なぜいま「ICT」が必要なのか~導入メリット/デメリット
はじめに
- ICTとは「情報通信技術」のことで英語頭文字をとって略したもの
- 代表的な企業内のICTインフラは、基幹システム、情報システム、ERPの3つ
- ICTのメリットは、生産性や業務効率の向上、多様な働き方の実現、顧客や取引先へのサービス向上、自動化によるミスの削減、データの有効活用、情報共有の円滑化
- ICTのデメリットは、セキュリティ面のリスク、導入や教育のコスト、従来のやり方を変えることへの反発
- 企業にとって不可欠な要素となっているためICTインフラの導入が求められている
いまの世の中は、いたる所に「ICT」があふれています。ICTやそれを支えるインフラについての知識は、社会で活躍するためには大切ですのでしっかりと覚えておきましょう。
ICTとは
「ICT」とは「情報通信技術:Information and Communication Technology」の英語頭文字をとって略したものです。従来つかわれていた、コンピューターの技術を指す「IT(情報技術:Information Technology)」とほぼ同じ意味をもっていますが、技術の活用なども含む広い意味をもつ言葉としてICTという呼称が国際的に定着しつつあります。
企業内のICTインフラ3種類
世の中の企業内でICTを支える「インフラ」について3つ解説します。
※インフラとは「インフラストラクチャー」の略で、生活に必要なエネルギー・構造物・サービス・設備などをいいます。
1 基幹システム
企業のICTインフラの1つ目として「基幹システム」があげられます。
その名の通り企業の基幹となる業務を管理するシステムのことで、代表的なものとしては財務、人事、販売、在庫、生産管理などの業務プロセスを統合的に管理する役割をもっています。基幹システムは、企業の運営に必要なデータや業務プロセスを管理し、効率化と正確性を提供する重要なインフラです。
2 情報システム
企業のICTインフラの2つ目に「情報システム」があります。
企業における情報システムとは、業務をおこなう上で必要な情報を収集・蓄積・処理・伝達するための仕組みの総称です。ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク、データベースなどで構成されており、企業が効果的かつ効率的に運営されるために重要な役割を果たします。
3 ERP
企業のICTインフラ3つ目は「ERP:Enterprise Resource Planning(統合基幹業務システム)」です。ERPとは、財務管理や人事管理、生産管理、在庫管理など、従来は個別に運用されていた基幹業務を一元的に管理するシステムまたはソフトウェアを指します。
IT化・デジタル化・DXとの違いについて
言葉のニュアンスはどれも似ていますが、業務関連では「ICT」「DX」のどちらかをつかうことが定着しています。
- デジタル化:業務プロセス、アナログデータをデジタル技術で置き換える。IT化の基礎
- IT化:情報機器やインターネット接続環境を導入する。DXの前段階
- ICT化:情報機器、インターネット接続環境を整備し、これらの技術を活用して業務プロセスを効率化する取り組み全般
- DX:デジタル化によって業務を変革する。IT化とデジタル化の統合
ICTインフラ導入のメリット
ICTインフラ導入のメリットを6つ解説します。さまざまな利点を考慮して、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
1 生産性や業務効率の向上
ICTを導入することで「生産性や業務効率の向上」を期待できます。
業務の効率が低い、人材や予算が不足しているなどといった問題がある場合、ICTを導入することで解決できるかもしれません。
たとえばコミュニケーションツールやRPA(Robotic Process Automation)などを導入すると以下の効果が期待できます。
- 業務の自動化による時間短縮
- コミュニケーションの迅速化
2 多様な働き方の実現
ICTの導入・活用によって、場所や時間の制約を超えて働く環境が整い、企業と従業員の双方に利点があります。
たとえば、リモートワーク環境を整えれば、在宅ワークが可能になります。在宅ワークが実現し通勤時間が削減されることで、ワークライフバランスの向上が見込まれます。
3 顧客や取引先へのサービス向上
ICTを導入することで「顧客や取引先へのサービス向上」が期待できます。
リアルタイムの情報共有が可能になり、顧客や取引先からの問い合わせや要望に迅速に対応できるようになります。これにより、サービスの質が向上するでしょう。
4 自動化によるミスの削減
ICTを導入することで「自動化によるミスの削減」が期待できます。
AIやRPAを活用することで業務が大幅に自動化され、反復作業の効率化だけでなくこれまで人が担っていた高度なデータ分析なども自動化することが可能です。これにより、ヒューマンエラーが大幅に減少します。
5 データの有効活用
ICTを導入することで、以下のような「データの有効活用」を期待できます。
- データ分析:新たなビジネスチャンスの発見、顧客の行動パターンへの深い洞察が可能
- データ共有:情報伝達のスピードが向上し、コラボレーションが促進される
- パーソナライゼーション:顧客一人ひとりのデータを分析することが可能
6 情報共有の円滑化
ICTを導入することで「情報共有の円滑化」を期待できます。
組織はより効率よく情報を共有でき、迅速かつ正確な意思決定ができるようになります。ICTによる情報共有の円滑化は、生産性向上やイノベーション創出に不可欠な要素です。
ICTインフラ導入のデメリット
ICTインフラ導入のデメリットを3つ解説します。導入することで問題が生じる可能性があるということを念頭に置いて対策を練っておくことが大切です。
1 セキュリティ面のリスクがある
組織にICTを導入することで「セキュリティ面のリスク」が発生します。
ICTはインターネットを利用することが多いため、サイバー攻撃や情報改ざん・漏えいなどのリスクが高まります。もしもセキュリティ問題が起これば、組織の信頼性が損なわれたり、法的な問題に発展したりする可能性があるため、適切なセキュリティ対策と予防措置を講じることが重要です。
2 導入や教育にコストがかかる
組織にICTを導入することで「導入や教育のコスト」が発生します。
場合によっては膨大な額となる可能性があるので注意が必要です。導入にかかる3つのコストは以下の通りです。
- 初期費用:システム導入、ハードウェア購入、ソフトウェアライセンス費用など
- 維持費用:システムの更新、保守費用が継続的に発生
- 人件費:システム導入に伴う社員の教育費用や、新たなシステム管理者の雇用費用
3 反発される可能性がある
組織にICTを導入することで「従来のやり方を変えることへの反発」が発生する可能性があります。
ICT導入によって、従来のやり方に慣れ親しんだ従業員からの反発が起きる可能性は高いです。この反発は、ICT導入の成功を阻む大きな要因となりえます。
そのため、導入の必要性を論理的に説明したり、試験的に一部の業務をICT化したりして従業員の理解と支持を得ることが重要です。
ICTインフラ導入が必要な理由
なぜいまICTインフラの導入が必要になっているのでしょうか。
理由は、社会でICT化システムの利用が広範囲に及び、これが標準となっているからです。ICTインフラの導入は、企業が競争力を維持し、持続的に成長していくために不可欠な要素となっています。
これを効果的に活用することで、業務の効率が向上し、顧客満足度が高まります。さらに、新たなビジネスチャンスも生まれ、企業の市場での地位を強化することが可能となります。
まとめ
ここまで「なぜいま「ICT」が必要なのか~導入メリット/デメリット」というテーマを解説してきました。
ICTとは「情報通信技術:Information and Communication Technology」の英語頭文字をとって略したものです。ICTインフラの導入が必要とされる理由は、それが企業にとって必須の要素となり、競争力を維持し継続的な成長を支えるためです。
この重要性を踏まえると、これからの社会で生き残るためにはICTの導入・活用が鍵になるのは必定でしょう。ぜひこの記事を参考にして、「ICT」に関しての知見を深めておきましょう。