ITパスポート試験日程はいつ?難易度レベルや勉強法を徹底解説
はじめに
- ITパスポートは情報処理技術者試験の1つで初歩的な試験である
- 試験では「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」合計100問出題される
- 試験はCBT方式で行われ試験日と会場は自身の都合で選択ができる
- 合格基準に満たしているかがその場で判明できる
- 学生やIT業界未経験者でも就職や転職時の意欲アピールにつながる
ITに関する基礎的な知識を確かめるための「ITパスポート試験」の日程や難易度レベルについて本記事で解説します。昨今、パソコンを利用する仕事が大半を占めており、ITに関する知識を有しているかどうかで企業からの評価も変わってきます。IT業界への入り口として、ぜひ資格取得を目指してみませんか。
ITパスポートの資格取得することでなりやすい代表的な職業「システムエンジニア」に興味がある方は、システムエンジニアにおすすめ!国家資格・ベンダー資格一覧をチェックしてみてください。併せてその他の就職や転職に有利な資格については、転職で有利な資格と取得する時に注意したいことの記事でくわしく紹介しています。
ITパスポート試験とは?
ITパスポート試験は「iパス(アイパス)」とも呼ばれ、ITに関する基礎的な知識を証明できる資格です。一見、エンジニアやIT関連の業界のみに必要と思える資格ですが、職業を問わず働くうえで求められるIT知識を証明できるのが「ITパスポート試験」の強みなのです。
ITパスポート試験の公式サイトでは「ITパスポート試験とは、ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験」と定義づけられています。
参考:ITパスポート試験|【ITパスポート試験】情報処理推進機構
就職/転職に活かせるのか
ITパスポート試験はITに関する基礎的な知識を証明してくれるため、就職や転職に活かすことが可能です。新卒やIT業界未経験者がIT業界への就職や転職をする際、業界への意欲をアピールができると同時に内定後も仕事をするうえでも自信につながるでしょう。
ITパスポート試験日申し込みについて
ITパスポート試験を受験するには、利用者ID、パスワードを登録する必要があります。利用者IDは、受験申し込みや試験結果の確認などの際に必要となる個人の識別IDです。既に利用者IDをお持ちの方は新たに登録する必要はありません。しかし、最後の受験日から受験を行わずに1年経過した場合は無効となるので、その場合は再登録する必要があります。
【申し込み方法】
- ITパスポート試験申し込みサイト(IPA)にて利用者ID登録を行う。
- 試験会場・日程の選択や支払い方法を選択して申し込む。
※申し込みは試験日の前日正午まで申し込めます。
受験を申し込む際、登録名のルールやメールアドレス変更時の対応、試験当日の遅刻や途中退出について、合格証書の発送時期など記載する必要があります。
ITパスポート試験での注意事項については下記申し込みサイトよりご確認いただけます。
参考:ITパスポート試験|【ITパスポート試験】受験申込み
試験日(日程)はいつ?
ITパスポート試験は、月に1~3回ほどの試験日が用意されています。試験日は基本的に金・土・日曜日を主としており、時間に関しては「午前」と「午後」の2回実施に加え、「夕方」で3回実施されている場合もあります。
試験日は会場ごとに3カ月先まで確認できます。試験日ごとに受験できる人数が定められているので、希望時期が決まっている方は早めに開催状況を確認し、申し込みを行いましょう。
試験日変更はできる?
既に試験申し込みが完了している場合、試験日の3日前までであれば変更が可能です。2日前から当日はたとえ、発熱や病気などの罹患など、いかなる理由であっても変更することはできません。キャンセル扱いになることを覚えておきましょう。
受験料はいくらかかる?
受験手数料は7,500円(消費税込み)です。支払った受験手数料は、理由のいかんにかかわらず返還されません。
※2022年4月より5,700円→7,500円に改定
<支払い方法>
- クレジットカード
- コンビニ支払い(申し込み日の翌日から4日後の試験を申し込まれる場合は選択できません)
- バウチャー(前売りチケットのことで1回の購入で9,999枚購入できます。学校や企業で多数の方が受験する際の支払いに便利です。銀行振込も可能です)
参考:ITパスポート試験|【ITパスポート試験】受験要領
受験会場について
試験会場は、全国47都道府県に設置されています。都道府県によって会場数は異なり、複数の会場が設置されていることもあれば、1カ所のみの設置となる場合もあります。試験会場一覧をご紹介しますので、位置を確認して申し込みましょう。
参考:ITパスポート試験|【ITパスポート試験】試験開催状況一覧
合否発表について
試験結果は、受験終了後そのまま画面に表示されます。その時点で合格基準を満たしていれば、ほぼ合格は確定と思っていいでしょう。正式な合格発表は、試験日の翌月中ごろに合格者の受験番号が公式サイトに掲載され、合格証書は受験月の翌々月に発送されます。
どのくらい難しい?試験問題のレベル
ITパスポート試験の難易度は情報処理技術者試験の中でも低い位置にあり、すべての社会人に共通する知識として推奨されています。受験をする人は既にIT知識が一定レベルある人というよりは、これから学んでいきたいという方が多い傾向にあります。その母数の中でも合格率が約50%あるため、初めてITの知識について学ぶ方でも取得しやすい資格とも言えるでしょう。
この試験は、経済産業省所管の情報処理推進機構(IPA)が実施・認定している資格で、専門性が高いものを含め全てで12種類ある情報処理技術者試験のうちの1つです。
国家試験の中には以下の図のような試験が構成されています。
問題は何問ある?
ITパスポート試験は、コンピュータを利用して実施するCBT方式(CBTとは、「Computer Based Testing」の略)で行われます。出題方式は、四肢択一となり全部で小問が100問あります。
問題数(計100問) | 問題種別 |
---|---|
ストラテジ系 35問程度 | 企業と法務 経営戦略やシステム戦略 |
マネジメント系 20問程度 | 開発技術 プロジェクトマネジメント サービスマネジメント |
テクノロジ系 45問程度 | 基礎理論 コンピュータシステム 技術要素 |
ITパスポート試験取得で得られる基礎的な知識は、以下のように大きく3つに分けられています。
1.ストラテジ系(経営全般)
ストラテジとは「戦略」のことを指しており、経営者の仕事に関する内容です。「1.企業と法務」「2.経営戦略」「3.システム戦略」の3つに大分類され、企業経営に関する知識が問われます。ストラテジ系は、主に経営戦略やシステム戦略などの問題が約35問出題されます。
2.マネジメント系(IT管理)
マネジメントとは「管理」のことを指しており、管理者の仕事に関する内容です。「4.開発技術」「5.プロジェクトマネジメント」「6.サービスマネジメント」の3つに大分類され、システム開発に関する知識が問われます。マネジメント系は、主にシステム開発やプロジェクト管理などの問題が約20問出題されます。
3.テクノロジ系(IT技術)
テクノロジとは「科学技術」のことを指しており、コンピュータの仕組みに関する内容です。「7.基礎理論」「8.コンピュータシステム」「9.技術要素」の3つに大分類され、データベースやネットワークなどITの基礎となる知識が問われます。テクノロジ系は、主に数学的基礎理論やアルゴリズムなどの問題が約45問出題されます。
試験時間はどのくらい?
試験時間は120分で休憩はありません。試験時間120分に対して問題が100問ありますので時間配分を考え、一つの問題に長い時間をかけすぎて解答時間が足りなくならないように注意することが重要ポイントです。
悩んだら後で見直すことも対応できるようにCBT試験での操作方法について一度確認しておきましょう。
※操作方法については以下の公式サイトを確認してください。
参考:ITパスポート試験|【ITパスポート試験】CBT操作説明
合格率と合格点
近年、IT化が進んだことで社会人や学生と年齢を問わず受講者が増加しています。ここ数年の合格率は50%前後と、情報処理技術者試験の中では比較的に取得しやすい試験です。
【合格率】令和5年10月16日現在
実施年度(西暦) | 合格率 |
---|---|
令和5年度(2023年4月~2023年9月) | 51.2% |
令和4年度(2022年4月~2023年3月) | 52.6% |
令和3年度(2021年4月~2022年3月) | 52.7% |
令和2年度(2020年4月~2021年3月) | 58.8% |
令和元年度(2019年4月~2020年3月) | 54.3% |
平成30年度(2018年4月~2019年3月) | 51.7% |
平成29年度(2017年4月~2018年3月) | 50.4% |
参考:ITパスポート試験|【ITパスポート試験】統計情報
【合格点】
総合評価点 | 600点以上/1,000点(総合評価の満点) |
分野別評価点 | ストラテジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) マネジメント系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) テクノロジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) |
ITパスポート試験では「総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上あること」と提示されています。出題される100問のうち、総合評価の対象は92問です。92問は3つの分野別にそれぞれ評価点が計算され、分野別評価はストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問で区分されます。残りの8問は今後出題する問題を評価するために使用されています。
※総合評価点は3分野の得点をもとに算出されます。
ITパスポート試験|【IT試験】試験内容・出題範囲
以下で具体的な採点の事例を見てみましょう。
<合格例>
総合評価点 | 640点/1,000点 |
分野別評価点 | ストラテジ系 310点/1,000点 マネジメント系 450点/1,000点 テクノロジ系 320点/1,000点 |
これは合格例になり「総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上あること」の合格基準を満たしています。
<不合格例>
総合評価点 | 690点以上/1,000点 |
分野別評価点 | ストラテジ系 830点以上/1,000点(分野別評価の満点) マネジメント系 710点以上/1,000点(分野別評価の満点) テクノロジ系 290点以上/1,000点(分野別評価の満点) |
こちらは不合格例です。テクノロジ系の評価点が300点の合格基準を満たしていません。
資格を取るうえで働く社会人がどのように資格を取れるのかについてはこちら社会人が働きながら資格を取るには?資格取得のメリットやおすすめ資格も紹介の記事でくわしく紹介していますので、メリットなども併せて参考にしてみてください。
ITパスポートのおすすめ勉強法
ITパスポート試験における勉強時間の標準は「150時間」が目安と言われています。しかし、IT関係の仕事をしている方や情報系の勉強をしている方であれば、約15時間から30時間で取得する方もいるようです。 ITの基礎知識がある人は過去問から取り組むのも良いですし、そうで無い方は参考書(テキスト本)を読むことから始めるなど自分に合った方法で取り組みましょう。以下で、それぞれの勉強法について紹介します。
参考書の例題から対策する
知識がゼロの状態からはじめるには、まず参考書(テキスト本)を一通り読み、知識をインプットするようにしましょう。次に過去問の問題集を併せて取り組むことで目標と実力との差がわかるだけでなく、解けなかった分野の復習など早期対策をすることがポイントです。知識を身につけるのに時間を要しますが、何度か読み返していくことで知識の定着を図れます。毎年その年に合わせたITパスポートの参考書が発売されているので、過去問の解説や出題範囲の傾向をつかむためにも購入する際は最新度版を入手すると良いでしょう。また春期・秋期に分かれた過去問題と解答については、以下公式サイトよりダウンロードができます。
参考:ITパスポート試験|【ITパスポート試験】過去問題(問題冊子・解答例)
おすすめ書籍 | 書籍名 |
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2019年度 いちばんやさしいITパスポート | |
2019年度板 ITパスポート試験 対策テキスト&過去問問題集 | |
柏木先生のITパスポート教室 |
勉強サイトを利用する
パソコンももちろんスマホで場所を取らず、勉強サイトを利用する方法です。観ると同時に耳で聞くことによって情報を脳にインプットされ、記憶力向上などのメリットがあります。いくつか動画を短時間に分けられて解説しているサイトもあるので、自分のすき間時間を見つけて視聴すると良いでしょう。
勉強サイト | サイト名 | メリット |
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IT塾 ITパスポート講座_講義動画 | YouTubeにアップされている講義動画を無料で受講できる。 講義動画は、全100回分が用意されており、一コマ約4~12分程度と短い時間で簡単に見れる。 | |
ITパスポート過去問道場 | スマホ一台でも勉強できるITパスポート過去問道場。出題範囲が選択できたり、解説が表示されたりと非常に便利なので有効活用できる。 |
用語辞典を活用する
ITの学習を進めていく中で大変なのが「用語を理解していくこと」です。とくにIT初心者の方は、そもそも問題を読んでも用語がわからず困ってしまうことが多いでしょう。そのような時は用語辞典を活用し、しっかりとIT用語を覚えていくと学習もスムーズにできます。
Web版IT用語辞典 | サイト名 | メリット |
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WEB版IT用語辞典 e-Words | IT用語辞典の決定版。10,000語を超える見出しを扱い、索引することでわかりやすく解説してくれる。閲覧ランキングでトレンドの用語を抑えることも可能。 | |
ITトレンド IT用語集 | 法人向けT製品比較サイトでも認知度・利用経験率が高いサイト。五十音順、アルファベット順で索引から探すことができる。IT用語一覧も用意しているので見やすい。 |
書籍版IT用語辞典 | 書籍名 |
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IT用語図鑑 ビジネスで使える厳選キーワード256 | |
日経パソコン デジタル・IT用語事典 |
アプリを活用する
デバイスの利用が一般的になり、試験勉強でスマホやタブレットを利用する人が増えています。場所を取らず、手軽に取り組めるのがアプリ活用のメリットです。ITパスポートの勉強におすすめのアプリについてはiOS、Androidそれぞれ以下の図を参考にしてみてください。
勉強サイト | サイト名 | メリット |
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iOS 全問解説付 ITパスポート 一問一答問題集 | すべての問題に解説がつけられている。テーマごとの分類、目次に解答履歴が表示されるので、自分の学習状況がわかる。完全版へアップグレードすると約330問増加し、ランダム出題機能が使える。 | |
23-24年版 ITパスポート問題集Lite(全問解説付) | 無料で解説もついているので、間違った際に確認が取れてとても便利。無料版は広告が表示されるが、有料版を購入すると広告は表示されなくなる。 |
講座を受講する
学習サイトや過去問サイトが充実しているので、独学でも十分に合格可能な試験ですが、より深く理解しておきたいという方は講座を受講してみてはいかがでしょうか。無料サイトとは違い、重要なポイントを講師が分かりやすく解説してくれるでしょう。
講座受講先名 | サイト名 | メリット |
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LEC 東京リーガルマインド | 便利で自由な通信スタイルの学習を行っている。プロの講師による講義形式で難しい問題も動画で優しく解説している。 | |
スタディング | スタディングだけでITパスポート試験に短期合格できるよう学習プログラムが作成されている。 実際の試験でよく出題されるテーマを抽出し、学習範囲を最小限に設定されているのが特徴。 |
合格した後の履歴書への書き方
ITパスポート試験は国家資格なので、合格したらぜひ履歴書に記載しましょう。記載するうえでの注意点として、以下の2点を見ていきましょう。
- 正式名称
「ITパスポート試験」が正式名称です。略称ではなく正式名称で記入しましょう。
- 資格取得日
受験日や合格発表日ではなく、合格証書に記載されている日付が取得日です。
「令和〇年〇月 ITパスポート試験 合格」と記載しましょう。
履歴書の資格欄へ正しい書き方についてこちら、履歴書の免許・資格欄の書き方|主な正式名称や順番などを例文で解説の記事でくわしく紹介していますので参考にしてください。
まとめ
ITパスポート試験は国家資格であり、ITの基礎知識が証明できる資格です。就職・転職活動そして就職後も社内研修などにITパスポートを活用する機会が多く、大変役に立ちます。今後の日本においては、「ITに関わらない仕事はほとんどない」といっても過言ではありません。学生はもちろんのこと、社会人の方もぜひITに関する基礎知識を習得し、自身のスキルアップを図ると良いでしょう。