就職氷河期とはいつのこと?原因や特徴、就職活動のコツとは
はじめに
バブル崩壊後に訪れた不景気な時代に、就職活動で非常に困難な思いをした人たちがいます。その人たちはどのような傾向にあるのか、就職や転職にどう臨むのか、この記事で解説します。
就職氷河期世代とは
就職氷河期世代とは、バブル崩壊後、景気の悪化により就職が難しくなった時期に就職活動をおこなった世代のことを指します。企業が新卒採用の人数を減らし、新卒で就職できない人が増えました。ロストジェネレーション、略してロスジェネ(失われた世代)とも呼ばれます。
就職氷河期とはいつ?
就職氷河期とは、1993年から2005年頃までを指します。1970年から1984年生まれの人が該当します。年齢にすると30代後半から50代に差しかかったあたりです。
就職氷河期世代はどのような傾向が見られる?
厳しい時代に就職活動を強いられた人たちにはどのような傾向が見られるでしょうか。以下に見ていきます。
転職回数が多い
正社員になれなかった人も多く、必然的に転職の回数が他の世代より多くなりました。転職回数が多いと適応能力が高くなり、さまざまな分野の経験も多くなるというメリットもあります。
仕事に対してストイック
苦労して見つけた職を失わないように、真摯に仕事に取り組む人が多くいます。「就職氷河期の人は使えない」といううわさは間違いで、忍耐力が高く、成果主義をたたき込まれた優秀な人材が多いといわれます。
資格取得への意欲が高い
非正規雇用から正社員を目指すために、積極的に資格を身につける人も少なくありません。学習意欲や専門的なスキルが高いといえます。採用されたら即戦力として活躍できるでしょう。
就職氷河期世代を取り巻く環境とは?
就職氷河期から20~30年経った今も、就職氷河期世代が抱える問題とは何でしょう。以下に見ていきます。
非正規雇用が多い
新卒で正社員になれなかったため、やむを得ず派遣やアルバイトなどの非正規雇用となり、現在もその状態という人も少なくありません。スキルや才能を活かせないまま希望の職種につけず、キャリアを積めない人が多くいます。
収入が低め
正社員として安定した雇用環境にないと必然的に収入が低くなってしまいます。その他の世代に比べ生涯年収も低い見込みの人が多いでしょう。また年金を収めてこられなかった人の割合も高く、老後の生活に不安を抱えています。
晩婚・未婚が多い
仕事や収入が不安定だとなかなか結婚もできません。結婚できても非正規雇用では共働きが当たり前となり、出産をためらうケースが出てきます。さらに、晩婚となった人の中には育児と親の介護が重なって、仕事との両立が難しくなっている人もいます。晩婚・未婚は少子化問題にもつながる大きな課題です。
ひきこもりとなった人もいる
就職活動のスタートからつまずいてしまったり、転職活動がうまく行かなかったりなどの理由から心が折れてしまい、ひきこもりになってしまっている人の割合が高いのもこの世代の特徴です。親世代の高齢化もあり、長期化したひきこもりは大きな社会問題といえます。
就職氷河期世代の就職・転職活動
就職氷河期世代がこれから就職や転職を行う場合、どのようにしたらうまく行くのでしょうか。支援体制を中心に見ていきましょう。
就職氷河期世代支援プログラムの活用
2019年、政府は就職氷河期世代支援プログラムを打ち出しました。「全ての世代の人々が希望に応じて意欲・能力をいかして活躍できる環境整備を進める中で、これら就職氷河期世代への本格的支援プログラムを政府を挙げて、また民間ノウハウを最大限活用して進めることとした」ものです。
伴走支援型の就職相談体制
相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援をおこなう体制です。ハローワークには就職氷河期世代専門窓口があり、セミナーや相談会が開催されています。専門の担当者が相談から職場定着までサポートします。
リカレント教育などによる学びなおし
正規雇用につながる資格取得プログラムや、資格取得と職場実習などを組み合わせたプログラム、企業や地域のニーズに合わせた実践的な人材育成プログラムを、仕事や子育てをしながら受講できる体制を整備しています。教育訓練や職場実習を職業訓練受講給付金の給付対象とし、生活の不安なく受講できるよう支援します。
リカレント教育について詳しく知りたいという方は、こちらの記事リカレント教育とは?知識をアップデートさせる学び直し!でわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
採用企業側への働きかけ
採用選考を兼ねた「社会人インターンシップ」の実施を推進するとともに、協力企業には助成金を交付するなど企業側のインセンティブを強化し、就職氷河期世代の受け入れ体制を整えます。
民間ノウハウの活用
最近では転職サイトやエージェントが増えて、就職氷河期世代もそれを利用するケースが多いです。相談から採用・定着まで、専門のノウハウをもつ民間事業者に業務委託をおこなうことで、ハローワークなどによる公的な取り組みと両輪で、就職氷河期世代の就職・転職をサポートします。
さまざまな支援
引きこもりになっている人に対し、サポートをおこなうのが「ひきこもり地域支援センター」です。役所に足を運ぶのが難しい当事者に対し、職員が自宅まで出向いて支援につなげる、アウトリーチ型支援もおこなわれています。また、生活が苦しい人に対しては「生活困窮者自立支援制度」というものがあります。
就職・転職活動を成功させるコツ
就職氷河期世代が実際に転職・就職活動を行うにあたって、どのような点に注意したら成功させられるでしょうか。
就職氷河期世代向けの求人に応募しよう
政府からの助成金などのメリットがあるので、就職氷河期世代を採用する企業は増える傾向にあります。ハローワークで「就職氷河期世代歓迎」などと書かれた求人情報を探して、応募してまずは職歴をつけましょう。応募先企業も、求職者の正社員経験や実務経験が少ないことは承知のうえで募集しているので、比較的気楽に応募できます。
アルバイトの経験が豊富で職務経歴書にアルバイト歴を記入したい人には、こちらの記事職務経歴書にアルバイト歴を書きたい場合は?で具体的な書き方を説明していますので参考にしてみてください。
また、ブランクや非正規の期間が長い人向けの面接対策はこちらの記事【面接対策】よくある質問と回答例 ブランクがある・正社員経験が少ない場合で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
自信をもって選考に臨もう
時代の流れで就業の機会に恵まれなかっただけで、潜在的スキルの高い人が多いのもこの世代の特徴です。ブランクや非正規雇用の期間が長くても、それを自分の責任だと考えて自信をなくすことはありません。これまで生きてきた中で身につけた忍耐力や、変化に対しての対応力など、意外なスキルが役に立つこともあります。自信をもって選考に臨みましょう。
まとめ
バブル崩壊後の不景気真っただ中、極端な就職難となり正社員になれなかった人も多い就職氷河期世代の一部は、今なお問題を抱えています。一方で、就職氷河期世代は困難な時代を生き抜いてきたからこそ、潜在的スキルが高いともいわれます。政府の支援プログラムなどを活用して、今こそ就職や転職にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
最後のチェックポイント
- 就職氷河期とは1993年から2005年頃までを指す
- バブル崩壊後の不景気で企業の新卒採用が大幅に削られた
- 正社員になれず非正規雇用などでしのいできた人が多い
- 低収入、晩婚化などの課題を抱える
- 政府が就職氷河期世代支援プログラムを打ち出している