フリーランスの年収はいくら?職種別相場と収入アップのコツを解説


はじめに
- 本業フリーランスの年収平均は298.7万円
- 年収の平均額はフリーランスより会社員の方が高い
- 職種的には専門職・技術職の年収が高い傾向にある
- フリーランスの増収には人脈作りとスキルアップが課題になる
- 長期契約の獲得と収入源の複数化が収入安定の鍵になる
フリーランスという働き方は、働く時間や場所が自由に選べる魅力があります。しかし収入面に関しては多くの人が不安を抱えているのも事実です。本稿では、フリーランスの年収事情について解説し、職種別の相場や収入を増やすためのコツを紹介します。
フリーランスの収入事情
この項目では、本業フリーランス(フリーランスを本業とする人)と会社員の平均年収について解説します。
フリーランスの年収
リクルートワークス研究所による調査結果「データで見る日本のフリーランス」では、本業フリーランスの平均年収は298.7万円です。この分布割合の高い3者を見ると、100~300万円未満が36.2%と最も多く、次いで300~500万円未満が27.1%、0~100万円未満は19.4%と続いています。
参考:リクルートワークス研究所|データで見る日本のフリーランス
会社員の年収
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると給与所得者の平均給与年額は460万円です。収入の分布では、300万円超400万円以下が16.3%と最も多く、次いで400万円超500万円以下が15.4%となっています。
フリーランスと会社員との年収比較
以下の表は、本業フリーランスと会社員の平均年収と分布割合の上位3者を比較したものです。計算年が異なるため会社員は複数年を掲載しています。
本業フリーランスの平均年収と収入分布
2019年(令和元年) | 平均298.7万円 | 0~100万円未満が19.4% 100~300万円未満が36.2% 300~500万円未満が27.1% |
会社員(給与所得者)の平均年収と収入分布
2019年(令和元年) | 平均438.4万円 | 200万円超~300万円以下 15.0% 300万円超~400万円以下 16.7% 400万円超~500万円以下 14.4% |
2020年(令和2年) | 平均435.1万円 | 200万円超~300万円以下 15.3% 300万円超~400万円以下 17.1% 400万円超~500万円以下 14.4% |
2021年(令和3年) | 平均445.7万円 | 200万円超~300万円以下 14.6% 300万円超~400万円以下 17.1% 400万円超~500万円以下 14.9% |
2022年(令和4年) | 平均457.6万円 | 200万円超~300万円以下 14.1% 300万円超~400万円以下 16.5% 400万円超~500万円以下 15.3% |
2023年(令和5年) | 平均459.5万円 | 200万円超~300万円以下 14.0% 300万円超~400万円以下 16.3% 400万円超~500万円以下 15.4% |
これにより年収の平均額は会社員の方が高い傾向にあることがわかりました。
業種別の平均年収
フリーランスの年収は職種によって大きく異なりますが、専門職・技術職の年収は高い傾向にあります。以下の項目では業種別の平均年収一覧とともに、平均額の上位業種と年収額の分布について解説します。
業種別平均年収一覧
下図は「データで見る日本のフリーランス」による、フリーランスの業種別・現在年収一覧です。以下の項目で順位別に解説します。

引用:リクルートワークス研究所|データで見る日本のフリーランス P37
1位 IT関連
ソフトウェア・インターネット関連技術者などのIT関連業種の平均年収額は370.7万円で、業種別の第1位です。IT関連業種のフリーランスは高い需要があるため比較的高収入を期待できます。特にAIやクラウド技術に精通しているエンジニアはさらに高い報酬を目指せるでしょう。
2位 建設関連
建築・土木・測量技術者など、建設関連業種の平均年収額は368.9万円で、業種別の第2位です。建設系のフリーランスには、いわゆる一人親方と呼ばれる職人系の技術者が含まれており、技術や危険な職務に対する手当などから高収入の傾向があります。事業の責任者としてスタッフを雇う場合は、収入にその人件費も含まれます。経験や専門性による契約の獲得が収入を安定させる鍵になるでしょう。
3位 クリエイティブ関連
美術家・写真家・デザイナーなど、クリエイティブ関連業種の平均年収額は340.9万円で、業種別の第3位です。フリーランスのクリエイティブ系業種で活動する場合、年収は経験やスキルに応じて大きく変動します。専門的な経験やスキルがわかるポートフォリオを作ることで、さらに高収入の仕事に挑戦できるでしょう。
年収を増やすコツ
フリーランスとして年収を増やすには、いくつかのポイントがあります。以下の項目では代表的なものを中心に4点のコツを紹介します。
人脈を広げる
フリーランスの業務には自分を売り込む営業も含まれています。そのため仕事に関わる人脈の拡大が、新しい仕事の機会につながります。これを実現するためにも業界のイベントやオンラインフォーラムに参加し、積極的に人材交流を図りましょう。また、過去のクライアントとの関係を維持し、リピート案件を狙うことも重要です。
スキルアップに取り組む
フリーランスとして収入を増やすには、スキルアップにつながる学習や訓練が不可欠です。
新しい技術やトレンドを察知して、それに合わせたスキルを磨くことで、より高単価の仕事に挑戦できます。そのためにもオンライン・オフラインを問わず、講習やセミナーに参加して、新たな知識や資格を獲得し、スキルを向上させましょう。
ポートフォリオを充実させる
クライアントにアピールするためには、質の高いポートフォリオが不可欠です。過去の成果物やプロジェクトを整理し、WebやSNSを利用して積極的に実績を公開することで、フリーランスとしての信頼獲得が目指せます。
但し、契約によっては納品した成果物がクライアント企業の著作物(いわゆる職務著作)となるものや、守秘義務が伴う場合もありえます。そのような成果物は契約書の確認や、クライアントに許可を取らなければならない可能性があることも、覚えておきましょう。
節目ごとに料金設定を見直す
料金設定の見直しも、フリーランスにとって収入を左右する重要な要素です。収入アップのためにも新しい技術や資格取得、大型プロジェクトの完了時といった節目ごとに市場調査を行い、業界の平均単価や経済状況の変化と比較して適正な料金設定に見直しましょう。スキルや経験に応じた適切な料金が設定されることも、クライアントの信頼を得る鍵となります。
年収を減らさずに収入を安定させるには
フリーランスとして年収を減らさずに安定した収入を得るためには、事業に対する継続的な取り組みが必要です。以下の項目では代表的なポイントを3点紹介します。
長期契約を獲得する
フリーランスの収入を安定させるには、案件ごとや短期的なプロジェクトだけでなく、長期的な契約を獲得することが重要です。案件のリピートや、定期的な契約を獲得するためにも、クライアントと信頼関係を構築するために努力を継続しましょう。
複数の収入源を確保する
フリーランスは技術革新や競争人口の増加などから起こる価格変動の影響を受けやすく、その変動は収入の増減に直結します。この影響を軽減するには収入源を多様化することが効果的です。例えば、本業以外に副業を持つ、オンラインコンテンツを販売するなど、収入源の複数化に努めるとよいでしょう。
計画的な財務管理を行う
フリーランスは給与所得者とは違い、収入に対する保証がありません。景気の動向などから収入が不規則になることも多いため、計画的な財務管理は常に事業上の課題となります。不測の事態を乗り切るためにも収入が多い時期に貯蓄をし、運転資金を確保しておくことが重要です。
まとめ
今回はフリーランスの年収事情について会社員との比較と合わせて解説しました。フリーランスとして年収を増やすには、スキルの向上やポートフォリオの充実をはじめ、人脈作りや料金設定の見直しといった営業やマーケティングも必要です。これらのポイントを押さえながら、安定した収入を得るための戦略を立て、長期的な成功を目指してください。本稿が事業を継続する一助となれば幸いです。