Claude(クロード)とは?機能・安全性・使い方などを解説
はじめに
- ClaudeはAnthropic社が開発した最新の生成AIで、高度な回答を提供できる
- API連携や多言語対応など、幅広い機能を持つ
- 無料版と有料版があり、それぞれ異なる機能と用途に適している
- 公式ツール以外にも利用できる他のプラットフォームがある
本記事では、最新のAI技術「Claude(クロード)」について、その機能、安全性、使い方を詳しく解説します。Claudeがなぜ注目を集めているのか、その理由を深掘りしていきます。
Claude(クロード)とは?なぜ注目されている?
Claude(クロード)とは、米国のAnthropic(アンソロピック)社が開発した生成AIです。
他の生成AIと比べても比較的学習している情報が新しいため、ユーザの問いに対して高度な回答を提供できます。そのため、多くの企業や研究者から高い評価を受けています。
Claude(クロード)の特徴と注目を集める理由
Claudeは、自然言語理解において非常に高い精度を誇ります。とくに、複雑な文脈やニュアンスを捉える能力に優れているため、多様な業界での利用が期待されています。
また、安全性にも配慮されており、個人情報の保護やデータのセキュリティに関する厳格な基準をクリアしている点も、多くのユーザに信頼されている理由の一つです。これらの特徴が、Claudeを他のAI技術と一線を画すものにしています。
Claude(クロード)のできること
Claudeは単なるチャットボットではありません。高度なAPI連携、多言語対応、大規模なデータ処理能力、複数資料の同時読み込み、プログラミングコードの生成など、幅広い機能を有しています。
これらの能力により、多岐にわたる業務を効率化し、新たな価値を生み出すことが可能です。
日本語での会話ができる
Claudeは日本語を含む複数の言語で会話が可能です。日本語のニュアンスや文脈を理解する能力に優れており、自然な会話が可能です。
1度に大量のトークン(文字数)を処理できる
Claudeは、一度に大量のトークンを処理する能力を持っています。
複雑な質問や長文の文書も迅速に分析し、関連する情報を提供できますので、時間がかかる作業でも効率的に処理することが可能です。
複数資料を同時に読み込める
Claudeは、複数の資料を同時に読み込み、情報を統合できます。
たとえば、膨大な資料の中から、知りたい情報のみピックアップ・分析・要約してもらうなど、異なるソースからの情報をまとめて分析して、総合的な判断・結論を導き出すことが可能です。
コンピュータのデスクトップ環境を操作できる(Claude 3.5 Sonnet:ベータ版)
2024年10月23日にアップグレードされたClaude 3.5 SonnetではAPI連携を行うと、パブリック ベータ版でコンピュータのデスクトップ環境を操作できるようになりました。
たとえば、「スプレッドシートからA社の情報を探して情報が記載されているかどうかを確認してください。記載されていなければ、CRMからA社の情報を探してください。情報取得後は、私の代わりに顧客台帳に記入して登録してください」
といった複雑な指示を実行することが可能です。
ただし、現段階は実験段階ですので、機能面での不具合やエラーが発生することがあります。
プログラミングコードが生成できる
Claudeは、アプリケーションの開発・支援に役立ちます。
たとえば、プログラミングコードの自動生成が行えるため、開発者の負担軽減につながります。
また、非プログラマーでも簡単に顧客のニーズに合わせたプログラミングコードを作成できます。
Claude(クロード)の有料版と無料版の違い
Claude(クロード)には、無料版と有料版があり、それぞれが異なる機能と用途に適しています。無料版は基本的な機能を提供し、個人ユーザや小規模事業者に最適です。
一方、有料版はより高度な機能を備えており、幅広いニーズに応える設計となっています。
以下の表に、Claude 3の無料と有料モデルの違いをまとめましたのでご参考にしてください。
Claude.3.5 Sonnet(無料)
Claude.3.5 Sonnet(ソネット)は、無料で利用できるモデルで、基本的な言語理解と生成機能を提供します。また、処理速度とパフォーマンスが安定しており、万能型といえます。
裏を返せば特定の用途に特化したモデルではないため、リアルタイムの処理速度は「Claude 3 Haiku」、複雑な処理能力は「Claude 3 Opus」の方が優れている可能性があります。
とはいえ、Claude.3.5 Sonnetは2024年10月現在、2024年4月までのデータを学習しており、3つの中で一番学習データが新しいです。また、Claude.3.5 Sonnetから、「Artifacts(アーティファクト)機能」が搭載されました。Artifacts機能をオンにすると、チャット画面の右に、より詳細な回答内容が表示されます。
また、Artifacts機能を用いて、プログラミングコードを実際に動かすことができます。
以下は、「イラストロジックパズル」のソースコードを生成してもらったときの画面です。
※クリックで画像を拡大できます
Artifacts機能の「Code」ボタンを「Preview」ボタンの方へスライドさせると、実際の動作画面が表示され、完成後のイメージが湧きやすいです。
Claude3 Opus(Claude Pro:有料)
Claude3 Opus(オーパス)は、有料版(Pro)で利用出来るモデルの1つです。また、2024年の後半にはClaude 3.5 Opusがリリースされる予定です。
Claude3 Opus(オーパス)は複雑なデータを処理する能力があり、業務効率化や情報収集などのサポートが得意といわれています。
ただし、複雑なデータを処理する能力が高い分、他の2つのモデルよりも処理速度が遅くなるケースもあります。
Claude3 Haiku(Claude Pro:有料)
有料版(Pro)で利用出来るもう1つのモデルに、Claude3 Haiku(ハイク)があります。他の2つのモデルと比べて複雑なデータの処理は苦手であるといわれていますが、3つのモデルの中では処理速度が最も速いのが特徴です。
2024年10月23日にAnthropic社の公式ページにて、Claude 3.5 Sonnetのアップグレードと、Claude 3.5 Haikuのリリースが公表されました。参考記事によると、Claude 3.5 Haiku は2024年10月後半までに発表される予定です。
Claude 3.5 Haikuは、Claude3 Haikuと同じコスト・速度を維持しつつ、Claude 3 Opus のパフォーマンスに匹敵するといわれています。
Anthropic |Introducing computer use, a new Claude 3.5 Sonnet, and Claude 3.5 Haiku
Claude(クロード)を使う方法
Claude(クロード)の利用方法は多岐にわたります。公式ホームページから直接利用する方法と、他のプラットフォームやツールを介して利用する方法があります。
公式ホームページから使う方法
公式ホームページを通じてClaudeを利用するには、まずアカウントを作成する必要があります。
登録後はすぐに、Claudeの機能が体験できます。
登録手順
Claudeの登録には、メールアドレスもしくはGoogleアカウントが必要です。
以下から登録手順を解説します。
1. 公式ホームページにアクセスする
2. メールアドレスで登録する場合はメールアドレス入力後に「Continue with email(メールアドレスで続ける)」をクリック、Googleアカウントで登録する場合は「Continue with Google(Googleアカウントで続ける)」をクリックする
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3. メールアドレスで登録する場合は、入力したメールアドレス宛にリンクが送られてくる。リンクをクリック後、表示されたコードを入力して「Verify Email Address(メールアドレスを確認)」をクリックする
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4. ※以後共通
国旗のアイコンをクリックして「Japan(日本)」を選択する。その後、モバイルフォンの電話番号を入力する
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5. 18歳以上であれば、「I confirm that I am at least 18 years of age(私は18歳以上であることを確認・同意いたします)」にチェックを入れて、(18歳未満はClaudeを利用できないので注意する)「Send Verification Code(認証コードを送信する)」をクリックする
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6. 入力した電話番号宛にSMSメッセージが届くので、記載されているコードを入力して、「Verify & Create Account(アカウントを確認して作成する)」をクリックする
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7. 登録完了後、Claudeに名前(フルネーム)を聞かれるので、呼ばせたい名前を入力する。名前は、登録後もアイコン→「Settings(設定)」→「Profile(プロフィール)」から変更可能
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8. 利用規約が表示されるので、それぞれ確認してから「Acknowledge &Continue(確認して続ける)」、「Sounds Good, Let’s Begin(よし、始めましょう)」をクリックする
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9.Claudeを利用できるようになる。また、左上の「Claude」をクリックするとログアウトや「Settings」からユーザ名などの変更が行える。
※クリックで画像を拡大できます
公式ホームページ以外から使う方法
Claudeは、他のプラットフォームやツールとの連携もサポートしています。そのため、既存のワークフローにClaudeを組み込むことが可能です。また、iOS版やAndroid版もリリースされていますので、スマホやタブレットからも利用できます。
以下からは、公式ツール以外からClaudeを利用する方法をご紹介します。
参考:Google Play のアプリ|Claude by Anthropic
参考:App Store|「Claude by Anthropic」
Poe
Poe(ポー)とは、米国のQuora(クオーラ)社によって2023年2月に公開されたAIサービスのことです。正式名称は「Platform for Open Exploration」といい、ChatGPTやClaudeなど複数のAIチャットボットを無料で利用できます。
また、Poeでは独自のチャットを作成したり他のユーザと共有できたりします。
参考:Quora|Poe
Slack連携
Slack(スラック)とは、コミュニケーションアプリの一種です。他者との情報・ファイルなどの共有が容易なことから、主にビジネスシーンで活用されています。
また、Slackは外部ツールと連携ができるため、単独で使うよりも多くの機能が利用できます。Claudeとの連携も可能ですが、現状は「Enterprise Grid」プランのみですので、事前に該当するかどうかを確認しておきましょう。
参考: Slack Marketplace|Claude
AI Playground
AI Playground(エーアイ プレイグラウンド) とは、Vercel(バーセル)社が提供しているウェブコンテンツです。ウェブサイトから、ChatGPTやClaudeなど複数の言語モデルを比較したり調整したりしながら試用できます。
料金は入力トークンと出力トークンによって異なるため、利用前に確認しておきましょう。
参考:Vercel|AI Playground
Claude(クロード)を使う際の注意点
Claudeを利用する際は、便利さや機能性だけでなく、セキュリティ面も重視しておきましょう。とくに、個人情報の取り扱いやデータの安全性に関しては、ユーザ自身が意識し、適切な対策を講じる必要があります。
ここでは、Claudeを安全に利用するための主要なポイントを解説します。
ユーザが意識すべきセキュリティのポイント
Claude3は初期モデルから比べると安全性が強化されており、ハルシネーション(AIが事実と異なる情報を生成すること)や有害な回答を生成するリスクが減っています。
とはいえ、完璧にリスクを抑えることは不可能ですので、情報の取扱いに対してはユーザ側も注意するように心がけましょう。
有害な回答やハルシネーションが生成された場合は、回答の下にある「親指を下げる」ボタンをクリックするとAnthropic社へ悪い評価として報告できます。
親指を上げる、または下げるフィードバックボタンを押すことで、Anthropic社に会話が閲覧・分析される可能性はありますが、今後安心してClaudeを利用するためにも、フィードバックボタンは積極的に活用しましょう。
ClaudeとChatGPTとGeminiを比較
ChatGPT・Claude・Geminiは、それぞれが独自の強みを持つ大規模言語モデルです。
これらのAIをブレインストーミング・創作・画像解析の観点から比較することで、ユーザが自身のニーズに最適なモデルを選択できるようになります。
ブレインストーミング
ChatGPT・Claude・Geminiそれぞれに、「新聞の需要を増やすためのアイデアに関するブレインストーミングを行い、3つ提案してください」と同じ内容で指示したところ、それぞれ以下のような回答が返ってきました(画像は回答の一部です)。
ChatGPT
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Claude
※クリックで画像を拡大できます
Gemini
※クリックで画像を拡大できます
上記の画像から3つのAIの回答の違いを表にまとめました。
AIごとの回答の違い(ブレインストーミング)
生成AIの種類 | 回答内容 |
---|---|
ChatGPT(GPT-4o) | アイデアの提案・理由を掲示 |
Claude(Claude 3.5 sonnet) | アイデアの提案・メリット・課題・解決策を掲示 |
Gemini(Gemini 1.5 Flash) | アイデアの提案のみ掲示 |
Geminiはアイデアの提案のみでしたが、ChatGPTはアイデアの提案だけでなく理由も解説しています。また、Claudeは課題と解決策まで考えてくれましたので、ブレインストーミングに関してはChatGPTやGeminiよりも広い視点から回答を生成できる可能性があります。
創作
ChatGPT・Claude・Geminiそれぞれに、「アンドロメダ・アンドロイド」というタイトルで700字程度の小説を書いてください」と指示したところ、それぞれ以下のような回答が返ってきました(画像は回答の一部です)。
ChatGPT
※クリックで画像を拡大できます
Claude
※クリックで画像を拡大できます
Gemini-1
※クリックで画像を拡大できます
Gemini-2
※クリックで画像を拡大できます
上記の画像から3つのAIの回答の違いを表にまとめました。
AIごとの回答の違い(創作)
生成AIの種類 | 回答内容 | |
---|---|---|
生成物 | 登場人物 | |
ChatGPT(GPT-4o) | 小説のみ生成 | アンドロイド |
Claude(Claude 3.5 sonnet) | 小説・小説のテーマ・執筆の背景などを生成 | アンドロイド・人間 |
Gemini(Gemini 1.5 Flash) | 小説・小説の要素・ユーザがこの小説をさらに発展させるアイデアなどを生成 | アンドロイド |
ChatGPTが小説だけを生成したのに対して、ClaudeとGeminiは小説のテーマ・要素・背景なども解説しています。
また、Geminiは生成した小説をユーザがさらに発展させるアイデアまで回答してくれました。ChatGPTやClaudeは「小説を書いてください」というユーザの要望のみに対応していますが、Geminiはユーザが生成した小説を利用する可能性まで考慮していることがわかります。
画像解析
ChatGPT・Claude・Geminiそれぞれに、「写真に写っている食べ物の名前を教えてください」と指示したところ、それぞれ以下のような回答が返ってきました(画像は回答の一部です)。
ChatGPT
※クリックで画像を拡大できます
Claude
※クリックで画像を拡大できます
Gemini
※クリックで画像を拡大できます
上記の画像から3つのAIの回答の違いを表にまとめました。
AIごとの回答の違い(画像解析)
生成AIの種類 | 回答内容 | カレーの指摘方法 |
---|---|---|
ChatGPT(GPT-4o) | 左がトマトベースのバターチキンカレー 右がクリーミーなエビカレーのように見える | 左右 |
Claude(Claude 3.5 sonnet) | 左側は濃い色の(おそらくチキンや肉系の)カレー 右側は黄色い(豆や野菜系の)カレー | 左右 |
Gemini(Gemini 1.5 Flash) | 赤いカレーはチキンカレーのような肉系のカレー 黄色いカレーは魚介系のカレーのように見える | 色 |
どのAIの回答も左側のカレーは肉系(チキン)でしたが、右側のカレーは魚介(ChatGPT・Gemini)と野菜(Claude)に分かれました。なお、実際の写真のカレーは左側がバターチキンカレーで、右側がエビカレーですので、ChatGPTの回答が一番正確であるといえます。また、ChatGPTとClaudeはカレーの位置を左右で、Geminiは色で指摘しています。
さらに、すべてのAIが、カレーだけでなく、ライス・サラダ・パパド(クラッカー)・ドリンクまで言及しています。Geminiに関しては、この料理に近いセットを販売しているAmazonのURLまで掲示してくれました。
まとめ
本記事では、最新AI技術「Claude(クロード)」の機能・安全性・使い方などを包括的に解説しました。
Claudeは、高度な回答提供能力と多様な機能を持ち、個人から大企業まで幅広いニーズに応えることができます。
生成AIは、利用方法やセキュリティ対策についてきちんと学んだ上で、安全かつ効果的に利用しましょう。