2024.10.09

複線型人事制度

複線型人事制度

読み方:フクセンガタジンジセイド

複線型人事制度とは

複線型人事制度とは、数個のキャリアコースをあらかじめ設定することで、従業員の希望でキャリアが選択できる人事制度です。この制度の目的は、企業側は価値観の多様化に対応したキャリアの形成を促すため、従業員側は競合優位に立てる新しい価値をもった人材になるためです。

複線型人事制度のコース設定

複線型人事制度でのキャリアコース設定は、以下の種別がベースとなっています。

  • キャリア志向
    この考えには、「総合職コース」「一般職コース」「専能職コース」があります。総合職コースは、出世し企業の上層部になるためのコースで、職務や勤務先は問いません。一般職コースは、職務や勤務先が限られるコースです。専能職コースは、特定の業務分野に精通する人材を目指すため、自身の専門スキルを伸ばすコースです。
  • 適性
    このコース設定では、従業員の特徴に合わせたコース選択が可能です。種類としては「管理職」「専門職」「専任職」があり、管理職はその名の通りマネジメントを行う役割です。専門職は、専門領域に特化した作業を行います。専任職は、自身のもつ豊富な知識や技術を応用して、現場での実務的業務を遂行します。
  • 職群
    このコース設定では、従業員の従事する業務によってキャリアを選択します。一例を挙げると「企画やマーケティング部門に携わる専門職」「研究開発や技術部門に携わる専門職」があります。

複線型人事制度のメリット

  • 企業側のメリット
    複線型人事制度を企業側が採用することで、昇進におけるポスト不足の問題を解決できます。従来の人事制度は管理職を目指すキャリア形成のみの画一的な方法だったため、優秀な人材であってもポスト不足により昇進できないことが起こりました。複線型人事制度では、管理職への昇進が集中することを防げるので、ポストを十分に確保でき、有能な人材を重点的に昇進させることが可能です。
  • 従業員側のメリット
    複線型人事制度では、従業員が自分の生活様式に応じたキャリアコースを選択できることで、モチベーションを向上できます。また、マネジメントが不得手な従業員でも、複線型人事制度では管理職以外のキャリア形成が図れ、昇進のチャンスが広がります。

複線型人事制度のデメリット

  • 企業側のデメリット
    複線型人事制度において、企業側は導入する際に手続きの煩雑さに出くわします。複線型人事制度を取り入れる際に、キャリアコースの設定を新規に行うだけではなく、給与制度を大幅に改定しなければならない問題があります。これまでに培ってきた人事制度を大きく変更しなければならないので、その分時間やコスト増大が課題です。
  • 従業員側のデメリット
    複線型人事制度では、数個のキャリアコースを新規に設定することから、コースによって従業員の評価方法に差が出る場合も考えられます。不平等につながりかねないため、各キャリアコースの職務範囲や責任の所在を明確にし、それを従業員に説明することが必要です。
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