エシカル消費とは? SDGsを実現するために個人でもできる消費行動
はじめに
- エシカル消費は倫理的な配慮のある消費
- 持続可能な社会を実現する重要な取り組み
- 配慮の分野には環境、人や社会、地域がある
- SDGsを実現する未来のために実践と継続が重要
- 個々人が意識して何がエシカルかを考えることが大切
エシカル消費とは、地球や人間社会に配慮した倫理のある消費行動のことです。SDGs(持続可能な開発目標)を実現するために、消費者個人でもできる取り組みとして注目されており、国内外でさまざまな施策が行われています。この記事ではエシカル消費について、得られるメリットやその必要性を、個人でもできることを中心に解説します。
エシカル消費とは
エシカル(ethical)とは、倫理的という意味の英語です。これに倣ってエシカル消費を簡単にいうと、倫理的な配慮が伴った消費行動という意味になります。ここでいう倫理的な配慮とは具体的にどのようなものでしょうか。以下の項目でより詳しく解説します。
エシカル消費とSDGsとの関係
エシカル消費を理解するうえで重要な意味を持つのが、SDGs(Sustainable Development Goals)です。SDGsは、人類がこの地球で暮らし続けていくために世界中のさまざまな立場の人々が話し合い、2030年までに達成する持続可能な開発目標として、2015年9月に国連で17のゴールが定められました。エシカル消費はその12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」に含まれており、日本国内でも消費者庁をはじめ、さまざまな組織や団体が普及・啓発に取り組んでいます。
参考:消費者庁|エシカル消費特設サイト
エシカル消費の例から見たできること
エシカル消費とは倫理的な配慮が伴った消費行動です。この配慮は、大きく分けて環境・人や社会・地域という3つの分野に分けられます。以下では、分野ごとに行われているエシカル消費の例やこれまでの取り組み事例、個人でもできることを解説していきます。
環境への配慮
地球環境への配慮が伴う消費もエシカルな消費です。それでは環境への配慮とは、具体的にどのようなものでしょうか。以下の項目では取り組み事例とともに、消費行動で実現できる環境への配慮について、より詳しく解説します。
省エネへの取り組み
エネルギー問題と環境汚染は、世界中にさまざまな課題が存在します。
この課題に対して、エシカル消費の考え方であれば、消費者の立場でも省エネ製品や環境負荷が少ない商品を選択することで、地球温暖化や環境汚染に配慮した消費行動が可能です。
例えば、こまめに電気を消したり、省エネ家電を利用したりすることで、節電やエネルギー消費に配慮したエシカルな消費を実践できます。また自然エネルギーや再生可能エネルギーの利用、ウォームビズやクールビズの実践も省エネを意識したエシカルな消費です。
減農薬やオーガニックへの理解
減農薬や自然の恵みを生かして生産したオーガニック(有機)農産物や、その加工品を選択することもエシカルな消費です。またIT技術による省力化や、品種改良などで品質向上を図るスマート農業によって作られた商品を取り入れることも、環境負荷に配慮したエシカルな消費です。
選択の目安として、日本には有機もしくはオーガニックと表示するための有機JAS認証という制度があります。この制度で認証された商品を取り入れることで健全な土を守ること、食べる人、使う人、作る人の健康を守ることに貢献できます。スマート農業については以下も合わせて参考にしてください。
参考:株式会社セラク|みどりクラウド
3Rの実践
3R(スリーアール)とは、ごみを減らすリデュース(Reduce)、捨てずに使うリユース(Reuse)、ごみとなったものや資源を再活用するリサイクル(Recycle)の頭文字を取った言葉です。
3Rはリデュース、リユース、リサイクルの優先順位を反映した消費行動で実践できます。ゴミを減らし、できるだけ捨てずに使い、それでもゴミとして出さなくてはならないものは再生利用につなげましょう。
3Rを通じて行う環境保全(エコ)に関する取り組みも、個人でできるエシカルな消費です。
人や社会への配慮
人や社会への配慮がある消費もエシカルな消費です。それでは人や社会への配慮とは、具体的にどのようなものでしょうか。以下の項目で詳しく見ていきましょう。
フェアトレード
フェアトレードとは、途上国の生産者に無理をさせず、適正な価格で取引する仕組みのことです。国内外にさまざまな取り組みがあり、この仕組みの中で作られた商品をフェアトレード商品といいます。普段の生活にフェアトレード商品を取り入れることも、人や社会に配慮したエシカルな消費です。
フェアトレードの基準には、労働者に適正な賃金が支払われることや労働環境の改善、子どもの権利保護や児童労働の撤廃などが盛り込まれています。国内外のさまざまな組織や団体で取り組みが行われており、認証マークも複数存在しています。
社会貢献につながる商品や取り組み
売上の一部が寄付などの社会貢献につながる商品や、障がいを持つ人たちの支援につながる商品を選択することも、エシカルな消費です。また、社会的な取り組みに力を入れる企業に対して、消費者の立場から応援することも、エシカルな消費につながります。
この社会貢献につながる商品や取り組みには以下のようなものがあります。
- コーズマーケティング(Cause Marketing)
自社の製品を通じて社会貢献活動につながることを顧客に訴求するマーケティング手法。
- CSR(Corporate Social Responsibility)
企業の社会的な責任のもと、金銭的な利益よりも社会的な利益のために企業が自主的に行う活動。
地域への配慮
通販よりも地域の商店街を使うことや地元の産品を購入すること、被災地を支援した消費など、地域への配慮がある消費行動もエシカルな消費です。それでは地域への配慮とは、具体的にどのようなものでしょうか。以下の項目で詳しく見ていきましょう。
地産地消
地産地消の観点からもエシカルな消費を実現できます。
例えば地元で採れた農産物や海産物、地域の特産品や伝統技術の継承につながる商品を購入することで、輸送コストの削減や地域の活性化につながります。また、通信販売よりも地元の店舗を使うことや、地元のメーカーを応援することでも、地域経済への貢献が可能です。
スーパーマーケットや大手メーカーの製品を使っていると、あまりなじみのない商品があるかもしれませんが、あらためて地元の伝統や特徴に目を向けることで、新しい発見があるかもしれません。
被災地支援
被災地を支援する消費、いわゆる応援消費もエシカルな消費につながります。被災地を支援するため間接的に復興を助ける消費行動として、2011年の東日本大震災をきっかけに広く知られるようになりました。
近年では、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、困っている生産者や飲食店を支援する動きが増えています。このような動きは当事者への直接的な支援だけでなく、食品ロスの削減にもつながります。
認証を受けたマークやラベル
エシカル消費につながる商品を選ぶ際、判断の目安となる認証を受けたマークやラベルが存在します。これらは第三者機関が安全性や品質などの認証基準を設けて発行しています。以下の項目で詳しく見ていきましょう。
エシカルマーク
エシカル消費につながる認証には、環境・人や社会・地域などの分野で多くの種類があり、これらの認証を受けたラベルやマークがエシカルマークです。普段の消費生活で手に入る商品にも、このマークやラベルを持つ商品が数多く存在しています。
マークを目安に商品を選択することで、認証された分野のエシカル消費を実践できます。購入の際にはどのようなラベルやマークであるかを確認してみましょう。
マークはあくまで目安
マークやラベルはあくまでエシカル消費の目安にすぎません。ITやIoT(モノのインターネット)技術の導入などで小規模でも適正に管理された製品や、地元の企業を応援できる製品など、マークがない製品でもエシカル消費につながるものは数多く存在しています。
エシカル消費を実現する答えはひとつとは限りません。自分が住む地域や環境によって、何がエシカル消費につながるのかを考えながら、消費行動に反映することが大切です。
エシカル消費にも多くのメリットをもたらすIoTについてはこちらの記事、IoTとは? なにかを分かりやすく解説で、より詳しく紹介しています。合わせて参考にしてください。
エシカル消費で実現する未来
エシカル消費は、地球環境・人や社会・地域への倫理的な配慮の伴った消費行動です。これを実践することで環境問題や人権問題、貧困を解決し、持続可能な社会を支え合って実現する未来がその目標です。この未来を実現するため、現在も国内外でさまざまな取り組みが行われています。
以下の項目では、エシカル消費が抱える問題点とその解決方法について説明します。
エシカル消費が抱える問題点と解決のために
エシカル消費は国内外でさまざまな取り組みが進んでいます。しかし現状ではまだ発展途上です。認証マーク取得のハードルの高さや認知度、小売価格の高さや入手のしやすさ、機能面での疑問といった多くの問題点を抱えています。
今後もエシカル消費を実践する中でこれらの課題を解決し、成果と恩恵を得るためには、エシカル消費を知り、学んだ人たちの活躍こそが不可欠です。そのためにも多くの人が協力してエシカル消費を実践するとともに、理解や仕組みについて考えながら、これらを実現する未来のために実践と呼びかけを続けていくことが重要です。
まとめ
人類が直面している課題の解決を目指してSDGsが設定されました。エシカル消費はこの中の「つくる責任 つかう責任」に含まれており、地球環境・人や社会・地域への倫理的な配慮がある消費行動として、その重要性が呼びかけられています。
エシカル消費は環境問題や人権問題、貧困を解決し、持続可能な社会を支え合って実現するための重要な取り組みです。世界中にさまざまな団体や組織があり、認証やマークも数多く存在していますが、これらはあくまで目安であり、マークがなくても多くの取り組みや製品が存在します。
大切なことは消費者個々人がエシカル消費を意識し、何がエシカルにつながるのかを考えて消費行動に反映することです。