職務経歴書の書き方を徹底解説|見本あり!
はじめに
- 職務経歴書は企業側が不要としている場合は提出しなくていい
- 職務経歴書のフォーマットは無いが見やすさを意識する
- 職務経歴書は採用担当者に「会ってみたい」と思われるように工夫する
- 職務経歴書を書く前には必要な情報を書き出しておく
- 職務経歴書は企業研究を行ったうえで丁寧に作成する
職務経歴書はなぜ必要?
職務経歴書は応募者の知識やスキルを企業側が判断するための書類であり、就職・転職活動においては履歴書と同じくらい重要ですので書き方に悩む人も多いでしょう。
今回は職務経歴書を記入する前の準備や書き方のポイント、履歴書との違いなどを詳しく解説します。
履歴書と職務経歴書の違い
履歴書と職務経歴書はそれぞれどのように異なるのでしょうか。
以下からは、「履歴書」と「職務経歴書」の役割・違いについて詳しくご説明します。
履歴書とは?
履歴書は応募者の学歴や職歴などの基本情報を中心にまとめた書類です。
履歴書のフォーマットは定型化されていることが多く、氏名・学歴・職歴欄などの記入が必須の項目と、趣味・特技欄など記入が任意の項目で構成されています。
「履歴書作成をツールで手軽に! 無料フォーマットやアプリも紹介」では履歴書を作成する際に役立つ記事をまとめております。準備するものや各項目の書き方に迷われた際は、ぜひご参考ください。
職務経歴書とは?
職務経歴書は履歴書で記載できなかった具体的なキャリアやスキル・経験、実績・知識などを応募先の企業にアピールするための書類です。また、職務経歴書のフォーマットは定型化されておらず、A4用紙1枚~2枚程度にまとめるのがベターといわれています。
複数企業で就労経験がある場合はすべての職歴を記載する必要があります。職歴を省略したことが判明した場合は、企業側に経歴詐称と見なされて、選考対象から外されたり内定を取り消されたりする可能性があるため注意しましょう。
どのような場合に提出が必要?
企業の多くは求職者に職務経歴書の提出を求めていますので、基本的に提出は必要な書類だと覚えておきましょう。ただし、なかには「応募書類は履歴書のみで構いません」といった旨が記載されている求人もあります。「職務経歴書の作成を省くことでより多くの応募者を獲得したい」という企業側の意図が含まれているため提出しなくても問題ありませんが、不安な方は自主的に作成して提出することをオススメします。
また、パート・アルバイトの求人においては履歴書のみで構わないケースが一般的です。
職務経歴書のフォーマット
基本的に職務経歴書は自由形式とされていますが、簡潔にわかりやすく記載することが望ましいですので、可能であればフォーマットを使用しましょう。以下から、「編年体式」、「逆編年体式」、「キャリア形式」の3つの代表的なフォーマットをご紹介します。
編年体式
職歴を時系列に挙げていくフォーマットを編年体式といいます。新卒の方や転職経験の少ない方など、職務経歴の少ない方にオススメのフォーマットです。時系列のため採用担当者が履歴書と照らし合わせやすいですが、単調な形式のためアピールしたいことが伝わりにくいというデメリットもあります。フォントやレイアウトを工夫して採用担当者の目をひくように工夫しましょう。
逆編年体式
編年体式の逆の形式が逆編年体式です。直近に所属していた企業から過去にさかのぼって記入していきます。転職回数の多い方や直近の職務内容を強調したい方にはオススメですが、経歴の順番を逆に記載するため、キャリアアップの過程が採用担当者に伝わりにくいのがデメリットです。アピールしたいことや強調したいことなどがあれば、自己PR項目や面接の場を活用して補足しましょう。
転職回数が多い方は面接でもうまく理由を伝える必要があります。転職回数3回以上は必見。面接で理由を伝えるときのポイントでは具体的な回答方法を紹介していますのでぜひ、ご参考ください。
キャリア式
キャリア式とは、経験してきた職種や職務内容ごとに分けて記載していく方法です。時系列ではないため、転職回数の多い人にも向いています。また、成果や実績、スキルなどをアピールしやすいため、特定の業界に長く携わった方や専門職の方にもオススメです。逆編年体式と同じく時系列ではないため、採用担当者が混乱する可能性もありますが、冒頭に時系列の略歴を記載することで見やすくなります。
以下の記事でも職務経歴書の見本を紹介しています。あわせてご確認ください。職務経歴書の見本と書き方(職種別)気を付けたいポイント
【見本】職務経歴書の書き方
職務経歴書は応募先の企業からの指定がなければ、手書きではなくパソコンで作成しましょう。手書きで作成するよりも綺麗に仕上がりますし、業種によってはパソコンスキルのアピールにもなるのでオススメです。
1.日付・氏名
冒頭に「職務経歴書」とタイトルを入れたあとに、1行空けて日付を入れます。日付の下には氏名(フルネーム)を記載しましょう。タイトルは中央揃えで、日付と氏名は右寄せです。
日付は職務経歴書の提出日を記載します。持参する場合は持参日、郵送する場合は投函日が提出日です。提出日や年号・元号などの形式は履歴書と統一しましょう。
2.職務要約
職務要約は採用担当者の興味をひくように書きましょう。業務経験や実績にプラスして「応募企業にどのような貢献ができるのか」を「3~5行程度」にまとめるのがポイントです。冗長な文章になると読みにくくなりますが、簡潔すぎると伝わりにくいので注意が必要です。客観的な視点に立って事実を中心に記載することで、短い文章でも説得力を持たせられます。
3-1.職務経歴(A~D)
職務経歴の項目にA~Fを記入する際は職歴ごとに区切り、それぞれ上から「A企業名」「B事業内容」「C売上高・従業員数・資本金」「D期間」「E職務内容」「F実績」を記入しましょう。
職務経歴書を書く前には、以下の6項目(見本のA~D)の情報を別の紙に書き出して整理することをオススメします。以下から、項目ごとの具体的な書き方やポイントを解説しますのでご参考ください。
A.企業名
現在および過去に勤務していた企業の名称は正式名称で記載します。「株式会社」を「(株)」や「有限会社」を「(有)」などと省略しないように気をつけましょう。退職後に元勤務先の名称が変わった場合は、「株式会社◯◯(現:△△株式会社)」、倒産した場合は、「株式会社◯◯(20XX年3月倒産)」と記載します。
B.事業内容
事業内容はわかりやすく簡潔に記載しましょう。文章ではなく、以下のように箇条書きにするのがオススメです。
◆企業名:◯◯
◆従業員数:XXXX名
◆事業内容:△△
C-1.売上高
売上高は、企業ホームページの会社概要や採用ページに記載されていることがあります。上場企業であれば、「四半期報告書」、「有価証券報告書」などのIR情報(Investor Relations:株主や投資家へ発信する情報)も参考になるでしょう。
ただし、後述する登記事項証明書(登記簿謄本)には売上高の情報が載っていませんので、注意が必要です。非上場企業の売上高に関しては、EDINET(金融庁が管理する電子開示システムのサイト)で企業名を検索するか、「官報」、「日刊新聞」で決算公告を確認するといいでしょう。
売上高を掲示する際は、「売上高:◯円(20XX年△月期実績)」と、いつのデータかわかるように記載しておくと丁寧です。
参考:金融庁|EDINET
C-2.従業員数
勤務していた企業の規模を見ることで、採用企業側は応募者の担当業務や担当範囲を推察できます。従業員数には正社員だけではなく、パート・アルバイトなども含めて退職時の人数を記入しましょう。
「単体:1500名、連結7000名」といった記載がされている場合は、どちらを記入しても構いません。
単体は1社のみの従業員数を指し、連結はグループ会社を含んだすべての従業員数を指します。
C-3.資本金
資本金に関しても、企業ホームページやIR情報で調べられます。
また、非上場企業の場合は手数料を払い法務局から企業の登記事項証明書(登記簿謄本)を請求して、確認する方法もあります。
記入の際は、「資本金:◯万円(億円)」と具体的な金額を掲示しましょう。
D.期間
企業に在籍していた期間は「X年△月~Y年◯月」という形式で記載します。「年月」は必要ですが、日にちは記載しなくても構いません。
職務経歴書提出時点で退職していない場合は、「X年△月~現在」と書きます。日付は西暦・和暦のどちらで記入してもOKですが、履歴書や職務経歴書の他の項目欄と統一することが大切です。
3-2.職務経歴(E,F)
勤めていた企業の中で担当業務が変わったり、異動したりした場合などはその分だけD・E・Fを追加しましょう。
以下から、職務経歴の業務内容項目(見本のE,F)の書き方をご紹介します。
E.職務内容(主な業務)
主にどのような業務を担当してきたかを記入する項目です。「どこで」、「誰に対して(取引企業や顧客など)」、「どのような業務を行ってきたか」などをわかりやすく記入しましょう。所属している部署やチームに与えられた業務内容ではなく、自分が実際に請け負った職務内容を記載することが大切です。また、箇条書きにすることで採用担当者に情報が伝わりやすくなります。
F.職務内容(実績)
職務内容で実際に成果を上げた場合は、具体的な数値を用いてアピールしましょう。また、実績が少ない場合は「仕事で何をしたか」よりも「仕事に対してどのような姿勢で取り組んだか」をアピールすると意欲が伝わります。
たとえば、接客業から営業職へ転職希望する場合は営業の実績がありません。しかし、「お客さま方に柔軟な対応を心がけたところ1日あたりの来客数が20%上昇しました」と記載すれば、営業職にも通用すると判断される可能性があります。
アルバイト経験は書いてもいい?
一般的に職務経歴書にはアルバイト経験を書きませんが、応募先の企業で活かせる知識やスキルを得た場合は書いてもOKです。また、アルバイト経験しかない、無職の期間が長くて書くことがないといったケースでも職歴を空欄で提出することは控えましょう。職歴がない事情やその期間をどのように過ごしていたかを前向きに伝えることが大切です。たとえば、アルバイトを通して工夫してきたことや仕事をするうえで大切にしていることなどは、仕事へどのように向き合っていたのかという判断材料にもなりますので、積極的に記載しましょう。
職務経歴書にアルバイト歴を書きたい場合は?では、アルバイト歴を職務経歴書に書く際の書き方やポイント、NG事例をご紹介しています。アルバイト経験がメインの方はチェックしてみてください。
4.活かせる経験・知識、資格・スキル
これまでの経験や知識、資格・スキルなどが応募企業で活かせそうならば、積極的にアピールしましょう。職務経歴書に資格やスキルを記入する際は、履歴書の同項目と統一して箇条書きにするのが望ましいです。
一般的に、履歴書の次に職務経歴書に目を通す採用担当者が多いため、履歴書と職務経歴書の資格・スキルが一致しないと記入漏れなのか違うのか判断できずに、混乱を招くケースがあるためです。
5.自己PR
自己PRは職務経歴の内容を踏まえた上で、「強みをどのように活かせられるか」をアピールしましょう。冗長になりやすいため、強調したい経歴やスキルだけを厳選する必要があります。文字数も300~400字を目安にまとめましょう。
また、履歴書の自己PRと内容が重複しても構いませんが、内容はより詳細に記載しましょう。「どのように貢献できるか」と「どのようなことに挑戦したいか」をセットで書くことで、採用担当者にも意欲が伝わりやすいです。
職務経歴書作成のQ&A
職務経歴書は簡潔にまとめて丁寧に記載することが大切です。しかし、どのように記載していいかわからずに苦手意識を持っていらっしゃる方も多いかもしれません。
以下に、職務経歴書の書き方と、採用担当者に「会ってみたい」と感じてもらえるような具体的な作成方法をまとめましたのでご確認ください。
Q.1:第一印象をアップさせるためには?
丁寧でわかりやすい書類は採用担当者の手間や負担が減るだけでなく、応募者の印象もよくなります。
以下から職務経歴書を書く際に意識するといい具体的なポイントを3つご紹介します。
A.1-1:レイアウトは見やすさを意識しよう!
各項目に見出しを入れて、定期的に段落分けをしたり3~5行ごとに改行を入れたりすると視覚的にもわかりやすくなります。
「従業員数」や「資本金・売上高」などがわからない場合は空欄にせず、企業のサイトやIR情報などで確認します。職務経歴書に空欄が目立つと採用担当者に応募意欲がないと捉えられてしまい、書類選考で落とされてしまう可能性があるため気をつけましょう。
A.1-2:読みやすい文章を心がけよう!
採用担当者に好感を持ってもらうためにも読みやすい文章を心がけましょう。簡潔にまとめるには箇条書きがオススメです。また、文章量はA4用紙1~2枚以内が適切とされています。
誤字脱字にも注意が必要ですので、第三者にチェックを頼んだり作成した翌日に自身で再確認したりする習慣をつけましょう。
A.1-3:目を引くキーワードを使おう!
職務経歴書の自己アピール欄には、採用担当者の目に留まりそうなキーワードを入れましょう。例えば、「勤続年数」や「契約件数」、「前月との売上比」など数字で具体的に表せるものは説得力も増します。また、応募先の職種に合わせてアピールポイントを厳選し、詳しく掘り下げると冗長な文章になりにくいのでオススメです。
ただし、キーワードとして前企業独自のキャンペーンやイベント名などを挙げる場合は、採用担当者も想像がつきにくいため、詳細な説明を加える必要があります。
Q.2:担当者に興味を持ってもらうには?
応募書類を提出した時点で印象が決まるケースも多いため、職務経歴書も採用担当者に興味を持ってもらえるように作成しましょう。以下から具体的な方法をお伝えします。
A.2-1:業務で取り組んだことを具体的に記載しよう!
「どのような業務を担当していたか」、「どのような経験を積んだか」という情報だけでなく、日々の業務の中で取り組んだことや工夫したことを伝えましょう。
たとえば、漠然と「営業を頑張っていました」と書くよりも、「平均して1日に100件営業を回っておりました」と具体的に書くことで企業側も応募者の能力やスキルが把握できます。
A.2-2:企業研究を行い丁寧に作成しよう!
自己PRでは、応募企業が求めている人物像とズレないように気をつけて記載しましょう。志望動機や応募意欲を伝えるうえでも企業の考え方や社風を把握しておくことが重要です。
また、誰が見てもわかりやすい書類に仕上げるためには丁寧に作成する必要があります。他人への配慮ができる誠実な人柄も伝わりやすいため、採用担当者からの好感度も上がりやすいでしょう。
Q.3何を書いたらいいかわからない場合は?
「職務経歴書に何を書いたらいいかわからない」という方は、以下からご紹介する方法を試してみましょう。
A.3:自分の強みを紙に書き出して分析しよう!
書類作成の前には自分の経歴やキャリアを振り返り、紙に書き出して整理しましょう。次に応募先の企業で求められている能力を考えます。紙に書き出した自身の経歴と応募先の企業が求めている能力で一致するものから優先的に記載しましょう。その際は、5W1Hを意識すると簡潔にまとまります。
職種別職務経歴書のサンプル
職務経歴書は業種や職種によってアピールポイントが異なりますので、自分にあったサンプルを選ぶようにしましょう。以下の記事では事務や営業、IT系などの職務経歴書のサンプルを23例ご紹介しております。それぞれ、「DOCファイル」と「PDF」ファイルの2パターンご用意しておりますのでお役立てください。
まとめ
職務経歴書は応募企業に自身を売り込む重要な書類です。職務経験やスキル・資格などが希望職種に活かせるようにアピールすることも大切ですが、誠実な人柄が伝わるように丁寧な作成を心がける必要もあります。この記事を参考に、あなたの魅力が伝わる職務経歴書を作成してみてください。