけ急成長を遂げるユニコーン企業も生まれやすいと考えることができます。

少ない?日本のユニコーン企業数

少ない?日本のユニコーン企業数

世界中でユニコーン企業が増加している一方、日本におけるユニコーン企業の数は、2023年2月時点で以下の一覧にある6社とされています。なぜ日本国内のユニコーン企業はここまで少ないのでしょうか。

企業名とおもな事業内容
Preffered Networks機械学習・深層学習の研究と実用化
スマートニュースニュースアプリ「SmartNews」運営
SmartHRSaaS型クラウド人事労務ソフト提供
Spiber新世代バイオ素材の開発
Playcoインスタントプレイゲームの開発
Opnオンライン決済などフィンテック事業

参考:CB Insights|The Complete List Of Unicorn Companies

起業する人が少ない

日本にユニコーン企業が少ない理由として、諸外国と比べてそもそも起業する人が少ない、起業しやすい環境が整っていないことがあります。GEM(グローバル・アントレプレナーシップ・モニター)が行った調査によると、「過去2年間に、新しく事業を始めた人を個人的に知っていますか」「今後6か月以内に、自分が住む地域に起業に有利なチャンスが訪れると思いますか」という質問で、日本は50か国中最下位でした。

日本では、大企業への就職など安定を求める意識が強いとされます。それに加えて、起業の手続きが煩雑であったり、起業が失敗したときに再就職などが難しかったりと、意識・環境の両面で起業する人が生まれにくい傾向があるといえます。

参考:経済産業省|起業家精神に関する調査報告書(みずほ情報総研株式会社)

ベンチャーへの投資額が少ない

ベンチャー企業やスタートアップ企業への投資額が少ないことも、日本でユニコーン企業が生まれにくい理由のひとつです。日本ではベンチャーキャピタルそのものが少なく規模も小さいため、ベンチャーキャピタルによる投資額をアメリカと比較すると、100分の1以下という圧倒的な差が開いています。

投資額が少ない理由はこのほかにも挙げられます。日本は未上場株式の取引市場があまり存在せず、取引自体が難しいことや、未上場の企業は信頼性などの面で投資リスクが大きいとされることなどです。そうした理由から資金調達の方法として上場を選ぶ企業が多く、ユニコーン企業の条件に当てはまらなくなるのです。

参考:内閣官房|ベンチャーキャピタル投資の国際比較

人材が少ない

ベンチャー企業やスタートアップ企業は、認知度の低さなどから大手企業と比べて人手不足に陥りやすく、育成に割く時間やコスト面などを考慮して即戦力となる人材を求める傾向があります。それに加えて、多くのユニコーン企業はテクノロジー分野で事業を展開しているため、デジタル・ITに精通した人材は必要不可欠といえるでしょう。

しかし、日本ではそうしたIT人材が慢性的に不足しており、DX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れによる経済損失の可能性まで予測されています。拡大し続けるIT需要と新しい技術に対応できる人材を育てることで、ユニコーン企業が生まれる可能性も上がっていくかもしれません。

ユニコーン企業を増やすメリット

ユニコーン企業を増やすメリット

2018年6月、日本政府はグローバルに活躍するスタートアップ企業を創出するために、育成支援プログラム「J-Startup」を立ち上げました。また、経団連(日本経済団体連合会)は2027年までに、国内のユニコーン企業を100社に増やすという目標を掲げています。ユニコーン企業を増やすことで、日本にどのようなメリットがあるのでしょうか。

参考:経済産業省|J-Startup
参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|スタートアップ躍進ビジョン【概要】

経済成長につながる

先述の通り、日本はユニコーン企業をめぐる世界の大きな動きに出遅れているのが現状です。アメリカのメタ・プラットフォームズ(旧称Facebook)や中国のXiaomiも、かつてはユニコーン企業でしたが、現在では世界規模の大企業に成長しています。

高度経済成長期にベンチャー企業だったホンダやソニーは、その後世界で活躍する企業になりました。同じように今のユニコーン企業が将来的に日本経済をけん引し、新たな市場の開拓や社会課題の解決につながる存在になることが期待されているのです。

新たな雇用創出につながる

ユニコーン企業が増え、経済が活性化すれば、新たな雇用機会の創出にも期待が持てます。ベンチャー企業やスタートアップ企業に人材を集めるには、「人材の流動性」を向上させることが重要とされています。

政府は今後、リスキリング(新しい職業に就くため、または今の職業で必要とされる業務の変化に適応するために、新たな知識やスキルを学ぶこと)から転職までを一体的に支援し、大企業だけでなく、のちのユニコーンが生まれ得る成長分野に人材が移動するよう促す方針です。

まとめ

日本経済新聞社が独自に実施している「Nextユニコーン調査(2022年版)」では、特に業務用SaaSや製薬・医療機器の分野で、次世代のユニコーン企業を目指すスタートアップ企業が多く見られます。ユニコーンとなる日本企業をさらに増やしていくには、政府による支援の仕組みや投資家の増加などのほか、失敗を受け入れ、起業などの挑戦をしやすい環境をつくることが必要といえるでしょう。

ユニコーン企業をめぐる動向を見ることで、日本と世界の経済トレンドや社会課題、そしてそれを解決するための新しい技術を把握することにつながります。これからのユニコーン企業は社会にどのようなイノベーションをもたらすのか、注目しましょう。

最後のチェックポイント

  • ユニコーン企業とは評価額10億ドル以上・創業10年以内・未上場の企業
  • かつては珍しかったユニコーン企業だが、今は世界中に数多く存在する
  • 資金調達方法の多様化やIT技術の進歩がユニコーン企業増加の要因といえる
  • 日本では起業する人やVCの投資額が少ないため、ユニコーン企業が少ない
  • ユニコーン企業が増えることで経済成長や社会課題解決の可能性が期待される
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