【例文あり】恐縮ですの意味とは?使い方や言い換えを解説
はじめに
- 「恐縮です」は申し訳ないといった意味を含むビジネス用語である
- 「恐縮に存じます」は間違った使い方なので気を付けよう
- 「恐縮です」を何度も使いたくなる場面では言い換えよう
- 「恐縮です」を謝罪に使うのはふさわしくない
- 謝罪では「申し訳ありません」といった言葉に置き換えよう
「恐縮です」の意味とは?
「恐縮です」という敬語・ビジネス用語について、使いどころに困った人もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では「恐縮です」の意味、適切な使い方、言い換えや「恐縮です」を使うときの注意点を解説します。
「恐縮」の意味
辞書で「恐縮」を引くと、次のような意味と書かれています。
1.おそれて身がすくむこと。
2.相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。おそれいること。また、そのさま。
ビジネスでは、2の意味で使われます。
「恐縮です」はビジネスシーンで使われる
前項で「ビジネスでは『恐縮』は2の意味で使われる」とお伝えしました。しかしながら「恐縮です」の意味を、単に2の意味に「です」を付けただけとするのは少々語弊があります。ビジネスで使われる「恐縮です」はかなり幅広い意味があるからです。
ビジネスでは、「恐縮です」は次のようなときに使われます。
- (目上の方からの厚意について)感謝する
- (褒められたときに)謙遜する
- 相手に対して手間のかかることをお願いするとき
- 相手に迷惑をかけてしまって「申し訳ない」気持ちを示す
- クッション言葉として(相手にとってよくない話題をするとき、話の最初に用いてマイナスの印象をやわらげる)
「恐縮です」を使う際の注意点
「恐縮です」という表現は、比較的よく使われる敬語のひとつです。しかし、使用する際に気を付けたいポイントがいくつかあります。次項で解説します。
「恐縮に存じます」は間違い
「存じます」は「思う」の謙譲語です。「恐縮に思う」という意味で「恐縮に存じます」を使いたくなる人もいるかもしれません。
しかし、「恐縮に存じます」は「恐縮に思うと思っている」という意味になってしまい言葉が重なってしまいます。これは「頭痛が痛い」という表現と同じく、二重表現にあたります。
そもそも「恐縮です」という言葉自体に「恐縮に『思う』」という意味が含まれているため、「恐縮に存じます」だけで敬意を十分に表すことが可能です。
謝罪のときに「恐縮です」は不適切
謝罪のときに「恐縮です」を使うと、言葉がやや軽く受け取られるこことがあります。謝罪がメインの連絡には「申し訳ございません」「おわび申し上げます」といった、謝罪のための敬語を使いましょう。
「恐縮です」を使いすぎても不自然
「恐縮です」は使える場面が多いため、無意識に多用してしまう方もいらっしゃるかもしれません。たとえば「恐縮です」をクッション言葉として文頭に使ったあと、相手への謙遜のつもりで同じフレーズを繰り返してしまうことがあります。
しかし、同じ敬語を何度も繰り返すことは相手にあまりよい印象を与えない場合があります。
使う側が善意で「恐縮です」のフレーズを何度も使ったとしましょう。しかしながら受け手からみた場合「まるで機械のようで、謝罪の台本を丸ごと覚えて多用しているように聞こえて、気持ちがこもっていないように感じる」という印象になりがちです。
多用したくなるシーンでは、「恐縮です」を別の言葉に言い換えることも検討しましょう。
シーン別「恐縮です」の使用例
実際に「恐縮です」と使うシーンを紹介します。
目上の方へ感謝
例文
今回の授賞式パーティーにご参加いただき、大変恐縮です。
例文
今回も難しい依頼を引き受けてくださり、恐縮です。
褒められたときの謙遜
例文
大変恐縮ですが、プレゼン資料の出来栄えを高く評価していただきうれしく存じます。
例文
管理職に推薦いただき、このうえなく恐縮でございます。
手間のかかることをお願いする
例文
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、面会の機会を賜りますようお願い申し上げます。
「申し訳ない」気持ちを示す
例文
こちらのミスであるところを誠に恐縮ですが、今週金曜までにご回答をいただきたく存じます。よろしくお願いいたします。
クッション言葉として使う
例文
恐縮ですが、歓送迎会の参加アンケート締め切りは昨日です。回答がまだの方は、本日16時までに返答お願いします。
例文
恐縮ですが、本日は閉店いたしました。
「恐縮です」に似た言葉は?
「恐縮です」の類語は多くあります。言い換えのときに使える言葉を本セクションでは解説します。
また、注意すべき点として、「恐縮です」は、謝罪のときに使用するのは不適切だということです。いろいろな場面で使える言葉なので、謝罪のときにも使いたくなるかもしれませんが、「恐縮です」と使いたいところは、謝罪に適した言葉に言い換えが必要です。覚えておきましょう。
次で「恐縮です」の類語を例文とともに解説します。
「恐縮です(感謝)」の言い換え
前項の「目上の方への感謝」の言い換え方を例文で解説します。
ありがとうございます
感謝はシンプルに「ありがとうございます」で言い換え可能です。
例文
今回の授賞式パーティーにご参加いただき、ありがとうございます。
恐悦至極
「きょうえつしごく」と読み、「おそれつつも大変喜んでいるさま」を表します。非常に大きな感謝を伝えるにはうってつけの言葉といえるでしょう。
例文
今回の授賞式パーティーにご参加いただき、恐悦至極です。
「恐縮です(謙遜)」の言い換え
前項の「褒められたときの謙遜」の言い換え方を例文で解説します。
恐れ多い
「恐れ多い」は「自分にはもったいないけれども、ありがとうございます」といった意味があります。
例文
恐れ多いことですが、プレゼン資料の出来栄えを高く評価していただきうれしく存じます。
僭越ですが
「僭越」の意味は「自分の地位にしては出過ぎたこと」です。つまり「僭越ですが」は「自分の身には過ぎたことですが」という意味になります。
例文
僭越ながら、管理職に推薦いただき、うれしく存じます。
「恐縮です(申し訳ない・謝罪)」の言い換え
前項の「手間をお願いする・申し訳ない」の言い換え方を例文で解説します。
申し訳ありませんが
「申し訳ありませんが」はおわび・謝罪でとくによく使われる言葉です。
例文
こちらのミスであるところ大変申し訳ありませんが、今週金曜までにご回答をいただきたく存じます。
恐れ入りますが
「恐れ入りますが」は目上の相手に申し訳ない気持ちを伝える言葉です。「が」もしくは「しかし」の意味として機能するので、断るときの丁寧な言い方として使えます。
例文
お忙しいところ恐れ入りますが、面会の機会を賜りますようお願い申し上げます。
汗顔の至り
「かんがんのいたり」と読みます。「非常に恥ずかしいこと」という意味です。あまり日常で使わない言葉ですが、ビジネスにおいては、しでかしたことの大きさによっては使える言葉です。
例文
こちらのミスであり汗顔の至りでございますが、今週金曜までにご回答をいただきたく存じます。
「恐縮です(クッション言葉)」の言い換え
前項の「クッション言葉として使う」の言い換え方を例文で解説します。
あいにくですが
「生憎(あいにく)」とは「しようとすることに対して、都合が悪いこと」という意味です。したがって「あいにくですが」に続く言葉は否定の言葉となり、断るときのクッション言葉となりえます。
例文
あいにくですが、本日は閉店いたしました。
失礼ですが
「失礼ですが」は、目上の方へ負担や不便をかける可能性がある依頼をするときに、相手への敬意を表しながら話を切り出す「クッション言葉」となります。失礼なことは承知のうえで相手に伝えなければいけないとき、文頭に置いて後に続く言葉の印象をマイルドにできるのが「クッション言葉」という種類の言葉です。
例文
失礼ですが、お名前をもう一度お聞きしてもよろしいでしょうか。
まとめ
「恐縮です」はビジネスシーンでよく使われる敬語です。感謝や謙遜、相手へ配慮しつつ依頼するときの言葉として使われます。
注意点が3つあります。まず、「恐縮に存じます」は間違った使い方だということです。「恐縮です」だけで相手を敬う気持ちは伝わります。
2つ目は多用しないことです。同じフレーズを多用すると、相手に失礼な印象を与えることもあります。
最後に、謝罪で「恐縮です」を使うのは不適切ということです。「申し訳ございません」といった謝罪のための言葉を使いましょう。
敬語は適切な場面で使うことにより、相手に配慮しながら自分の気持ちを伝えられます。相手を尊重したコミュニケーションのためにも、正しい使い方を身に着けましょう。