コラム
2025.01.07

徹底比較!オンプレミスとクラウド、自社に合ったシステムの選び方

徹底比較!オンプレミスとクラウド、自社に合ったシステムの選び方

はじめに

現代のビジネス環境において、ITシステムの選択は企業の競争力を大きく左右します。特に、企業のシステム基盤として「オンプレミス」と「クラウド」の選択肢がありますが、これらの違いを理解し、自社に最適なシステムを選ぶことは重要な要素のひとつです。本記事では、オンプレミスとクラウドの基本的な定義に加えて、それぞれのメリットとデメリットを比較・解説します。

オンプレミスとは?基本的な定義

オンプレミス(on-premises)とは、企業が自社の物理的な施設内にサーバーやその他のハードウェアを設置し、直接管理運用するITインフラのことを指します。このシステムでは、企業は全てのハードウェア・ソフトウェア、その他の技術的リソースを自己所有し、これによりITシステムのコントロールとカスタマイズが可能となります。

オンプレミスのメリットとデメリット

オンプレミスシステムは、企業の運営スタイルやセキュリティ要件、予算配分に大きく影響を与えます。ここでは、オンプレミスの主なメリットとデメリットを詳しく掘り下げます。

オンプレミスのメリット

オンプレミス環境の最大のメリットは、企業がシステムに対する完全なコントロール権を持つことです。自社のデータセンター内でハードウェアとソフトウェアを管理するため、セキュリティ対策やデータのプライバシーを厳格に管理できます。これは、特にデータ保護規制が厳しい業界や、極めて繊細なデータを扱う企業にとって、重要な利点です。
また、オンプレミスではシステムのカスタマイズが容易です。企業固有のニーズに合わせてシステムを調整することができるため、業務プロセスに完全に合致した運用が可能となります。長期的に見れば、これにより効率性が向上し、企業の運営がスムーズになることが期待できます。

オンプレミスのデメリット

オンプレミスシステムにはデメリットも存在します。最も大きな問題は、高額な初期投資と維持費です。サーバーやネットワーク機器、さらには運用に必要な施設や電力など、すべて自社で賄う必要があるため、そのコストは小規模な企業にとって特に重荷となり得ます。
また、オンプレミス環境の維持には専門的なITスタッフが必要とされます。これは人材確保の難しさや、教育とトレーニングに関連する追加コストを意味します。技術の進化に伴い、システムを常に最新の状態に保つためには、定期的なアップグレードが必須となり、これがさらなる負担となるかもしれません。

オンプレミスとクラウドの比較

企業が自社に適した選択をするには、オンプレミスとクラウドの違いを理解することが不可欠です。これら二つの選択肢は、費用や導入までの期間といった面で大きく異なります。ここでは、それぞれの特性を比較し、どのような違いがあるのかを掘り下げていきます。

オンプレミス クラウド
費用の違い 初期費用が高い 初期費用がほぼ不要
導入までの期間 導入に時間がかかる 比較的すぐに導入できる
セキュリティ対策 比較的安全性が高い 利用するサービスによって異なる
管理とメンテナンス 自社で行う サービスを提供する事業者が行う
カスタマイズ性 高い 利用するサービスによって異なる

費用の違い

オンプレミスとクラウドの最も明確な違いの一つは、費用の構造です。オンプレミスの場合初期投資が大きく、サーバーやネットワーク機器、運用に必要な物理的スペースといったインフラに対する投資が必要です。さらに運用コストも含めると、総所有コスト(TCO)はかなり高額になります。これに対して、クラウドサービスは初期投資がほとんどまたは全く不要で、利用した分だけ料金を支払う従量課金制が一般的です。これにより、特にスタートアップや中小企業が大規模なインフラ投資を行うことなく、最新の技術を利用できるようになります。

導入までの期間

導入までの期間も、オンプレミスとクラウドでは大きく異なります。オンプレミスのシステムを導入する場合、物理的なサーバーの設置・設定、ネットワークの統合といったプロセスが必要であり、これには数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。また、カスタマイズの度合いが高い場合は、さらに時間が必要です。一方、クラウドサービスはインターネット経由で利用できるため、アカウントを設定し、必要なサービスを選択するだけで、数時間から数日で導入が完了します。クラウドの柔軟性とスピードは、ビジネスが急速に変化する環境において特に有利です。

セキュリティ対策

オンプレミスとクラウドの選択において、セキュリティは非常に重要な要素です。オンプレミスシステムでは、企業が自らの物理的環境内でデータを管理するため、外部からのアクセスを厳格に制御できる利点があります。これにより、企業は自らのセキュリティポリシーを完全に適用し、データへのアクセスを細かく管理できるため、高度なセキュリティ要件を満たすことが可能です。
一方、クラウドサービスはプロバイダがセキュリティ管理を主導します。クラウドプロバイダは通常、最新のセキュリティプロトコルと規格を導入しており、広範なセキュリティ対策を提供するため、多くの場合、中小企業が自力で行うよりも強固なセキュリティを実現できます。しかし、データが第三者の手に委ねられるため、プロバイダ選びには慎重になる必要があります。

管理とメンテナンス

管理とメンテナンスの観点からも、オンプレミスとクラウドでは大きな違いがあります。オンプレミス環境では、企業が全てのシステム管理とメンテナンスを自ら行う必要があります。これには、ハードウェアの更新・ソフトウェアのパッチ適用・システムの障害対応などが含まれ、専門的なITスタッフが常に必要とされます。これはコストと労力の両面で大きな負担となる可能性があります。
対して、クラウドサービスはプロバイダがハードウェアとソフトウェアのメンテナンスを担当します。これにより、企業はITインフラの日々の運用から解放され、ビジネスの核心となる活動により多くのリソースを割り当てることができます。また、システムの障害が発生した場合でも、プロバイダが迅速に対応するため、ダウンタイムが最小限に抑えられます。

カスタマイズ性

オンプレミス環境では、企業は自らのITインフラをコントロール下に置くことができるため、必要に応じて細かいカスタマイズが可能です。全ての設定・アップデート・統合は企業自社のIT部門で行われ、システムを完全に自社のニーズに合わせることができます。
対照的に、クラウドサービスはプロバイダが提供する設定とパラメータの範囲内でのみカスタマイズが可能です。プロバイダは多くの顧客に対応するために標準化されたサービスを提供しており、これが大規模な拡張性とコスト効率を可能にしますが、その分、個々の顧客の特定のニーズに合わせた深いカスタマイズは限られることがあります。ただし、クラウドサービスの進化により、カスタマイズのオプションが増えつつあり、多くのプロバイダがより柔軟なソリューションを提供し始めています。

自社に合ったシステムの選び方

ITシステムを選択する際には、自社のビジネスモデル・成長戦略・セキュリティ要件など、多くの要因を考慮する必要があります。オンプレミスとクラウドそれぞれのシステムが企業にどのように適合するかを理解することで、最適な選択が可能になります。

オンプレミスが適している場合

オンプレミスシステムは、主に高度なセキュリティと規制遵守が求められる業界、例えば金融サービスやヘルスケア、政府機関での利用に適しています。これらの業界では、データの管理と保護に関して非常に厳しい基準が設けられており、オンプレミスではこうした要件を自社で完全に制御できます。
また、特定の技術的要件やカスタマイズが必要な場合もオンプレミスが望ましい選択肢となることがあります。自社で完全にカスタマイズされたソリューションが必要な企業や、既存のオンプレミス資産を最大限に活用したい企業は、クラウドよりもオンプレミスの方が適切かもしれません。

クラウドが適している場合

クラウドシステムは、特にスタートアップや中小企業に適しています。初期投資を抑えつつ、必要に応じてリソースを追加する柔軟性が求められる場合、クラウドサービスは理想的な解決策です。また、クラウドは新しい技術へのアクセスが容易であり、イノベーションの速度を上げることができます。
遠隔地にチームが存在する場合や、柔軟な働き方を推進している企業にとって、クラウドは地理的な制約を取り除き、どこからでもアクセス可能な環境を提供します。さらに、クラウドプロバイダがメンテナンスやアップデートを行うため、ITリソースを他の重要なビジネス活動に集中させることができるのも大きな利点です。

ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドは、オンプレミスとクラウドサービスを組み合わせたIT環境のことを指します。このモデルでは、企業がデータとアプリケーションを最適な環境に配置することが可能で、セキュリティ・パフォーマンス・コスト効率のバランスを取りながら、拡張性と柔軟性の利点を享受できます。

ハイブリッドクラウドが適している場合

ハイブリッドクラウドは、特定のビジネスニーズや要件がある企業に最適な選択肢となることがあります。例えば特定のデータをプライベートな環境に保持する必要がある場合や、高度にカスタマイズされた業務アプリケーションをオンプレミスで管理しつつ、同時にクラウドの柔軟性や拡張性を活用したい場合です。また、運用コストを効率化しながら、業務の一部をクラウドに移行することで、新しい技術への適応や市場の変動に迅速に対応する必要がある企業にとっても適しています。
ハイブリッドクラウドは、事業の継続性と回復力を強化するための戦略としても有効です。災害回復計画の一環として、特に重要なアプリケーションとデータをプライベートクラウドに、それ以外をパブリッククラウドに分散させることで、リスクを分散し、ビジネスのダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。さらに、ハイブリッドクラウドを利用することで、地理的な制約を超えて、世界中のさまざまな場所からデータへのアクセスとアプリケーションの利用が可能になります。

まとめ

オンプレミスとクラウド、そしてハイブリッドクラウドはそれぞれに独特の利点と制約を持ち、企業の特定のニーズに合わせた選択が可能です。自社に最適なシステムを選ぶためには、これらの違いを理解し、現在及び将来のビジネス要件を慎重に評価することが重要です。
最終的には、企業のIT戦略・コストの考慮・セキュリティの要求、およびビジネスの柔軟性の必要性を総合的に考慮し、それぞれのプラットフォームの長所と短所を比較することが、最適なシステム選択へと導きます。導入前には、これらの要素を詳細に検討し、場合によっては専門家の意見を求めることが賢明です。これにより、企業は技術的な課題を乗り越え、ビジネスの成長と成功を支援するための堅固なIT基盤を構築できるでしょう。
セラクでは、オンプレミスとクラウド双方に関する豊富な知識と経験を活かし、システムの導入から運用・保守まで、高品質なサポートを提供しています。どちらを選ぶか迷っているという場合でも、お気軽にセラクにご相談ください。

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