ChatGPTの商用利用でビジネスが変わる|注意点と活用例を紹介
はじめに
- ChatGPTは商用利用可能で、その活用範囲は多岐にわたる
- 商用利用のリスクには、誤情報の提供、著作権侵害、情報漏洩などの可能性がある
- 生成内容の確認、他者のコンテンツとの類似性チェック、個人情報を入力しないなど対策を徹底する
- APIコンテンツには「◯◯GPT」という表記は避け、AIで生成した旨を間接的に表現する
- 専門分野についてはChatGPTの活用を控える
この記事では、人工知能の新たな可能性を生み出しているChatGPTの商用利用について詳しく解説します。
具体的な活用例から商用利用にあたっての注意点まで、幅広くカバーしていますので、初めてChatGPTに触れる方も、すでに利用している方も、新しい発見や学びがあるでしょう。
ChatGPTの基本的な機能と特性
ChatGPTはOpenAIによって開発された会話型の人工知能で、自然言語処理(NLP)の最新技術を駆使しています。まるで人間と同じように自然な対話を楽しむことができるのが特徴です。
また、ChatGPTは学習データからパターンを学び取るため、一度与えられたテーマに対する返答が終わった後でも、そのテーマに関連する情報を引き続き提供することができます。これにより、より深い会話や議論が可能となります。
ChatGPTの機能と特性を理解して、活用範囲を広げましょう。
ChatGPTがもたらすビジネスへの影響
ChatGPTはその機能と特性を活かすことで、ビジネスに大きな影響を与える可能性を秘めています。
例えば、カスタマーサポートの分野では、ChatGPTは24時間365日、いつでもユーザーの問い合わせに対応することができ、効率的な対応を可能にします。また、マーケティングの分野では、ChatGPTは消費者とのコミュニケーションを深めるツールとして活用できます。
これらはほんの一例ですが、ChatGPTをうまく活用することで、ビジネスプロセスを効率化し、顧客満足度を向上させることができます。
ChatGPTの商用利用は可能?
ビジネスの現場でChatGPTを活用したり商用利用したりすることは可能ですが、その前に、このツールがどのようにビジネスに寄与できるのか、どのような方法で実際に利用されているのかを理解することが大切です。
ChatGPTを商用利用するメリット
ChatGPTを商用利用することで得られるメリットは多岐にわたります。
その一つが、時間とコストの削減です。ChatGPTは24時間365日、休みなく働くことができ、人間が行う作業を自動化することによって、業務運営の効率化を実現します。
さらに、ChatGPTの高度な自然言語処理能力により、顧客とのコミュニケーションの質を向上させることもできます。
商用利用例の紹介
具体的な商用利用例をいくつかご紹介しましょう。
キャッチコピーや文章の作成
ChatGPTは、商品のキャッチコピーなどのクリエイティブな文章作成に活用できます。
AIが提供する多様な表現や新鮮な視点は、人間の創造力を補完し、より魅力的な文章を生み出すことができます。内容を加筆・修正する手間は必要ですが、作業時間の短縮につながるでしょう。
商品説明やメール文章の翻訳
新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいたインバウンドの需要は現在回復しつつありますので、訪日外国人向けのマーケティングに力を入れている企業も増えています。
高度な自然言語処理能力を有しているChatGPTは、正確かつ自然な翻訳をしてくれますので、商品の説明文やビジネスメールの翻訳にも利用できます。
SNSへ投稿する文章の作成・確認
SNSの投稿文作成や、投稿前のチェックにもChatGPTを活用できます。読者の反応を予測し、より効果的なコミュニケーションを実現します。
国内の導入事例では神戸市が有名です。ChatGPTを自治体のなかでいち早く導入して、SNSにも積極的に活用しています。
チャットボットの作成・対応
ChatGPTのAPIを利用することで、Webサイトやアプリのチャットボットとしても利用できます。APIとは「Application Program Interface」の略で、アプリやソフト同士をつなぐ役割があり、ChatGPTの機能を外部の端末で利用できる仕組みです。
これにより、顧客からの質問に対して、迅速かつ適切な回答を提供できるようになります。
市場分析
ChatGPTは、大量の市場データを解析し、有益な情報を抽出するのにも利用できます。これにより、より迅速かつ正確な意思決定を支援します。
ただし、現状では具体的な数値や回答はしてくれませんので、一般的な傾向やChatGPT自身の推測などからしか判断できません。間違った情報を出力するケースもありますので、鵜呑みにしないように気をつけましょう。
回答してもらえなかった質問(一例)
回答してくれた質問(一例)
実際のデータ
順位 | 国 | トラフィックシェア |
---|---|---|
1 | 米国 | 10.6% |
2 | インド | 9.0% |
3 | 日本 | 6.6% |
4 | インドネシア | 3.6% |
5 | カナダ | 3.2% |
6 | フランス | 3.0% |
7 | スウェーデン | 2.5% |
8 | ブラジル | 2.4% |
9 | ドイツ | 2.3% |
10 | 中国 | 2.3% |
参考:野村総合研究所(NRI)|日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)
ChatGPTが出力したデータと実際のデータを比べたところ、10個中5つの国が合致していました。また、野村総合研究所が公表した上位3つの国はすべて、ChatGPT も回答しています。
よって、両者の統計は、近い内容であるともいえるでしょう。
ChatGPTの商用利用の注意点とリスク
ChatGPTの商用利用は大きな可能性を秘めていますが、その一方で注意すべき点やリスクも存在します。
ここでは、その具体的な注意点とリスクを詳しく解説します。
誤った情報を提供するケースがある
ChatGPTはAIであり、与えられた情報を基に学習し、回答を生成します。
しかし、その情報が必ずしも正確であるとは限りません。
また、ChatGPTが持つ情報は学習データに依存するため、最新の情報を提供できない場合もあります。
これらの点に注意し、AIの回答を鵜呑みにせず、必要に応じて人間が確認・補完することが重要です。
他人の著作権を侵害するケースがある
ChatGPTが生成する文章は、学習データから独自に生成されますが、その過程で他人の著作物と酷似した内容を生成する可能性があります。
これは、意図せずとも著作権侵害となる可能性があります。そのため、ChatGPTによる文章生成後には、著作権侵害にならないか確認することが必要です。
情報漏洩の危険性がある
ChatGPTにセンシティブな情報を入力すると、その情報が外部に漏洩する可能性があります。これは、ビジネスで取り扱う機密情報や顧客の個人情報に関するリスクとなります。
ChatGPTを使用する際には、情報漏洩のリスクを常に意識し、必要なセキュリティ対策を講じることが重要です
ChatGPTが作成禁止しているコンテンツの確認
ChatGPTには、生成を禁止されているコンテンツがあります。これには、違法な内容、ヘイトスピーチ、誹謗中傷などが含まれます。ChatGPTを使用する際には、これらのコンテンツを生成しないよう、十分に注意する必要があります。
詳細は、OpenAIの「利用規約」や「利用ポリシー」などにも書かれていますので、利用を始める前には目を通しておきましょう。
参考:OpenAI|利用規約
参考:OpenAI|利用ポリシー
ChatGPT商用利用時における対策
ChatGPTを商用利用する際は、リスクを考慮して対策を立てましょう。事前に適切な対策を講じることで、リスクを軽減し、ChatGPTをより安全かつ有効に活用することが可能になります。
ここでは、その具体的な対策について詳しく解説します。
内容に誤りがないか確認する
ChatGPTはAIであり、必ずしも正確な情報を提供できるわけではありません。
そのため、ChatGPTが生成した内容に誤りがないか、必ず人間がチェックするようにしましょう。
他者のコンテンツと類似していないかチェックする
ChatGPTが生成する内容が他者のコンテンツと類似していないか、確認することも重要です。これにより、意図せずとも著作権侵害を防ぐことが可能になります。
確認の際にはコピペチェックツールの使用をオススメします。ほかのWebサイトの情報を無断引用していないか自動チェックしてくれるため、大変便利です。
個人情報や機密情報は入力しない
ChatGPTに個人情報や機密情報を入力すると、その情報が漏洩するリスクがあります。そのため、これらの情報は決して入力しないようにしましょう。
また、入力した情報をOpenAIの再学習に利用されたくない方は、設定からチャット履歴をオフにしておきましょう。
AIで生成した旨を表記する
ChatGPTで生成したコンテンツは、それがAIによるものであることを明示することが望ましいです。これにより、読者に対する透明性を保つことが可能になります。
ただし、書き方には注意しましょう。
OpenAIの「ブランドガイドライン」によると、「Written with ChatGPT(ChatGPTと共に書かれた)」、「Created with DALL·E(DALL·Eと共に作成した)」などはOKとされていますが、「Written by ChatGPT(ChatGPTによって書かれた)」、「Created by DALL·E(DALL·Eによって作成した)」などの表記はNGとされています。
「人間がAIを利用して作成した」という表現は可能ですが、「AIもしくは人間のどちらかが作成した」と捉えられる表現は好ましくないということです。
APIを利用したコンテンツには「◯◯GPT」と表記しない
ChatGPTのAPIを利用したコンテンツには、「◯◯GPT」と表記しないようにしましょう。
OpenAIの「ブランドガイドライン」の中では、「Meowlytics with GPT-4(GPT-4を使用したMeowlytics(プロダクト名の例、以下○○プロダクトと表記)」や「Meowlytics AI by OpenAI(OpenAIによる○○プロダクト)」などの表現を禁止しています。代わりに「Meowlytics powered by OpenAI(OpenAI を活用した○○プロダクト)」や「Meowlytics built on OpenAI(OpenAI 上に構築された○○プロダクト)」という表現を推奨しています。
APIで開発したコンテンツには、「~を使用した」「~によって作成された」という間接的表現を意識して、OpenAI社が直接的に関与していると捉えられる表現は避けましょう。
参考:OpenAI|ブランドガイドライン
専門分野にはなるべくChatGPTを使用しない
ChatGPTは一般的な質問に対しては高い性能を発揮しますが、専門的な知識を必要とする分野に対しては、その限りではありません。
そのため、専門分野についてはなるべくChatGPTを使用しないようにしましょう。
とくに、法律・金融・医療などの分野に活用する際は他人の安全・福祉・権利などを侵害する可能性があるため、注意が必要です。OpenAI 社の利用ポリシーの中でも、有資格者による確認・検討なしにアドバイスを行うことを禁止しています。
まとめ
この記事では、ChatGPTの商用利用について、その可能性から具体的な活用例、そして注意点までを詳しく解説しました。
ChatGPTはビジネスにおいて大きな影響を与える可能性を秘めていますが、その一方で誤った情報提供や著作権侵害、情報漏洩などのリスクも存在します。
これらのリスクを軽減するための対策として、内容の確認、他者のコンテンツとの類似性チェック、個人情報の非入力、生成元の明記などが必要であり、特に専門分野への利用には注意が必要です。
これらを踏まえ、ChatGPTを有効かつ安全に活用しましょう。