システムエンジニアにおすすめ!国家資格・ベンダー資格一覧
はじめに
- システムエンジニアになる・業務を行うにあたって資格取得は必須でない
- 資格の取得にはスキルの証明や知識習得などさまざまなメリットがある
- システムエンジニア向けの資格には国家資格とベンダー資格の2種類がある
- SEにはコミュニケーション力などを磨くことや現場での経験も大切
- 資格は担当領域やキャリアプランを踏まえて自分に合ったものを選ぶ
システムエンジニア(SE)として業務を行うにあたり、取得することでスキルの証明や向上につながる資格は多くあります。この記事では、システムエンジニアを目指したい、あるいはよりスキルアップしたいときにおすすめの資格を紹介します。
システムエンジニアに資格は必須でない
要件定義や運用・保守など、情報システムの開発に関わるさまざまな業務を行うのがシステムエンジニアです。未経験や他業種からの転職を経てシステムエンジニアになることも可能で、必ず取得しなければならない資格などはありません。しかしながら、資格を取得することで、就職・転職活動や実際の業務に役立つこともあります。
システムエンジニアの業務についての詳細は、システムエンジニア向き不向きの特徴、生かせるスキルや資格にて解説しています。あわせて参考にしてみてください。
SEが資格を取得するメリット
システムエンジニアになるために、あるいはシステムエンジニアとして資格を取得するのには、以下のようなメリットがあります。
客観的なスキルの証明になる
資格を取得することで、その分野に関する知識やスキルがあることの客観的な証明になります。未経験からの就職・転職活動中であれば、希望する職種への前向きな姿勢や、実践的な能力があるというアピールにも役立ちます。
キャリアアップに有利にはたらく
企業によっては特定の資格取得を昇進・昇格の条件にしている場合もあります。そのため、合格率の低い国家資格や、海外でも通用するようなベンダー資格などは、保有しているだけでもキャリアアップに有利にはたらくことがあります。
知らなかった知識が得られる
資格の勉強をすることで、網羅的・体系的な知識の習得に役立ちます。システムエンジニアは業務が広範囲にわたり、幅広い知見が求められるため、多くの知識を得ることは現場での理解や判断の助けになります。
企業によっては資格手当の支給がある
資格を保有することで給料に手当がつくなど、資格取得が収入アップにつながることがあります。また、企業によっては積極的な資格取得を推奨し、試験代や報奨金の支給など金銭的な補助が受けられるケースもあります。
SEにおすすめの資格一覧
ここからは、システムエンジニアにおすすめの資格を具体的に紹介していきます。システムエンジニア向けの資格には、大きく分けて「国家資格」と「ベンダー資格」の2種類があります。
国家資格
まずは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格について解説します。
ITパスポート
ITに関する基礎的な知見があることを証明できる国家資格です。エンジニアに限らず、社会人として備えておくべきITの総合的な知識を問われるため、業種や職種を問わず社会人全般、また学生の受験者も多いのが特徴です。IT系国家資格に挑戦するにあたり、最初のステップとして選択するのもよいでしょう。
詳細はこちら:【ITパスポート試験】情報処理推進機構
情報セキュリティマネジメント試験(SG)
サイバー攻撃や、それに伴う情報漏えいなどのリスクから組織を守るためのマネジメントスキルを認定する試験です。情報セキュリティに関する知識と技能の習得につながるため、企業内で情報セキュリティや個人情報の管理に携わりたい人におすすめです。また、より上位の資格取得に向けた基礎学習にもなります。
詳細はこちら:情報セキュリティマネジメント試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
基本情報技術者試験(FE)
ITエンジニアやその志望者を対象としたIPAの情報技術者試験のうち、最初に受験を推奨されている試験です。エンジニアに必要なITの知識と活用法を幅広く問われる内容となっており、出題範囲はアルゴリズムとプログラミングなどの技術的な内容をはじめ、プロジェクトマネジメントや経営戦略まで多岐にわたります。
詳細はこちら:基本情報技術者試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
応用情報技術者試験(AP)
ITエンジニアのステップアップとして、基本情報技術者試験の次に挑戦するべき試験として位置付けられています。応用情報技術者には自らの力で生産性・信頼性の高いシステムを構築するだけの能力が期待されており、システム開発における技術面だけでなく、さまざまな分野での高度な知識と応用力が問われる試験です。
詳細はこちら:応用情報技術者試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITストラテジスト試験(ST)
ITストラテジストとは、ITの知識に基づき企業のIT戦略を立案・実行する専門職で、システム開発の超上流工程でプロジェクトを主導する立場にあります。試験ではITへの知見はもちろん、企業課題の明確化や業務効率化・コスト削減など、ビジネスを成功に導くための高度な専門知識・技能が問われます。
詳細はこちら:ITストラテジスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
システムアーキテクト試験(SA)
情報システム・組み込みシステム・IoTを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するための構造設計に携わる人を対象とした試験です。システムアーキテクトはシステム開発においてプロジェクトを主導する役割であるため、高い設計スキルに加えてプロジェクト全体を見通せる豊富な知識が求められます。
詳細はこちら:システムアーキテクト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
プロジェクトマネージャ試験(PM)
プロジェクト全体を統括し、人員などの必要となるリソースを確保し、予算やスケジュールに基づいてプロジェクトの実行・管理を職務とするエンジニアを対象とした試験です。システム全般や組織運営に関する知識、コストや納期などを踏まえて人員やタスクの管理を行うマネージャーとしての能力が問われます。
詳細はこちら:プロジェクトマネージャ試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ネットワークスペシャリスト試験(NW)
ネットワークシステムの設計・構築・運用などに関する固有の技術、そしてネットワークシステムを利用したサービスの動向や、情報セキュリティについての知識を問われる試験です。ネットワークやサーバなどのIT基盤に関わるインフラ系エンジニアとして業務を行っている、あるいは目指している人におすすめです。
詳細はこちら:ネットワークスペシャリスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
データベーススペシャリスト試験(DB)
ビッグデータの管理やデータベースシステムに特化した試験で、データベース管理者やインフラ系エンジニア、あるいはデータサイエンティストなどを目指す人に最適といえます。膨大なデータを管理する高品質のデータベースを企画し、要件定義から開発、運用・保守までを担うための知識・実践能力を問われます。
詳細はこちら:データベーススペシャリスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理安全確保支援士試験
サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能とその応用力を求められる試験で、セキュリティーエンジニアやセキュリティコンサルタントを目指す人におすすめです。合格者は登録手続きを行うことで、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」の資格保持者となることが可能です。
詳細はこちら:情報処理安全確保支援士試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ベンダー資格
次に、IT関連の機器やサービスを提供している民間企業が認定するベンダー資格について解説します。
マイクロソフトオフィシャルスペシャリスト(MOS)
ExcelやWordなど、マイクロソフトオフィス製品の利用技能を認定する資格です。認知度が高く世界的に行われている資格試験であり、海外においてもスキルの証明になります。先述のExcelやWordなど5種類のソフトごとに試験があり、バージョンによっても別の試験になるため、自身の目的に合わせて選びましょう。
詳細はこちら:MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト
オラクルマスター
ORACLE MASTERはオラクル社のデータベースシステム「Oracle Database」を管理・運用するスキルが問われる資格です。Bronze・Silver・Gold・Platinumと4つのレベルがあり、Silver以上は世界共通の資格として知識の証明になります。データベースやSQLについての実践的な知識や運用スキルを身に付けたい人におすすめです。
詳細はこちら:オラクル認定資格制度|Oracle University
Cisco Certified Network Associate(CCNA)
シスコシステムズ社が実施する、ネットワークエンジニアとしての基本的なスキルを問われる試験です。ルーティングの仕組みやセキュリティの考え方など、ネットワークに関する広範囲かつ専門的な知識が求められます。また、多くの企業で利用されるシスコ社製の機器を実際に操作しながら回答する問題もあります。
詳細はこちら:シスコ認定試験–Cisco
CCNAについては、就活生必見!CCNAで広がる未来のキャリアパスでより詳しく紹介しています。あわせて参考にしてみてください。
Cisco Certified Network Professional(CCNP)
シスコ技術者認定資格であるCCNAの上位資格です。ネットワーク関連業務に携わる人の中でも上級者を対象とし、より高度で複雑なネットワーク知識と技術を問われます。CCNP認定試験にはサービスプロバイダやデータセンターなど複数の分野があり、選択した分野によっては英語での受験が必要になります。
詳細はこちら:シスコ認定試験–Cisco
Linux技術者認定試験(LPIC/LinuC)
Linux技術者としてのスキルを問われる試験では、LPICとLinuCの2つが有名です。LPIC(Linux Professional Institute Certification)は、世界中で実施される国際資格のため、海外や外資系企業への転職に活かせます。LinuCは日本市場に最適化した資格で、日本国内のニーズに沿った業務を行う場合に適しているといえるでしょう。
LPICの詳細はこちら:Linux Professional Institute (LPI)
LinuCの詳細はこちら:Linux技術者認定試験LinuC|LPI-Japan
優秀なSEになるためには
システムエンジニアにとって、資格取得を見据えて知識を習得することは有意義であるといえます。しかしながら、実際の業務を遂行するうえでは、そのほかにも大切なことがあります。
資格は手段のひとつ
資格はあくまで実務に活かすための知識や技能を裏付けるものであり、資格取得そのものが目的になるのは望ましくありません。業務を円滑に進めることや顧客から信頼を得るための手段として、資格をうまく利用するように心掛けましょう。
資格以外の必要なスキルを磨こう
システムエンジニアに必要なものは技術的知見だけではありません。顧客をはじめ、プロジェクトに関わるメンバーとのコミュニケーション力、そしてマネジメント力が大切です。資格以外の必要なスキルも意識して磨いていきましょう。
現場で技術力・経験・知見を養う
実際に現場を体験することで身につくことは数多くあります。何らかの技術的なトラブルが発生したとしても、資格学習の中で示された解決策が現場でのベストな選択とは限りません。教科書で学ぶことがすべてではないことも認識しておきましょう。
現場でシステムエンジニアに求められる能力や役割については、システムエンジニアとプログラマーの違いについて徹底解説でも詳しく解説しています。
まとめ
システムエンジニアに有用な資格は数多くあります。したがって、取得する資格を選択する際は、自身の担当領域や得意分野・将来のキャリアプランなどを念頭に置き、どの資格が自分にとって適切かを見極めることが重要です。SEとしてのレベルアップ、あるいはSEになるための足掛かりとして、資格取得を選択肢のひとつとしてみてはいかがでしょうか。