マネジメントの意味とは?必要な能力(スキル)とその学び方について
はじめに
企業が設定した目標達成のために、チームを纏めて牽引するマネジメント業務。マネジメントを担当するにあたって、必要な能力(スキル)にはどのようなものがあるのでしょう。この記事ではマネジメントとはなにかからはじまり、マネジメントをするにあたり必要となる7つの能力についてや役立つ資格、マネジメント初心者にオススメの書籍を紹介します。
マネジメントとは
マネジメントとは英語で書くと「management」で直訳すると「管理」。これを企業内のマネジメントという概念で捉えると、「経営管理」や「組織運営」に変化し、組織内での管理をおこなったり運営をおこなったりする役割として幅広く使用されています。
企業におけるマネジメントでは、目標に掲げた成果を企業内で成し得るため、リスク管理や経営資源の効率的な活用などをおこないます。
定義とはなにか
マネジメントの定義を知るには、著名な経営学者である「ピーター・ファーディナンド・ドラッカー」、通称「ドラッカー」が定めた定義を抑えておくといいでしょう。彼の著書として長年人気を博している、「マネジメント」のなかでドラッカーは、次のように定義しています。
「マネジメント」とは、「組織に成果を出すための道具、機能、機関」。そしてマネジメントを遂行するための「マネージャー」については「組織の成果に責任をもつ者」
定められた目標をクリアするためには、責任者となるマネージャーが確かなマネジメント力をもっていることが求められます。
マネジメントアプローチとは?
マネジメントアプローチとは、企業における最高経営意思決定機関により業績を評価するため、経営者が企業の事業を「セグメント」と呼ばれる構成単位へ分別する方法を基礎としたアプローチです。
マネジメントアプローチをおこなうことで、経営者の視点から企業を見るため、企業の将来的なキャッシュフローの評価に反映されます。また経営者が利用するため、すでに作成済の情報を使用することから、新たな情報を集計しなくてもよく、比較的追加費用が抑えられることもメリットとしてあげられます。
マネジメントとリーダーシップの違いは?
マネジメントとリーダーシップ。似たような意味合いを持つこの2つにはどのような違いがあるのでしょう。
マネジメントとは経営管理を意味し、経営手段の1つとして資源や資産、リスク管理などをおこないます。そうすることで経営目的を維持し、発展させていくことを意味しています。かたやリーダーシップは、経験から養われた個人がもつ資質です。人生経験から得た成功や失敗、人間関係や人との関わり方、育ってきた環境などを含めたなかでこそ培われる能力です。
2つを比較すると、マネジメントは経営手段、リーダーシップは個の能力であることが見えてきました。リーダーシップはチームを牽引しながら目標達成を目指し、マネジメントは企業の資源の管理をしながら目標達成を目指すこととなります。
マネジメント力に必要な能力(スキル)とは?
実際にマネジメントをおこなうためにはどのような能力(スキル)が必要になるのでしょうか。マネジメント能力を高めるためのセミナーなどでも学ぶ、マネジメントをおこなう上で必要となる7つのスキルについて詳しく見ていきましょう。加えてマネジメントをおこなう際、必須となる資格はありませんが、持っていると役に立つ資格についても紹介します。
リーダーシップと意思決定力
不測のトラブルや想定外の事象は、得てして起こりえるものです。そのような局面に立たされても、冷静に判断し的確な意思決定ができる人こそが、リーダーシップを取れるマネジメント能力が高い人材です。
不測の事態に慌ててしまい判断が遅れたり、意思決定を曖昧にしてしまったりすると、チーム内に不安な空気が芽生え、上司への不信感などが起こりかねません。不安感・不信感から仕事に対するモチベーションの低下が起こる可能性も出てきます。
チームをまとめ、目的達成に向けて牽引していくためには、柔軟、かつ強い意志をもったリーダーシップの高さが求められるでしょう。
戦略や課題を考えて目標を設定する能力
企業にはそれぞれ設定されている目標や目的、理念などがあり、最終的に達成したい目的はなにかを理解しておかなければなりません。その上で、目的を達成するためにはどうすればいいかの戦略を立てたり、実現するまでにどのような課題があるかを考えたりするスキルも、マネジメントをおこなう上で不可欠なスキルとなるでしょう。
目標までの戦略や課題に応じ設定される目標は、高すぎず低すぎず、ちょうどよいレベル設定にすることで、メンバーのモチベーションを維持できます。また目標についての説明や指示を正しく伝えられることも、マネジメント能力の中で大切な要因となります。
現状の分析能力
マネジメントをしていく上で、現在自分が置かれている状況を的確に分析できる能力は重要です。定められた目標を実現するためには、現状分析があってこそです。分析の結果から目標達成に向けての対策を立てたり、課題の作成をおこなったりします。
まずは現状でどのような問題があるのか、問題を解決する方法はあるのか。課題に対し的確な判断をくだし、その上でメンバーに正しく指示を伝えなくてはなりません。最初の段階でおこなう現状の分析力が長けていると、マネジメント能力が高いと評価されるでしょう。常に周囲をよく観察し、自分の置かれている立場を理解できる能力が求められます。
問題解決力
いついかなるときでも問題が起これば冷静に解決できる能力も、マネジメントをおこなう上で必要なスキルです。問題を発見した場合は、速やかに解決までの糸口を見つけ出し、スムーズな解決を目指すこととなります。そのためには論理的思考(ロジカルシンキング)が必須となります。
経験や勘でトラブルが解決することもあるでしょう。しかしそのような曖昧なことに頼らず、現状を把握し論理的に捉え、客観的に問題を解決へと導くことがマネジメントでは必要です。
もちろん論理的思考で考えるためのスピードも重要視されるでしょう。
部下の能力や状況を把握する能力
目標を達成するためには、部下など同じチーム内のメンバーに対しても、注意深く現状を確認・把握しておく必要があります。部下の現在の状況や能力を把握しておけば、なんらかのトラブルが発生した場合、瞬時に適切な指示を出せるでしょう。
部下の能力や現状を把握できていなければ、問題が起こった際に適材適所に人を配置することも難しくなります。能力に見合わない仕事を振ってしまい、業務が滞るだけでなく、失敗した部下のモチベーションも下がってしまいかねません。
またマネジメントをおこなっている場合、複数の業務を同時に進行させていることも珍しくないでしょう。複数のタスクをうまく同時進行させるためにも、部下の能力や状況を把握しておくことは転ばぬ先の杖となります。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力の高さは、マネジメントでも威力を発揮します。マネジメントをおこなう際は、部下とのコミュニケーションを円滑におこない、良好な関係を築ける能力の高さが求められます。
さらには部下がもっている能力を最大限に引き出す「コーチング」能力があれば、集団の中で部下たち一人ひとりの能力を、ムダなく活かせる仕事の割り振りがおこなえるでしょう。
マネジメントでは企業の組織内やチーム内で目標に向けての成果を出すことが重要です。部下の現状や能力を十分に理解するためには、普段からの何気ない会話などのコミュニケーションが功を奏します。良好な関係を築けていればその分、業務がスムーズに進行できることでしょう。
スケジュール管理能力
マネジメント管理に置いて、スケジュール管理能力の高さは必須スキルとなるでしょう。ただ日程の調整をするだけではなく、いかに効率よく最大の効果をあげられるかを考えながらスケジューリングできる能力は、客観的に物事をとらえ、常に冷静に物事を判断できる洞察力の高さが問われます。
目標達成に向けて決定したスケジュールをただなぞるだけではなく、進捗状況を常に把握し、把握した内容から次の一手へむけた分析を行います。分析した結果からさらに優先順位やスケジュールの見直しを的確におこなうことで、部下やチーム内のメンバーへ適切な指示を出すこともできるでしょう。
ただの進行役ではなく、マルチタスク処理能力・リーダーシップ・洞察力をもって目標達成へ導かせる、「総監督」であることが、マネジメント管理では求められます。
資格検定は必要?
マネジメントをおこなう上で必須となるような特別な資格はありません。しかし判断力や決断力が問われる状況から考えると、マネジメントにかかわる専門的な知識を身に着けていれば今後役立つことでしょう。
マネジメントに特化した公的資格には、「ビジネスマネジメント認定試験」や「ビジネスマネージャー検定」が、マネジメントに関する全般をカバーできる資格としてあげられます。論理的思考を取得するための「ロジカルシンキングマスター」や「論理的思考インストラクター」なども、マネジメント能力向上のために役立ちそうです。
業務に即した専門知識を得るための国家試験や公的資格・民間資格に加え、上記にあげたマネジメント能力向上に特化した資格をもっていると、マネジメントに関する実力が証明しやすくなることでしょう。
仕事で役立つおすすめのマネジメント本は?
マネジメントが学べる書籍は驚くほどたくさん販売されており、どの本がいいのか判断が難しいところです。これからマネジメントを学びたいと考えている初心者の人ならなおのことかもしれません。そこでここでは、マネジメントを学ぶ上でオススメの書籍をご紹介します。これからマネジメントを学びたい人には必見の2冊です。
マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則 (日本語) –
著名な経営学者でありマネジメントの生みの親とも言われている「ピーター・ファーディナンド・ドラッカー」の大著、『マネジメント―課題、責任、実践』のエッセンスをわかりやすくまとめた初心者向けのマネジメント入門書です。
2001年発売以降から変わらず、マネジメントを学びたい人達の間で絶大なる人気を誇る名書。長いときを経てもマネジメントの基礎や原則などの本質は変わらないことが証明されています。これからマネジメントを学びたい人が基礎を押さえるにはうってつけの一冊です。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメント を読んだら
マネジメントをこれから学ぶのであれば、専門書顔負けな小説を通じて学べるこちらの一冊はいかがでしょう。内容はタイトルのとおり、高校野球部のマネージャーが先ほど紹介したドラッカーの『マネジメント』を手にしたことからはじまります。部活に貢献できるわけがないと思い落ち込むものの、難しいながらも頑張って読み進めていくと、野球部のマネジメントにも役立つことに気づきます。
難しいと思われがちなドラッカーの『マネジメント』を、女子高生の視点で描くことで、ドラッカーの読者だけではなく、高校生や大学生などの若い世代にも読みやすくなっておりオススメの一冊です。
まとめ
時代の変化に左右されることなく受け継がれてきた「マネジメント」。マネジメントに必要な知識やスキルは、「経営管理」や「組織運営」のコアの部分で輝く知識・スキルとも言えるでしょう。またマネジメントの学びやスキルを身につけることは、目標達成のためのマネージャーとしての業務だけではなく、さまざまなシーンでプラスに働くはずです。
マネジメントに必要な能力は、どの能力も訓練次第で習得することが可能です。仕事のときだけに限らず、日頃からさまざまなシーンでマネジメントを意識しながら行動することで、自ずと能力は身につくことでしょう。
最後のチェックポイント
- 企業におけるマネジメントとは「経営管理」や「組織運営」を意味する
- マネジメントとリーダーシップは似ているが、本質的な部分が大きく異る
- 何が起こっても冷静に対処し、ロジカルシンキングを心がける
- マネジメントに必要な3つの能力は「洞察力」「リーダーシップ」「マルチタスク」
- 円滑なコミュニケーションが業務をスムーズに進行させる
- 必須な資格はないが、マネジメントを学べる資格もある
- マネジメント能力はトレーニング次第で身につけることが可能
- マネジメント能力は仕事以外のさまざまなシーンでも役立つ