コラム

2024.06.05

統合型人事システムCOMPANY(R)で実践する戦略人事

統合型人事システムCOMPANY(R)で実践する戦略人事

はじめに

労働者の流動化や労働力人口の減少により採用や人材育成は年々難しくなっており、近年では多くの企業がテクノロジー活用で人事業務を効率化するため、人事システムやERP導入を進めています。しかし製品選びは簡単ではありません。戦略人事に関する機能を適切に評価することは難しく、労務管理や給与計算などの機能だけでは製品全体の価値を判断できないためです。
そこで本記事では製品選びの参考に、戦略人事という視点から統合型人事システム『COMPANY(R)』の機能について解説します。

人事データ活用が不可欠な「戦略人事」とは

戦略人事とは、企業が継続して成長するために「経営戦略と連携して人事や関連業務を実施する」という考え方です。

戦略人事の語源は、1980年代に経営学分野で登場した「戦略的人的資源管理論(Strategic Human Resource Management)」だといわれています。それまでの「人材=資源」ではなく「人材=資本」という新しい視点が生み出され、人材は消費するリソースから価値を高められる財産だと認識されるようになりました。この変化により人事は、従業員管理から、人材を効果的に活用して生産性を高めるという概念に変わっていきます。

2000年代以降、パソコンやインターネットなどの技術進歩によって、データ分析が専門的な知識をもったプロだけでなく経営責任者や現場担当者にとって身近になり、データは経営戦略に不可欠になっています。以前とは比べものにならない程簡単にデータに基づいて意思決定できるようになったことで、ビジネス環境の変化も高速化しました。
多くの企業が急速な環境変化に対応するため、意思決定だけでなく決定に基づいたアクションの高速化に取り組んでいます。戦略人事とは、いわばこのハイスピードな環境変化に対応できる人材に関する仕組み作りです。代表的な活動として、育成制度の標準化や企業内大学設立、キャリア開発支援、使いやすい人材データベース構築などが挙げられます。

「戦略人事」と「人事戦略」の違い

「戦略人事」とよく似た、混同されがちな言葉に「人事戦略」があります。
人事戦略とは戦略的に人事業務の進め方を検討するという概念であり、人事業務の内部だけで完結し、経営戦略と連携するといった全社的な活動ではない点で大きく異なるため、2つの用語の違いに注意しましょう。

戦略人事の実践にはタレントマネジメントが最適

タレントマネジメントとは、従業員のもつ能力を効果的に管理して企業の経営戦略に活かす取り組みです。経営戦略に沿った企業活動にどのような人材が必要か検討し、蓄積した従業員データを活用して候補者を探し、適切な人材配置や研修を通して従業員の能力(タレント)を管理(マネジメント)します。
技能や知識に関する教育を行うだけでなく、能力を発揮しやすいように、モチベーションの維持や従業員エンゲージメント向上に向けて活動し、キャリアプランに関する相談を受けることもマネジメントの範疇です。

新たな部門設立やプロジェクトチーム結成など候補者が複数部署に点在する場合に人材を迅速に選定する、リーダー候補者を早めに選定して経営的な視点を身に付けてもらう、といった活用もできます。

COMPANY(R)のタレントマネジメント機能

『COMPANY(R)』は、給与計算や勤怠管理だけでなく、豊富なタレントマネジメント機能を備えた、Works Human Intelligence社が提供する統合人事システムです。

タレントマネジメント機能は「人員配置」や「ポジション管理」「人材検索」「研修管理」といった従業員データの管理と検索に関するものだけではありません。
国際的なワークエンゲージメントの測定指標UWES(Utrecht Work Engagement Scale)に沿って従業員のモチベ―ジョンを可視化する「モチベーションサーベイ」や人的資本と企業KPIを組み合わせて可視化する「人的資本と企業KPIの可視化ダッシュボード」といった機能があります。ほかにもキャリアプランや後継者管理のサポートなど、さまざまな機能が用意されています。
また業績評価や多面評価、能力評価などさまざまな制度に対応しており、「海外拠点やグループ企業などで複数の評価制度を利用している」規模の大きな企業向けに設計されているのも特徴です。

COMPANY(R)のタレントマネジメント機能
主な機能名 概要
人材検索 見たい従業員データを直感的に検索
人事KPIダッシュボード 人的資本と企業KPIを1画面で可視化
人員配置 直感的な操作で人員配置や組織改編案を策定して、人事給与データと連携
モチベーションサーベイ 測定指標「UWES」で従業員のモチベーションを可視化
キャリアプラン・スキル管理 キャリアプランを定性的・定量的に管理して、課題となるスキルに対する学習を支援
人的資本開示 人事給与データとシームレスに連携して、集計・分析の手間を削減
後継者管理 後継者の指名から後継者育成プランの作成までをサポート
研修管理・e-Learning 従業員の育成につながる研修の実施、研修結果の管理を一元化
ポジション管理 組織管理とポジション(ジョブ型)管理を両立する、日本企業の慣習にマッチした人事育成サポート

タレントマネジメントに役立つ人事管理機能

COMPANY(R)にはタレントマネジメント機能以外にも、人材の育成や管理に役立つ機能があります。代表的な機能を2つ紹介します。

・組織管理
組織管理機能を利用すると、グループ企業や複数制度を運用する組織を、従業員の顔写真付きのツリー図で管理できます。細かな制度が異なるグループ企業の人材を一元管理し、組織名や社員名に対するフリーワード検索にも対応しています。
編集の際にも簡単なマウス操作だけで登録でき、異動発令は自動作成されるため、従業員ごとの異動登録は不要です。

組織横断のプロジェクトへの参加といった組織図上で管理できない経歴や、発令とは別に実際の勤務場所があるといったケースに対応し、組織のツリー図をベースにしながらも、実態に合わせた情報を管理できます。

・帳票作成
帳票作成機能を利用すると、簡単なマウス操作でチェックリストや集計表、人事台帳などを作成できるため、人事データの効率的な整理に便利です。
技能資格や人事評価、教育履歴などの項目について、「かつ」「または」を自由に組みあわせて検索し、クロス集計や四則演算を利用して「役職別男女比」「部門別人件費」などの集計表をボタン1つで作成できます。また定期的に作成する場合はカレンダー登録しておき作業を自動化できるため、実施した施策の効果測定にも向いています。

COMPANY(R)で戦略人事を実践するポイント

『COMPANY(R)』を利用して戦略的に人事データ活用をスムーズに進めるために、事前準備が必要なポイントを把握しておきましょう。

・経営戦略
戦略人事を進めるためには、ツールによるサポートが難しい「経営戦略上の課題設定」をどのように進めるかを決めておくべきです。

たとえば「定年間近の専門職の従業員が多く在籍しており、担当している業務内容を引き継ぐ必要がある」といった場合を考えてみましょう。部署の規模や引き継ぎ可能な従業員の人数といった要因で最適な選択は変わります。単純に社内人材で引き継ぐ以外にも、業務を外注する、業務フロー自体を変更する、全社的な業務領域を変更するといった選択肢の方が効果的な場合もあります。必ずしも「人事」領域の取り組みで解決することが唯一最適な回答ではないという前提で、経営戦略の検討を十分にした後で、人事業務を進めるべきです。
検討の際には、課題解決のためにどのような人事データが必要か、データが不足している場合にはどのように収集するか、といった具体的な部分まで明確化しておきましょう。

・人事データ入力
戦略人事やタレントマネジメントに必要な人事データは勤怠管理や給与計算、労務といった事務処理に必要なデータだけではありません。社内に蓄積してきた人事データの把握や、新たなデータ入力に関する検討も必要です。

たとえば「人事部による事務処理中心の人事業務を刷新し、積極的にタレントマネジメントを実践する」際は、キャリアプランやモチベーション、エンゲージメントに関する従業員データが必要です。新たにアンケートや面談などを通じたデータ収集が必要なため、システム導入前にデータ収集や入力を開始して十分な期間を取り、従業員の負荷を可能な範囲で軽減しましょう。

まとめ

人事システムを導入すれば、業務効率化だけでなく、人事領域の業務を経営戦略の推進と連携できます。しかし、HRMを主導する部署が社内に存在しない、人事部は既存の人事管理で手一杯といった事情で、人事システムを導入しても効果を十分に発揮できていないと悩む企業も少なくありません。各事業部で人事に関して主導する担当者を置くといった体制が理想ですが、難しい場合は製品選択から導入、運用の定着までに際しては社外の専門家に相談するのも選択肢の1つです。
セラクグループでは、給与計算のシステム化から『COMPANY(R)』をはじめとしたソフトウェアの導入・定着サポート、運用人材の派遣まで、さまざまな支援を行っています。

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