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ローコードとは?ノーコードの違いとおすすめツールをご紹介

date2024年01月29日
ローコードとは?ノーコードの違いとおすすめツールをご紹介
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はじめに

少子高齢化社会が加速する中で、日本企業の多くは人手不足に悩まされています。働き方改革の推進や業務効率化が求められる中で、システムやアプリケーションの開発は欠かせません。そうした背景から現在、短期間でかつ高クオリティなシステム・アプリケーション開発が低コストで行える、ローコードが注目を浴びています。

ローコードとは?

ローコードとは?

一般的にプログラムは人が書いた「ソースコード」をもとに、コンピューターがその指示に従って作動する仕組みをつくります。
一方、ローコードは英語で(Low Code:コードが少ない)と書くとおり、ソースコードをほとんど記述せずにシステムやアプリを開発する手法です。日本語では「高速開発」や「超高速開発」と呼ばれています。短期間での開発が可能で専門知識を持たない人でも扱いやすいため、IT人材が不足している企業でも導入しやすいという特徴があります。

ローコード開発と従来の開発との違いについて

従来の開発手法とは「プログラミングによる開発」を指します。プログラミング開発はローコード開発よりも拡張性や柔軟性・自由度などが高く、アプリやシステムを開発する際にすべての要素をプログラミング言語でコントロールできるため、細かい条件を設定できます。
ただし、技術レベルが高いため、プログラミングの知識がない場合はエンジニアに頼らざるを得ません。

ローコード開発とDXの関係

ローコード開発とDXの関係

ローコード開発とDXの関係はどのようなものでしょうか。DXとは何か、そしてDXが推進したきっかけなどを以下から解説します。

なぜ、ローコード開発でDXが加速するのか

「DX(Digital Transformation)」とは、「ITを活用してビジネスモデルや企業文化を変えていき、競争力を高めること」です。ローコード開発は2018年に経済産業省によって定義された「DX推進ガイドライン」や「DXレポート」にも深く関わっています。短期開発を得意とするローコード開発は、市場のニーズにも迅速かつ柔軟に対応できるからです。
また、「DXレポート」の中で経済産業省は「DXが推進できなければ、IT人材不足により2025年までに既存の基幹システムが保守できなくなる」と警告しており、これを「2025年の崖」と表現しています。そのため、近年のエンジニア不足を解消するためにもローコード開発を取り入れる企業が増えています。

DXをさらに推進したできごと

DXを推進した要因の一つに新型コロナウイルスの拡大があります。新型コロナウイルス拡大から2020年には働き方改革が重視されるようになり、企業は否応なしにDXに取り組む必要が出てきたためです。 
DX推進が加速した一因に先述のローコード開発が挙げられます。ローコードはソースコードの入力がほとんど不要なため専門知識がない人でも開発に携わりやすく、IT人材不足をカバーできるからです。

ローコードの人気度の推移をGoogleTrendsで可視化したグラフ

画像ではコロナ禍(2020年ごろ)に入ってからGoogleで「ローコード」の検索件数が増加しており、人々の関心も高まっていることが伺えます。

ノーコードとローコードの違い

ノーコードとローコードの違い

ノーコードの意味やローコードとの違い、ノーコードのメリット・デメリットを以下からご説明します。

ノーコードとは?

ローコードと似た言葉で「ノーコード」というものがあります。ノーコード(No Code)は「コードが存在しない」と訳される通り、ソースコードが一切不要のアプリケーション開発手法です。
ノーコード開発ツールの機能はプラットフォームに用意されたものの中からしか選択できないため、ローコードよりも自由度は高くありません。

「ノーコード」「ローコード」「プログラミング」の違いの表はこちらです。

「ノーコード」「ローコード」「プログラミング」の違い
ノーコードローコードプログラミング
開発できるアプリWebアプリ
モバイルアプリ
Webアプリ
モバイルアプリ
デスクトップアプリ
Webアプリ
モバイルアプリ
自由度最初からソースコードが
用意されている
ある程度
ソースコードの
カスタマイズが可能
開発者自らが
ソースコードを書く
開発規模個人~部署レベル個人~部署レベル個人
部署
エンタープライズ
必要なITスキル初心者でもOKソースコードの
カスタマイズする
程度による
上級者向け
初期費用プラットフォームの有償プランを契約プラットフォームの有償プランを契約有償・無償
どちらもある

ノーコードのメリット

ノーコードにはソースコードが不要なため、基本的にはプログラミングの専門知識を必要としません。そのため、非エンジニアでも開発に加われるという点が最大のメリットといえるでしょう。
また、小規模開発のシステムやアプリケーションの場合はツールに備えられている機能だけで完結するため、開発チームの構築も不要なケースがあります。さらに、機能の拡張が簡単で、ツール側のメンテナンスは企業やメーカーが行ってくれるという利点もあります。

ローコードのメリット

ローコードはソースコードの記述が可能なため、ノーコードよりも幅広く活用できます。また、他のシステムやアプリケーションとの連携がはじめから想定されているため、権限の設定や外部システムとの連携・統合もたやすく行えます。そのため、追加したい機能や管理データを他のアプリケーションから呼び出すことも可能です。
さらには、クラウドの利用やオンプレミス(自社運用)への接続ができるので、部署間や拠点を超えてのシステム開発も実現可能にしてくれます。

共通の強み

ノーコード開発とローコード開発に共通する強みは、システムの構成を意識する必要がほとんどないという点です。
「要件に対してそれぞれのパーツ(機能)をどのように組み合わせるか」を考えるだけで完成するため、検討に要する時間や開発工数、開発コストなどが大幅に削減されます。

また、導入と同時にクラウドやサーバなどのインフラ環境を提供している開発ツールも増えているため、自社内に開発環境を整備する必要が少なくなってきています。
しかも、世界的に有名なIT企業であるGoogle・Microsoft・Amazon社などが、開発ツールを積極的に提供しているため、費用対効果が高いという点もメリットの1つです。

共通のデメリット

ノーコード・ローコードにはメリットばかりではありません。非エンジニアでも扱いやすい反面、専門知識を有していないことで戸惑うケースもあります。以下、共通のデメリットを一覧にまとめました。

  • 一般的な開発ツールよりも機能面で制限・制約を受けやすい
  • ユーザから内部の処理が見えないため、不具合が生じたときに検証しにくい
  • 企業のIT部門が他部署のシステムを管理しきれず、情報漏曵につながる危険性がある
  • 開発ツール提供側のサービス終了に伴い、システムやアプリが使用できなくなるリスクもある
  • イレギュラーな変更への対応が難しく、リアルタイム更新が必要なコンテンツに向いていない

また、ノーコードは開発ツールが対応していない機器での使用ができず、ローコードの中にはコード対応できないツールもありますので注意が必要です。

ローコード開発ツールとその特徴

ローコード開発ツールとその特徴

ローコード開発ツールはローコード開発プラットフォームともいい、先に述べたとおりソースコードを使わずにプログラミングができる開発手法です。ローコード開発についての特徴的な使い方を以下で解説します。

ローコード開発ツールとは

ローコード開発のイメージ図

ローコード開発には上記図のような専用のソフトウェアを使用します。「グラフィカル・ユーザ・インタフェース(Graphical User Interface/GUI)」と呼ばれる視覚的操作に優れたインターフェース(ユーザがマウスやキーボードで操作ができるグラフィカルな画面)を用いて、ソフトウェアの中にあらかじめ用意されている素材を組み合わせたり、必要に応じてソースコードを記述したりしながら開発を進めていきます。

おすすめローコード開発ツール8選

おすすめローコード開発ツール8選

おすすめのローコード開発ツール8種類を以下からご紹介します。

1.Microsoft PowerApps

Microsoft社が展開しているローコード開発ツールです。ビジネス向けのアプリケーション作成を得意としており、開発時にはExcelのような関数を使用します。
ExcelやPower BIなどのMicrosoft製品との連携はもちろん、他社のデータベースにも接続が可能です。30種類以上ものテンプレートが用意されているため、開発時間が大幅に短縮できるのも魅力です。

2.OutSystems

ポルトガルにて誕生したローコード開発プラットフォームで、簡単なアプリなら5分以内に作成することも可能です。
Web/モバイルアプリ、チャットボットなどの開発や作成ができ、独自コードを追加することでプラットフォームの拡張も行えます。

3.Kintone

サイボウズ株式会社が提供している日本製のローコード開発ツールです。
クラウド上で業務アプリを開発できます。28個の素材が用意されており、日付・チェックボックス・リッチテキストといったパーツ同士を組み合わせて作成します。また、SNS機能が充実しているため、異なる部署やチームで利用することも可能です。

4.intra-mart

株式会社NTT DATA INTRAMARTが提供する日本製のローコード開発ツールです。
大企業や公的機関などのアプリ開発にも対応しており、日本語以外にも英語、中国語などの多言語に対応しています。
AI、OCR(手書きや印刷された文字を読み取り電子化すること)、RPA(ソフトウェアによる業務処理の自動化)、電子署名などのデジタル技術との組み合わせも可能です。

5.AWS Amplify

Amazon社のローコード開発ツールです。ユーザはAmazon Web Services, Inc.(略してAWS)により提供されるクラウドサービス上で、Webやモバイルアプリを開発できます。
とくに、2022年4月にリリースされたばかりの「Amplify Studio」では、最小限のコーディングのみで開発ができ、Amplifyのバックエンド構成や管理機能も付随しています。

6.Mendix

アイディア・運用・アプリケーション開発などの全体サイクルが、加速されるように設計されたローコードプラットフォームです。
システム開発部門・システム運用部門が協力して、アジャイル開発(短期間で開発とリリースを行い段階的にシステム構築していく手法)を行うことや、既存システム・AI・IoTなど最新技術との連携が可能です。

7.AppSheet

社内の働き方改善や業務効率化を目的としたローコードプラットフォームで、2020年にGoogle社がAppSheet社から買収しました。
クラウド上でExcelやスプレッドシート・MySQL・Salesfoceなどと連携が行えます。Excelやスプレッドシートからもアプリの開発ができ、異なるデータベース間での移行も可能です。

8.Lightning Platform

ワンクリックでAI機能を搭載できるSalesforce社のノーコード・ローコード開発支援ツールです。
APIによる連携が可能なため、相手側のシステムが大幅に仕様変更しない限りはデータを自由に取り出せます。
また、Salesforceではノーコード・ローコード開発において大量のAPIをサポートしているため、安心して利用できます。

失敗しないローコード開発ツールの選び方

失敗しないローコード開発ツールの選び方

ローコード開発ツールは導入目的や開発に携わる人数、開発者の利用できる言語の習熟度に合わせて選ぶようにしましょう。
自社や部署の規模・利用人数によってはプランや料金が変動するツールもあるため、注意が必要です。また、開発者のプログラミングスキルによってはノーコード開発ツールを導入した方が好ましいケースもあります。
他には、既存システムとの連携が可能かどうかや連携方法も重要です。APIなのかプログラミングが必要なのかといった点も把握した上で選定するようにしましょう。

まとめ

ローコード開発は通常のプログラミング開発よりも専門知識を必要としませんが、圧倒的な開発速度によりコストの削減が期待できます。あらかじめ、クラウド・サーバなどのインフラ環境が整っていたり、APIによる連携が可能だったりするものも十分にあります。今後もさらにローコード開発は普及していくと考えられるため、導入を迷われている方は検討してみてはいかがでしょうか。

最後のチェックポイント

  • 専門知識がなくても開発に携わりやすい
  • ソースコードの記述が可能なため、ノーコードよりも幅広く活用できる
  • システムの構成を意識する必要がほとんどない
  • 圧倒的な開発スピードによりコストの削減が期待できる
  • さまざまなAPIを介して外部システムや基幹システムとの連携ができる
  • 開発ツールは導入目的や携わる人数、開発者の言語や習熟度に合わせて選ぶ
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