【面接対策】よくある質問と回答例 答えにくい場合には?
はじめに
面接において、仕事量の多さや難しい働き方のことなど、答えるのが難しい質問はどうしても戸惑ってしまうものです。面接官に何を問われているか冷静に読み取り、前向きな回答ができるようにしましょう。
ハードな仕事になりますが、大丈夫ですか。
応募者の業務に対する意気込みや職務内容の理解度を把握するために、面接官はあえてこのような質問を行う場合があります。まずは「大丈夫です」「問題ありません」と答えるのが基本ですが、なぜ大丈夫と言えるのか、具体的に根拠を述べることが大切なポイントです。
回答の際には、前職や学生生活、アルバイトなどの経験で、大変な状況にどう対応してきたかのエピソードを伝えます。そのうえで、「〇〇を実現するためなら乗り越えられる」など、自身の志望動機やキャリアプランと絡めて前向きに回答すると説得力が増します。
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回答例
「大丈夫です。問題ございません。御社の営業職においては、商品単体での売り上げのほか、付随する各種サービスについてもそれぞれの営業目標があり、その達成のためには幅広い商品知識とニーズをとらえた営業活動が必須であると理解しております。
私は、高校時代、強豪のバスケットボール部に所属しつつ、大学進学のための勉強に励んでおりました。休日も練習に出ることは日常茶飯事で、部活と勉強の両立に苦労した思い出があります。
しかし、双方に「地区大会ベスト4」「第一志望合格」と大きな目標を決め、達成のために日々小さな目標やノルマをこなすことを習慣にしました。そのおかげもあり、無事両方の目標を達成できました。
御社においてもこの経験を活かし、日々の目標達成を大きなモチベーションとして、業務に貢献していきたいと考えております。
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失敗例
大丈夫です。問題ございません。
そもそも、楽な仕事は存在しないと考えておりますし、対価をいただく以上は仕事が大変でも乗り越えられます。御社では営業職を志望しておりますが、弱音を言うことなく日々努力していきます。」
NGポイント
「楽な仕事は存在しない」という前提の回答では、本当に大変だったときに、応募者がどう頑張れるかが伝わりにくいです。ハードな仕事を耐えられる理由に具体的なエピソードが伴っていないと、根拠に乏しく、「この応募者なら大丈夫」と面接官に思わせるのは難しいでしょう。
また、「大丈夫だと思います」などのあいまいな回答は避けましょう。事前に職務内容をきちんと把握しておき、それでも不安があれば面接官に質問するのもおすすめです。
夜勤シフトの場合もありますが、大丈夫ですか。
夜勤が可能な場合でも、「大丈夫です」という回答のみでは不十分です。なぜなら、面接官は「なぜ、大丈夫なのか」「なぜ、そう言い切れるのか」といった理由をきちんと把握しておきたいからです。
特に、夜勤は体力的にも精神的にも大変な仕事であるため、早期離職につながるケースが多いとされています。従って、企業側にはできるだけ採用後のミスマッチを減らしたいという意図があります。「大丈夫です」と答えたあとには必ず、「理由・根拠」を伝えるようにしましょう。きちんとした理由を添えて、面接官を安心・納得させることが大切です。
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回答例
「大丈夫です。夜勤に関しては問題ございません。
前職では月5回~7回程度夜勤に携わっていたため、同じ程度の頻度でしたら対応が可能です。夜勤による生活リズムに対応するため、日頃から運動を欠かさず、体調管理にも気を付けておりますので、御社にも末長く貢献できると考えております。」
「申し訳ありませんが、夜勤はできかねます。
小学生の娘がおり、ひとり親家庭で他に面倒をみる者がいないため、大変恐れ入りますが対応できかねます。夜勤以外の時間帯を効率的に活用し、業務に取り組みたい所存です。」
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失敗例
「大丈夫です。夜勤に関しては恐らく問題ございません。
夜勤は未経験ですが体力は人一倍ありますので、できると考えております。御社の即戦力になれるように努力していく所存です。」
「申し訳ありませんが、夜勤はできかねます。
前職の夜勤が大変だと感じたため、シフトは昼勤のみでお願いします。昼勤のみですと、仕事のパフォーマンスも安定しますので、御社に末長く貢献していけると考えております。」
NGポイント
「多分できると思います」のようなあいまいな回答は、面接官に「本当にできるのだろうか」と懸念されてしまうため、避けましょう。「夜勤はできます」とはっきり答えたとしても、理由がない、もしくは説得力に欠ける理由はNGです。
夜勤ができない場合でも、その理由や根拠を述べることが重要です。「大変だから」などの理由では、面接官を納得させることは難しいでしょう。ミスマッチを防ぐためにも、やむを得ない事情があればしっかり伝えておきましょう。
あなたの特技を教えてください。
特技はアイスブレイクのためだけではなく、応募者の人柄や個性、業務適性などを探る目的でも尋ねられます。特に、特技が仕事に活かせる場合は業務適性があると判断され、面接官に「長く勤めてもらえるかもしれない」と期待されるケースがあります。
特技を回答する際は最初に「どのような特技を持っているか」と簡潔に述べて、次に習得方法や、他の応募者と差別化できるようなエピソードをアピールしましょう。伝える特技を選ぶポイントは、自分が本当に好きなことや得意なことを中心に、仕事に役立つものがあればそれを優先するのがベターです。
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回答例
「私の特技は料理です。
祖母が料理好きだったため、中学時代から教わっておりました。現在、一人暮らしをしておりますが自炊がまったく苦にならず、祖母には感謝しております。また、私の場合は料理をすることでストレス発散にもつながっているので、ストレスのコントロールがうまくできていると自負しております。
料理は同時並行作業ですので、マルチタスクが得意にもなりました。御社での業務進行においても、この力を活かしていければと考えております。」
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失敗例
「私の特技はお酒に強いことです。
ストレス発散になりますので、仕事でのストレスをあまりためこむことがないと自負しております。飲み仲間の集まりに出席することも多いので、コミュニケーション能力にも自信があり、御社の営業職で活かせると考えております。」
NGポイント
一般的にマイナスイメージが大きいギャンブル関係や、飲酒・喫煙に関する特技は面接の場では相応しくありませんので控えましょう。また、好きなことや、自信があることだとしても、長々と話しすぎるのもNGです。
特技が見つからない場合は、普段行っている家事や、「情報収集力」「分析力」などのスキルを答えればOKです。「特技」だからといって、コンクールの入賞経験があるなど、レベルの高いことを言う必要はありません。
将来的には転勤もあり得ますが、大丈夫ですか。
応募者が転勤に抵抗がないか、労働条件とのマッチ度合いを確かめる質問です。また、応募職種の内容や事業への理解があるかどうかも見られています。転勤は、その人の生活拠点を変えなければならない大きなイベントです。面接官は、応募者の入社後にミスマッチがないよう、面接の段階で転勤への理解を問う質問をします。
転勤の意思がある場合は、その旨を伝えましょう。今の段階で転勤が難しい場合は、「現在はこういった事情があるためできかねますが、X年後には転勤が可能です」というように、具体的な理由と前向きな回答を述べられるようにしましょう。
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回答例
「転勤に関しては問題ございません。
世界規模で事業を展開する御社を志望するからには、さまざまな場所で経験を積むことが重要だと考えております。自身の成長とともに、多様なお客さまに質の高いサービスを提供することにもつながると考えております。常に現状に満足せず、柔軟性と向上心を持って御社に貢献できるような営業力を身に付けていく所存です。」
「申し訳ありません。可能であれば転勤はお断りしたいです。
私はボランティア活動を通して地域活性化に尽力しているため、地元を離れることには抵抗があります。 転勤の可能性を考慮しつつも御社を志望した理由は、御社がサステナビリティ経営に力を入れているためです。サステナビリティは地方創生にも通ずるところがあり、持続可能な地域づくりを目指す私としましては、御社の理念に深く共感できるからです。入社した暁には、地域に密着した営業で地元の方々に貢献していきたいと考えております。」
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失敗例
「転勤に関しては問題ございません。
将来的には独立・起業を目指しておりますので、さまざまな環境に身を置くことは非常に有意義な経験になると考えております。日々新しいことに挑戦し続けて、いち早く御社に貢献できるように成長していく所存です。」
「転勤に関しては、現在お答えできかねます。
御社では転勤の可能性はあると存じておりますが、私は地元への愛着が強いため、可能であれば転勤はお断りしたいです。しかし、今後の状況次第では、転勤をお引き受けすることもあるかと存じます。転勤の有無にかかわらず、御社に貢献できる営業マンへと成長していく所存です。」
NGポイント
この質問はミスマッチを防ぎたい意図によるものですので、「起業」や「独立」など、退職を示唆するような理由を述べるのは避けましょう。また、あいまいな回答はせず、はっきりと意思を伝えることが大切です。採用後、転勤を理由に退職してしまうと企業に不誠実な印象を与えるだけでなく、再就職先でも同じ問題に直面する可能性があるためです。
転職回数が多い理由はなんですか。
応募者の転職回数が多いと、企業側は採用をためらってしまう可能性があります。「自社もすぐに辞めてしまうのではないか」という面接官の懸念を払拭するためには、一貫した目的に基づいた、前向きで軸のぶれない転職理由を答えることが必要です。
回答にあたっては、はじめに転職理由を述べます。そのあと、今後のキャリアプランや挑戦したいことを通じて、応募企業でどう貢献できるかまで伝えることが重要です。自分の強みやスキル、新しい環境への適応力、コミュニケーション能力などもあわせてアピールすることで、さらに好印象につながります。
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回答例
「おっしゃる通り、転職回数は多いと存じます。新卒で就職したPR企業では、自分が収入ばかりを重視して入社したこともあり、広告戦略中心の業務内容と自分のスキルにずれが生じてしまいました。自身の至らなさを反省し、得意とするコミュニケーションを活かしたマーケティング業務でベストを尽くせるよう、退職を決意しました。
2社目では顧客との関係構築に貢献した成果が認められて、社内表彰をされた経験もあります。大変充実しておりましたが、さまざまな背景をもった人たちの課題解決に挑みたいと考え、グローバルに展開している御社を志望いたしました。
今回は最後の転職と考えております。離職期間中に習得した語学力を活かして、御社でもお客さまとのコミュニケーションを大切にしながら、業務に貢献していきたいと考えております。」
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失敗例
「おっしゃる通り、転職回数は多いと存じます。新卒採用されたマーケティング企業では自分の希望した業務に携わることができなかったため、退職いたしました。
2社目も同業種でしたが、上司や先輩、取引先の人などと意見が合わないことが多く、腰を据えて働くことが難しいと感じましたので退職いたしました。
御社は社員の意見を積極的に取り入れ、事業を成長させているとお聞きしておりますので、私自身も末永く貢献したいと考えております。」
NGポイント
転職回数が多い理由を周囲の人や環境のせいにしてしまうと、面接官から好印象は得られませんので注意しましょう。不満があって転職した場合は、「より新しいことに挑戦しやすい環境で働きたいと思った」など、ポジティブに言い換えるのがおすすめです。
何の目的もなく転職を繰り返していた場合は、それまでの経験を振り返って分析するとともに、今回の応募企業ではどのようなキャリアプランを実現させたいか、具体的に伝えましょう。
つまらない仕事をどうこなしますか。
この質問には、どういった仕事をつまらないと感じるのか、応募者の価値観を見る意図があります。加えて、興味が薄い仕事を任されたときにどう向き合うか、任された仕事に責任を持って対処できるかといった、仕事に対する意欲や責任感を測るねらいもあります。
回答するときは、実際につまらないと感じる仕事を挙げても、「つまらない仕事はありません」と答えてもかまいません。重要なのはそうした仕事にどのように取り組むのかを具体的に述べることです。実践した工夫や努力したこと、そしてどう成果を得られたかまで伝えましょう。
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回答例
「学生時代に100円ショップのバックヤード業務に携わっていたのですが、その際の品出し作業は商品の個数・種類とも多いのもあり、作業の終わりが見えないことに苦手意識を持っていたことがあります。
そこで、ランダムに収納されていた在庫をいったん店舗レジシステムでの登録番号順に並べ替えることで、出力された値札を並べ替えることなく貼り付けし、そのまま店舗に陳列できるように工夫しました。結果、在庫から次に値札を貼る商品を探すことがなくなり、作業時間が大幅に短縮できました。
ちょっとした気づきや行動の変化で、大きな効率アップとモチベーション維持が可能であると学んだよい機会だったと思います。
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失敗例
「つまらないと感じる仕事はありません。どのような仕事でも全力で取り組むべきだと思いますし、創意工夫によって、効率アップやモチベーション維持は可能であると考えております。」
NGポイント
「つまらない仕事はない」と答えること自体は間違っていませんが、抽象的な話ばかりではアピールにはなりません。なぜつまらない仕事はないと考えるに至ったのか、実際に取り組んだことを具体的に話しましょう。つまらない仕事を述べる場合も同様に、その仕事をこなすために何を心掛けたのか、どのような努力をしたのかを伝えられるようにしましょう。
まとめ
面接の場において答えにくい質問が来ると、緊張のあまり焦ってしまうことがあるかもしれません。しかし、面接官が想定外の質問をするのは、志望動機などでは測れない応募者の本質や、人柄を把握するためです。また、発想力の有無や柔軟性がある対処ができるかどうかも見られています。
どのような質問にも黙り込んだり困惑したりすることなく、冷静かつ論理的に回答できるよう、事前の分析と練習を怠らないようにしましょう。