自由業とは?フリーランスとの違いや代表的な職種を解説


はじめに
- 自由業とは、時間や雇用関係に縛られず専門的スキルを活かす仕事のこと
- 案件ごとの受注や業務委託を結ぶなど、さまざまな就業スタイルがある
- 自由業は働く時間や仕事量を自分で決められる
- 収入が不安定で社会保障に乏しいといったリスクもある
- 自由業を始める前に資金や営業ツールの準備をしておこう
自由業とは?
自由業とは、時間や雇用関係に縛られず、専門的なスキルを活かして活動する職業のことです。案件ごとに受注したり業務委託契約を結んだりと、就業スタイルはさまざまで、自由度の高い働き方が可能なところが特徴です。
自由業と自営業・フリーランス・フリーターとの違い
自由業に類似する語句との違いについて、詳しく解説します。
自営業
税務上では自由業と自営業の違いは明確に定義されていません。
自営業とは自ら事業を営むことで、一般的には店舗やオフィスを構えて商売をする職業を指すケースが多いです。
主な自営業には以下のようなものがあります。
- 飲食業
- 生鮮食品販売
- 生花店
- 士業(税理士や弁護士など)
- 製菓や加工食品製造
- 不動産業
フリーランス
フリーランスとは、案件ごとに業務委託契約を結ぶ働き方です。自由業と同意語として使われることもあります。
フリーランスという言葉には、自由業と同じ意味で使われる場合と、業務委託契約による働き方を指す場合の、2つの使い方があります。どちらの意味かは使用シーンによって異なりますので注意しましょう。
フリーター
フリーターは、フリーアルバイターの略語です。就職せずにパート・アルバイトで生計を立てている人を指します。
フリーターは企業に雇われて働いており、雇用関係が成立している点が自由業と異なります。
自由業の職種例10選
自由業にはどのような職種があるのでしょうか。
具体的な職種名と、職務内容を解説します。
イラストレーター
イラストを描く仕事です。雑誌や書籍の表紙、WEB媒体、広告、ゲームのキャラクターデザインなど、活躍の場は多岐にわたります。SNSでの発信で注目を集め、個展を開いたりオリジナルグッズを販売したりするイラストレーターもいます。
Webデザイナー
Webサイトやアプリケーション、オウンドメディアなどのレイアウトや仕様を担当する仕事です。一般的にはHTML言語やCSS、WordPressなどを用いて構築します。インターネット環境があれば、在宅勤務やリモートワークも可能です。
ITエンジニア
フリーランスのITエンジニアも、インターネット環境があればどこでも仕事が可能な自由業のひとつです。初めのうちは企業に勤めてスキルを磨き、その後独立するITエンジニアも多いです。
カメラマン
人物や風景などを撮影する仕事です。フリーランスで活動するカメラマンも多く、フォトスタジオや結婚式場、大自然など活動場所も幅広いです。撮影以外では、写真素材サイトで写真を販売して収入を得るカメラマンもいます。
配信者
YouTuberやVTuber、ストリーマーといった配信者は、近年新しく生まれた職業のひとつです。動画視聴時に流れる広告や視聴者からの投げ銭によって、主な収益を得ています。そのほか、企業からの依頼で商品やサービスの紹介をする案件や、イベント出演で報酬を得ることもあります。
投資家
株式や不動産、FX、ビットコインなどに投資をして収入を得る職業です。大損をしてしまうリスクと隣り合わせのため、経済についての知識や時流の変化を捉える力が求められます。
少額から行える投資もありますが、まとまった収入を得るためにはある程度の元手が必要です。
小説家・ライター
小説家や劇作家、コラムニスト、脚本家など、文章を執筆する仕事です。近年ではパソコンやスマホを用いて執筆作業を行う人も多く、時間や場所を選ばず作業ができます。
アーティスト
絵画や造形作品などの芸術分野で活躍する職業です。
バンドや歌手といった音楽家や芸能人を含める場合もあります。
ECサイト運営者
ネットショップで、物品を販売して収益を得る仕事です。実店舗が無く、取引はオンライン上で完結するため、自由度の高い仕事といえるでしょう。
競合他社も多いため、トレンドを察知し、効果的に集客するスキルが求められます。
漫画家
漫画を描いて生計を立てる仕事で、主な収入は原稿料や単行本の印税です。
漫画雑誌や漫画アプリへの掲載のほか、企業広告や教材で漫画作品を描くケースも増えてきました。人気作品になると、グッズ化やメディアミックス化することもあります。
自由業のメリット
ここでは自由業のメリットについて解説します。
企業に所属する会社員と比較して自由度が高いとされる自由業ですが、具体的には何が自由なのか、どのようなメリットがあるのかを詳しく説明します。
業務時間や業務量の調整が自由にできる
自由業は、通勤時間や業務量を自身の裁量で自由に調整できるところが特徴です。企業と雇用関係を結んでいる場合は勤務時間が決められていることが多いですが、自由業の場合は成果物の納品がクリアできていれば、働くタイミングは自由です。体調や家庭の都合に合わせて業務を調整できるのは、自由業の大きなメリットといえるでしょう。
通勤の必要が必要がない
会社員の多くはオフィスへ通勤する必要がありますが、自由業の場合は働く場所を自由に決められます。近年はオンライン上で作業を進めたり連絡を取ったりでき、自宅でリモートワークを行う人も増えています。満員電車に乗って通勤する必要がなく、自分の好きな場所で仕事ができるのも自由業のメリットです。
幅広いスキルが習得できる
自由業は自分で仕事を取ってくる必要があるため、営業や交渉力といった本業以外のビジネススキルも総合的に磨かれます。
また、競合他社と差別化して独自性を出すためには、新たな分野へ挑戦し、仕事の幅を広げることも大切です。仕事を通じてさまざまなスキルを習得して、ステップアップすることができるでしょう。
高額収入を得られる可能性がある
自由業は完全成果主義で、報酬額も自分で自由に設定できます。仕事の出来によっては高額報酬を見込めるところは、魅力的な部分でしょう。会社員の場合、業務をたくさんこなしても給料に反映されるとは限りませんが、自由業なら努力した分だけ収入につながります。
定年がない
会社員の多くは、60歳もしくは65歳で定年となります。
厚生労働省のデータによると平均寿命は男性が78.79年、女性が85.75年です。定年からその後の人生が長いため、定年後の生活費に不安を抱える人も少なくありません。自身のスキルを活かして何歳になっても仕事が続けられるところは、自由業の強みといえるでしょう。
参考:厚生労働省|2 都道府県別にみた平均余命
自由業のデメリット
自由業にはさまざまなメリットがある反面、リスクやデメリットも存在します。詳しく見ていきましょう。
収入が不安定
自由業では、仕事が途切れてしまい収入が0円となるケースも珍しくありません。仕事を始めたばかりの頃はクライアントと信頼関係が築けておらず、希望よりも低い報酬額で受注せざるを得ない場面も出てくるでしょう。社会情勢によって仕事が激減するリスクも考えられます。
営業や経理の知識も求められる
成果物を仕上げて納品する以外にも、営業や経理の業務も発生します。会社員であれば専門の部署が手続きを進めてくれますが、自由業の場合は自身で処理しなければなりません。
前年の収入と経費をまとめて、2~3月の間に所定の税務署へ確定申告を行う必要があります。営業として自分を売り込み、仕事を受注するスキルも求められます。そのほか、仕事の進捗管理や体調管理もすべて自分で行わなければなりません。
社会保障に乏しい
企業の会社員と比べると、自由業は社会保障の点で不安があります。
雇用保険が適用外となるため、失業手当の支給はありません。また、年金も国民年金のみのため、将来受けとれる額が少なくなります。国民年金基金やiDeCoなどへの加入といった対策を講じる必要があるでしょう。
すべて自分が責任を負う必要がある
会社員がミスをした場合、ミスをした当人以外に上司や企業も責任を取るのが一般的です。
しかし自由業の場合、すべて自分で責任を負わなければいけません。たとえば確定申告を怠ってしまうと、無申告加算税などのさまざまなペナルティを課せられることがあります。
自由業を始める際のポイント
自由業を始める際のポイントについて解説します。
収入面や福利厚生などで安定している会社員と比べると、自由業はリスク管理が重要です。気を付けたいポイントを詳しく見ていきましょう。
まとまった資金を確保する
自由業の収入は自身の手腕にかかっています。駆け出しの頃は仕事が思うように取れず、収入につながらないことも多いでしょう。
仕事が軌道に乗ってからも油断はできません。コロナ禍で多くの業界が事業閉鎖に追い込まれたように、時流の変化によって収入が激減してしまうリスクもあります。
生活面の不安を軽減するためにも、数か月間無収入でも乗り切れる資金を確保しておきたいところです。
営業ツールを用意する
自由業では自身で営業を行う必要があります。営業のきっかけとなる名刺やダイレクトメールなどのツールは、事前に準備しておくことが望ましいです。
認知度向上につながる、SNSのアカウントやホームページの開設も検討しましょう。
銀行口座や電話番号、メールアドレスは、プライベートのものとは別に業務用のものを用意しておくとよいでしょう。
競合他社と差別化できるスキルを磨く
誰にでもできる仕事は、報酬も安価になりがちです。収入アップを目指すのであれば、競合他社と差別化できるようスキルを磨くことが重要です。競合が少ない分野に進出するのも選択肢のひとつでしょう。
自由業は資格不要で始められる仕事も多いです。しかし資格を持っていると、どのようなスキルを有しているのか客観的な判断がしやすく、クライアントの信頼獲得や安心感につながるでしょう。自由業を始める前に資格の取得を目指すと、仕事の幅を広げられるかもしれません。
業界の将来性を調べる
現在安定している業界でも、5年後、10年後も同じように稼げるとは限りません。
新たに参入するのであれば、業界研究を念入りに行うことが大切です。
まとめ
自由業の強みは、働く時間や業務量を自分の裁量で自由に決められるところです。自身のスキルを磨いて、仕事の幅を広げたり高額収入を目指したりすることもできます。一方で、収入が不安定になりがちで、仕事上のすべての責任を負う必要があるといったリスクも存在します。自由業で働く前に、資金や営業ツールといった準備をしっかりしておくのが成功の鍵です。