スローキャリア
読み方:スローキャリア
スローキャリアとは
スローキャリア(英:Slow Career)とは、出世や賃上げよりも自分のやりたい働き方や自分の生活スタイルを重視して、キャリアを形作っていく方法です。2004年に提言された概念で、「仕事を控えめにして、気長に企業生活を送る」という意味ではなく、自分なりの働き方を軸とし、自身の充実感へとつなげる思考です。
スローキャリアが提示されるようになった背景
日本では戦後の高度経済成長期において、出世してより多くの給料を手に入れたいという上昇志向をもつ社員が企業の先陣を切る傾向にありました。しかし、スローキャリアを提示した著書の中で著者は、「すべての社員が上昇志向をもっているわけではない」と指摘します。ここから、自分のやりたい働き方を優先する社員も上手に生かさないと競争力を発揮できないと、いくつかの企業が気づきはじめました。これらの企業が、スローキャリア重視の人材マネジメントを行うようになったことが背景として挙げられます。
スローキャリアの基本ポリシー
- ・自分らしさを生かすために「動機」「価値観」を意識する
やる気の源泉は何かという「動機」や、何を大切にしたいかという「価値観」を意識することで、「自分らしさ」の有効活用ができます。
- ・時代の変化に対して柔軟な対応をとる
特定の仕事内容や自分の興味にとらわれるのではなく、新しいことに挑戦することで、時代の変化に対して柔軟な対応を取れます。
- ・キャリアに対する向上心よりも自分らしいキャリアの形成を心がける
立身出世や収入アップなどで自身のキャリアを描かずに、自分の好きな分野に対する学習や、自身が理想としている仕事のスタイルを意識してキャリアの形成を行います。
- ・自身が置かれた局面ごとに心構えを切り替える
家庭的な事情で仕事ができない局面に置かれても、「生きていれば、仕事に打ち込めないときもある」と冷静に考え、メリハリをつけて生活できます。
- ・報酬にこだわらず、キャリアを選択する
高い生活水準を意識しないことで、生活の固定費を最小限に抑えられます。結果として、報酬にこだわることなくキャリアを選択できます。
- ・組織と対等な関係を築く
上司や組織に従うことによって、自分の信念や良心を犠牲にしないよう心がけます。
- ・スローキャリア社会の実現
スローキャリアを実践している人たちが生きやすい社会を作ることが重要です。そのためにも、スローキャリアを認め支援している企業の商品購入・サービス利用をすることで応援します。