限定正社員
読み方:ゲンテイセイシャイン
限定正社員とは
限定正社員とは、勤務地や業務時間・業務の内容について、いずれかを限定して勤務する正社員です。限定正社員を採用する目的として、正規雇用と非正規雇用の二極化を緩和させて人材を定着させることが挙げられます。多様な働き方が求められていることから、国は限定正社員制度普及のため、制度導入を考えている企業に現状把握や制度検討などの訪問支援を行っています。
限定正社員の種類
- ・勤務地限定正社員
勤務地限定正社員は、勤務場所が限られている社員を指します。異動がない、もしくは転居を伴わない形での異動のみであることが特徴です。地域密着型の雇用を推し進める場合に用いられる制度です。
- ・職務限定正社員
仕事内容が正社員と区別され、限られた範囲で勤務する社員です。高度な専門性を持つプロフェッショナル人材の育成を目的として採用されます。
- ・勤務時間限定正社員
勤務時間限定正社員には、所定労働時間が短めの「短時間正社員」や労働日数が少なめの「勤務日数限定正社員」、残業を免除される「残業免除等正社員」があります。子育てや介護、持病などを考慮した社員雇用が目的です。
限定正社員のメリット
- ・人材確保を安定して行える
事情があって通常の雇用条件では働けない従業員も、限定正社員では正社員として雇用ができます。これまでの条件で採用不可能だった高い能力を持った人材の採用ができ、結果として企業の事業発展を安定的に行えます。
- ・無期雇用契約の受け皿として利用できる
2012年の労働契約法改正により、5年を超えて契約更新された場合、従業員の希望があれば有期雇用を必ず無期雇用に転換しなければならないルールが追加されました。その後、勤務する場所や時間帯を限定できるこの制度ができ、無期雇用転換時の受け皿として利用できる選択肢が増えました。
- ・柔軟性や多様性のある働き方を推進できる
限定正社員を採用することで従業員は就業時間や勤務場所を意識しなくなり、結果として育児や介護と仕事の両立が図れます。それにより柔軟性や多様性を持った容易に働ける環境が整備され、従業員の企業定着が見込まれます。
限定正社員のデメリット
- ・人事管理が複雑化する
特に多様な雇用形態で従業員を雇用している企業では、形態の追加とともに制度を利用する従業員に対して、契約内容を限定正社員ごとに一つひとつ定める必要があります。その結果、人事管理が複雑化し、人事管理担当の負担が増加します。
- ・事業内容変更があった場合、柔軟に対応できない
限定正社員では勤務地や就業時間が限定されているため、事業内容の変更があった場合に柔軟性を持って対応できないことがあります。例えば業務が廃止となった場合、代わりの業務を任せられないことが想定されます。
- ・公平性のある制度設計をする必要がある
限定正社員は勤務地異動や長時間残業がないため、正社員が不公平感を抱きやすいという特徴があります。正社員と限定正社員の双方が納得のいくように、企業側は待遇のバランスを確保する必要があります。