AI音声認識とは?仕組みと活用例を簡単に解説
はじめに
- 音声認識は音声を分析し言語として認識する技術
- AIは音声認識にさまざまな可能性をもたらした
- AI音声認識は音声認識にAIの思考力が組み合わされた先端技術
- AI音声認識にも苦手な分野があるため要注意
- 成長を続けるAI音声認識は将来さまざまな分野に拡大して行く
音声認識とAIが互いを活かし合うAI音声認識は、スマートフォンに搭載されているSiriやGoogleアシスタントをはじめとした、対話によって操作や回答が得られる技術です。
本記事ではこの音声認識とAIについて、その仕組みや活用事例をメリットやデメリットと合わせて解説します。
AI音声認識とは
AI音声認識は入力した音声をテキスト化する音声認識に、AIの「考える力」が加わった技術です。両者の融合は音声の認識率向上だけでなく、AIとの対話を可能にしました。
この能力によって、ビジネスや生活における省力化や自動化を実現する多種多様なツールが生み出されています。AI音声認識の対話能力は、今なお発展の途上にある最新技術です。
音声認識の仕組み
音声認識は、マイクから入力された音声を分析・理解し、データやテキストに出力する技術です。タイピングよりも速いテキスト化や、機器の操作方法としても使えるなどの特徴を持っています。以下の項目では、音声認識を構成する4つの技術について詳しく解説します。
音響分析
AI(コンピュータ)はアナログの音声から言語を認識することはできません。音響分析はマイクから入力された音声をデジタル化することで、AIが認識できるデータに変換する工程です。
音響モデル
デジタル化された音声から音素を抽出します。音素とは言語を構成する最小の単位です。音素の数は言語によって異なり、日本語は24音素(5母音音素+16子音音素+3特殊音素)、英語は44音素(20母音音素+24子音音素)で構成されています。
発音辞書
音響モデルで抽出した音素を組み合わせ、単語として認識するデータベースの役割を果たすのが発音辞書です。発音辞書を通じることで、音素の組み合わせは言葉として認識されます。
言語モデル
言語モデルは、単語のつながりや出現率から言語をモデル化したものであり、文法や公式に相当する部分です。発音辞書で認識した単語を組み合わせ、意味のある正確な文章として認識する役割を果たします。
AIが音声認識にもたらした効果
AIが持つ機械学習の特徴によって学習の自動化や高精度の学習が実現し、音声認識そのものの精度も大きく向上しましたが、AIが音声認識にもたらしたのは精度の向上だけではありません。
音声認識にAIの思考力が加わったことで、音声による受け答えが可能になりました。つまりAIとの対話が実現したわけです。これによりAIを用いた音声認識は、ビジネスでの活用性やメリットを大きく進歩させました。
AIの発達と変遷についてはこちらの記事、AIの歴史と流れ 今後の課題も合わせて解説で、より詳しく触れています。またAIを開発するエンジニアについてはこちらの記事、AIエンジニアとは?仕事内容と目指し方を簡単に解説で紹介しています。合わせて参考にしてください。
AI音声認識のメリット
AI音声認識のメリットには、業務の効率化や自動化、さまざまな機器の操作性も向上するため、手間の軽減や時間の削減が期待できます。以下にAI音声認識の活用事例をまとめました。
AI音声認識の活用事例
主な機能 | 活用事例 |
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音声入力による文字起こし | 音声をテキスト化する技術は、手作業よりも短時間で対話を文章化できます。
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他言語への変換 | 音声から認識した言語を別の言語に変換・翻訳できます。
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音声入力による命令 | 音声入力で認識した内容をAIが理解することで言葉による命令が可能になります。
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AIとの対話 | AIとの対話はSiriやGoogleアシスタントをはじめ、対話型のAIやボイスボットとして数多の業務自動化を実現しています。
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音声合成による読み上げ | AIは音声を認識するだけでなく、認識した音声や言語を異なる音声や言語に変換して読み上げることも可能です。
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AI音声認識のデメリット
さまざまな分野で活用されている極めて優秀なAI音声認識ですが、発展途上の技術であるため苦手な分野も存在します。以下にAI音声認識が抱えるデメリットや留意しておくべき課題についてまとめました。
AI音声認識が抱えている課題
苦手や課題 | 内容と対策 |
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雑音やノイズ | AI音声認識は音素から組み立てた言葉を認識するため、雑音やノイズには強くありません。対策として、クリーンな音声を入力する必要があります。 |
複数人の音声 | ノイズと同様に話者の特定が難しい複数人の音声もAI音声認識の苦手分野です。対策としては複数の話者が、言葉を被せることなく話す必要があります。 |
スラングや若者言葉 | AI音声認識の認識力は機械学習が背景にあるため、話者の少ない言葉や新しい言葉には対応しきれません。対策として、できるだけ一般的な言葉を心がける必要があります。 |
人の心までは 読み解けない | AI音声認識は優秀ですが、心の読み解きや空気を読むといった分野は強くないのが現状です。苦手分野を留意し、時にはAIが悪用される可能性も視野に入れておくとよいでしょう。 |
AI音声認識の将来性
AI音声認識技術の将来は課題の克服をはじめ、単なる音声認識精度の向上だけでなく、さまざまな分野に拡大して行くでしょう。以下にAI音声認識の将来性について3つ紹介します。
スマートスピーカーの普及
AI音声認識の発達とともに、音声のみで操作を可能とするスマートスピーカーの普及も更に進むと考えられます。また双方向的な翻訳精度の向上はグローバルな会話を可能にし、生活もビジネスも豊かになるでしょう。
医療分野への応用
AI音声認識は言語の分野だけでなく、心肺や血流の異音を検出する研究も進んでいます。これにより予防医療への応用や、対話により医療情報の提供を求めることも可能になると考えられます。
ロボットとの対話
AI音声認識による言語認識の精度向上により、IoT機器やAIアシスタントとの対話も、より自然なものになるでしょう。これにより買い物や運転の指示も口頭のみで可能になると考えられます。
まとめ
音声認識にAIの思考力が加わったAI音声認識は、先端技術であると同時に日進月歩の成長過程にある技術として、今後の市場拡大も注目される技術です。人的省力化や自動化の切り札として、さまざまな業界で活用されており、私たちの生活においても身近な技術になりつつあります。
AI音声認識は急速に拡大する反面で、悪用されるリスクも常に存在しています。正しく使うコンプライアンスの姿勢とともにリテラシーも向上させ、ぜひ活用への理解を深めてください。