AI医療のメリット、デメリットとは? 可能性と課題を紹介!
はじめに
- AI技術の進化により、AIは医療分野でも注目を浴びている。
- 各国がAI医療の品質と安全性確保を目指して研究を進めている。
- AI医療はがんゲノム情報管理や画像診断支援、医薬品開発などで利用されている。
- とくにゲノム解析や画像診断では日本が高い開発能力を発揮している。
- しっかりとした知識をもった医療従事者の協力と介在は不可欠です。
近年、人工知能技術は目覚ましい発展を目指し、さまざまな分野で応用されています。 AI医療が再び注目を集めており、医療への応用性や課題も議論を呼んでいます。
AI医療とは
医療AIとは、AI(人工知能)技術を医療現場に役立てる取り組みです。
米国では人工知能の研究開発が進んでおり、国立衛生研究所(NIH)では人工知能を活用したうつ病治療、病歴に基づく治療支援など人工知能関連のプロジェクトが実施されています。
また、同じく米国のコンテストではAIが乳がんの転移を画像で判定し、11人の医師よりも優れた結果を出しているのです。
中国では2030年ごろまでに170兆円規模のAI産業を構築する目標が掲げられています。医療用AIもその目標の一環として位置づけられているのです。
日本の医療現場も多くの問題を抱えており、医療AIへの期待が高まっているようです。AIの利用により、新しい診断方法や治療方法が創造され、活用される日はそう遠くないでしょう。
医療分野でのAIの役割
多くの分野でAI医療の開発は進んでおり、さまざまな領域に焦点が当てられています。
まず、ゲノム医療では欧米より開発が遅れている問題に対処するため、がんゲノム情報管理センターが設立されています。AIを活用した研究体制や、がんゲノム情報の収集体制が構築されました。ゲノム解析はがん治療や難病の診断で使われ、とくにがんや難病の領域での実用化が進んでいるのです。ゲノム解析のコスト低下にAIの活用が期待されています。
画像診断支援では日本の高い開発能力を生かし、画像データベースが構築され、法的取り扱いもクリアになっています。日本の医療機器の輸出入は全体で赤字です。しかし、診断系医療機器に絞ると黒字です。医療機器メーカーへの画像データ提供、そしてAIを活用した画像診断支援プログラムの開発が進められています。
医薬品開発において日本は医薬品創出能力が高く、技術貿易収支も黒字を記録した数少ない国の一つです。製薬企業とIT企業のマッチング支援が行われています。医薬品開発に応用できるAIの開発も行われており、AIを用いた効率的な医薬品開発が実現されています。
最後に手術支援領域です。日本は手術支援分野で手術データの統合の取り組みで先行しています。しかし、外科医の不足が課題となっており、この課題を解決するためAIによる麻酔科医の支援や自動手術支援ロボットの実用化を目指しています。
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なぜAI医療が注目されているのか
現在の医療現場にはさまざまな課題が存在しています。医療従事者の不足や地域・診療科の偏在、そしてヒューマンエラーなどです。こうした現状に対し、全国どこでも最先端の医療を受けられる環境の整備や医療従事者の負担軽減、新たな診断・治療方法の創出などの分野で問題を解決できる可能性があるため、AI医療が注目されているのです。
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AI医療のメリットとデメリット
AI医療にはメリットとデメリットが存在するのです。大きなメリットがある一方、デメリットから生まれる問題と向き合う必要があります。どのような問題があるのかを紹介します。
AI医療がもたらす正確な診断
AIを使った高精度な画像による診断は病気の予防や早期発見、悪化の防止や最適な治療薬の選択、薬の副作用の回避などを実現しています。これにより、医療費の増加を抑制でき、国の課題である介護需要の急増や労働力の減少にも貢献しているのです。画像や病理の診断は、医師による判断のばらつきが問題として存在しており、AIの診断補助は診断の品質向上には不可欠なものとなっています。
AI医療に潜むリスク
AI医療にもリスクがあります。AIは収集されたデータに基づいて学習し結果を予測します。
しかし、新しい事象や人間の常識を考慮せずにデータに頼りすぎることで間違った予測が出る場合もあるのです。医療分野での間違った予想は人の生命に関わるため、こうした点はリスクと考えられます。AIが高度な作業を行う一方で、その信頼性に期待を寄せる際は慎重な判断が必要です。
次に、正反対な意味をもつ異なる結論が複数出る可能性もあるでしょう。AIは異なる情報源からデータを学習しています。時にはどれも正解となるような結論を複数提示するかもしれません。そのため、専門家や医療従事者は最も適した結論を選択するために正確な知識と判断力が必要とされるかもしれません。
最後に、プライバシーのリスクも無視できないでしょう。AIが患者の個人情報を扱う際は、適切な個人情報の保護が必要不可欠です。不正アクセスなどのリスクは回避しなければなりません。
AI医療の課題とは?
AI(人工知能)の医療応用の中でいくつかの技術的な課題と限界が浮かび上がっています。
まず、AIは学習のために正解データが欠かせません。学習のために必要なデータ作成をするアノテーション作業は高度な専門知識を必要とし、かつ高コストです。これが開発のボトルネックとなっています。
次に、少ないデータに対する学習の難しさがあります。希少疾患の治療などではデータの入手が難しく、少ないデータから学習しなければならないことが課題なのです。
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AI医療と人間の共同作業が重要
これまで紹介してきたように人とAIが協力して業務を遂行する未来が迫っています。
過去の技術革新と同じく、新しい技術によって雇用が一部失われる一方で、新たな雇用が創出される可能性もあるでしょう。AIと人間が共同で作業する場合、相互の信頼関係が築かれているとよいでしょう。楽観的な意見もあれば懸念も存在しますけれども、柔軟で効果的な対応が、技術革新に対応する鍵となるのではないでしょうか。
まとめ
AI医療の活用が急速に進んでいることがわかりました。とくに医学への影響は大きく歴史的な変革に匹敵するものとなるかもしれません。今後AIはますます進展が期待されています。
診療結果の解釈や患者への説明にはしっかりとした知識をもった医療従事者の方々の協力と介在が不可欠です。倫理的な問題や法的な課題などにも、きちんと対応された安心安全な医療AIが日常的に利用されるようになる日も遠くはないかもしれません。