就活に必要なTOEICスコアは?業界別目安とスコアアップのコツ


はじめに
- TOEICスコアは国際的な英語力の指標
- 履歴書に書けるTOEICスコアは600点がベースライン
- 業務で求められる英語レベルは企業や業界によって異なる
- 業務で英語を使う企業では700点以上のスコアが求められる
- スコアアップには自分のレベルに合わせた計画的な学習が効果的
グローバル化が進む昨今、業務で英語を使う企業は国際的な英語力の指標であるTOEICスコアに注目しています。そのためTOEICのスコアは就活生にとって大きなアピールであると同時に、目標に向かって努力できるポテンシャルを示す重要な要素です。本稿では就活に必要なTOEICスコアや業界別の目安とともに、学習のコツを解説します。
TOEICとは
TOEICは「Test of English for International Communication」の略称です。オフィスや日常生活での英語によるコミュニケーション能力を、テストによって公平公正に評価する世界共通の基準として広く知られています。
本稿では受験者数が最も多い「TOEIC Listening & Reading Tests」について解説します。このテストはリスニングとリーディングで構成され、合計990点満点のスコアで評価されるため、正確な英語力の把握や今後の目標設定が可能です。
TOEIC Listening & Reading Testの試験内容
TOEICの試験は、リスニングとリーディングによる合計2時間で200問、990点満点の問題をマークシートで解答します。問題は英文のみの構成で、英文和訳・和文英訳はありません。以下にテスト問題の構成をまとめました。
リスニングセクション
・会話やナレーションを聞き、設問に回答する
・約45分/100問/配点495点
Part1 | 写真描写問題 | 6問 |
Part2 | 応答問題 | 25問 |
Part3 | 会話問題 | 39問 |
Part4 | 説明文問題 | 30問 |
リーディングセクション
・問題を読んで設問に解答する
・約75分/100問/配点495点
Part5 | 短文穴埋め問題 | 30問 |
Part6 | 長文穴埋め問題 | 16問 |
Part7 | 1つの文書を読み、設問に答える | 29問 |
複数の文書を読み、設問に答える | 25問 |
TOEICのスコアと英語レベルの目安
ここまではTOEICの概要について解説しました。この項目ではTOEICのスコアから見る英語レベルについて解説します。
スコアから大別する英語レベル
日本でTOEICテストを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会では、TOEICスコアと英語によるコミュニケーション能力を、大きくA~Eのレベルに分けて評価しています。
TOEICスコア | 英語レベル | 評価(ガイドライン) |
---|---|---|
860~ | A | Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる |
730~ | B | どのような状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている |
470~ | C | 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる |
220~ | D | 通常会話で最低限のコミュニケーションができる |
220未満 | E | コミュニケーションができるまでにはいたっていない |
参考|一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 PROFICIENCY SCALE(PDF)
より詳細に見る英語レベル
以下の表ではより詳細に、100点刻みでTOEICのスコアと英語レベルについて書き出しました。
TOEICスコア | 英語レベル | 評価(ガイドライン) |
---|---|---|
900点~ | 上級・上 | 英語で書かれた高度な専門書を理解できる、ネイティブの議論を理解できる |
800点~ | 上級・下 | Webから英語で書かれた情報の収集、同僚との議論を理解できる |
700点~ | 中級・上 | 英語で書かれた社内文書や仕事の進め方について理解できる |
600点~ | 中級・下 | 英語のメモが理解できる、ゆっくりとしたスピードで話された場合の道順の説明が理解できる |
500点~ | 初級・上 | 英語で簡単な質問が理解できる |
500点未満 | 初級・下 | 英語で書かれた看板を見て理解できる |
スコアは何点から履歴書に書けるのか
一般的に企業が求めるTOEICスコアの目安は600点以上とされています。そのため基本的な英語力を証明する600点が履歴書に書くベースラインと覚えておきましょう。しかし英語を業務で使用する職種や外資系企業では、730点以上を求められることが多く、英語を頻繁に使用する業務の現場では、800点以上のスコアが求められることもあります。そのような現場では入社後も努力の継続が必要です。志望先の英語レベルは企業研究で見極めましょう。
企業・業界が求めるTOEICスコア
前項ではTOEICのスコアからわかる英語レベルについて解説しました。この項目ではビジネスで英語を活用する企業や業界から求められるTOEICスコアについて解説します。
企業・業界別のスコア基準
一口に英語の活用といっても、その程度は企業や業界によってさまざまです。そこで以下の表に、求められるTOEICスコアの基準を業界別にまとめました。
IT業界 | 技術文書の理解や海外プロジェクトのために、700点以上が目安 |
製造業・商社 | 海外との取引が多いため、730点以上が望ましい |
金融業界 | 国際業務がある場合、750点以上を求められることが多い |
観光業 | 国際線の客室乗務員は750点以上が求められる |
教育業界 | 英語教師や語学スクール講師は、850点以上が求められることもある |
スコアアップのコツ
この項目ではTOEICのスコアアップを目指したおすすめの勉強方法について紹介します。現在のTOEICスコアに照らし合わせて参考にしてください。
リスニングとリーディングのバランスを考えた学習が大切
TOEICはリスニングとリーディングが半分ずつの構成で評価されるため、双方のバランスを考えて学習することが大切です。また本番の体制に合わせた公式問題集を活用し、実際の試験形式に慣れることも効果的です。
計画的に学べるように自分の実力を把握する
TOEICのスコアを上げるためには実力に合わせた計画的な学習が有効です。まずは模擬試験などで現在の実力(現在のスコア)を把握しましょう。自分の実力を把握したら、学習できる時間と実力に合わせた学習計画の立案をおすすめします。
目標スコアを設定して学習する
TOEICは目標スコアによって取るべき対策が大きく異なるため、効率よく学習するためには目標スコアを定めるとよいでしょう。実際にTOEIC関連では参考書をはじめ、点数別に英語レベルを分けた対策課題が掲げられています。
効果的な対策方法
この項目ではTOEICの試験対策について紹介します。得意分野の見極めや、苦手分野を克服するための参考にしてください。
単語力を強化する
TOEICで高得点を取るためには、単語力が必須となります。テストの頻出単語を中心に、ビジネスや日常会話に対応できる単語力を身につけましょう。そのための勉強法としては単語帳の活用をはじめ、移動や休憩などの隙間時間に暗記する方法がおすすめです。TOEICの頻出単語は多くの参考書や教材がありますので、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。
リスニング力を強化する
TOEICのリスニングセクションでは、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド、5か国の話者が登場します。話者による発音やイントネーションの違いに苦戦しないよう、毎日英語に触れる習慣をつけ、リスニング力を向上させましょう。話者が異なる生きた英語を聞くには、YouTubeや英語ニュースを活用するのがおすすめです。
リーディング力を向上させる
TOEICのリーディングセクションでは、約75分で文章の穴埋めや長文読解といった、合計100問の問題を解かねばなりません。このセクションで求められる能力には以下の3点があります。
速読力 | 速解きに必要 |
文法知識 | 穴埋め、読解に必要 |
長文の理解力 | 読解や複数文章の比較に必要 |
これらの能力を向上させるために、英語の新聞や雑誌を読むことで、語彙力と読解力を鍛えましょう。また時間を計測しながらの学習や速読の練習も時短効果があり、おすすめです。
模擬試験を活用する
時間配分や問題形式に慣れるためにも模擬試験を活用しましょう。模擬試験にはTOEIC公式サイトのサンプル問題や、無料の学習サイトが活用できます。ただし無料の学習サイトは更新されていない情報もありますので、常に最新情報を確認するように心がけてください。
まとめ
TOEICのスコアは、就職活動において英語力とポテンシャルをアピールできる重要な要素です。ただし業務で扱う英語のレベルは業界や企業によって異なりますので、志望する企業が求める英語レベルは企業研究でしっかり見極めてください。
計画的な学習と効果的な対策で、志望する業界や職種に応じたスコアを目指し、就活を有利に進めましょう。本稿がチャレンジの一助となることを願っています。