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ヘルプデスクはやめとけ?仕事内容/将来性・年収/未経験でもなれる?

date2023年06月09日
ヘルプデスクはやめとけ?仕事内容/将来性・年収/未経験でもなれる?
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はじめに

ヘルプデスクという職種についてご紹介します。その仕事内容、魅力・必要なスキル、将来性やキャリアパス、未経験でも就業可能かなどを解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

ヘルプデスクとは

ヘルプデスクとは

ヘルプデスクとは一般的に、社員や顧客などからの問い合わせに対して、受け答えを行う業務または部門を指します。
以下ではIT系のヘルプデスクについてその仕事内容を見ていきます。

仕事内容の種類

IT系のヘルプデスクは、ユーザーが利用しているパソコンやソフトウェアに関する質問やトラブル対応が主な仕事内容となります。
大きく分けて、ユーザーが自社の社員の場合は社内ヘルプデスク、自社製品やサービスの顧客の場合は社外ヘルプデスクと呼ばれます。

社内ヘルプデスク

社内ヘルプデスクは自社の社員からの問い合わせについて対応を行います。
企業ではさまざまなIT機器、ソフトウェアを利用しています。PC・タブレット・スマホなどのハードウェア、WordやExcelといった事務系のソフトウェア、メールやチャットなどのコミュニケーションツールなどが代表的なものと言えるでしょう。こうした機器やソフトウェアには何がしかのトラブルがつきものです。またそもそも使い方がわからないといったこともあるでしょう。そうしたケースに操作方法を案内したり、障害を解消したり、必要によりベンダーへの問い合わせを行ったりするのが社内ヘルプデスクの主な役割となります。

社外ヘルプデスク

社外ヘルプデスクは自社製品やサービスを利用している顧客からの問い合わせについて対応を行います。
社内ヘルプデスクの場合は社内で利用しているさまざまな機器やソフトウェアに関する問い合わせが届きますが、社外ヘルプデスクの場合は自社製品に限られます。またBtoBの場合は企業から、BtoCの場合は一般ユーザーに対する応答となります。
自社の商品やサービスですのでトラブル対応等のマニュアルも整備されていますが、マニュアル化されていないケースなどについては調査をしたり、二次窓口へエスカレーションしたりといった対応も行います。
なお以前は電話やメールで対応することの多かったヘルプデスクですが、ここ数年はチャットシステムを利用したり、チャットボットによる自動対応などの仕組みを導入したりしている企業も増えています。

ヘルプデスクやめとけ!きついと言われるワケ

ヘルプデスクやめとけ!きついと言われるワケ

ヘルプデスクについては、底辺の仕事、キツい疲れる、やめておけといった声がしばしば聞かれます。なぜそういったマイナスのイメージがあるのでしょうか?その理由について見ていきましょう。

クレーマー対応でストレス

ヘルプデスクの仕事はユーザー対応です。色々なユーザーからの問い合わせに対応するため、クレーマーのような人にも当たることでしょう。一度きりならまだしも、なかには1日に何度も連日でといったケースも考えられます。日々クレーマー対応に追われると、どんな人でもストレスが溜まってしまいます。眠ればさっと忘れてしまうタイプの方は大丈夫かもしれませんが、気に病むタイプの方には厳しい職種と言えるかもしれません。

専門知識が追い付かない

IT分野の技術進展は日々凄まじいものがあります。対応する範囲の広いヘルプデスクにとって関連する知識をすべてアップデートするのは、日々業務対応に追われる中では困難です。
そうすると場合によっては問い合わせをしてきたユーザーの方が詳しいといったことも起こり得ます。業務に必要だが、知識の習得に時間が割けないといったジレンマを感じることも少なからずあるでしょう。

対応が長引けば残業になることも

トラブルはすぐに解決するものから、時間を要するものまで千差万別です。時間を要しても問題のないケースであれば良いのですが、火急のトラブルだった場合は、ずっとその問い合わせに付きっきりになることもあります。もちろん対応が長引いてしまえば残業にもなってしまいます。マニュアル通りに対応し定時に仕事を終えるという目論見でヘルプデスク職に就いたものの、残業続きになるといったことも十分に考えられます。

ヘルプデスクのやりがい/魅力は?

負の側面が取り上げられがちなヘルプデスクですが、やりがいや魅力が全くないわけではありません。
具体的になにがあるのか、以下ではヘルプデスクの仕事を通じて味わえるやりがいや魅力、培うことのできる知識等について見ていきましょう。

問題解決し直接、感謝される喜び

ヘルプデスクの仕事は簡潔に言えば困っている人を助ける仕事です。困りごとが解決すれば感謝されます。その感謝は直接ヘルプデスクの応対者に届きます。
感謝されることに人はやりがいを感じます。また自分の知識が人の役に立ったという思いは仕事に対するモチベーションにもつながることでしょう。

基本的で幅広い技術知識が身に付く

トラブルの原因はひとつではなく、複合的な要素が絡んでいることもよくあります。ソフトウェア単体の問題と思われていたものが、他のソフトウェアやPCとの相性の問題であったり、個人のPCではなくネットワークの障害であったり、可能性はいくつも考えられます。それらをひとつひとつクリアしていくことが求められるため、結果的に幅広い技術知識が身についていきます。

深刻なトラブルに対応できた時の達成感

問い合わせの内容には深刻であったり、困難であったり、また急を要するものもあります。そうした難題・難局を自分の力で解決に導くことができれば、その先には大きな達成感があります。達成感を味わえる仕事はありそうで実際にはなかなか無いものです。それが待っていればやってくると考えれば、ヘルプデスクは魅力的な職種と言えるでしょう。

ヘルプデスク職に向いている人の特徴

ヘルプデスクに向いている人はどのようなタイプの人でしょうか?その特徴をみていきましょう。

コミュニケーション能力が高い

どのようなビジネスにおいても必要不可欠となるのがコミュニケーション能力ですが、ヘルプデスクの仕事ではその重要性は非常に高まります。
ヘルプデスクは通常、ユーザーと顔を合わせての対応はしません。電話やメール・チャットなどの音声やテキストメッセージによるやりとりがその大半を占めます。そうしたなかで、トラブル内容を会話しながら把握していくためにはコミュニケーション能力の高さが何より求められるというわけです。

臨機応変に対応ができる

ヘルプデスクにはマニュアルやこれまでの問い合わせと回答をまとめたQA集のような資料があるのが一般的です。それらを活用すれば解決する問題も多い一方で、似通った症状ながら同じように解決しないケースも発生します。そういったケースではマニュアル等に縛られない対応が必要なこともあります。臨機応変な対応が出来る人もヘルプデスク職に向いている人の特徴と言えます。

相手の立場になって考えられる人

ヘルプデスクには自分では解決できず、困り果てた状態で問い合わせしてくる人も少なくありません。トラブルを解決できればそれに越したことはありませんが、状況によっては数日要する場合もあります。そうした際に例えば、相手がやりたいことを聞き出し代替案を提示することができれば、いったん乗り切れるといったこともあり得ます。相手の立場になって物事を考えられる人もヘルプデスク職に適性があると言えそうです。

ヘルプデスク必要なスキル/資格とは

ヘルプデスク必要なスキル/資格とは

ヘルプデスクに必要なスキルとあると役立つ資格を紹介します。どういった内容なのか順に見ていきましょう。

必要なスキル

ヘルプデスクに必要なスキルについて、PCの基本的な操作、ヒアリング力、英語のスキル、製品やサービスの深い知識の4つを挙げてみました。

PCの基本的な操作

ヘルプデスクはPCを用いて作業をすることが基本です。ユーザーとの応対内容の記録などの業務にも使用しますが、ユーザーの操作を自身のPCで同じように操作して挙動の確認や再現を行う場合もあります。標準的なWindowsのPCについては一通り操作できるようにしておきましょう。

ヒアリング力

ヘルプデスクに適性のあるタイプとしてコミュニケーション能力が高いという点を挙げましたが、そのなかでもヘルプデスクにとってはヒアリング力が何より重要です。
何らかのトラブルを抱えた人がヘルプデスクに問い合わせてきます。技術的なことに疎い方、感情がたかぶっている方、なかには理不尽なクレームをぶつけてくる方もいたりします。
そうした状況においては、落ち着いて丁寧に相手の話を聞くことがまずは大切です。相手が何を求めているかをしっかりと理解するためのヒアリング力が何より求められるのはそのためです。

英語のスキル

企業によっては外国人がユーザーとなるケースもあります。そのためヘルプデスクの採用条件として英語のスキルを求められる場合もあります。
また英語が必須でない場合でも英語が話せると重宝され、仕事の幅が広がったり収入アップにつながったりするケースも十分に考えられます。

製品やサービスの深い知識

ヘルプデスクに担当する製品やサービスの知識があるのは当然です。求められるのはそれらに付随するより深い業務知識や関連知識です。
例えば経理システムのヘルプデスクであれば、簿記の知識やBS/PLといった決算の知識などです。それら持ち合わせていないと、経理担当者からの問い合わせ内容を十分に理解し的確な回答するのはなかなか厳しいでしょう。

あると役立つ資格

ヘルプデスクの業務を行うにあたって必須の資格はありません。とは言え、業務の内容やサポート対象によっては資格を保有しておくことでアドバンテージが生まれたり、採用されやすくなったりすることもあります。あると役立つ代表的な資格を紹介しますので参考にしてみてください。

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)

マイクロソフトオフィス製品の利用スキルを証明できる資格です。世界的に行われている資格試験であり、世界共通のため合格認定は世界で適用されます。Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookについて製品のバージョンごとに試験が用意されています。
多くの企業でマイクロソフトオフィス製品は利用されていますので、ヘルプデスクにとって取得する価値は高い資格と言えます。

ITパスポート

ITを利活用する者に限らず、全ての社会人が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する情報処理技術者試験1〜4のレベルの一番下、レベル1に当たる試験です。ヘルプデスクに必要なITに関する基礎的な知識を網羅的に問われる試験になります。ITに関する知識が乏しいと感じる場合は、まずはこの試験で自身のレベルを測ってみることをおすすめします。

ITIL foundation

ITIL foundation(アイティルファンデーション)は「ITサービスマネジメント及びITILに関する基礎知識を保有していること」を証明する英国政府認定の公的資格になります。
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービスマネジメントにおける成功事例をまとめた書籍群を意味します。この事例を採用しシステム運用業務を行う企業が増加していることもあってその価値が評価されています。システム運用管理の一番初歩的な資格として、有効期限もなく試験も比較的容易なこともありますので、取得を検討してみるのも良いでしょう。

基本情報技術者試験

IPAの情報技術者試験において、エンジニアを対象とした資格のなかでまず取得すべき資格です。国家試験でありエンジニアに必要な基本的知識を幅広く問われる内容となっています。
難易度はITパスポートのひとつ上のレベル2ですが、エンジニアに向けた登竜門の試験でもあり難易度は一挙に上がります。IT業界でより高いレベルを目指すならぜひ取得しておきたい資格でしょう。

TOEIC

TOEICとはTest of English for International Communicationの略で、教育試験サービス(ETS)が実施している英語によるコミュニケーション能力を評価する試験です。テストの種類はいくつかありますが、一般的には「TOEIC Listening & Reading Test」をTOEICと呼んでいます。リスニング約45分とリーディング75分のマークシート方式によるテストで満点は990点です。
英語による会話はありませんが、試験で取り上げられる単語やフレーズは実際のビジネス現場で使われているものが数多く含まれています。ヘルプデスクは英語力を活かせるポジションも多いため、相応の得点を取得しておくと自身の英語力の証明につながります。

ヘルプデスクに将来性はあるの?

さまざまな業務がシステム化されるなか、そのサポート役のヘルプデスクのニーズが衰えることはないでしょう。しかしヘルプデスク職に将来性はあるのかという問いには、なかなか明るい回答をしづらいというのが正直なこところです。ヘルプデスクの将来性については、次の3点がよく取り沙汰されます。

  1. 高度な専門技術は必要ないため専門性を磨きにくい
  2. 他のIT系の職種に比べ年収は低め
  3. 若い人材やAIを活用した自動応答にとって代わられる懸念がある

次のステップ、キャリアパスを考えておくことは必要でしょう。

ヘルプデスクの気になる年収

ヘルプデスクの年収については未経験の場合300万円程度、経験者の場合も450万円程度が相場と言えそうです。
一般的にサポート業務は、運用費を顧客から別途もらう場合を除きコストとして扱われることが多いため、高い年収を望みづらい傾向にあります。
ただし外国語での対応が可能など希少性の高い人材になれば、より高い収入を提示される可能性もあります。

ヘルプデスクのキャリアパスは?

ヘルプデスクから目指すことが可能なキャリアパスを紹介します。
ひとつは社内SEです。企業によっては社内SEとヘルプデスクの線引きがあまり無い場合もありますが、一般的に社内SEの仕事は自社システムの開発・運用・保守になります。ユーザーのアカウントやソフトウェアライセンスの管理、PCやネットワーク機器などIT資産の保守・導入・入れ替え等も担います。情報システム部門の業務を思い浮かべると最も近いでしょう。
もうひとつはエンジニア/プログラマーへの道です。ヘルプデスクの仕事に比較的近い社内SEよりもかなりハードルは上がりますが、ITの基本的な知識をベースに研鑽を積みスキル・知見を高めていけば、キャリアパスとなりえるでしょう。

未経験からでもヘルプデスクになれるの?

未経験からでもヘルプデスクになれるの?

ヘルプデスクに必要なスキル・適性などを紹介きてきましたが、未経験からでもヘルプデスク職へ就くことはできるのでしょうか?求人の動向なども含め見ていきましょう。

未経験からでも転職可能!

ヘルプデスクについては未経験でも十分に転職可能です。ヘルプデスクの募集を見ると「未経験者可」の求人も数多く見つかります。WebデザイナーやエンジニアといったIT業界の他の職種に比べて未経験者への門戸は広いと言えます。
通常、入社後にヘルプデスクとして必要な研修も行われます。とは言え、PCや代表的なオフィスアプリなどはある程度使えることが前提です。上記でお伝えした必要なスキルは最低限身に付けておき、志望動機において自身の保有するスキルを活かしたいといった内容を記載しアピールするのが良いでしょう。

まとめ

さまざま業界でDX化が進むなか、IT人材の不足もありヘルプデスクの需要は右肩上がりです。未経験でも比較的採用されやすい職種でもあります。
一方でキャリアパスや年収アップという点では、他のIT系の職種に比べ見劣りする部分もあります。自身のキャリア形成について考えたうえで、より専門性の高い職種へのステップアップも視野に入れておくことが肝要でしょう。

最後のチェックポイント

  • ヘルプデスクは社員や顧客などからの問い合わせに対して受け答えを行う職種
  • 社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスクに分けられる
  • コミュニケーション能力が高く、臨機応変に相手の立場になって考える人が向いている
  • PCや扱う製品・サービスの知識はもちろん、ヒアリング力、場合により英語力も必要
  • 必要なスキルを身につけていれば未経験でも転職可能
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