AIの歴史と流れ 今後の課題もあわせて解説
はじめに
- 第1次AIブームは推論と探索のみ
- 第2次AIブームは「人間がコンピュータに教える」エキスパートシステムの登場
- 第3次AIブームはコンピュータに「自分で学習させる」機械学習に移行
- 機械学習やディープラーニングがさまざまな業界で活躍する
- シンギュラリティが到達すると現在の人間の働き方が大きく変化する
人間と対話できるロボットや、自動運転のニュースがメディアで頻繁に取り上げられています。本記事では、これまでのAIブームがどのように起きてきたのかその歴史を辿ります。
AI(人工知能)とは
AIとは詳しくはどのような技術なのでしょうか。そしてAIの定義は一体何なのか一緒に見ていきましょう。
AIの定義
AI(人工知能)とは、英語で表すとArtificial Intelligenceとなります。明確な定義は存在しませんが、人間の言葉の理解や認識、推論などの知的行動をコンピュータに行わせる技術を指します。1956年のダートマス会議で、アメリカの計算機科学研究者のジョン・マッカーシーが初めてAIの語源の元となるArtificial Intelligenceという言葉を使ったとされています。
「AIとは?技術開発の流れ|身近な技術や応用・将来性まで」では更にAIについて詳しく解説していますのでぜひあわせてご覧ください。
AIのこれまでの歴史
AIのこれまでの歴史をご存じでしょうか。一緒にAIの歴史を振り返ってみましょう。
第1次AIブーム
第1次AIブームは1950〜1960年代に始まりました。第1次ブームの特徴として推論と探索があります。推論と探索とはコンピュータでゲームやパズルを解いたり、迷路のゴールへの道のりを調べるなどの技術のことを指します。このブームで生み出された新しいアルゴリズムにより、知的な活動を行えるようになりました。しかしコンピュータの性能は低く、ルールとゴールが厳密に決まっている枠組のなかでしか動けないため、現実世界では全く役に立たないことが見えてきました。
決められたルール中で最適な答えを探すことは容易になった第1次AIブームですが、現実で発生する問題を解くのは難しく、AIに対する失望感が広がってしまいました。結果としてブームは去り、AI研究は冬の時代を迎えてしまいます。
第2次AIブーム
1980年代に入り、第二次ブームが発生しました。第二次AIブームでは「エキスパートシステム」に注目が集まりました。「エキスパートシステム」とは専門家の知識をコンピュータに教え込み、コンピュータが専門家のように振る舞うシステムのことです。
第1次AIブームと比べてコンピュータの性能自体が高まっており、ある程度の試みは成功しましたが、知識を教え込む作業が非常に複雑であり、例外処理に対しては柔軟性を欠き、第2次AIブームは消滅へと向かってしまいました。その後、1990年代半ばにWindows95の登場によりインターネットが全世界に普及していき、誰もが簡単に大量のデータを扱える時代に突入していきました。
第3次AIブーム
2000年代に入り、第3次AIブームが発生しました。このブームでは、AIの考え方が「人間がコンピュータに教える」というエキスパートシステムから、「コンピュータに自分で学習させる」という考え方の機械学習に移っていきました。その機械学習の手法の1つとして「ディープラーニング」が登場したことも第3次ブームのきっかけです。
私たちが日常でも使用しているスマートフォンの顔認識機能や、音声認識、検索機能といった技術は、機械学習の成果によるものなのです。
このようにAIブームは1950年代の第1次AIブーム、1980年代の第2次AIブームと進化と衰退を繰り返していきました。数々の実用的なシステムの登場により、現在の第3次AIブームは継続して続いていくだろうと予想されています。
AIの更なる技術革新
第3次AIブームで登場した更なる技術革新について以下で詳しく解説しています。どのような技術内容なのか一緒にみていきましょう。
機械学習の実用化
機械学習とはデータを分析する方法のひとつで、データからコンピュータが自動で学習し、データの背景にあるルールやパターンを発見する方法です。
その機械学習の身近な実用例として、店舗の来客分析では機械学習が活用されています。顧客の導線をもとに店内全体のレイアウト、年齢・性別・購入商品などのデータを分析することで、より生産性のある店舗運営を実現することが可能になります。
また、問い合わせ対応のチャットボットの裏側も機械学習の自然言語処理の技術が活用されています。そして農家の生産量予測でも、気象データをもとに収穫量や収穫時期を予測することで、農作物の生産過程における無駄をなくしたり、さまざまな場所で機械学習は活用されています。
ディープラーニングの登場
ディープラーニングとは機械学習の一つで、コンピュータが自動で大量のデータを解析してデータの特徴を抽出する技術で、深層学習とも呼ばれています。ディープラーニングが注目されている理由は精度の高さが挙げられます。
主に画像認証などの分野では、スピード、精度ともに非常に高くなっていてさまざまな業界でこの技術が活用されています。
これからのAIの技術発展は?
第3次AIブームの今、これからAIはどのよう技術発展をしていくのでしょうか。昨今話題になっているシンギュラリティについて一緒に見ていきましょう。
シンギュラリティの未来
シンギュラリティとは、AIが人類の知能を超える「技術的特異点」を意味します。さらにアメリカの未来学者レイ・カーツワイル博士は、シンギュラリティを迎えるのは2045年と提唱しています。この問題を2045年問題と呼びます。
シンギュラリティは私たちの働き方に大きく変化を及ぼすと考えられており、AIが人間以上の知能を持てば、現在人間が担当している業務をAIが代わりにこなすことになると言われています。
「シンギュラリティとは?AIがヒトと社会に与える影響」では、シンギュラリティについてさらに詳しく解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
まとめ
第1次AIブームから現在の第3次AIブームまでのこれまでの歴史についてご理解できたでしょうか。シンギュラリティの到来に備えてIT人材をどのように育成していくかが重要な課題といえるでしょう。シンギュラリティは良い面と悪い面を含めた社会変容をもたらす可能性があります。シンギュラリティを恐れずに受け入れて、上手にテクノロジーを活用し、共存していきましょう。