はじめに
近年では、多くの企業が業務効率化やコスト削減のために「デジタル技術を活用してビジネスを変革するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)」に注力しています。しかしDXという考え方の重要性を理解していても、具体的な推進方法について悩む企業は少なくありません。そこで本記事では、DX実現の具体的な方法の1つであるクラウドサービスの利用についてご紹介します。
目次
クラウドサービスとは
クラウドサービスは、ユーザ自身が必要な機器やソフトウェアなどを所有・管理する従来の方法と異なり、コンピューティングリソースやアプリケーション、ソフトウェアなどサービス提供者が用意したリソースを複数のユーザが共同利用するサービスの総称です。
機器の管理・運用にかかる費用や人的コストを抑えられるほか、手軽に運用を開始して状況に応じた運用規模の拡張・縮小もコストバランスを考えながら実現できます。
安全にオフィス外の環境から重要データにアクセスしやすいのも、クラウドサービスの強みです。以前はセキュリティを担保するため、オフィス内の限られたデバイスだけが重要データにアクセスできるよう、社内ネットワークとインターネットに接続する機器を分けていました。この方法は、オフィス内からのアクセスだけを想定した場合には効率的です。しかし在宅ワークをはじめとしたテレワークが増加し、「オフィス外環境から重要データへアクセスしたい」というニーズが高まりました。社内からも社外からも同じように重要データにアクセスできるのも、クラウドサービスの利用が増えている理由です。
このように、クラウドサービスはコストを抑えながら新しいワークスタイルに対応できる柔軟性を持ち、DXを目指す第一歩として有用です。
次に、トップシェアの代表的なクラウドサービスをご紹介します。
Microsoft Azure(マイクロソフト アジュール)とは
Microsoft Azure(マイクロソフト アジュール)は、マイクロソフトが提供する世界シェアトップクラスのクラウドサービスの総称です。200を超える製品・サービスがあり、複数のクラウド環境とオンプレミス環境を組み合わせて利用するといった環境構築も可能です。
Microsoft Azureの特長
Microsoft Azureの大きな特長は、マイクロソフト製の他アプリケーションとの親和性が高く連携しやすい点です。マイクロソフトはパソコンOSで大きなシェア率を有しており、このOS以外にもアプリケーションやWebブラウザも提供しています。とくにオフィスソフトのクラウドサービス『Microsoft 365』は有名で、『Word』や『Excel』に触れた経験がある方は非常に多いため、連携のしやすさは魅力です。
また、アプリケーション開発にマイクロソフト社の製品を使用してきた場合には、オンプレミスからクラウドに基盤を映してもその開発ノウハウを活用して、スムーズに作業できます。
AWS(Amazon Web Services)とは
AWS(Amazon Web Services)はアマゾンが提供する世界シェアトップのクラウドサービスの総称です。コンピューティングやストレージ、データベースなどのインフラから機械学習やAI、IoTなどの最新鋭のテクノロジーを活用した機能まで、200以上のサービスを提供しています。
AWSの特長
オンプレミスからクラウドサービスに移行する際に、多くのクラウドサービスでは利用できるOSやミドルウェアの種類、バージョンに制限があります。AWSの強みはこの制限が少ないことです。
DXを実現するクラウドサービスの活用例
クラウドサービスにはさまざまな種類があるため、どのような製品がどのような場合に有用なのか、分かりにくいのが実情です。そこで、どのようにクラウドサービスを活用できるのか、代表的なものをご紹介します。
・ワークフローシステムで社内手続きをデジタル化
ワークフローシステムとは、申請書や報告書など従来は書類で行っていた社内手続きや決裁処理をデジタル化するシステムです。デジタル化して、金額計算の自動化や入力必須項目の設定をすることで、作業効率化と同時にヒューマンエラーを防ぎやすくなるのもメリットです。また、在宅ワークや出張時など社外からも利用でき、決済処理のために出社するといった業務負荷を低減できます。
・CRMで顧客情報や販売実績などを一元管理
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報だけでなく、マーケティングや商談、カスタマーサービスなど顧客に関連する情報を一元管理するアプリケーションです。さまざまな部署の社員がクラウドサービスのCRMを使いリアルタイムに情報を共有することで、企業全体の売上アップを期待できます。
・クラウドストレージでデータを使いやすく管理
クラウドストレージを利用すれば、パソコン内のローカルストレージと同じようにオンラインでファイルを共有できます。データ保存・共有の費用コストを抑えつつ、社外のリモート環境からもサイズの大きいデータの扱いも快適に行えるため、業務効率アップにつながります。
DXを目指すクラウドサービスの導入ポイント
DXは全社規模の大きいテーマであり、DX推進では時に経営的判断が必要になります。一方で、クラウドサービスの利用は技術的で専門的なテーマであり、クラウドサービスの活用推進には技術的知見が不可欠です。そのため、クラウドサービスを導入してDXを成功させるためには、DX責任者が経営層とエンジニアの視点を理解することが重要です。
・ポイント1:経営的視点から目的を明確化する
クラウドサービスはあくまでもDXという目的の手段であり、ビジネス自体を変革するためには、解決すべき「課題設定」が不可欠です。そのため、DX責任者は経営に携わる権限者と協力して経営的視点から目的を明確化する必要があります。
・ポイント2:技術的視点から利用するクラウドサービスについて検討する
クラウドサービスにはさまざまな種類があり、クラウドベンダーやサービスごとに強みは違います。また、自社で現在利用しているシステムとの連携や移行のしやすさも異なります。そのため、「明確化された目的」をどのような方法で達成するのか、技術的視点からの検討が必要です。サービスの機能についてだけでなく、障害発生時の対応やサイバー攻撃のリスクなどセキュリティ面についても検討しておくと良いでしょう。
まとめ
クラウドサービスをうまく活用することでDXの第一歩を踏み出すことができます。しかし、クラウドサービスの導入には判断の難しいポイントが多くあります。そのため、クラウドサービスに関するすべてを内製するのではなく、支援実績のあるプロへ相談することも効果的です。
セラクはMicrosoft AzureやAWSなどのクラウドサービスを活用したDX推進支援に力を入れています。国内トップクラスの支援ノウハウおよびカスタマーサクセス人材を有し、さまざまな企業の生産性向上・競争力強化をサポートしてきました。自社のDXを実現させたい、デジタル化へ取り組むサポートがほしい、といった要望がございましたらセラクへ一度ご相談ください。